2023/06/01(木) - 18:36
日本最大のステージレース、ツアー・オブ・ジャパンを走ったバイクをゼッケン順に紹介していくシリーズ第2弾。トリニティ、ブリッツェン、ソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ、そしてEFエデュケーション・NIPPOのバイクを掘り下げて紹介します。
トリニティレーシング スペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7
ルーク・ランパーティ(アメリカ)がステージ3勝とポイント賞獲得、リアム・ジョンストン(オーストラリア)が新人賞を受賞するなど、ツアー・オブ・ジャパンに大きな爪痕を残したトリニティレーシング。大手アスリート・マネジメント会社であるトリニティ・スポーツ・マネジメントが所有し、ピーター・ケノーなど元プロ選手が指導する世界最高峰の若手育成チームだ。
ロードレースはもちろん、MTBやシクロクロス、さらにグラベルレースまで幅広く活動するチームがパートナーシップ先に選んだのがスペシャライズド。バイクはもとよりウェアやヘルメット、シューズをカバーし、2023年はホイールもジップからロヴァールへとスイッチされている。
チーム仕様のS-WORKS TARMAC SL7はブラックxブルーのマーブル模様にペイントされ、0セットバックのシートポストはピンク(ジョセフ・ピドコックのセットバックポストはブラック)、さらにトップチューブにはチームモットーである「Calm From Chaos」をドロップ。コンポーネントはスラムのセカンドグレードであるFORCE eTap AXSだが、チェーンリングだけはパワーメーター付きのREDで、スプリンターのランパーティは54/41Tというビッグリング(トップギア比は5.4)を使用していた。
ホイールはロヴァールのRapide CLX IIを基本に富士山ステージではAlpinist CLX IIも併用。タイヤは昨年モデルチェンジを経たS-WORKS Turbo RapidAir 2BRだが、旧型タイヤも引き続き運用されていた。そのほか、コックピットはTARMACのオリジナル、ペダルはスピードプレイ、コンピュータはワフー。
宇都宮ブリッツェン メリダ SCULTURA
設立15周年を迎え、大幅な選手入れ替え、さらにチーム初となる海外選手を加えるなど変革の年を過ごす宇都宮ブリッツェン。ステージ優勝には手が届かなかったものの、最終日の東京ステージでは小野寺玲が3位に入り存在感をアピールした。
チームは引き続きメリダのサポートを受け、コースに関係なく軽量オールラウンドモデルのSCULTURAをメインユース。シマノのスポンサードを受けるため、コンポーネントはDURA-ACE R9270 DI2、ホイールもDURA-ACE各モデルで統一。昨年までイーストンを使っていたハンドル周りもPROにスイッチしている(小野寺は新型ステム一体ハンドルVIBE EVO CARBON)。
写真は最終日の小野寺のバイクで、60mmではなく50mmハイトのDURA-ACE C50ホイールに、長年パートナーシップを組むパナレーサーのAGILEST(クリンチャー)をセット。クリンチャーはプロトン内でも少数派(他はiRC、海外チームなど)で、25Cは最も細い。
サドルはプロロゴのDimension 143。コンピュータはワフー。シートステーに貼られていた「オノデライダー」シールは、本人がデザインして発注したもの、とのこと。
ソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ フォーカス IZALCO MAX DISC
イタリア勢を中心に、東欧やアジア、アメリカ人選手が所属するルーマニア籍のコンチネンタルチームがソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ。かつて小林海(現マトリックス・パワータグ)が所属していたチームには、現在ユーラシアを卒業後、ヨーロッパチームを渡り歩く鳴海颯が所属。その凱旋レースとなったことでも注目を集めた若手育成チームだ。
チームはフォーカスのサポートを受け、IZALCO MAX DISCをメインユース(写真は最終日に7位に入ったバトハン・オズグフのバイク)。ただし十分な量が供給されていないのか、旧型のIZALCO RACE(リムブレーキ)や、他メーカーのバイクにフォーカスロゴを貼り付けたものも混在。コンポーネントもDURA-ACEやULTEGRA、サードパーティーのチェーンリング、12速と11速、ディスクブレーキのローターも140mmと160mmが入り乱れるなど機材のやりくりに苦労する様子が見てとれる。
基本的にホイールはウルサスで揃え、タイヤはヴィットリア。CORSA N.EXTを中心にRUBINO PROなど他のグレードも混用されていた。サドルはSMPのVT20Cが基本。
EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム キャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD
UCIワールドチーム「EFエデュケーション・イージーポスト」直下型の若手育成チームであるEFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム。今年は日本人4名、スイス人2名という布陣でツアー・オブ・ジャパンに臨み、フェリックス・スティリが2度ステージトップ10に食い込んでいる。
写真のゼッケン74はシクロクロスの全日本王者である織田聖のキャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD。チームは今年3月1日のデビュー以前から新型EVOを乗り込んでおり、日本国内で発売されないシルバーxブラックのカラーに乗る。トップチューブに浮き出るマーブルのカーボン地肌も印象的だ。
シマノのR8170 ULTEGRA DI2コンポーネントを使い、FSAのSL-Kクランクセットやボトムブラケット、ワフーのパワーメーター付きペダル「SPEEDPLAY POWRLINK ZERO」を組み合わせて運用する。通じてコンピュータもワフーのELEMNT BOLT GPSだ。
コックピットやホイールもFSA/ヴィジョン製品で統一され、ホイールはMETRON 55もしくは30のSL DISCをチューブレス運用し、iRCのFORMULA PRO HL TLR S-LIGHTを組み合わせる。タイヤ幅は28Cが基本だ。
なお西勉メカニックによれば、DI2バッテリーをボトムブラケット下部の穴から脱着するシステムが非常に調子が良いとのこと。
text&photo:So Isobe
トリニティレーシング スペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7
ルーク・ランパーティ(アメリカ)がステージ3勝とポイント賞獲得、リアム・ジョンストン(オーストラリア)が新人賞を受賞するなど、ツアー・オブ・ジャパンに大きな爪痕を残したトリニティレーシング。大手アスリート・マネジメント会社であるトリニティ・スポーツ・マネジメントが所有し、ピーター・ケノーなど元プロ選手が指導する世界最高峰の若手育成チームだ。
ロードレースはもちろん、MTBやシクロクロス、さらにグラベルレースまで幅広く活動するチームがパートナーシップ先に選んだのがスペシャライズド。バイクはもとよりウェアやヘルメット、シューズをカバーし、2023年はホイールもジップからロヴァールへとスイッチされている。
チーム仕様のS-WORKS TARMAC SL7はブラックxブルーのマーブル模様にペイントされ、0セットバックのシートポストはピンク(ジョセフ・ピドコックのセットバックポストはブラック)、さらにトップチューブにはチームモットーである「Calm From Chaos」をドロップ。コンポーネントはスラムのセカンドグレードであるFORCE eTap AXSだが、チェーンリングだけはパワーメーター付きのREDで、スプリンターのランパーティは54/41Tというビッグリング(トップギア比は5.4)を使用していた。
ホイールはロヴァールのRapide CLX IIを基本に富士山ステージではAlpinist CLX IIも併用。タイヤは昨年モデルチェンジを経たS-WORKS Turbo RapidAir 2BRだが、旧型タイヤも引き続き運用されていた。そのほか、コックピットはTARMACのオリジナル、ペダルはスピードプレイ、コンピュータはワフー。
宇都宮ブリッツェン メリダ SCULTURA
設立15周年を迎え、大幅な選手入れ替え、さらにチーム初となる海外選手を加えるなど変革の年を過ごす宇都宮ブリッツェン。ステージ優勝には手が届かなかったものの、最終日の東京ステージでは小野寺玲が3位に入り存在感をアピールした。
チームは引き続きメリダのサポートを受け、コースに関係なく軽量オールラウンドモデルのSCULTURAをメインユース。シマノのスポンサードを受けるため、コンポーネントはDURA-ACE R9270 DI2、ホイールもDURA-ACE各モデルで統一。昨年までイーストンを使っていたハンドル周りもPROにスイッチしている(小野寺は新型ステム一体ハンドルVIBE EVO CARBON)。
写真は最終日の小野寺のバイクで、60mmではなく50mmハイトのDURA-ACE C50ホイールに、長年パートナーシップを組むパナレーサーのAGILEST(クリンチャー)をセット。クリンチャーはプロトン内でも少数派(他はiRC、海外チームなど)で、25Cは最も細い。
サドルはプロロゴのDimension 143。コンピュータはワフー。シートステーに貼られていた「オノデライダー」シールは、本人がデザインして発注したもの、とのこと。
ソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ フォーカス IZALCO MAX DISC
イタリア勢を中心に、東欧やアジア、アメリカ人選手が所属するルーマニア籍のコンチネンタルチームがソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ。かつて小林海(現マトリックス・パワータグ)が所属していたチームには、現在ユーラシアを卒業後、ヨーロッパチームを渡り歩く鳴海颯が所属。その凱旋レースとなったことでも注目を集めた若手育成チームだ。
チームはフォーカスのサポートを受け、IZALCO MAX DISCをメインユース(写真は最終日に7位に入ったバトハン・オズグフのバイク)。ただし十分な量が供給されていないのか、旧型のIZALCO RACE(リムブレーキ)や、他メーカーのバイクにフォーカスロゴを貼り付けたものも混在。コンポーネントもDURA-ACEやULTEGRA、サードパーティーのチェーンリング、12速と11速、ディスクブレーキのローターも140mmと160mmが入り乱れるなど機材のやりくりに苦労する様子が見てとれる。
基本的にホイールはウルサスで揃え、タイヤはヴィットリア。CORSA N.EXTを中心にRUBINO PROなど他のグレードも混用されていた。サドルはSMPのVT20Cが基本。
EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム キャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD
UCIワールドチーム「EFエデュケーション・イージーポスト」直下型の若手育成チームであるEFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム。今年は日本人4名、スイス人2名という布陣でツアー・オブ・ジャパンに臨み、フェリックス・スティリが2度ステージトップ10に食い込んでいる。
写真のゼッケン74はシクロクロスの全日本王者である織田聖のキャノンデール SuperSix EVO Hi-MOD。チームは今年3月1日のデビュー以前から新型EVOを乗り込んでおり、日本国内で発売されないシルバーxブラックのカラーに乗る。トップチューブに浮き出るマーブルのカーボン地肌も印象的だ。
シマノのR8170 ULTEGRA DI2コンポーネントを使い、FSAのSL-Kクランクセットやボトムブラケット、ワフーのパワーメーター付きペダル「SPEEDPLAY POWRLINK ZERO」を組み合わせて運用する。通じてコンピュータもワフーのELEMNT BOLT GPSだ。
コックピットやホイールもFSA/ヴィジョン製品で統一され、ホイールはMETRON 55もしくは30のSL DISCをチューブレス運用し、iRCのFORMULA PRO HL TLR S-LIGHTを組み合わせる。タイヤ幅は28Cが基本だ。
なお西勉メカニックによれば、DI2バッテリーをボトムブラケット下部の穴から脱着するシステムが非常に調子が良いとのこと。
text&photo:So Isobe
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