2023/05/21(日) - 08:00
逃げがプロトンに21分の大差をつけたジロ・デ・イタリア第14ステージ。2日前に勝利したニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が今大会2勝目を挙げ、ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)が大逆転でマリアローザに袖を通した。
コース短縮により静かに終わった山岳決戦の翌日、ジロ・デ・イタリア第14ステージはその舞台となったクラン・モンタナの麓、スイスのシエールをスタートする。この日のコースレイアウトは前半に登場する1級山岳シンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネ以外は平坦路とシンプル。レース主催者が「フラットステージ」に分類するコースだが、登坂距離20.2km/平均6.5%の1級山岳は序盤に最大勾配14%が訪れる過酷な登りとなっている。
燦々と降り注ぐ陽光の下、12時15分に133名の選手たちがスイス・シエールを出発。するとレースは逃げ切りを目指す選手たちによる激しいアタック合戦で幕を開けた。
まずは2日前に逃げ切り勝利を飾ったニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら18名が先頭集団を形成し、その後27名に拡大。更にマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)の奪還を目指すダヴィデ・バイスがミルコ・マエストリ(共にイタリア、エオーロ・コメタ)と共に合流したため、今大会最大となる計29名の逃げ集団が誕生した。
35kmの平坦路を経て、この日唯一の山岳であるシンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネに突入すると天候が一変する。大きな雨粒が選手たちを襲うなかバイスが先頭で頂上を通過。40ポイントを加算して、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)から奪われたマリアアッズーラを1日にして取り戻すことに成功した。
ここまで勝利に迫ることすらできていないフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)を含む29名の逃げには、連日逃げに乗るデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)が入った。その中に総合争いで脅威となる選手はおらず、最も総合タイムが良いブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)でも18分37秒遅れだったため、イネオス・グレナディアーズが先導するメイン集団に追走の意思はなく、45.7kmに及ぶ長い下りを終える頃にその差は12分まで拡がった。
バーレーン・ヴィクトリアスやモビスターが複数人を送った先頭の29名は、イタリアで2番目に大きいマッジョーレ湖を目指し順調に距離を消化していく。だがそのリードが13分に達した残り63km地点の平坦路で、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しからレース先頭が動き出す。
タイムトライアルにも長けるベッティオルの仕掛けをデンツやスクインシュが引き戻し、そのカウンターで抜け出したローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)とステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)の2名が先頭に立つ。さらにスクインシュとダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が合流し、4名となった先頭グループは後続に一気に30秒差をつけることに成功した。
追走集団ではガビリアを擁するモビスターや35歳のベテランスプリンター、アンドレア・パスクアロンで地元勝利を狙うバーレーン・ヴィクトリアスが中心に牽引したものの、残り20kmでそのリードは52秒まで拡大する。一方のプロトンでは、先導するイネオスが意図的なスローペースに持ち込んだことで逃げグループとの差は19分を超え、アルミライルがバーチャルで総合首位に立った。
一向に縮まらない先頭との差に、追走集団では丘の傾斜を使ったジーとベッティオルらが加速。特に22歳のマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)は積極的で、デンツも加わった4名が追走に本腰を入れる。その報を聞きペースを一段階上げた先頭集団からはレックスが遅れ、5名となった追走集団が先頭グループを追いかけた。
残り5kmで先頭3名と追走集団のタイム差は15秒。先頭グループはフラムルージュ(残り1km)までそのリードを保ったものの、スプリントを意識して牽制に入ったためスピードが緩む。その隙に追走集団は差を縮め、焦ったオルダーニが残り800mで早くもスプリントを開始した。
しかし、約60kmに渡ってローテーションを回し続けたオルダーニにスピードを持続させる力は残っておらず、デンツが先導して追う5名が残り300mで先頭3名をキャッチ。そのカウンターでベッティオルのスプリントを開始したものの、それをデンツが許さず先頭へ。圧倒的なスピードを披露したデンツは猛追するジーを抑え、ジロ・デ・イタリア区間2勝目を手に入れた。
「序盤から調子の良さを感じていた。4名の先頭グループができ、既に1勝している僕に5位争いは無意味と思い自らの力を使って追いかけた。最後はフィニッシュラインめがけてがむしゃらに踏み続けた。嫌気がするほどの寒さだったが、勝利への執念がもたらした勝利だ。スーパーハッピーだよ」と、デンツは笑顔でレースを振り返った。
一方で惜しくも敗れたジーは第8、10ステージに続く3度目の2位。「これがいままで最も勝利に近づいた2位。後に振り返れば満足する結果なのだろうが、いまはとても辛いと」と素直に悔しさを表した。
総合首位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が「20名以上が必死に逃げ続けるレースで、数名の僕たちが雨のなか力を使い追走するのは懸命ではなかった」と語ったように、プロトンはトップから21分11秒遅れでフィニッシュ。その結果、24年振りとなるフランス人のマリアローザ着用者となったアルミライルは「18分遅れの僕がマリアローザを着用するなんて、考えもしていなかったこと。こんな形で夢が叶うなんて。この事実がただただ信じられないよ」と、困惑の表情を浮かべながらも喜んだ。
コース短縮により静かに終わった山岳決戦の翌日、ジロ・デ・イタリア第14ステージはその舞台となったクラン・モンタナの麓、スイスのシエールをスタートする。この日のコースレイアウトは前半に登場する1級山岳シンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネ以外は平坦路とシンプル。レース主催者が「フラットステージ」に分類するコースだが、登坂距離20.2km/平均6.5%の1級山岳は序盤に最大勾配14%が訪れる過酷な登りとなっている。
燦々と降り注ぐ陽光の下、12時15分に133名の選手たちがスイス・シエールを出発。するとレースは逃げ切りを目指す選手たちによる激しいアタック合戦で幕を開けた。
まずは2日前に逃げ切り勝利を飾ったニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら18名が先頭集団を形成し、その後27名に拡大。更にマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)の奪還を目指すダヴィデ・バイスがミルコ・マエストリ(共にイタリア、エオーロ・コメタ)と共に合流したため、今大会最大となる計29名の逃げ集団が誕生した。
35kmの平坦路を経て、この日唯一の山岳であるシンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネに突入すると天候が一変する。大きな雨粒が選手たちを襲うなかバイスが先頭で頂上を通過。40ポイントを加算して、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)から奪われたマリアアッズーラを1日にして取り戻すことに成功した。
ここまで勝利に迫ることすらできていないフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)を含む29名の逃げには、連日逃げに乗るデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)が入った。その中に総合争いで脅威となる選手はおらず、最も総合タイムが良いブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)でも18分37秒遅れだったため、イネオス・グレナディアーズが先導するメイン集団に追走の意思はなく、45.7kmに及ぶ長い下りを終える頃にその差は12分まで拡がった。
バーレーン・ヴィクトリアスやモビスターが複数人を送った先頭の29名は、イタリアで2番目に大きいマッジョーレ湖を目指し順調に距離を消化していく。だがそのリードが13分に達した残り63km地点の平坦路で、アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しからレース先頭が動き出す。
タイムトライアルにも長けるベッティオルの仕掛けをデンツやスクインシュが引き戻し、そのカウンターで抜け出したローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)とステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)の2名が先頭に立つ。さらにスクインシュとダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が合流し、4名となった先頭グループは後続に一気に30秒差をつけることに成功した。
追走集団ではガビリアを擁するモビスターや35歳のベテランスプリンター、アンドレア・パスクアロンで地元勝利を狙うバーレーン・ヴィクトリアスが中心に牽引したものの、残り20kmでそのリードは52秒まで拡大する。一方のプロトンでは、先導するイネオスが意図的なスローペースに持ち込んだことで逃げグループとの差は19分を超え、アルミライルがバーチャルで総合首位に立った。
一向に縮まらない先頭との差に、追走集団では丘の傾斜を使ったジーとベッティオルらが加速。特に22歳のマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)は積極的で、デンツも加わった4名が追走に本腰を入れる。その報を聞きペースを一段階上げた先頭集団からはレックスが遅れ、5名となった追走集団が先頭グループを追いかけた。
残り5kmで先頭3名と追走集団のタイム差は15秒。先頭グループはフラムルージュ(残り1km)までそのリードを保ったものの、スプリントを意識して牽制に入ったためスピードが緩む。その隙に追走集団は差を縮め、焦ったオルダーニが残り800mで早くもスプリントを開始した。
しかし、約60kmに渡ってローテーションを回し続けたオルダーニにスピードを持続させる力は残っておらず、デンツが先導して追う5名が残り300mで先頭3名をキャッチ。そのカウンターでベッティオルのスプリントを開始したものの、それをデンツが許さず先頭へ。圧倒的なスピードを披露したデンツは猛追するジーを抑え、ジロ・デ・イタリア区間2勝目を手に入れた。
「序盤から調子の良さを感じていた。4名の先頭グループができ、既に1勝している僕に5位争いは無意味と思い自らの力を使って追いかけた。最後はフィニッシュラインめがけてがむしゃらに踏み続けた。嫌気がするほどの寒さだったが、勝利への執念がもたらした勝利だ。スーパーハッピーだよ」と、デンツは笑顔でレースを振り返った。
一方で惜しくも敗れたジーは第8、10ステージに続く3度目の2位。「これがいままで最も勝利に近づいた2位。後に振り返れば満足する結果なのだろうが、いまはとても辛いと」と素直に悔しさを表した。
総合首位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が「20名以上が必死に逃げ続けるレースで、数名の僕たちが雨のなか力を使い追走するのは懸命ではなかった」と語ったように、プロトンはトップから21分11秒遅れでフィニッシュ。その結果、24年振りとなるフランス人のマリアローザ着用者となったアルミライルは「18分遅れの僕がマリアローザを着用するなんて、考えもしていなかったこと。こんな形で夢が叶うなんて。この事実がただただ信じられないよ」と、困惑の表情を浮かべながらも喜んだ。
ジロ・デ・イタリア2023第14ステージ結果
1位 | ニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:37:30 |
2位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | ローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | +0:01 |
5位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | |
6位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | +0:04 |
7位 | マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM) | +0:10 |
8位 | ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:20 |
9位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:50 |
10位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
33位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +21:11 |
39位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
41位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
81位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ) | 56:17:01 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:41 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:43 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:03 |
5位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +2:23 |
6位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:09 |
7位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:33 |
8位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +4:13 |
9位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +4:26 |
10位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +4:49 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 164pts |
2位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 112pts |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | 88pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 144pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 114pts |
3位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 68pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 56:19:04 |
2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:20 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:23 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 168:23:58 |
2位 | イスラエル・プレミアテック | +7:03 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | +29:00 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp
Surluster(シュアラスター) マイクロファイバークロス [拭き取り・仕上げ用万能クロス] S-132 & ウォッシングスポンジ [キズ防止 2層構造] S-70【セット買い】
シュアラスター(Surluster)
¥882