本格山岳ステージをマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が制覇。アルガルヴェ2日目の登坂スプリントでコルトがイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)をフィニッシュライン直前で抜き、区間優勝と共に総合リーダージャージを手に入れた。



この日はユーラシア大陸の最南西端の街サグレスをスタート photo:CorVos

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2023第2ステージ image:Volta ao Algarve em Bicicleta
ポルトガルで開催中のヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.Pro)2日目は、ユーラシア大陸の最南西端の街サグレスからモンシケ山脈のフォーイア山に向かう186.3km。3級、3級、2級山岳と徐々に難易度を上げていき、最後は1級フォーイア(距離7.7km/平均6.1%)にフィニッシュする本格山岳ステージだ。

この日は前日の落車で右腕の橈骨(親指側の前腕骨)を骨折したマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)を除く165名がスタートが切り、2日連続で逃げに乗った山岳賞ジャージを着るアントニオ・フェレイラ(ポルトガル、ケリー・シモルデスUDO)を含む6名が逃げた。それを今年のツール・ド・フランスの出場権を獲得したウノエックス・プロサイクリングチームがプロトンの牽引を担当した。

リーダーチームであるウノエックス・プロサイクリングチームがプロトンをコントロール photo:CorVos

イネオス・グレナディアーズの強力トレインに導かれるトーマス・ピドコック(イギリス) photo:CorVos

カテゴリー山岳を越える度にスプリンターたちが遅れ、人数が絞られていくメイン集団は、最後から2つ目の2級山岳ピコタ(距離6.4km/平均6.4%)を前に逃げを吸収。トーマス・ピドコック(イギリス)をエースに据えるイネオス・グレナディアーズが牽引して更にプロトンの人数を絞りにかかった。

最終山岳フォーイア(距離7.7km/平均6.1%)に入りペーシングを担ったのはミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)。しかしそれを引き継いだジョナタン・カストロビエホ(スペイン)の後が続かず、集団先頭はイネオスからボーラ・ハンスグローエにチェンジ。クライマー以外の選手たちも残った約20名の集団のまま、勝負は登坂スプリントに持ち込まれた。

残り200mからイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が腰を上げ、そこに母国のスター選手であるルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が追従する。フィニッシュラインを目指しファンウィルデルがハイペースでライバルたちとの差を拡げるなか、フィニッシュ手前100mからマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が猛スピードで番手を上げた。

イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が先頭に立つ photo:CorVos

ガッツポーズをするイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)に対し、ハンドルを投げたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

コスタを振り切ったファンウィルデルは右手を上げフィニッシュラインを通過。しかしスプリントに長けたコルトはハンドルを投げ、ファンウィルデルから勝利を奪い取った。

近年は逃げ切り勝利の印象が強いコルトが掴んだ、本格山岳ステージでの勝利。「自分が勝ったなんて信じられない。家でコースプロフィールを見ながら、ここでの勝利を考えていた。しかし8kmの登りだ。僕向きじゃないのは明らかだったので、監督にさえ勝利を狙っていることは言わなかった」とコルト。

「今日は脚の調子が良かったものの、スプリントに入ると前が塞がれてしまったんだ。たぶん心のどこかで向かい風を恐れ、消極的になっていたのだろう。しかし幸運にも残り5mで先頭に出る隙間を見つけ、勝利を掴むことができた」と、総合でも首位に立ったコルトはレースを振り返った。

今季初勝利を飾ったマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Volta ao Algarve em Bicicleta

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2023第2ステージ結果
1位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) 5:07:05
2位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
4位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)
5位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ルネ・ヘレホーツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:02
7位 ニコラ・コンチ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
8位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
9位 ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM)
10位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) 9:56:20
2位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:04
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:06
4位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) +0:10
5位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)
6位 トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) +0:12
7位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
8位 ニコラ・コンチ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
9位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
10位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
ポイント賞 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
山岳賞 アントニオ・フェレイラ(ポルトガル、ケリー・シモルデスUDO)
ヤングライダー賞 フレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 EFエデュケーション・イージーポスト
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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