白地に赤い水玉模様のマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)と、25歳以下の選手を対象にしたマイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)の行方をプレビュー。2020年第13ステージから白色を着続けるポガチャルの牙城を崩す選手は現れるのか?



赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ

2022年ツールで9日間に渡りマイヨアポワを着用したシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) photo:Makoto AYANO

プロトンの中でも一際目立つマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)は山岳最強クライマーの証。山岳賞が始まったのは1933年だが、特徴的な白地に赤の水玉模様が採用されたのは1975年のことで、ジャージスポンサーは今年もフランスの大手スーパーチェーン「カルフール」が務める。

カテゴリー山岳に到達した順にポイントが加算されその合計点で争われる山岳賞。4級山岳をトップ通過してもわずか1ポイントしか得られないため、1級や超級山岳でいかにポイントを積み重ねるかが重要になってくる。超級山岳フィニッシュでのポイント2倍ルールは昨年より廃止されたものの、今大会は第17ステージの超級ロズ峠(フィニッシュ地点ではない)に限り超級山岳の2倍のポイント(トップ通過には40ポイント)が与えられる。



カテゴリー山岳のポイント配分
超級山岳
 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
1級山岳
 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳
 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
3級山岳
 2pts, 1pt
4級山岳
 1pt



3年連続で総合優勝者が獲得中のマイヨポワ

マイヨアポワはヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の手に渡る photo:Makoto AYANO

2020年、21年は総合優勝したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がマイヨアポワを獲得。そのためレース主催者は2022年に前述したポイント2倍システムが撤廃したものの、変わらず水玉ジャージはマイヨジョーヌと共にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の手に渡った。

総合争いから脱落したオールラウンダーや、その山岳アシストたちが狙いを変えてくることが多いことから予想が難しいこの賞。もちろん逃げに積極的に乗り、区間優勝と共にポイント獲得を狙う選手が上位につけるため、総合をダヴィド・ゴデュに託したティボー・ピノ(共にフランス、グルパマFDJ)は有力視される一人だ。

2016年ツールでマイヨアポワを着用したティボー・ピノ(フランス) photo:Kei Tsuji

その他にも昨年9日間に渡って着用したシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)は今年も出場。もちろん逃げる自由を与えられるかは総合エースのギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)走り次第だが、2024年限りで引退を決めたゲシュケにとって是非とも手に入れたいジャージだろう。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2022年 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2019年 ロマン・バルデ(フランス)
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2015年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2014年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)


1998年1月1日以降の選手が対象のヤングライダー賞

3年連続でマイヨブランを獲得しているタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji

1975年大会より始まったマイヨブラン(ヤングライダー賞)は、総合順位が最も良い25歳以下(今年は誕生日が1998年1月1日以降)の選手に送られる賞。ジャージスポンサーは今年も眼鏡販売会社のクリス社がつく。

もともと将来のマイヨジョーヌ候補たちによる争いだったが、近年は若手の著しい活躍によりヤングライダー賞対象の選手が総合優勝することが増え、2019年のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)から20年、21年はポガチャルがマイヨジョーヌと合わせて受賞している。

なお、ヤングライダーランキング1位の選手がマイヨジョーヌを着用する場合、ヤングライダー賞2位の選手が次点でマイヨブランを着用することになる。

今年もマイヨブラン大本命のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji

2020年ツールの第13ステージ以降、計51ステージに渡りマイヨブラン着用の権利を有しているポガチャル。今大会は初日が丘陵ステージのためその着用日数は更に伸びる可能性が高く、今年4月の左手手首骨折の影響でコンディションは不明だが、マイヨブラン最終年のポガチャルに隙はないだろう。

また前哨戦であるツール・ド・スイスで総合優勝を挙げ、直前のデンマーク選手権でもロード王者に輝いたマティアス・スケルモース(リドル・トレック)は22歳。チームの総合エースはジュリオ・チッコーネ(イタリア)であるものの、初めてのツールで総合上位を目指す。

ツール・ド・スイス覇者マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)も注目の存在 photo:So Isobe

クリテリウム・デュ・ドーフィネで新人賞に輝いたカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)やツール・ド・ロマンディで総合2位のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)にも注目。更に2021年のツール・ド・ラブニール総合優勝者、トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)の走りも期待される。
歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2022年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合2位
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2019年 エガン・ベルナル(コロンビア) 総合1位
2018年 ピエール・ラトゥール(フランス) 総合13位
2017年 サイモン・イェーツ(イギリス) 総合7位
2016年 アダム・イェーツ(イギリス) 総合4位
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス) 総合3位
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
text:Sotaro.Arakawa

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