2023/02/26(日) - 07:37
北のクラシック開幕戦オンループ・ヘットニュースブラッドでユンボ・ヴィスマのチーム力が炸裂。移籍後初レースのディラン・ファンバーレ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がライバルを振り切り、独走勝利を掴み取った。
オセアニア、南米大陸、南ヨーロッパ、中東と温暖な地域を抜け出し、ついに"北のクラシック"シーズンが開幕。曇天のベルギー、ヘントの街には伝統と格式の一戦、第78回オンループ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)に出場するクラシックハンターたちが集結した。
ヘントからニノーヴェを結ぶ207.3kmコースには12の登りと9の石畳”セクター”が詰め込まれ、「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」「ボスベルグ」らお馴染みの有名登坂がレース後半に登場。この日は一部区間が雨に濡れ、石畳の激坂区間では前に詰まった選手たちがランニングで坂を駆け上がる光景が繰り広げられることとなる。
前シクロクロス世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やコロンビアで調整を続けたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)、イヴ・ランパールト(ベルギー)をエースに据える"ウルフパック"スーダル・クイックステップといったスペシャリストが集う中、最も緻密かつ積極的にレースを組み立てたのはユンボ・ヴィスマだった。
昨年のワウト・ファンアールト(ベルギー)に続く2連勝を狙うユンボ。序盤の逃げこそ見送ったものの、レース中盤に生まれた追走グループには新加入ヤン・トラトニク(スロベニア)とネイサン・ファンフーイドンク(ベルギー)の2名を送り込む。レースが活性化したのちに追走グループが捕まると、今度は集団先頭を固めて主導権を握った。
ユンボ勢が刻む猛烈なペースで残り42km地点の「モーレンベルグ」を駆け上がり、頂上通過後暫くして移籍後初レースとなるディラン・ファンバーレ(オランダ)のアタックが決まる。「世界選以来初めてのレース。長いオフシーズンを過ごしてきたけれど、怪我も病気もせずいいトレーニングを積むことができた」と言うファンバーレには、ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)とフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・デスティニー)、マティス・ルベール(フランス、アルケア・サムシック)が飛びついた。
パリ〜ルーベ覇者のアタックを成功させたユンボ勢は、メイン集団からの追撃を防ぐべく度重なるアタックに対してチェックに回る。ハイペースを刻むファンバーレは登坂の度に一人、また一人と脱落させ、ついにフランドル地域を代表する登坂「ミュール・カペルミュール(登坂距離475m/平均勾配9.3%/最大勾配19.8%)」で独走に持ち込む。すぐ後ろに迫ったメイン集団からはUAEチームエミレーツに移籍したティム・ウェレンス(ベルギー)やマテイ・モホリッチ(スロベニア)が追撃したものの、ユンボ・ヴィスマはここにもチェック役のクリストフ・ラポルト(フランス)を送り込むことに成功した。
「もう少し長く他選手とグループを組んでいたかったけれど、気付いたら一人になっていた。もし捕まったとしてもクリストフやティシュ(べノート)の間接的なアシストになるし全力で逃げ続けたんだ」と言うファンバーレの持ちタイムは、最短10秒から徐々に拡大傾向。必死の追撃を振り切って、最後の平坦区間を高速巡航したファンバーレがリニューアルされたニノーヴェのフィニッシュ地点にやってきた。
オンループ・ヘットニュースブラッドにおける11年ぶりとなるオランダ人選手の優勝。「この美しい勝利を表現する言葉が見つからない」と、移籍後初、さらには遅いシーズンインによって今年最初のレースでいきなり勝利したファンバーレは言う。「本能に従って走れというオーダーが出ていたんだ。それが今日僕が選んだ作戦。もちろんルーベの優勝はファンタスティックだったけれど。今回の勝利も僕の戦歴に輝くものになる」と加える。
メイン集団による2位争いは今季既に3勝しているアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)に軍配。3位にはラポルトが入り、クラシックシーズン開幕戦にして、今再びユンボ・ヴィスマのチーム力が浮き彫りになった。
オセアニア、南米大陸、南ヨーロッパ、中東と温暖な地域を抜け出し、ついに"北のクラシック"シーズンが開幕。曇天のベルギー、ヘントの街には伝統と格式の一戦、第78回オンループ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)に出場するクラシックハンターたちが集結した。
ヘントからニノーヴェを結ぶ207.3kmコースには12の登りと9の石畳”セクター”が詰め込まれ、「レベルグ」「ベレンドリー」「フォッセンホール」「ミュール・カペルミュール」「ボスベルグ」らお馴染みの有名登坂がレース後半に登場。この日は一部区間が雨に濡れ、石畳の激坂区間では前に詰まった選手たちがランニングで坂を駆け上がる光景が繰り広げられることとなる。
前シクロクロス世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やコロンビアで調整を続けたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)、イヴ・ランパールト(ベルギー)をエースに据える"ウルフパック"スーダル・クイックステップといったスペシャリストが集う中、最も緻密かつ積極的にレースを組み立てたのはユンボ・ヴィスマだった。
昨年のワウト・ファンアールト(ベルギー)に続く2連勝を狙うユンボ。序盤の逃げこそ見送ったものの、レース中盤に生まれた追走グループには新加入ヤン・トラトニク(スロベニア)とネイサン・ファンフーイドンク(ベルギー)の2名を送り込む。レースが活性化したのちに追走グループが捕まると、今度は集団先頭を固めて主導権を握った。
ユンボ勢が刻む猛烈なペースで残り42km地点の「モーレンベルグ」を駆け上がり、頂上通過後暫くして移籍後初レースとなるディラン・ファンバーレ(オランダ)のアタックが決まる。「世界選以来初めてのレース。長いオフシーズンを過ごしてきたけれど、怪我も病気もせずいいトレーニングを積むことができた」と言うファンバーレには、ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)とフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・デスティニー)、マティス・ルベール(フランス、アルケア・サムシック)が飛びついた。
パリ〜ルーベ覇者のアタックを成功させたユンボ勢は、メイン集団からの追撃を防ぐべく度重なるアタックに対してチェックに回る。ハイペースを刻むファンバーレは登坂の度に一人、また一人と脱落させ、ついにフランドル地域を代表する登坂「ミュール・カペルミュール(登坂距離475m/平均勾配9.3%/最大勾配19.8%)」で独走に持ち込む。すぐ後ろに迫ったメイン集団からはUAEチームエミレーツに移籍したティム・ウェレンス(ベルギー)やマテイ・モホリッチ(スロベニア)が追撃したものの、ユンボ・ヴィスマはここにもチェック役のクリストフ・ラポルト(フランス)を送り込むことに成功した。
「もう少し長く他選手とグループを組んでいたかったけれど、気付いたら一人になっていた。もし捕まったとしてもクリストフやティシュ(べノート)の間接的なアシストになるし全力で逃げ続けたんだ」と言うファンバーレの持ちタイムは、最短10秒から徐々に拡大傾向。必死の追撃を振り切って、最後の平坦区間を高速巡航したファンバーレがリニューアルされたニノーヴェのフィニッシュ地点にやってきた。
オンループ・ヘットニュースブラッドにおける11年ぶりとなるオランダ人選手の優勝。「この美しい勝利を表現する言葉が見つからない」と、移籍後初、さらには遅いシーズンインによって今年最初のレースでいきなり勝利したファンバーレは言う。「本能に従って走れというオーダーが出ていたんだ。それが今日僕が選んだ作戦。もちろんルーベの優勝はファンタスティックだったけれど。今回の勝利も僕の戦歴に輝くものになる」と加える。
メイン集団による2位争いは今季既に3勝しているアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)に軍配。3位にはラポルトが入り、クラシックシーズン開幕戦にして、今再びユンボ・ヴィスマのチーム力が浮き彫りになった。
オンループ・ヘットニュースブラッド2023結果
1位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 4:54:49 |
2位 | アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:20 |
3位 | クリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ) | |
4位 | アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
6位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | |
7位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | アンドレア・パスクァロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
9位 | ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) |
text:So.Isobe
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