ツアー・オブ・ジャパン美濃ステージは、序盤に形成された先行集団を最終周回に吸収してのスプリント勝負となり、リーダージャージのルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)が窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)を僅差で下して優勝した。山岳賞は兒島直樹が維持した。



4年ぶりに「うだつの上がる街並み」に戻ってきたツアー・オブ・ジャパン photo:Satoru Kato

ラフな服装でスタート地点に現れたルーク・ランパーティー(トリニティレーシング) photo:Satoru Kato
「裏ツアー・オブ・ジャパン」を走る橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が記念撮影に応じる photo:Satoru Kato


ツアー・オブ・ジャパン第4ステージは、岐阜県美濃市でのレース。長良川沿いに走る1周21.1kmの周回コースは、2級山岳の設定があるものの、全体的に平坦基調な設定だ。新しいトンネルが完成したことにより山岳賞ポイント周辺の道路がつけ変わったため、高低差と周回の距離が若干少なくなった。美濃ステージは集団スプリントで決着することで知られるが、この変更でよりスプリンターズステージとしての性格が強まったと言えようか。

うだつの上がる街並みから4年ぶりのスタート photo:Satoru Kato

長良川沿いを行く5名の先頭集団 photo:Satoru Kato

4年ぶりに「うだつの上がる街並み」をパレードスタート。周回コースに入ってリアルスタートが切られると、アタック合戦から4名が抜け出す。メンバーは、阿部嵩之(宇都宮ブリッツエン)、ロレンツォ・ディカミッロ(ソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ)、中井唯晶(シマノレーシング)、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)。山岳賞ジャージの兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が遅れて合流して窪木と入れ替わり、さらにメトケル・イヨブ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)が追いついて5名の先頭集団が形成される。

朝から快晴の美濃市で第4ステージ photo:Satoru Kato

新たに建設されたトンネルの出口に山岳賞ポイントが設定される photo:Satoru Kato

メイン集団はリーダージャージ擁するトリニティレーシングを先頭に整列。先頭集団との差は、3周目に4分30秒以上まで開く。

山岳賞ジャージの兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が中井唯晶(シマノレーシング)と山岳賞を競り合う photo:Satoru Kato

終盤、メイン集団は各チームが協調してペースアップ photo:Satoru Kato

2周目と4周目に設定された山岳賞は、中井と競り合った兒島が2回共に1位通過。これで兒島は山岳賞争いで一歩抜け出た。一方、後半に入るとメイン集団がペースアップ。前半は30分台まで落ちていたラップタイムを一気に27分台に入れて、先行する5名を猛追する。最終周回の6周目に入った時点で1分未満まで縮めると、兒島、中井、阿部らは集団に戻ることを選択。イヨブとディカミッロは粘るものの、残り8km付近で吸収される。勝負は例年通り集団でのスプリントに持ち込まれた。

残り150mを切り、前に出てくるルーク・ランパーティー(トリニティレーシング、写真中央) photo:Satoru Kato

フィニッシュライン上ハンドルの投げ合い photo:Satoru Kato

チームブリヂストンサイクリングが集団先頭を固めて残り1kmへ。「最高の"かかり"で絶対行けると思った」と言う窪木が発射され、集団先頭でフィニッシュラインへ突き進む。その後方、3番手から一気に前に出てきたのはリーダージャージのルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)。フィニッシュライン上、ハンドルの投げ合い直後に窪木がガッツポーズをするも、判定の結果はランパーティーの先着。今大会2勝目を挙げてリーダージャージ、ポイント賞ジャージ、新人賞ジャージを守った。

個人総合首位 ルーク・ランパーティー(トリニティレーシング) photo:Satoru Kato

ルーク・ランパーティー コメント
「勝ててとても良い気分だ。チームがコントロールしてくれたことがステージ優勝につながった。最後のスプリントは他のチームが人数を揃えていたので残り1kmは自分の脚を使って前に上がった。スプリントする距離が長いので早く出過ぎないようにしていたので、ちょっと出遅れたようになった。フィニッシュした瞬間は誰が勝ったのか分からなかった。明日のステージがどの程度厳しいのかはまだ分からないが、富士山を前に総合首位を守っていきたい」

山岳賞 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato

山岳賞 兒島直樹コメント
「最初のアタック合戦でうまく逃げに乗れなくて、そうしてるうちに中井選手ら3名が先行してしまったので、そこに窪木さんが入って(先頭集団を)止めるようにして待ってくれた。おかげで先頭集団に追いつくことが出来て山岳ポイントを取ることが出来た。昨日よりも勾配がきつくなかったし、山岳賞を争っているのが中井選手だけだったので、スピードがある僕に有利だったと思う。窪木さんが勝ってくれれば最高の1日だったけれど、2位でもすばらしい結果だと思う」



明日5月25日は、長野県飯田市での第5ステージ。富士山前日のステージで総合優勝争いがどのように動くのか注目される。また、1級山岳が3回設定される山岳賞争いも激しくなると思われる。
ツアー・オブ・ジャパン 第4ステージ・美濃 結果(137.3km)
1位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、トリニティレーシング) 3時間8分1秒
2位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) +0秒
3位 イエルン・メイヤス(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
4位 ゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ)
5位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
6位 孫崎大樹(キナンレーシングチーム)
7位 横山航太(シマノレーシング)
8位 ジョセフ・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)
9位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
10位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
個人総合順位(第4ステージ終了時)
1位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、トリニティレーシング) 9時間9分46秒
2位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +12秒
3位 ゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ) +14秒
4位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCLチーム右京)
5位 イエルン・メイヤス(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +14秒
6位 リアム・ジョンストン(オーストラリア、トリニティレーシング) +20秒
ポイント賞(第4ステージ終了時)
1位 ルーク・ランパーティー(アメリカ、トリニティレーシグ) 67p
2位 イエルン・メイヤス(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) 46p
3位 ゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ) 32p
山岳賞(第4ステージ終了時)
1位 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 22p
2位 カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島) 10p
3位 中井唯晶(シマノレーシング) 8p
チーム総合成績(第4ステージ終了時)
1位 JCLチーム右京 27時間30分19秒
2位 トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム +9秒
3位 マトリックスパワータグ +24秒

text&photo:Satoru Kato

最新ニュース(全ジャンル)