バスクらしい勾配のある山岳が連なったイツリア・バスクカントリー4日目で、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の登りアタックが成功。追従したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)をスプリントで下し、2日連続勝利を飾った。



前日に勝利を挙げ、リーダージャージを着用するヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

全6ステージで行われるイツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)も折り返しの4日目を迎えた。最大勾配26%の登りフィニッシュをヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が制した前日に続き、この日も短い急坂をいくつも越えるステージ。勝負所は残り15kmが頂上の2級山岳ラ・アストゥリアナ(距離7.4km/平均6.3%)で、フィニッシュ地点はそこから15km下った先にある。

発着地点であるサントゥルツィをスタートし、最初の1時間の平均時速が50km/hを超えるハイスピード展開で幕を開ける。40kmを進み、ようやく山岳賞ジャージを着るヨン・バレネチェア(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)やヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が5名の逃げグループを形成した。

ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)ら強力な5名が逃げグループを形成 photo:CorVos

この日も総合エースのランダを献身的にアシストした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

メイン集団をコントロールするイネオス・グレナディアーズは、逃げ集団に6分半のタイム差を与えたが、後半にかけて徐々にタイムを削り取っていく。しかし、スピードが上がるそのプロトンでは残り40kmで落車が発生。それには総合首位ヴィンゲゴーの重要なアシスト役ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)が巻き込まれてレースを降り、同じく落車したフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ)はジャージに無数の穴を空けながらも再び走り出した。

4つ中3つのカテゴリー山岳をトップ通過し、最終的な山岳賞獲得を大きく引き寄せたバレネチェア。しかしその逃げ集団は新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)らが牽引するプロトンに、残り27km地点で吸収。その直後に現れたボーナスタイム付きの中間ポイントはヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)とのマッチスプリントをヴィンゲゴーが制し、-3秒の獲得に成功している。

ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)に唯一反応したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

そしてEFエデュケーション・イージーポストの先導で2級山岳ラ・アストゥリアナ(距離7.4km/平均6.3%)に突入すると、その麓で早くもヴィンゲゴーがもアタックを仕掛けた。

ヴィンゲゴーの加速にリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)や総合3位につけるダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)は遅れるなか、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が唯一反応する。ヴィンゲゴーが先頭固定でラ・アストゥリアナ頂上を越え、下りはバスク地元でコースを熟知するランダが先導。平地は2人がローテーションを組みながらフィニッシュを目指した。

スーダル・クイックステップが中心となり19名の追走集団が追いかけたものの、先頭の2人には届かない。そして大観衆が声援を送るランダを、ヴィンゲゴーがスプリントで打ち負かした。

ランダとヴィンゲゴーによるマッチスプリントに持ち込まれた photo:CorVos

2日連続の勝利を挙げたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

前日に続く二連勝を飾ったヴィンゲゴー。「今日は本当に調子が良く、最終山岳で”ならば自分で仕掛けたらいいだろう”と思い、アタックした。そしてついてきたのはミケル(ランダ)だけだった。共に協力し、勝利を掴むことができた。2連勝は今朝考えてもいなかった予想外の結果だ」と、総合2位ランダとのタイム差を12秒まで拡大したヴィンゲゴーは喜んだ。

一方、惜敗するも好走を地元ファンに披露したランダは「ヴィンゲゴーのアタックに全力で食らいついた。手段を問わず勝利を目指したのだが、あと一歩届かなかった。だがまだステージは残っているのでまた挑戦したい」と前向きなコメントを残している。

総合でのリード拡大に成功したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2023第4ステージ結果
1位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) 4:22:26
2位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 マウロ・シュミット(スイス、スーダル・クイックステップ) +0:02
4位 マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)
5位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
7位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)
8位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)
9位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・サムシック)
10位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) 17:08:56
2位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:12
3位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) +0:31
4位 マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) +0:33
5位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
6位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +0:36
7位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) +0:37
8位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:38
9位 サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) +0:39
10位 ジェームス・ノックス(イギリス、スーダル・クイックステップ) +0:46
その他の特別賞
ポイント賞 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 ヨン・バレネチェア(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ヤングライダー賞 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
チーム総合成績 スーダル・クイックステップ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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