2023/05/15(月) - 09:00
ジロ・デ・イタリア第1週目を締めくくる35kmの個人タイムトライアルで、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が区間勝目をマーク。総合首位に返り咲いたものの、COVID-19陽性が発覚したためレースを去っている。
アドリア海からティレニア海に到達したジロは、再びアペニン山脈を越えてアドリア海に戻ってくる。第1週目を締めくくるのはサヴィニャーノ・スル・ルビコーネからチェゼーナまでを駆ける、大会2度目の個人タイムトライアル。35kmのコースはド平坦かつ、チェゼーナの市街地まではコーナーも少ないため、純粋なパワー勝負となる。
レースが行われた5月14日(日)の天候は相変わらずの雨。水滴が視界を遮り、水溜りがコーナーの難易度を上げたコースに、COVID-19陽性のため7日目でレースを去った元TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)や落車の影響で未出走となったダヴィデ・チモライ(イタリア、コフィディス)を除く163名が次々とスタートを切った。
トップタイムが慌ただしく更新される前半スタート組のなか、42番手スタートのマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が時速49kmを上回る快走を披露。42分47秒という好タイムに対し、長距離のTTは不得意とするマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)や、今年が現役ラストイヤーである元TT世界王者ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)も及ばない。
ヘップバーンがマークした42分47秒という好タイムをベテランのバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が14秒更新する。そして123番目スタートのブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)が50kmを超える平均速度で3つの計測ポイント(13km、23.1km、29km地点)でトップタイムを連発。41分32秒で暫定トップに立ったものの、アルミライルの直後に出走したチームメイトのシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)がそれを4秒上回った。
そしていよいよ総合上位の選手たちがスタート。意外にもこれまでグランツールでの勝利がないキュングの41分28秒というタイムには、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)が平均50km以上のハイスピードで迫ったものの、更新するには至らない。
ホットシートに1時間近く座ったキュングが見守るなか、総合6位のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が3つの計測ポイントの全てのタイムを更新。その3分後に飛び出したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、さらにゲイガンハートを上回るスピードで35kmコースを駆け抜けた。
初日の個人TTでも区間4位と、下馬評以上の結果を残したゲイガンハートは41分26秒でフィニッシュ。キュングが悲痛な顔でホットシートを離れるなか、その3分後にトーマスが1秒上回る41分25秒ですぐさま暫定トップを奪い取る。直後に走り終えたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は41分59秒、東京五輪の金メダリストであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)も尻上がりにスピードを上げながら41分41秒と、まずまずのタイムでまとめた。
そして大会初日を制し、最後から2番目にスタートしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が圧巻の走りを見せた。エヴェネプールは最初の計測ポイント(13km地点)を平均53kmに迫るハイスピードで通過。「序盤を飛ばしすぎてしまった」とレース後に語ったように後半こそスピードが落ちたものの、前半に稼いだアドバンテージを使いながらトーマスのタイムを1秒更新。ホットシートに座りながら着替えるトーマスの視線の先で、エヴェネプールが第1週目を締めくくる第9ステージの勝者に輝いた。
「ペース配分を失敗してしまった。そのせいでコース後半の走りは酷く、体調も万全ではなく向かい風も吹いていた。だがチェゼーナ市街地のテクニカルな区間で脚を休めることができ、最高のタイムトライアルではない中でも勝利を飾ることができた」と区間2勝目を挙げながらも、笑顔のないエヴェネプールは語った。
最終出走者であるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)がトップから1分15秒遅れ(区間19位)でフィニッシュしたため、エヴェネプールはマリアローザ奪還に成功。総合2位のトーマスに45秒、3位のログリッチに47秒のリードについて「それだけのタイム差で第2週目の山岳ステージに臨むことができるのは良いことだ。そこでイネオスは攻勢に出る作戦を持っているだろうが、いまはこの勝利を祝福し、この後しっかり休息を取りたい」と語った。
しかし既報の通り、エヴェネプールは新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応が検出された。無念のリタイアとなったエヴェネプールは、レース後のインタビューにて「みんな僕の鼻詰まりの音が聞こえているかもしれないね。風邪を引かないように気をつけなければならない」と語っていた。
また、EFエデュケーション・イージーポストも区間31位でフィニッシュしたリゴベルト・ウラン(コロンビア)から陽性反応が検出されたことを発表。前述したガンナらを含め、これで計6名が新型コロナによりレースを去っている。
そのためマリアローザは、「勝利を逃したことは残念だが、第2週目以降に向けて良いTTとなった」と語ったトーマスが引き継ぐことに。レースは翌日の大会最初の休息日を経て、スカンディアーノからティレニア海を目指す平坦ステージで第2週目がスタートする。
アドリア海からティレニア海に到達したジロは、再びアペニン山脈を越えてアドリア海に戻ってくる。第1週目を締めくくるのはサヴィニャーノ・スル・ルビコーネからチェゼーナまでを駆ける、大会2度目の個人タイムトライアル。35kmのコースはド平坦かつ、チェゼーナの市街地まではコーナーも少ないため、純粋なパワー勝負となる。
レースが行われた5月14日(日)の天候は相変わらずの雨。水滴が視界を遮り、水溜りがコーナーの難易度を上げたコースに、COVID-19陽性のため7日目でレースを去った元TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)や落車の影響で未出走となったダヴィデ・チモライ(イタリア、コフィディス)を除く163名が次々とスタートを切った。
トップタイムが慌ただしく更新される前半スタート組のなか、42番手スタートのマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が時速49kmを上回る快走を披露。42分47秒という好タイムに対し、長距離のTTは不得意とするマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)や、今年が現役ラストイヤーである元TT世界王者ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)も及ばない。
ヘップバーンがマークした42分47秒という好タイムをベテランのバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が14秒更新する。そして123番目スタートのブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)が50kmを超える平均速度で3つの計測ポイント(13km、23.1km、29km地点)でトップタイムを連発。41分32秒で暫定トップに立ったものの、アルミライルの直後に出走したチームメイトのシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)がそれを4秒上回った。
そしていよいよ総合上位の選手たちがスタート。意外にもこれまでグランツールでの勝利がないキュングの41分28秒というタイムには、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)が平均50km以上のハイスピードで迫ったものの、更新するには至らない。
ホットシートに1時間近く座ったキュングが見守るなか、総合6位のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が3つの計測ポイントの全てのタイムを更新。その3分後に飛び出したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、さらにゲイガンハートを上回るスピードで35kmコースを駆け抜けた。
初日の個人TTでも区間4位と、下馬評以上の結果を残したゲイガンハートは41分26秒でフィニッシュ。キュングが悲痛な顔でホットシートを離れるなか、その3分後にトーマスが1秒上回る41分25秒ですぐさま暫定トップを奪い取る。直後に走り終えたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は41分59秒、東京五輪の金メダリストであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)も尻上がりにスピードを上げながら41分41秒と、まずまずのタイムでまとめた。
そして大会初日を制し、最後から2番目にスタートしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が圧巻の走りを見せた。エヴェネプールは最初の計測ポイント(13km地点)を平均53kmに迫るハイスピードで通過。「序盤を飛ばしすぎてしまった」とレース後に語ったように後半こそスピードが落ちたものの、前半に稼いだアドバンテージを使いながらトーマスのタイムを1秒更新。ホットシートに座りながら着替えるトーマスの視線の先で、エヴェネプールが第1週目を締めくくる第9ステージの勝者に輝いた。
「ペース配分を失敗してしまった。そのせいでコース後半の走りは酷く、体調も万全ではなく向かい風も吹いていた。だがチェゼーナ市街地のテクニカルな区間で脚を休めることができ、最高のタイムトライアルではない中でも勝利を飾ることができた」と区間2勝目を挙げながらも、笑顔のないエヴェネプールは語った。
最終出走者であるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)がトップから1分15秒遅れ(区間19位)でフィニッシュしたため、エヴェネプールはマリアローザ奪還に成功。総合2位のトーマスに45秒、3位のログリッチに47秒のリードについて「それだけのタイム差で第2週目の山岳ステージに臨むことができるのは良いことだ。そこでイネオスは攻勢に出る作戦を持っているだろうが、いまはこの勝利を祝福し、この後しっかり休息を取りたい」と語った。
しかし既報の通り、エヴェネプールは新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応が検出された。無念のリタイアとなったエヴェネプールは、レース後のインタビューにて「みんな僕の鼻詰まりの音が聞こえているかもしれないね。風邪を引かないように気をつけなければならない」と語っていた。
また、EFエデュケーション・イージーポストも区間31位でフィニッシュしたリゴベルト・ウラン(コロンビア)から陽性反応が検出されたことを発表。前述したガンナらを含め、これで計6名が新型コロナによりレースを去っている。
そのためマリアローザは、「勝利を逃したことは残念だが、第2週目以降に向けて良いTTとなった」と語ったトーマスが引き継ぐことに。レースは翌日の大会最初の休息日を経て、スカンディアーノからティレニア海を目指す平坦ステージで第2週目がスタートする。
ジロ・デ・イタリア2023第9ステージ結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 41:24 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:01 |
3位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:02 |
4位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:04 |
5位 | ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ) | +0:08 |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:17 |
7位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +0:24 |
8位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:30 |
9位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:35 |
10位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:42 |
11位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +0:50 |
12位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:51 |
19位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +1:15 |
73位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:55 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 34:33:42 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:45 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:47 |
4位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:50 |
5位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:07 |
6位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | |
7位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:48 |
8位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:13 |
9位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:37 |
10位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | +3:00 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 113pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 100pts |
3位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 89pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 86pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 50pts |
3位 | カレル・ヴァチェク(チェコ、チーム・コラテック) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ), | 34:33:42 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:07 |
3位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 103:43:30 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +6:19 |
3位 | EFエデュケーション・イージーポスト | +7:08 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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