開催中の男子と同時期にツール・ド・スイス・ウィメンが開幕。初日の先鋭集団による集団スプリントで、フォレリングのリードアウトからカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)がワールドツアー初勝利を飾った。



ジュリエット・ラブー(フランス)で総合を狙うチームDSM photo:CorVos

男子ツール・ド・スイスの第7ステージと同日、今年からUCIワールドツアーに昇格した女子レースが開幕した。2001年に一度行われたものの、2021年から本格開催された本大会は全4日間のステージレース。男子がツール・ド・フランスの前哨戦と呼ばれる一方で、女子はジロ・デ・イタリア・ドンネ(6月30日〜)、ツール・ド・フランス・ファム(7月23日〜)に向けた調整レースという意味合いが強い。

コースはスイスの丘陵地帯を舞台としたステージが主で、第2ステージにはコース後半に距離2km/平均7.7%の登りが設定された個人タイムトライアルが待ち受ける。そして総合争いのクライマックスとなるのは1級と3つの2級山岳を越えれる大会最終日だ。

初日のスタート地点であるヴァインフェルデンには前回大会の総合優勝者であるルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)がエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)と共に顔を揃え、今季22戦11勝と勝率5割を誇るデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)も出場。勾配の厳しいレイアウトが続くためトップスプリンターではなく、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM)などステージレースでお馴染みのオールラウンダーたちが集った。

序盤から残り3km地点まで一人逃げを試みたエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) photo:Canyon//SRAM Racing

男子レースで前日命を落としたジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)を悼み、多くの選手が喪章を袖にスタートを切る。そして3級山岳を含む大周回を2周する57kmレースは、地元出身のエリーズ・シャベイ(キャニオン・スラム)のアタックで幕を開けた。

シャベイはSDワークスが牽引するメイン集団に対し1分のリードを稼ぎ出し、最終周回(残り19.9km)に突入。ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)らによる強烈な牽引によってタイム差は徐々に縮小し、同時にプロトンを30名程度に減らした。

残り3kmでシャベイは捉えられ、勝負は集団スプリントへ。地元スイス出身のマーレン・ローセル(SDワークス)のリードアウトから放たれたハンガリー王者のカタブランカ・ヴァシュ(SDワークス)が、アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)を抑えて初日勝者に輝いた。

ローセルのリードアウトからスプリントを開始したカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) photo:CorVos

初日スプリントを制したカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) photo:CorVos

「この勝利が信じられない。マーレン(ローセル)とデミ(フォレリング)が手を貸してくれたおかげ。彼女たち無しでこの勝利はなかった。計画通りだった」と、ワールドツアー初勝利を飾った21歳のヴァシュは喜んだ。

ワールドツアー初勝利を飾ったカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) photo:CorVos

リーダージャージに袖を通したカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) photo:CorVos
ツール・ド・スイス・ウィメン2023第1ステージ結果
1位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) 1:24:09
2位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)
3位 エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ)
4位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)
5位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) 1:23:59
2位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター) +0:04
3位 エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ) 0:06
4位 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス) +0:08
5位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) +0:09
その他の特別賞
ポイント賞 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
ヤングライダー賞 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)
チーム総合成績 SDワークス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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