2023/06/19(月) - 08:45
ツール・ド・スイスを締めくくる25.7km個人タイムトライアルで、フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が圧巻の走りを披露。エヴェネプールを下して区間2勝目を挙げ、総合優勝はマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が手に入れた。
予定通りザンクト・ガレンとアプトヴィルを結ぶコースで行われたツール・ド・スイス第8ステージ。25.7kmの個人タイムトライアルは前半の平坦路を進み、フィニッシュ手前7.1kmからオーベルワルトシュトラッセ(距離1.6km/平均8.2%)を駆け上がる。
リーダージャージを着るマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)と総合2位フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)とのタイム差はわずか8秒。また3位フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)と18秒、前日勝者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とも46秒差と、総合がシャッフルされる可能性を残すなか110名がスタートを切った。
序盤スタート組でまず好タイムを出したのはネオプロ(プロ1年目)のサムエル・ワトソン(イギリス、グルパマFDJ)。しかし、すぐさまセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク)がそれを更新し、同じデンマークのカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ)が33分1秒という暫定トップをマーク。約1時間に渡りホットシートに座り続けた。
全体の64番目でヨーロッパTT王者であるシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)がスタート。欧州王者ジャージを着用以来、TTでの勝利がないビッセガーは2つの中間計測地点をトップタイムで通過し、この時点で唯一平均スピードを47km/hに乗せ暫定トップに躍り出る。このタイムにはワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)も5秒届かず、ファンアールトはポイント賞ジャージこそ獲得したものの初出場のツール・ド・スイスを未勝利で終えることになった。
そしていよいよ総合上位勢がスタート。総合4位のエヴェネプールが第1中間計測(10.7km)と第2中間計測(20.2km)を連続でトップタイムを更新したものの、直後にスタートしたアユソが得意な登りで飛ばし、第2中間計測で5.62秒上回る。総合3位ガルはスピードに乗れないなか、リーダージャージを着るスケルモースは第1中間計測をエヴェネプールから24秒遅れと総合首位キープに黄色信号が灯った。
オーベルワルトシュトラッセの頂上を越えたエヴェネプールは下りも難なくこなし、ビッセガーを15秒上回る32分33秒でフィニッシュ。だがエヴェネプールよりも3つ年下の20歳であるアユソが直後に8秒更新し、第5ステージに続く区間2勝目を手に入れた。
4月に同じスイスで行われたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)でも個人TTの勝利を挙げているアユソ。「今年2度目の個人TTの勝利は嬉しく、またタイムトライアル向上を実感できたことも嬉しい。この優勝はジーノ(メーダー)に捧ぐ。ここにいる選手全員が彼を思ってベストを尽くし、彼という選手がいた記憶に敬意を表している」と、アユソは語っている。
そしてアユソが「わずかな差で総合優勝ができず、とても悔しい」と語るように、総合優勝はスケルモースの手に。前半を抑えめに入ったスケルモースは尻上がりに調子を上げ、脅威の登坂スピードを披露してエヴェネプールに1秒差まで迫る32秒32秒でフィニッシュ。総合2位のアユソを、わずか9秒差で退けた。
「最初は注意深く入り、登りで全力を出すのが計画だった。頂上がフィニッシュラインだと思って踏み込んだ。作戦が大成功したよ。今大会は感情がジェットコースターのように感情が乱高下した。ヴィラール・スル・オロン(第3ステージ)の勝利からジーノの死去。個人的に彼のことは知らないが、皆が彼の人間的な素晴らしさを語っている」とスケルモースはコメントした。
また出場予定のツール・ド・フランスについては「総合上位を目指す。自分にとっては未知の領域ではあるものの、大会への敬意を持ちながらノープレッシャーで心置きなく挑戦したい」と意気込んだ。
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)の死去という痛ましい出来事のあった2023年のツール・ド・スイス。総合優勝したスケルモースが22歳、2位のアユソが20歳、3位のエヴェネプールが23歳と、将来のプロトンを代表するであろう若手選手たちが躍動した大会となった。
予定通りザンクト・ガレンとアプトヴィルを結ぶコースで行われたツール・ド・スイス第8ステージ。25.7kmの個人タイムトライアルは前半の平坦路を進み、フィニッシュ手前7.1kmからオーベルワルトシュトラッセ(距離1.6km/平均8.2%)を駆け上がる。
リーダージャージを着るマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)と総合2位フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)とのタイム差はわずか8秒。また3位フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)と18秒、前日勝者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とも46秒差と、総合がシャッフルされる可能性を残すなか110名がスタートを切った。
序盤スタート組でまず好タイムを出したのはネオプロ(プロ1年目)のサムエル・ワトソン(イギリス、グルパマFDJ)。しかし、すぐさまセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク)がそれを更新し、同じデンマークのカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ)が33分1秒という暫定トップをマーク。約1時間に渡りホットシートに座り続けた。
全体の64番目でヨーロッパTT王者であるシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)がスタート。欧州王者ジャージを着用以来、TTでの勝利がないビッセガーは2つの中間計測地点をトップタイムで通過し、この時点で唯一平均スピードを47km/hに乗せ暫定トップに躍り出る。このタイムにはワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)も5秒届かず、ファンアールトはポイント賞ジャージこそ獲得したものの初出場のツール・ド・スイスを未勝利で終えることになった。
そしていよいよ総合上位勢がスタート。総合4位のエヴェネプールが第1中間計測(10.7km)と第2中間計測(20.2km)を連続でトップタイムを更新したものの、直後にスタートしたアユソが得意な登りで飛ばし、第2中間計測で5.62秒上回る。総合3位ガルはスピードに乗れないなか、リーダージャージを着るスケルモースは第1中間計測をエヴェネプールから24秒遅れと総合首位キープに黄色信号が灯った。
オーベルワルトシュトラッセの頂上を越えたエヴェネプールは下りも難なくこなし、ビッセガーを15秒上回る32分33秒でフィニッシュ。だがエヴェネプールよりも3つ年下の20歳であるアユソが直後に8秒更新し、第5ステージに続く区間2勝目を手に入れた。
4月に同じスイスで行われたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)でも個人TTの勝利を挙げているアユソ。「今年2度目の個人TTの勝利は嬉しく、またタイムトライアル向上を実感できたことも嬉しい。この優勝はジーノ(メーダー)に捧ぐ。ここにいる選手全員が彼を思ってベストを尽くし、彼という選手がいた記憶に敬意を表している」と、アユソは語っている。
そしてアユソが「わずかな差で総合優勝ができず、とても悔しい」と語るように、総合優勝はスケルモースの手に。前半を抑えめに入ったスケルモースは尻上がりに調子を上げ、脅威の登坂スピードを披露してエヴェネプールに1秒差まで迫る32秒32秒でフィニッシュ。総合2位のアユソを、わずか9秒差で退けた。
「最初は注意深く入り、登りで全力を出すのが計画だった。頂上がフィニッシュラインだと思って踏み込んだ。作戦が大成功したよ。今大会は感情がジェットコースターのように感情が乱高下した。ヴィラール・スル・オロン(第3ステージ)の勝利からジーノの死去。個人的に彼のことは知らないが、皆が彼の人間的な素晴らしさを語っている」とスケルモースはコメントした。
また出場予定のツール・ド・フランスについては「総合上位を目指す。自分にとっては未知の領域ではあるものの、大会への敬意を持ちながらノープレッシャーで心置きなく挑戦したい」と意気込んだ。
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)の死去という痛ましい出来事のあった2023年のツール・ド・スイス。総合優勝したスケルモースが22歳、2位のアユソが20歳、3位のエヴェネプールが23歳と、将来のプロトンを代表するであろう若手選手たちが躍動した大会となった。
ツール・ド・スイス2023第8ステージ結果
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 32:25 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:08 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | + 0:09 |
4位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) | + 0:23 |
5位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | + 0:28 |
6位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、スーダル・クイックステップ) | + 0:36 |
7位 | マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | + 0:39 |
8位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | + 0:40 |
9位 | フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) | + 0:42 |
10位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | + 0:46 |
個人総合成績
1位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | 21:17:19 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 0:09 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 0:45 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 2:09 |
5位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 2:41 |
6位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 2:47 |
7位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:04 |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | 3:25 |
9位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) | |
10位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン) |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー) |
ヤングライダー賞 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) |
チーム総合成績 | AG2Rシトロエン |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp