2023/04/24(月) - 08:30
春のクラシックを締めくくるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが4月23日(日)に開催。序盤でタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が落車リタイアしたレースは、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が独走を決め、大会二連覇を達成した。
アルデンヌクラシックの最終戦であり、モニュメントと呼ばれる5大クラシックの中でも最古参であるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(UCIワールドツアー)が、4月23日(日)に開催された。大会の舞台となるのはベルギー・ワロン地域最大の都市リエージュ。そこからバストーニュまで南下する往路は晴天に恵まれたものの、リエージュまで北上する復路に入ると雨が路面と選手たちを濡らした。
レース中継が始まった残り133km地点でタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の落車、そして途中リタイアの報が伝えられた。落車があったのは残り174km地点で、ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)と共に地面に叩きつけられたポガチャルは左手首の舟状骨と月状骨を骨折。ベルギーのヘンクにある病院で手術が行われ、チームは左手でピースサインを作るポガチャルの写真と共に無事を伝えている。
波乱の幕開けとなったレースは、大会2連覇に向けて最大のライバルが去ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のスーダル・クイックステップがメイン集団をコントロール。そこから4日前のラ・フレーシュ・ワロンヌでも逃げたゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)とヨハン・ミーンス(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)を含む11名がエスケープした。
バストーニュに至り、リエージュに向かう北へと進路を変えたプロトンではジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が集団先頭に出て牽引を始める。膝の負傷から直近のアムステルゴールドレースとフレーシュを欠場し、急遽の出場となったアラフィリップは速いペースを刻み、5分弱あった逃げとのタイム差を一気に縮小する。早い段階でプロトンの人数は減っていき、2017年以来6年振りの出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もここで脱落した。
いよいよ「コート・ド・モンルソア」から本格的な丘が始まると、ハイペースで進むプロトンからヤン・トラトニク(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が飛び出す。そのメイン集団では腹痛を訴えたエンリク・マス(スペイン、モビスター)やダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が脱落。レース後半戦に入り、エース級の選手たち次々に遅れていった。
トラトニクが20kmをかけて逃げグループに合流した時点で先頭は6名。この日登場する丘で最長距離4.4kmの「コル・ドゥ・ロジエ(残り60km)」でトラトニクが先頭で引き始め、シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)以外を振り落とす。一方でアラフィリップが牽引の役割を終えたプロトンはその2人との差を1分まで詰めた。
雨が降り始めたレース終盤のメイン集団では、牽引を終えたルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が遅れていき、エヴェネプールのアシストはイラン・ファンウィルデル(ベルギー)ただ一人に。反対にアシストを4名残すイネオス・グレナディアーズが、トーマス・ピドコック(イギリス)のために高速牽引を開始した。
しかし「コート・ド・ラ・ルドゥット」を前に再びファンウィルデルが先頭に現れ、粘りを見せたトラトニクとヴェラスコを飲み込む。そして昨年の残り29kmから例年通りの残り34km地点に戻ってきたルドゥットの頂上手前で、エヴェネプールがアタックした。
先頭で頂上に達したエヴェネプールだったが、ウェットな路面を慎重に下ったため、プロトン屈指のダウンヒラーであるピドコックの合流を許す。その後方ではトレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ(イタリア)とフレーシュで2位に入ったマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が追いかけたものの、先頭との差は広がっていくばかり。そして最後から3つ目の丘「コルネモン」でエヴェネプールが加速し、再びピドコックを置き去りにした。
全身白のアルカンシェルジャージに身を包み、フィニッシュまで残り30kmから独走に持ち込んだエヴェネプール。遅れたピドコックとの差を一気に30秒まで拡げ、「コート・デ・フォルジュ」を越えた残り23kmで1分のリードを得る。
そして母国ベルギーの大声援を力に変えたエヴェネプールが、独走のままフィニッシュラインの引かれたリエージュに帰還。本大会では25年振りとなる二連覇、世界王者としては37年振りのリエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝を成し遂げた。
「信じられない勝利だ。タフなコンデイションのなか、長く厳しいレースだった。また落車したタデイ(ポガチャル)の無事を願っている。この素晴らしい勝利をもたらしてくれたチームメイトに感謝したい。この美しいアルカンシェルで掴み取ることのできた勝利は、格別な気持ちがしているよ」。昨年に続き春のクラシックで結果の残せないウルフパックに、2年連続のモニュメント制覇をもたらしたエヴェネプールはそう喜んだ。
今年はUAEツアーで総合優勝を挙げ、ボルタ・ア・カタルーニャでは総合2位とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に敗れたエヴェネプール。しかしその後1ヶ月に及ぶスペインで高地トレーニングを積み、リエージュ連覇によって今年最大の目標であるジロ・デ・イタリアへ弾みをつけた。
ピドコックとベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)、サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の3名による2位争いはピドコックが先着。3位はブイトラゴが入り、表彰台に上がっている。
選手たちのコメントは別記事で紹介します。
アルデンヌクラシックの最終戦であり、モニュメントと呼ばれる5大クラシックの中でも最古参であるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(UCIワールドツアー)が、4月23日(日)に開催された。大会の舞台となるのはベルギー・ワロン地域最大の都市リエージュ。そこからバストーニュまで南下する往路は晴天に恵まれたものの、リエージュまで北上する復路に入ると雨が路面と選手たちを濡らした。
レース中継が始まった残り133km地点でタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の落車、そして途中リタイアの報が伝えられた。落車があったのは残り174km地点で、ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)と共に地面に叩きつけられたポガチャルは左手首の舟状骨と月状骨を骨折。ベルギーのヘンクにある病院で手術が行われ、チームは左手でピースサインを作るポガチャルの写真と共に無事を伝えている。
波乱の幕開けとなったレースは、大会2連覇に向けて最大のライバルが去ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のスーダル・クイックステップがメイン集団をコントロール。そこから4日前のラ・フレーシュ・ワロンヌでも逃げたゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)とヨハン・ミーンス(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)を含む11名がエスケープした。
バストーニュに至り、リエージュに向かう北へと進路を変えたプロトンではジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が集団先頭に出て牽引を始める。膝の負傷から直近のアムステルゴールドレースとフレーシュを欠場し、急遽の出場となったアラフィリップは速いペースを刻み、5分弱あった逃げとのタイム差を一気に縮小する。早い段階でプロトンの人数は減っていき、2017年以来6年振りの出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もここで脱落した。
いよいよ「コート・ド・モンルソア」から本格的な丘が始まると、ハイペースで進むプロトンからヤン・トラトニク(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が飛び出す。そのメイン集団では腹痛を訴えたエンリク・マス(スペイン、モビスター)やダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が脱落。レース後半戦に入り、エース級の選手たち次々に遅れていった。
トラトニクが20kmをかけて逃げグループに合流した時点で先頭は6名。この日登場する丘で最長距離4.4kmの「コル・ドゥ・ロジエ(残り60km)」でトラトニクが先頭で引き始め、シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)以外を振り落とす。一方でアラフィリップが牽引の役割を終えたプロトンはその2人との差を1分まで詰めた。
雨が降り始めたレース終盤のメイン集団では、牽引を終えたルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が遅れていき、エヴェネプールのアシストはイラン・ファンウィルデル(ベルギー)ただ一人に。反対にアシストを4名残すイネオス・グレナディアーズが、トーマス・ピドコック(イギリス)のために高速牽引を開始した。
しかし「コート・ド・ラ・ルドゥット」を前に再びファンウィルデルが先頭に現れ、粘りを見せたトラトニクとヴェラスコを飲み込む。そして昨年の残り29kmから例年通りの残り34km地点に戻ってきたルドゥットの頂上手前で、エヴェネプールがアタックした。
先頭で頂上に達したエヴェネプールだったが、ウェットな路面を慎重に下ったため、プロトン屈指のダウンヒラーであるピドコックの合流を許す。その後方ではトレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ(イタリア)とフレーシュで2位に入ったマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が追いかけたものの、先頭との差は広がっていくばかり。そして最後から3つ目の丘「コルネモン」でエヴェネプールが加速し、再びピドコックを置き去りにした。
全身白のアルカンシェルジャージに身を包み、フィニッシュまで残り30kmから独走に持ち込んだエヴェネプール。遅れたピドコックとの差を一気に30秒まで拡げ、「コート・デ・フォルジュ」を越えた残り23kmで1分のリードを得る。
そして母国ベルギーの大声援を力に変えたエヴェネプールが、独走のままフィニッシュラインの引かれたリエージュに帰還。本大会では25年振りとなる二連覇、世界王者としては37年振りのリエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝を成し遂げた。
「信じられない勝利だ。タフなコンデイションのなか、長く厳しいレースだった。また落車したタデイ(ポガチャル)の無事を願っている。この素晴らしい勝利をもたらしてくれたチームメイトに感謝したい。この美しいアルカンシェルで掴み取ることのできた勝利は、格別な気持ちがしているよ」。昨年に続き春のクラシックで結果の残せないウルフパックに、2年連続のモニュメント制覇をもたらしたエヴェネプールはそう喜んだ。
今年はUAEツアーで総合優勝を挙げ、ボルタ・ア・カタルーニャでは総合2位とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に敗れたエヴェネプール。しかしその後1ヶ月に及ぶスペインで高地トレーニングを積み、リエージュ連覇によって今年最大の目標であるジロ・デ・イタリアへ弾みをつけた。
ピドコックとベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)、サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の3名による2位争いはピドコックが先着。3位はブイトラゴが入り、表彰台に上がっている。
選手たちのコメントは別記事で紹介します。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2023結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 6:15:49 |
2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:06 |
4位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:08 |
5位 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | +1:24 |
6位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | +1:25 |
7位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +1:37 |
8位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:48 |
9位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
10位 | マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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