グルパマFDJを指揮するマルク・マディオ監督がツール・ド・フランスに出場する5名の選手を発表。今年引退するティボー・ピノ(フランス)が入った一方で、直前で落選を知らされたアルノー・デマール(フランス)は怒りと困惑を口にしている。



ツールメンバーから落選したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

昨年のジロ・デ・イタリアで区間3勝を挙げ、マリアチクラミーノ(ポイント賞)を獲得したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が、7月1日に開幕するツール・ド・フランスの出場メンバーから落選したことが分かった。その理由をマルク・マディオ監督は「山岳ステージに注力し、ダヴィド・ゴデュの総合上位を目指すため」と答え、更に「この決断に私は感情的になったものの、少しでも結果を残すことのできるチームを組まなければならなかった」と語っている。

デマールは2011年にプロデビューして以来、FDJ一筋で13年。その間通算93勝を積み重ね、ツールでは区間2勝など名だたるレースで成績を残してきた。出場中のツール・ド・スイスで落選を知らされたデマールは、「怒りと失望の中にいる。ツールに出場しないのであれば前年の12月に知らされるのが通例。だが僕は(直前まで)ツールのメンバーに入っており、妻は休息日に会うためにホテルを予約してぐらいだ」とコメントしている。

5月のジロでマリアアッズーラに輝いたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

マディオ監督が明らかにしたツール出場メンバーは、総合エースであるダヴィド・ゴデュ(フランス)を中心にヴァランタン・マドゥアス(フランス)とケヴィン・ゲニエッツ(ルクセンブルク)、ティボー・ピノ(フランス)らクライマーと、平地での牽引が得意なシュテファン・キュング(スイス)の5名。特に現役最終年のピノは5月のジロに出場して山岳賞を獲得するなど活躍を見せた、マディオ監督が14年に渡り指導する直弟子だ。

グルパマのチーム内では今年1月にゴデュが「ツールに(デマール)は選ばれてほしくない」というコメントを動画配信サービスで書き込み、直後に本人が謝罪するなど不和が明らかとなった。更にチームは今年限りで満了するデマールとの契約を更新しない方針で、それもデマール落選に影響したと見られている。

「せめてチームには(契約延長する)選択肢を与えてほしかった。だが昨年のリードアウト解体は(僕を放出する)兆候だったんだ。チームのスプリント勝利への熱意が薄れていたことは明らかだったが、僕はチームの土台を作り上げた選手の1人。僕たちが共に多くの思い出を作ってきたと思っているし、それは僕の人生でもあった。そんな12年間をこんな形で一掃されてしまうなんて」とその心情を語っている。

text:Sotaro.Arakawa

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