2023/07/08(土) - 22:56
長野県・富士見パノラマリゾートで開幕したMTB全日本選手権。短距離のスピードレースとなるXCCクロスカントリー・ショートトラックは北林力が5年越しの念願の優勝。女子は川口うららが制し、復帰を印象づけた。マスターズでは常勝の岡本紘幸を白石真悟が下した。
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XCC 男子エリートのスタート photo:Makoto AYANO
今までXCOとは別日・別会場で開催されていたXCCが同日開催となり、初日の第2種目となった。
XCCとはクロスカントリー・ショートトラックを意味し、短距離でのサーキットレースとなる。芝のゲレンデに設定されたのは1kmのテクニカルかつアップダウンと高低差に富んだコース。ファーストラップのタイムにより周回数が設定されるが、エリート男子のレースは1km✕6周の6km、レース時間で16分弱という短時間・高強度の激しいレース。
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1周目から果敢に攻める沢田時(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になるほか、優勝すればUCIポイントが50ポイント獲得できる。来年開催されるパリ五輪に日本代表として選出されるためには、このUCIポイントが重要だ。
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平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が先頭に割って入りリードする photo:Makoto AYANO
エリート男子は多くが翌日にXCOクロスカントリー種目出場を控える選手たち34人がスタートグリッドに並んだ。スタートから猛烈なスピードでダッシュがかけられ、ここまでこの種目に2連覇している沢田時(宇都宮ブリッツェン)がリード、松本一成(TEAM RIDE MASHUN)が追従する。
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平林、沢田、北林、宮津、松本、副島がパックを形成 photo:Makoto AYANO
宮津旭(PAXPROJECT)が急浮上するが、過去4度2位に甘んじている北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED)はペダルキャッチをミスし、後方に埋もれていた。3周目に入ると平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が先頭に立ち、沢田とテールトゥーノーズで競り合う。
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宮津旭(PAXPROJECT)に北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED)が追いつく photo:Makoto AYANO
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独走を始めた北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED) photo:Makoto AYANO
北林力が後方から追い上げて先頭グループに加わり、副島達海(大阪産業大学)、竹内遼らとともに5人の先頭グループとなって後続を離す。宮津がアタックすると北林が追従し、2人に。そのまま2周回を競り合うが、最終周回に入り北林が上りでアタック。宮津を引き離して独走でフィニッシュした。過去大会で4回も2位に甘んじ、苦汁をなめてきた北林にとって5年越しの念願の勝利になった。
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5年越しのXCC勝利を果たした北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED) photo:Makoto AYANO
2位に9秒遅れて宮津、3位に竹内、4位に副島、過去2連覇のチャンピオン沢田時(宇都宮ブリッツェン)は終盤失速して55秒遅れの5位に終わった。
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XCC男子エリート 1位北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED)、2位宮津旭(PAXPROJECT)、3位竹内遼 photo:Makoto AYANO
北林力のコメント
スタートのペダルキャッチミスで感覚的には最後尾まで下がった感じです。「つくづくXCCに勝運がないな」と諦めそうになったけれど、諦めずに追い上げました。この会場は今までの千葉公園の会場と違ってテクニカルではないけど、芝が重くてよりフィジカルが要求されるコースでした。クロカンに近いような点も僕には有利だったのかもしれません。今年はシーズン前半でワールドカップで思うように走れず苦しみました。後半シーズンは前半の悪かった点を覆せるような走りをしたいですね。
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XCCチャンピオンの北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED)と優勝バイク photo:Makoto AYANO
沢田時のコメント
悔しい結果になった。自分にも期待をしていたので、正直、ガッカリなリザルトだ。思い通りスタートも決まり、展開もできていた。有力選手が絞られてきた中盤で、みんなの動きに反応できなくなり、酸欠状態のようになってしまった。20分弱と短いレースなので、一度限界に達してしまうとリカバリーできなかった。「このままじゃ終われない」という気持ち。XCCは三連覇が掛かっているということで、少し緊張感が強かったが、これで明日のXCOは「やるしかない」という気合もさらに入った。本当に明日は勝ちにいきたい。明日も全力で戦いたい。
XCC女子エリート
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XCC女子エリートは5人のレース photo:Makoto AYANO
女子は川口うららが復帰を証明する勝利
たった5人のレースながら三つ巴のバトルが熱かったのが女子エリートだ。登坂のスタートダッシュでU23ながらもっとも走力に定評ある小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が飛び出す。後方を少し離して小林が1周目を終えるころ、スタートでは出遅れていた石田 唯(TRKWorks)が追いつき、次の周では交わして前に出る。
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石田唯(TRKWorks)が果敢に小林あか里の前に出る photo:Makoto AYANO 
途中トップに立った小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
小林と石田の抜きつ抜かれつの2人のバトルは石田の失速で終わるが、代わりに川口うらら(TEAM TATSUNO)が急速に小林に追いつき、最終回の上りで前に出ると小林を大きく引き離してフィニッシュ。6ヶ月の休息期間を経ての復帰を印象づける歓喜の勝利を挙げた。
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XCCで川口うらら(TEAM TATSUNO)が歓喜の勝利 photo:Makoto AYANO
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XCC女子エリート1位川口うらら(TEAM TATSUNO)、2位小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、3位石田唯(TRKWorks) photo:Makoto AYANO
川口うららのコメント
熱い気持ちは無く、完璧な用意ができたわけじゃなかったけど、私の中では最後まで集中して自分の走りをすることを考えていました。序盤も離れかけていたけど我慢して 自分に集中して、自分の走りをしようと言い聞かせました。そうしたら結果がついてきた。大学を卒業して環境も変わり、半年間休んだことが大きかったので、こういうレースをしないといつまでもリズムをつかめないと思っていましたが、それができたのが良かったです。
XCC男子マスターズ
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XCC男子マスターズのスタート photo:Makoto AYANO
マスターズは白石真悟が岡本紘幸を下す
マスターズレースではXCC&XCOの常勝選手、岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)と白石真悟(シマノドリンキングXC A)の一騎打ちとなり、最終周に上りを利用してアタックを決めた白石が初の王者に輝いた。岡本は気管支炎の症状が残っており、呼吸が苦しかったという。
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先行する岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)に白石真悟(シマノドリンキングXC A)が迫る photo:Makoto AYANO 
岡本を引き離し独走に持ち込んだ白石真悟(シマノドリンキングXC A) photo:Makoto AYANO
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XCCマスターズ優勝 白石真悟(シマノドリンキングXC A) photo:Makoto AYANO
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男子マスターズ表彰 優勝は白石真悟(シマノドリンキングXC A) photo:Makoto AYANO
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男子ユース 松山海司(Sonic-Racing)が垣原弘明(RACING TORQUE)をリードする photo:Makoto AYANO 
男子ジュニア 1位は内野友太(Q-SHU UNION CJ UNIT) photo:Makoto AYANO
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今までXCOとは別日・別会場で開催されていたXCCが同日開催となり、初日の第2種目となった。
XCCとはクロスカントリー・ショートトラックを意味し、短距離でのサーキットレースとなる。芝のゲレンデに設定されたのは1kmのテクニカルかつアップダウンと高低差に富んだコース。ファーストラップのタイムにより周回数が設定されるが、エリート男子のレースは1km✕6周の6km、レース時間で16分弱という短時間・高強度の激しいレース。
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このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になるほか、優勝すればUCIポイントが50ポイント獲得できる。来年開催されるパリ五輪に日本代表として選出されるためには、このUCIポイントが重要だ。
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エリート男子は多くが翌日にXCOクロスカントリー種目出場を控える選手たち34人がスタートグリッドに並んだ。スタートから猛烈なスピードでダッシュがかけられ、ここまでこの種目に2連覇している沢田時(宇都宮ブリッツェン)がリード、松本一成(TEAM RIDE MASHUN)が追従する。
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宮津旭(PAXPROJECT)が急浮上するが、過去4度2位に甘んじている北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED)はペダルキャッチをミスし、後方に埋もれていた。3周目に入ると平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が先頭に立ち、沢田とテールトゥーノーズで競り合う。
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北林力が後方から追い上げて先頭グループに加わり、副島達海(大阪産業大学)、竹内遼らとともに5人の先頭グループとなって後続を離す。宮津がアタックすると北林が追従し、2人に。そのまま2周回を競り合うが、最終周回に入り北林が上りでアタック。宮津を引き離して独走でフィニッシュした。過去大会で4回も2位に甘んじ、苦汁をなめてきた北林にとって5年越しの念願の勝利になった。
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2位に9秒遅れて宮津、3位に竹内、4位に副島、過去2連覇のチャンピオン沢田時(宇都宮ブリッツェン)は終盤失速して55秒遅れの5位に終わった。
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北林力のコメント
スタートのペダルキャッチミスで感覚的には最後尾まで下がった感じです。「つくづくXCCに勝運がないな」と諦めそうになったけれど、諦めずに追い上げました。この会場は今までの千葉公園の会場と違ってテクニカルではないけど、芝が重くてよりフィジカルが要求されるコースでした。クロカンに近いような点も僕には有利だったのかもしれません。今年はシーズン前半でワールドカップで思うように走れず苦しみました。後半シーズンは前半の悪かった点を覆せるような走りをしたいですね。
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沢田時のコメント
悔しい結果になった。自分にも期待をしていたので、正直、ガッカリなリザルトだ。思い通りスタートも決まり、展開もできていた。有力選手が絞られてきた中盤で、みんなの動きに反応できなくなり、酸欠状態のようになってしまった。20分弱と短いレースなので、一度限界に達してしまうとリカバリーできなかった。「このままじゃ終われない」という気持ち。XCCは三連覇が掛かっているということで、少し緊張感が強かったが、これで明日のXCOは「やるしかない」という気合もさらに入った。本当に明日は勝ちにいきたい。明日も全力で戦いたい。
XCC女子エリート
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女子は川口うららが復帰を証明する勝利
たった5人のレースながら三つ巴のバトルが熱かったのが女子エリートだ。登坂のスタートダッシュでU23ながらもっとも走力に定評ある小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が飛び出す。後方を少し離して小林が1周目を終えるころ、スタートでは出遅れていた石田 唯(TRKWorks)が追いつき、次の周では交わして前に出る。
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小林と石田の抜きつ抜かれつの2人のバトルは石田の失速で終わるが、代わりに川口うらら(TEAM TATSUNO)が急速に小林に追いつき、最終回の上りで前に出ると小林を大きく引き離してフィニッシュ。6ヶ月の休息期間を経ての復帰を印象づける歓喜の勝利を挙げた。
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川口うららのコメント
熱い気持ちは無く、完璧な用意ができたわけじゃなかったけど、私の中では最後まで集中して自分の走りをすることを考えていました。序盤も離れかけていたけど我慢して 自分に集中して、自分の走りをしようと言い聞かせました。そうしたら結果がついてきた。大学を卒業して環境も変わり、半年間休んだことが大きかったので、こういうレースをしないといつまでもリズムをつかめないと思っていましたが、それができたのが良かったです。
XCC男子マスターズ
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マスターズは白石真悟が岡本紘幸を下す
マスターズレースではXCC&XCOの常勝選手、岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)と白石真悟(シマノドリンキングXC A)の一騎打ちとなり、最終周に上りを利用してアタックを決めた白石が初の王者に輝いた。岡本は気管支炎の症状が残っており、呼吸が苦しかったという。
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MTB全日本選手権2023XCC リザルト
男子エリート | ||
1位 | 北林力(TEAM Athlete Farm SPECIALIZED) | 15:48.51 |
2位 | 宮津旭(PAXPROJECT) | +9.44 |
3位 | 竹内遼 | +26.32 |
4位 | 副島達海(大阪産業大学) | +36.30 |
5位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | +54.93 |
6位 | 平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM) | +1:19.58 |
女子エリート | ||
1位 | 川口うらら(TEAM TATSUNO) | 16:13.71 |
2位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +10.08 |
3位 | 石田唯(TRKWorks) | +29.16 |
女子ユース | ||
1位 | 神武奏帆(チーム輪工房) | 19:00.59 |
男子ユース | ||
1位 | 松山海司(Sonic-Racing) | 17:29.01 |
2位 | 垣原弘明(RACING TORQUE) | +6.14 |
3位 | 中仙道侑毅(Dream Seeker Jr. Racing Team) | +48.42 |
男子ジュニア | ||
1位 | 内野友太(Q-SHU UNION CJ UNIT) | +18:12.68 |
男子マスターズ | ||
1位 | 白石真悟(シマノドリンキングXC A) | 14:38.91 |
2位 | 岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) | +23.41 1 |
3位 | 伊藤尚紀(GROVE) | +1:37.05 |
4位 | 羽鳥和重(cycleclub3UP.) | +1:50.33 |
5位 | 塩見学(BBQ Masters) | +2:09.83 |
6位 | 川瀬章史(DESTRA) | +2:16.88 |
text&photo:Makoto AYANO
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