カレブ・ユアン(オーストラリア)をはじめ、ロット・デスティニーの選手がツールで使うのがリドレーの未発表バイクだ。軽量バイクとエアロバイクの間を埋める、リドレーの新機軸モデルを取り上げる。



ロット・デスティニーがツールに投入しているリドレーの未発表モデル photo:So Isobe

中央部がくびれたヘッドチューブ。空力に配慮したデザイン photo:So Isobe
ヘッド周辺はエアロを意識した作り。ただしNoah Fastほどアグレッシブではない photo:So Isobe



ロット・デスティニーと長年パートナーシップを組むのが、同郷ベルギーに本拠地を置くリドレーだ。長年ロットの選手は軽量モデルのHelium SLXとエアロロードのNoah Fastを乗り分けてきたが、今ツール・ド・フランスではそのバイクチョイスが一変。多くの選手が未発表の新型モデルを駆り、難易度の低いコースではNoah Fastが登場している。

基本的には細身ながら、空力に大きく影響するヘッドチューブやフロントフォーク、さらにシートチューブなどは積極的にエアロ形状を採用。Heliumとは異なるコンパクトなリアバックなど、明らかにHeliumとNoah Fastの中間ポジションを狙った設計意図が見てとれる。スペシャライズドのTarmac SL7やトレックのEmondaなど、各メーカーの開発競争が激化するこのジャンルにリドレーも参入するようだ。

カレブ・ユアンの駆るXSサイズ。リアバックの形状が異なることに注目 photo:So Isobe

フロントフォークのブレーキ部分は切り欠きが設けられている photo:So Isobe
ダウンチューブは比較的細身。エアロと軽さを両立する意図が見える photo:So Isobe



Heliumと大きく異なるリアバック形状 photo:So Isobe

興味深いのはフレームサイズによってリアバックの形状が異なること。残念ながら第13ステージでリタイアしてしまったカレブ・ユアン(オーストラリア)のXSサイズではシートステーがトップチューブと接続しているが、より大きなフレームサイズでは「ドロップ」ステー。シートポストはエアロ形状だが、やはりNoah Fastよりも扁平率は低い。

非常にステム部分が薄い一体型ハンドルは、Noah Fastと同じデダ製品。スプリンターとしては珍しくコラムスペーサーを数枚積んでいるが、ハンドル幅360mm、ステム長140mmという攻撃的なポジショニング。ハンドルのドロップ部分にはDI2のスプリントスイッチが追加されている。なおチーム内で白いバーテープを使うのはユアンだけだった。

ユアンだけ白いバーテープを使う。ドロップ部分にスプリントスイッチを装備 photo:So Isobe

ユアンはコラムスペーサーを積む。ステムは140mm、ハンドル幅は360mm photo:So Isobe
DTスイスのARC1100ホイールにヴィットリアのCORSA PROを組み合わせる photo:So Isobe



新型バイクで山岳をこなすカレブ・ユアン(オーストラリア) photo:So Isobe

DTスイスのARC1100ホイールに組み合わせるのはヴィットリアのCORSA PROだ。チームの多くの選手は28cを使うものの、ユアンや、フレディリック・フリソン(ベルギー)は細身の26c。ユアンは重要ステージにおいてはNoah Fastに乗り、タイムトライアル用のCORSA SPEEDを装備して勝負を掛けていた。

text:So Isobe in Macon, France

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