新ポジションで臨んだキュングが最終日制す　マルティネスが逆転で総合優勝

5日間のヴォルタ・アン・アルガルヴェを締めくくる24.4kmの個人タイムトライアルで、シュテファン・キュング（スイス、グルパマFDJ）が勝利。区間4位のダニエル・マルティネス（コロンビア、イネオス・グレナディアーズ）が逆転で総合優勝に輝いた。

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ポルトガル本土の最南端、アルガルヴェ地方を舞台とするヴォルタ・アン・アルガルヴェ（UCI2.Pro）の最終日は24.4kmの個人タイムトライアル。ラゴアを出発するコースは2ヶ所ある中間計測（5km＆15km）を通過し、再びラゴアに戻ってくる。

この日出走したTTスペシャリストの中で最初にスタートしたのは現ヨーロッパTT王者のシュテファン・ビッセガー（スイス、EFエデュケーション・イージーポスト）。優勝候補にも挙げられた24歳のビッセガーだったが、スタート直前の通り雨によってタイヤが滑り失速。「雨が上がったのでドライ用のタイヤを選択したのだが、スタートから20km地点までずっと濡れていた」とそう敗因を語った。

ポルトガルの乾いた風が路面を完全ドライに乾かすなか、2つ中間計測地点でトップタイムを叩き出したシュテファン・キュング（スイス、グルパマFDJ）がフィニッシュ。平均時速50kmに迫る29分34秒で暫定トップタイムをマークした。

そして直後にスタートしたフィリッポ・ガンナ（イタリア、イネオス・グレナディアーズ）や現TT世界王者のトビアス・フォス（ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ）もキュングのタイムには及ばない。また第2計測地点キュングを10秒上回ったレミ・カヴァニャ（フランス、スーダル・クイックステップ）も後半に失速して4秒届かず、キュングがグルパマFDJに今シーズン初勝利をもたらした。

「このコースが僕向きだということは分かっていた。UCIのTTポジションの規定変更により、今冬はポジション変更に時間を注いだ。協力してくれたメカニックやチームスタッフに勝利で報いることができてよかった。TTスペシャリストが揃うなか、勝利できて本当に嬉しい」とキュングは勝利を喜んだ。

UCI（国際自転車競技連合）は今年から選手の身長を3つのカテゴリー（180cm未満/180~190cm未満/190cm以上）に分類し、これまで一律750mmまでとされていたTTハンドルの長さ（ボトムブラケットから先端までの長さ）の最大値を伸ばした。それにより身長193cmのキュングには最大850mmまでのTTハンドルが認められることになった。この影響をキュングは「更に空力性の良いポジションを取ることができるようになった。いままでは背の低いレムコ・エヴェネプールに有利だったのが、これで少しだけ公平になったよ」と語っている。

そして総合優勝はキュングの16秒遅れかつ、フォスを上回る区間4位でフィニッシュしたダニエル・マルティネス（コロンビア、イネオス・グレナディアーズ）の手に。過去3度コロンビアのTT王者に輝いているマルティネスは、途中コースアウトもあり区間19位（1分27秒遅れ）に沈んだトーマス・ピドコック（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）からリーダージャージを引き継いだ。

「今朝、多くの人がフィリッポ・ガンナの総合優勝を予想しただろう。確かに僕のコンディションは徐々に上がっていたものの、今日の走りは僕自身にとってもサプライズだ」と、マルティネスはコメントしている。

総合に2位には2秒遅れでガンナが入り、イネオスが総合ワンツーフィニッシュ。3位には区間7位（49秒遅れ）と好走を見せた22歳のイラン・ファンウィルデル（ベルギー、スーダル・クイックステップ）が入った。