2023/07/03(月) - 08:15
ビッグネームが次々とアタックを仕掛けたツール・ド・フランス第2ステージ。フィニッシュ手前1kmでアーリーアタックを成功させたヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)が、バスクの地でフランスに勝利をもたらした。
バスク2日目のスタート地点であるビトリア・ガステイスは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージの出発地。そして大会2日目は、毎年ツール閉幕の翌週に開催されるクラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)の舞台、サン・セバスティアンに向かう今大会最長距離の209kmで争われた。
標高500m前後の平坦な高台を進み、一度下ってから立て続けに登場する3級&4級山岳から細かいアップダウンがスタート。そしてこの日の勝負所は、残り24.6km地点から始まる2級山岳ハイスキベル(距離8.1km/平均5.3%)。頂上にタイムボーナスが設定された登りはラスト3kmから平均勾配が7.5〜7.8%まで上がるため、”登れる”スプリンターにも厳しいか。
気温28度、湿度は80%を超える日本のような蒸し暑さのなか、昨日の落車でレースを去った2名を除く174名がスタート。初日に総合エースを失ったEFエデュケーション・イージーポストからはニールソン・パウレス(アメリカ)が飛び出し、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)、レミ・カヴァニャ(フランス、スーダル・クイックステップ)と共に3人の逃げグループを形成した。
ボアッソンハーゲンは4度目、カヴァニャは初めてのツール区間優勝を目指し逃げに乗ったのに対し、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るパウレスは山岳ポイント狙い。序盤のスプリントポイントをボアッソンハーゲンが先頭通過し、メイン集団ではスプリンターが入り乱れる熱戦をヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着して4位通過(13ポイント)した。
前日に兄弟対決を制し、マイヨジョーヌを着るアダム・イェーツ(イギリス)を擁するUAEチームエミレーツがメイン集団をコントロール。牽引していたマッテオ・トレンティン(イタリア)が降っては止むを繰り返す雨にタイヤを滑らせ落車するシーンや、「ペースが速すぎる」と仲間に諭されたミッケル・ビョーグ(デンマーク)が憤る場面もありがながら最大5分差のリードを縮めていった。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が早々と遅れたプロトンでは、連続する急坂にファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)などピュアスプリンターたちが脱落。一方で先頭集団からはカヴァニャ、続いてボアッソンハーゲンとプロトンに吸収されたため、パウレスが単独で先頭に立った。
残り36km地点でマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)ら4名が絡む落車が発生し、直後にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がパンク。前回覇者の復帰を待つべくメイン集団はペースを落とし、それによるタイム差を得たパウレスだったが、UAEの高速牽引によって残り19km地点で吸収。このハイペースにはダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)などフランスの有力選手たちが遅れていった。
頂上の通過順に8秒、5秒、2秒のボーナスタイムが与えられる2級山岳ハイスキベル(距離8.1km/平均5.3%)に突入すると、アダム・イェーツがタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のためにペースを作る。頂上まで残り300mを切り飛び出したサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)には、すかさずポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が追従。フィニッシュスプリントと見紛う白熱バトルでヴィンゲゴーを下したポガチャル(-8秒獲得)が、そのまま下りでアタックした。
サイモンが遅れるなか、もちろんヴィンゲゴーはポガチャルをマークする。しかし前日の終盤と同様にヴィンゲゴーはローテーションを拒否したため、後方からワウト・ファンアールト(ベルギー)を含むユンボ・ヴィスマが合流。するとそのカウンターで、下りが得意なペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が仕掛けた。
「先週、この下りで2度試走していた」とプラン通りに飛び出したビルバオだったが、集団にファンアールト含め4名を残すユンボ・ヴィスマが残り5.5km地点でキャッチ。一度緩んだペースに今度はエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、続いてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が仕掛けたものの、ヴィンゲゴーの安全確保とファンアールトのステージ優勝を狙うユンボの隊列を振り切ることはできない。
ワンデーレースのようなアタック合戦にサン・セバスティアンに詰めかけたファンが大歓声を送るなか、デンマーク王者マティアス・スケルモース(リドル・トレック)も加速を試みるもファンアールトが自ら捉える。そしてフラムルージュ(残り1km地点)の手前で、集団後方からヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)が飛び出した。
集団とのギャップを一気に作り出したラフェに対し、ファンアールトの前を牽くウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)のスピードは伸びない。残り600mのコーナーを抜け、最終ストレートに入ってもラフェはリードを維持。残り100m地点からようやくファンアールトがスプリントを開始したものの、時すでに遅し。虚を突くタイミングでアタックを決めたラフェが、大会2日目にしてフランスに勝利をもたらした。
コフィディスとしては2008年のシルヴァン・シャヴァネル(フランス)以来、実に15年振りの勝利。大会初日の登坂でもポガチャルとヴィンゲゴーに追従し、調子の良さを見せていたラフェは「飛び出した瞬間は勝ち負けを考える余裕はなく、最大限の力を出すことだけに集中していた。フィニッシュラインは目視しており、同時に残り500m、400mとカウントダウンする標識も見えていた。だがフィニッシュが近づくにつれ、自分の出力も徐々に落ちているのを感じていた。だから”アレ!アレ!アレ!(頑張れ!)”と自分を鼓舞し、勝利を信じて踏み続けた」と、臨場感たっぷりに勝利を振り返った。
ラフェはフランス・リヨン出身の27歳。コフィディスでプロデビューを果たす直前のフランス国内選手権U23で優勝し、翌年のヨーロッパ選手権ではマルク・ヒルシ(スイス、現UAEチームエミレーツ)に次ぐ2位に入ったクライマーだ。2021年に初出場したジロ・デ・イタリア第8ステージでは逃げ切り勝利を決め、そのときもコフィディスに11年振りとなる勝利をもたらした。
フィニッシュ直後に右手を振り、悔しさを表現したファンアールトが2位に入り、ポガチャルは3位でボーナスタイム4秒を加算(今ステージ合計12秒)。先頭と同タイムの19位でフィニッシュしたアダム・イェーツがマイヨジョーヌを保持した一方で、上位フィニッシュしたスケルモースには斜行による23位への降格処分(トップと同タイムは変わらず)が下されている。
バスク2日目のスタート地点であるビトリア・ガステイスは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージの出発地。そして大会2日目は、毎年ツール閉幕の翌週に開催されるクラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)の舞台、サン・セバスティアンに向かう今大会最長距離の209kmで争われた。
標高500m前後の平坦な高台を進み、一度下ってから立て続けに登場する3級&4級山岳から細かいアップダウンがスタート。そしてこの日の勝負所は、残り24.6km地点から始まる2級山岳ハイスキベル(距離8.1km/平均5.3%)。頂上にタイムボーナスが設定された登りはラスト3kmから平均勾配が7.5〜7.8%まで上がるため、”登れる”スプリンターにも厳しいか。
気温28度、湿度は80%を超える日本のような蒸し暑さのなか、昨日の落車でレースを去った2名を除く174名がスタート。初日に総合エースを失ったEFエデュケーション・イージーポストからはニールソン・パウレス(アメリカ)が飛び出し、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)、レミ・カヴァニャ(フランス、スーダル・クイックステップ)と共に3人の逃げグループを形成した。
ボアッソンハーゲンは4度目、カヴァニャは初めてのツール区間優勝を目指し逃げに乗ったのに対し、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るパウレスは山岳ポイント狙い。序盤のスプリントポイントをボアッソンハーゲンが先頭通過し、メイン集団ではスプリンターが入り乱れる熱戦をヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着して4位通過(13ポイント)した。
前日に兄弟対決を制し、マイヨジョーヌを着るアダム・イェーツ(イギリス)を擁するUAEチームエミレーツがメイン集団をコントロール。牽引していたマッテオ・トレンティン(イタリア)が降っては止むを繰り返す雨にタイヤを滑らせ落車するシーンや、「ペースが速すぎる」と仲間に諭されたミッケル・ビョーグ(デンマーク)が憤る場面もありがながら最大5分差のリードを縮めていった。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が早々と遅れたプロトンでは、連続する急坂にファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)などピュアスプリンターたちが脱落。一方で先頭集団からはカヴァニャ、続いてボアッソンハーゲンとプロトンに吸収されたため、パウレスが単独で先頭に立った。
残り36km地点でマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)ら4名が絡む落車が発生し、直後にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がパンク。前回覇者の復帰を待つべくメイン集団はペースを落とし、それによるタイム差を得たパウレスだったが、UAEの高速牽引によって残り19km地点で吸収。このハイペースにはダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)などフランスの有力選手たちが遅れていった。
頂上の通過順に8秒、5秒、2秒のボーナスタイムが与えられる2級山岳ハイスキベル(距離8.1km/平均5.3%)に突入すると、アダム・イェーツがタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のためにペースを作る。頂上まで残り300mを切り飛び出したサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)には、すかさずポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が追従。フィニッシュスプリントと見紛う白熱バトルでヴィンゲゴーを下したポガチャル(-8秒獲得)が、そのまま下りでアタックした。
サイモンが遅れるなか、もちろんヴィンゲゴーはポガチャルをマークする。しかし前日の終盤と同様にヴィンゲゴーはローテーションを拒否したため、後方からワウト・ファンアールト(ベルギー)を含むユンボ・ヴィスマが合流。するとそのカウンターで、下りが得意なペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が仕掛けた。
「先週、この下りで2度試走していた」とプラン通りに飛び出したビルバオだったが、集団にファンアールト含め4名を残すユンボ・ヴィスマが残り5.5km地点でキャッチ。一度緩んだペースに今度はエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、続いてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が仕掛けたものの、ヴィンゲゴーの安全確保とファンアールトのステージ優勝を狙うユンボの隊列を振り切ることはできない。
ワンデーレースのようなアタック合戦にサン・セバスティアンに詰めかけたファンが大歓声を送るなか、デンマーク王者マティアス・スケルモース(リドル・トレック)も加速を試みるもファンアールトが自ら捉える。そしてフラムルージュ(残り1km地点)の手前で、集団後方からヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)が飛び出した。
集団とのギャップを一気に作り出したラフェに対し、ファンアールトの前を牽くウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)のスピードは伸びない。残り600mのコーナーを抜け、最終ストレートに入ってもラフェはリードを維持。残り100m地点からようやくファンアールトがスプリントを開始したものの、時すでに遅し。虚を突くタイミングでアタックを決めたラフェが、大会2日目にしてフランスに勝利をもたらした。
コフィディスとしては2008年のシルヴァン・シャヴァネル(フランス)以来、実に15年振りの勝利。大会初日の登坂でもポガチャルとヴィンゲゴーに追従し、調子の良さを見せていたラフェは「飛び出した瞬間は勝ち負けを考える余裕はなく、最大限の力を出すことだけに集中していた。フィニッシュラインは目視しており、同時に残り500m、400mとカウントダウンする標識も見えていた。だがフィニッシュが近づくにつれ、自分の出力も徐々に落ちているのを感じていた。だから”アレ!アレ!アレ!(頑張れ!)”と自分を鼓舞し、勝利を信じて踏み続けた」と、臨場感たっぷりに勝利を振り返った。
ラフェはフランス・リヨン出身の27歳。コフィディスでプロデビューを果たす直前のフランス国内選手権U23で優勝し、翌年のヨーロッパ選手権ではマルク・ヒルシ(スイス、現UAEチームエミレーツ)に次ぐ2位に入ったクライマーだ。2021年に初出場したジロ・デ・イタリア第8ステージでは逃げ切り勝利を決め、そのときもコフィディスに11年振りとなる勝利をもたらした。
フィニッシュ直後に右手を振り、悔しさを表現したファンアールトが2位に入り、ポガチャルは3位でボーナスタイム4秒を加算(今ステージ合計12秒)。先頭と同タイムの19位でフィニッシュしたアダム・イェーツがマイヨジョーヌを保持した一方で、上位フィニッシュしたスケルモースには斜行による23位への降格処分(トップと同タイムは変わらず)が下されている。
ツール・ド・フランス2023第2ステージ結果
1位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | 4:46:39 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
5位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ) | |
8位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) | |
9位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー) | |
15位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
16位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | |
18位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | |
19位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 9:09:18 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:06 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | |
4位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | +0:12 |
5位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:16 |
6位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:17 |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +0:22 |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | 65pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 42pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 36pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 11pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 7pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 4pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 9:09:24 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +0:16 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 27:29:00 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +0:42 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos
photo:So Isobe, CorVos
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