2023/04/10(月) - 14:30
「今日が人生で最も調子の良い日だった」と語るのは、表彰台の真ん中で石畳のトロフィーを高く掲げたマチュー・ファンデルプール。決定的な場面でパンクしたファンアールトや落車に泣いたデゲンコルプなど、第120回パリ〜ルーベを戦った選手たちのコメントを紹介します。
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
レース直後インタビュー
チームとして戦うことができたレースで、僕の優勝とヤスペル(フィリプセン)によるワンツーフィニッシュ。これ以上の結果はない。今日は人生で最も調子の良い日だった。脚に力を感じ、だからこそ早い段階でアタックを仕掛けた。しかし、ライバルたちを振り落とすことは想像以上に難しかった。
デゲンコルプが落車した石畳区間ではワウト(ファンアールト)との距離を詰め、その後彼がパンクしたことで独走となった。その後はフィニッシュを目指して全力で走るだけだった。
―ファンアールトのパンクには気づいていたか?
最初は気が付かなかったものの、追い抜く時に彼は下を向いていたため何かトラブルがあったのだと分かった。不運だし、もしあのパンクがなければフィニッシュまで2人で行っていただろう。だがこのレースで勝つには運も重要な要素。今日の僕は、調子の良い脚と運という2つを持っていた。
―ミラノ〜サンレモに続く独走勝利。ヴェロドロームは雰囲気はどうだった?
素晴らしかった。言葉にするのが難しいほどね。今年は過去最高のクラシックシーズンとなったし、その最後を勝利で締めくくることができた。夢が叶ったよ。
表彰式後インタビュー
チームとして優勝を狙い、結果的に絶好調で優勝と2位を掴み取った。最高の結果だ。今日はチームとしても最強だった。パリ〜ルーベでワンツーフィニッシュなんて2度とないことだろうから、チームの皆と今夜のパーティーを心の底から楽しみたい。
デゲンコルプの落車については、前にいたヤスペルが急に右にハンドルを切り、行き場を失った僕も右に避けた。正直、どうやってあの落車が起こったのかはわからない。その後ワウトを必死に追いかけ、追いついたと思ったら彼が急に失速したんだ。何かがおかしいとは思ったが、パンクだとは気づかなかった。
ヤスペルとはどちらで勝負しようという会話はしていない。だが僕らは何度もレースを共に走っており、会話しなくても意思の疎通はとれる。完璧なレースができたと思うよ。
―スプリントに持ち込み、彼のリードアウトをしようという考えはなかった?
話し合っていないからわからないが、既に言ったように、今日は僕自身の調子がとても良かった。だからレースを可能な限り厳しくし、このような形で勝利できたのは素晴らしい結果だと思う。
2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
一生忘れることのない信じられない結果だ。とにかく美しいレースだった。最初の集団に僕らチームから3人が入り、有利にレースを展開することができた。優勝と2位という結果に繋げることができて誇りに思うよ。
レースの中でマチューとワウトが最強だと分かっていたので、(最終盤は)ワウトのマークに集中した。将来的にパリ〜ルーベを勝つ力が自分にあるのかはわからない。だが、今日の自分の走りを誇りに思うし、いまは心から2位という結果を楽しみたい。
3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
レースで起こった不運もあり、まだこの結果を受け入れることは難しい。ヴェロドロームにたどり着くまで何が起こるか分からないのがパリ〜ルーベだ。あのパンクによって僕の勝利はなくなった。
僕たちはクリストフ・ラポルトも先頭集団に入る理想的な状況を作り出した。しかし不幸にも彼はパンクで遅れてしまった。アルペシンは強く、僕は先頭集団の中で1人だったため賢いレース運びを強いられた。それ自体は上手くいき、アタックした瞬間までの感覚は良かった。しかしカルフール・ド・ラルブルのコーナーでパンクし、危うく落車するところだたった。その後は皆が見た通りだよ。
これで僕の春のクラシックは終わり。この後は少しの間、身体を休めたい。今日のレースには一切影響なかったものの、少し肋骨が痛む。また毎年のことではあるが、精神的にもこの期間はとても辛いからね。少し休んで夏に向けて準備したい。
4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
いまの率直な気持ちは「疲れた」だ。でも同時に喜びも感じている。もちろん表彰台に上がりたかったが、単純に脚がなかった。でもパリ〜ルーベで勝利を争えるようになったことが嬉しいよ。
ファンデルプールとファンアールトに食らいつき、スプリント勝負に持ち込みたかった。だがカルフールでのアタックは予期していたし、何とかついていこうとしたが不可能だった。
―ロンド・ファン・フラーンデレンでも同じ質問をしたが、また来年戻ってきて優勝できると思うか?
ああ、できる。
カルフール・ド・ラルブルで落車したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チームDSM)
勝利に手が届くかもしれない状況での落車は、もちろん悔しさで胸がいっぱいだ。でもこれがレースだ。誰のせいというものではなく、(フィニッシュ後)地面に伏せて泣く僕に彼(ファンデルプール)が手を置いてくれた写真を見た。正直(泣いていたため)彼の謝罪は聞こえなかった。その気持ちはとても嬉しいし、あれがわざとではないとするならば、レースの一部ということだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
レース直後インタビュー
チームとして戦うことができたレースで、僕の優勝とヤスペル(フィリプセン)によるワンツーフィニッシュ。これ以上の結果はない。今日は人生で最も調子の良い日だった。脚に力を感じ、だからこそ早い段階でアタックを仕掛けた。しかし、ライバルたちを振り落とすことは想像以上に難しかった。
デゲンコルプが落車した石畳区間ではワウト(ファンアールト)との距離を詰め、その後彼がパンクしたことで独走となった。その後はフィニッシュを目指して全力で走るだけだった。
―ファンアールトのパンクには気づいていたか?
最初は気が付かなかったものの、追い抜く時に彼は下を向いていたため何かトラブルがあったのだと分かった。不運だし、もしあのパンクがなければフィニッシュまで2人で行っていただろう。だがこのレースで勝つには運も重要な要素。今日の僕は、調子の良い脚と運という2つを持っていた。
―ミラノ〜サンレモに続く独走勝利。ヴェロドロームは雰囲気はどうだった?
素晴らしかった。言葉にするのが難しいほどね。今年は過去最高のクラシックシーズンとなったし、その最後を勝利で締めくくることができた。夢が叶ったよ。
表彰式後インタビュー
チームとして優勝を狙い、結果的に絶好調で優勝と2位を掴み取った。最高の結果だ。今日はチームとしても最強だった。パリ〜ルーベでワンツーフィニッシュなんて2度とないことだろうから、チームの皆と今夜のパーティーを心の底から楽しみたい。
デゲンコルプの落車については、前にいたヤスペルが急に右にハンドルを切り、行き場を失った僕も右に避けた。正直、どうやってあの落車が起こったのかはわからない。その後ワウトを必死に追いかけ、追いついたと思ったら彼が急に失速したんだ。何かがおかしいとは思ったが、パンクだとは気づかなかった。
ヤスペルとはどちらで勝負しようという会話はしていない。だが僕らは何度もレースを共に走っており、会話しなくても意思の疎通はとれる。完璧なレースができたと思うよ。
―スプリントに持ち込み、彼のリードアウトをしようという考えはなかった?
話し合っていないからわからないが、既に言ったように、今日は僕自身の調子がとても良かった。だからレースを可能な限り厳しくし、このような形で勝利できたのは素晴らしい結果だと思う。
2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
一生忘れることのない信じられない結果だ。とにかく美しいレースだった。最初の集団に僕らチームから3人が入り、有利にレースを展開することができた。優勝と2位という結果に繋げることができて誇りに思うよ。
レースの中でマチューとワウトが最強だと分かっていたので、(最終盤は)ワウトのマークに集中した。将来的にパリ〜ルーベを勝つ力が自分にあるのかはわからない。だが、今日の自分の走りを誇りに思うし、いまは心から2位という結果を楽しみたい。
3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
レースで起こった不運もあり、まだこの結果を受け入れることは難しい。ヴェロドロームにたどり着くまで何が起こるか分からないのがパリ〜ルーベだ。あのパンクによって僕の勝利はなくなった。
僕たちはクリストフ・ラポルトも先頭集団に入る理想的な状況を作り出した。しかし不幸にも彼はパンクで遅れてしまった。アルペシンは強く、僕は先頭集団の中で1人だったため賢いレース運びを強いられた。それ自体は上手くいき、アタックした瞬間までの感覚は良かった。しかしカルフール・ド・ラルブルのコーナーでパンクし、危うく落車するところだたった。その後は皆が見た通りだよ。
これで僕の春のクラシックは終わり。この後は少しの間、身体を休めたい。今日のレースには一切影響なかったものの、少し肋骨が痛む。また毎年のことではあるが、精神的にもこの期間はとても辛いからね。少し休んで夏に向けて準備したい。
4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
いまの率直な気持ちは「疲れた」だ。でも同時に喜びも感じている。もちろん表彰台に上がりたかったが、単純に脚がなかった。でもパリ〜ルーベで勝利を争えるようになったことが嬉しいよ。
ファンデルプールとファンアールトに食らいつき、スプリント勝負に持ち込みたかった。だがカルフールでのアタックは予期していたし、何とかついていこうとしたが不可能だった。
―ロンド・ファン・フラーンデレンでも同じ質問をしたが、また来年戻ってきて優勝できると思うか?
ああ、できる。
カルフール・ド・ラルブルで落車したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チームDSM)
勝利に手が届くかもしれない状況での落車は、もちろん悔しさで胸がいっぱいだ。でもこれがレースだ。誰のせいというものではなく、(フィニッシュ後)地面に伏せて泣く僕に彼(ファンデルプール)が手を置いてくれた写真を見た。正直(泣いていたため)彼の謝罪は聞こえなかった。その気持ちはとても嬉しいし、あれがわざとではないとするならば、レースの一部ということだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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