2023/06/20(火) - 10:10
第19回Mt.富士ヒルクライムの主催者選抜クラス男女子上位トップスリーのバイクをコメントと共に紹介する。日本一の山、富士山を最速で駆け上がったマシンと、詰め込まれた工夫に注目。
佐野歩(Infinity Style)ヨネックス CARBONEX
昨年は富士山と乗鞍を共に制し、今年も富士山を制して2連覇。日本を代表するヒルクライムレースでの2年連続両制覇まであと一歩に迫ったた佐野歩(Infinity Style)。3位に入った三島雅世(Cycling-gym)のペースアップにも動じず、最終区間でペースを作った手塚悦子(IMEレーシング)らを置き去りにして、狙い澄ましたアタックで優勝。同じチームであり、師と仰ぐ兼松大和さんに対して「3週間くらい前から練習に付き合ってもらい、ピークを合わせるよう調整してもらいました。兼松さん無しでは今日の勝ちはありませんでした」と感謝の気持ちを綴る。
2連覇を支えたのはヨネックスのCARBONEXだ。アンカーRL8からのスイッチだが、「軽さで選んだフレームです。硬いのでケイデンスが高い私の走り方に合っているし、勾配が上がるほど有利だと感じます」と印象を話す。兼松さんから受け継いだライトウェイトホイールを継続使用するためにリムブレーキモデルを選んだ、とも。
スラムのRED eTapにカーボンドライジャパンのビッグプーリー、Mcfkのサドルとシートポストなど、アンカーから多数のパーツを引き継いでいるが、ブレーキキャリパーはKCNCへ、クランクはULTEGRAからDURA-ACEへと機材的進化も果たしている。細部までこだわったセッティングによって、車重は5.7kgほどと軽い。「バイクが軽いからこそレースを有利に展開できたと思います」と加える。
次なる目標は、やはり乗鞍の2連覇。「富士ヒルと乗鞍の2年連続2連覇を目指したい」と話してくれた。
手塚悦子(IMEレーシング) トレック EMONDA SL7
「レース前は最後まで残れるか不安だったので、それからすれば上出来でした。でも、ここまで走れたら2位は悔しいかな...(笑)。今年の目標は全日本ロードレースのマスターズなので、そこでリベンジするしかないですね」と言うのは、銀メダルを受け取った手塚悦子(IMEレーシング)。榛名山ヒルクライムで2位、富士ヒルでも2位。全日本ロードで狙うのはもちろん手が届いていない金メダルだ。
「自分からレースを動かしたいと思っていました。最後のあたりでペースを上げたつもりだったんですが、佐野さんを千切ることはできなかった。もっとパンチ力があれば一発逆転で逃げ切れるかなと思ったんですが。反省点ですね。乗鞍は出ないつもりなので、また来年ヒルクライムにチャレンジできればまた考えます(笑)」。
そんな彼女が駆るバイクはトレックのEMONDA SL7だ。昨年購入したものと言い、ノーマルギアのULTEGRA DI2とロヴァールのRAPIDE CLXホイール、さらにワイドタイヤという組み合わせで8kgほどだが、重さのハンデを覆すさすがの走り。「リムブレーキのバイクで走ることも考えたんですが、下山が苦手ですし、普段乗ってるこのバイクでどこまで戦えるかを試してみたかった」とも。
三島雅世(Cycling-gym) リブ ENVIE
トライアスロンを出自に持ち、昨年の乗鞍は初めてのヒルクライム大会にも関わらず1時間09分46秒というタイムで2位。この富士ヒルでも最後まで先頭集団に残った新星が三島雅世(Cycling-gym)。FTXを自認し、LGBTQの学校講演も行う三島は、社会人として働きながらヒルクライムという新しい世界に没頭しているという。
「優勝を狙っていたので3位はめっちゃ悔しい気持ちになるかな、と思っていたんですが、実際レースを振り返るとすごく楽しかった。嬉しい悔しいよりもその気持ちの方が大きいですね。坂を登りながらローテーションしたり、すごく一体感あるレースができた」とレースを振り返る。
バイクはトライアスロンで使っていたリブのENVIEだが、昨年からはペダルやクランク、ホイールを刷新。しかし優勝を目指す乗鞍に向けて軽さを重視したボーマに乗り換えるという。
「去年決めた目標が"今年の自分を上回ること"。だから次の乗鞍では1位を獲るしかありません。自分への戒めとしても言い続けることが大事だなって思うんです。私はまだヒルクライム歴も浅いし、身体が適応するまではもう少し時間がかかるかなと。でも今日みたいに、集団でレースを戦う経験を重ねて、自分の勝ちパターンを探していきたい」。
text:So Isobe
佐野歩(Infinity Style)ヨネックス CARBONEX
昨年は富士山と乗鞍を共に制し、今年も富士山を制して2連覇。日本を代表するヒルクライムレースでの2年連続両制覇まであと一歩に迫ったた佐野歩(Infinity Style)。3位に入った三島雅世(Cycling-gym)のペースアップにも動じず、最終区間でペースを作った手塚悦子(IMEレーシング)らを置き去りにして、狙い澄ましたアタックで優勝。同じチームであり、師と仰ぐ兼松大和さんに対して「3週間くらい前から練習に付き合ってもらい、ピークを合わせるよう調整してもらいました。兼松さん無しでは今日の勝ちはありませんでした」と感謝の気持ちを綴る。
2連覇を支えたのはヨネックスのCARBONEXだ。アンカーRL8からのスイッチだが、「軽さで選んだフレームです。硬いのでケイデンスが高い私の走り方に合っているし、勾配が上がるほど有利だと感じます」と印象を話す。兼松さんから受け継いだライトウェイトホイールを継続使用するためにリムブレーキモデルを選んだ、とも。
スラムのRED eTapにカーボンドライジャパンのビッグプーリー、Mcfkのサドルとシートポストなど、アンカーから多数のパーツを引き継いでいるが、ブレーキキャリパーはKCNCへ、クランクはULTEGRAからDURA-ACEへと機材的進化も果たしている。細部までこだわったセッティングによって、車重は5.7kgほどと軽い。「バイクが軽いからこそレースを有利に展開できたと思います」と加える。
次なる目標は、やはり乗鞍の2連覇。「富士ヒルと乗鞍の2年連続2連覇を目指したい」と話してくれた。
手塚悦子(IMEレーシング) トレック EMONDA SL7
「レース前は最後まで残れるか不安だったので、それからすれば上出来でした。でも、ここまで走れたら2位は悔しいかな...(笑)。今年の目標は全日本ロードレースのマスターズなので、そこでリベンジするしかないですね」と言うのは、銀メダルを受け取った手塚悦子(IMEレーシング)。榛名山ヒルクライムで2位、富士ヒルでも2位。全日本ロードで狙うのはもちろん手が届いていない金メダルだ。
「自分からレースを動かしたいと思っていました。最後のあたりでペースを上げたつもりだったんですが、佐野さんを千切ることはできなかった。もっとパンチ力があれば一発逆転で逃げ切れるかなと思ったんですが。反省点ですね。乗鞍は出ないつもりなので、また来年ヒルクライムにチャレンジできればまた考えます(笑)」。
そんな彼女が駆るバイクはトレックのEMONDA SL7だ。昨年購入したものと言い、ノーマルギアのULTEGRA DI2とロヴァールのRAPIDE CLXホイール、さらにワイドタイヤという組み合わせで8kgほどだが、重さのハンデを覆すさすがの走り。「リムブレーキのバイクで走ることも考えたんですが、下山が苦手ですし、普段乗ってるこのバイクでどこまで戦えるかを試してみたかった」とも。
三島雅世(Cycling-gym) リブ ENVIE
トライアスロンを出自に持ち、昨年の乗鞍は初めてのヒルクライム大会にも関わらず1時間09分46秒というタイムで2位。この富士ヒルでも最後まで先頭集団に残った新星が三島雅世(Cycling-gym)。FTXを自認し、LGBTQの学校講演も行う三島は、社会人として働きながらヒルクライムという新しい世界に没頭しているという。
「優勝を狙っていたので3位はめっちゃ悔しい気持ちになるかな、と思っていたんですが、実際レースを振り返るとすごく楽しかった。嬉しい悔しいよりもその気持ちの方が大きいですね。坂を登りながらローテーションしたり、すごく一体感あるレースができた」とレースを振り返る。
バイクはトライアスロンで使っていたリブのENVIEだが、昨年からはペダルやクランク、ホイールを刷新。しかし優勝を目指す乗鞍に向けて軽さを重視したボーマに乗り換えるという。
「去年決めた目標が"今年の自分を上回ること"。だから次の乗鞍では1位を獲るしかありません。自分への戒めとしても言い続けることが大事だなって思うんです。私はまだヒルクライム歴も浅いし、身体が適応するまではもう少し時間がかかるかなと。でも今日みたいに、集団でレースを戦う経験を重ねて、自分の勝ちパターンを探していきたい」。
text:So Isobe
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