2月15日から5日間に渡り行われるヴォルタ・アン・アルガルヴェが開幕。初日の集団スプリントをアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)が、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)らを退け勝利した。



これが今季ロードレースの初戦となったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

スペインのアンダルシア地方で開幕したブエルタ・ア・アンダルシアと時を同じく、ポルトガル本土の最南端、アルガルヴェ地方を舞台とするヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.Pro)が行われた。全5日間のレースは例年通り集団スプリントが濃厚な丘陵ステージと山岳フィニッシュが2つずつ、そして最後に個人タイムトライアルが待ち受けるバランスの良いステージ構成だ。

昨年レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が総合優勝を挙げ、ブエルタ・ア・エスパーニャと世界選手権制覇とビッグタイトルに繋げたアルガルヴェの第49回大会には12のワールドチームを含む全25チームが揃った。

なかでも注目されるのはシクロクロス世界選手権を回避し、クラシックレースでの成功を目指すトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、昨年のジロ・デ・イタリア覇者ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)。スプリンターでは昨年大会で区間2勝をマークしたファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)ら豪華メンバーが揃った。

初日はポルティマンからラゴスに向かう200.2km。2つのカテゴリー山岳を含む細かなアップダウンが登場するものの、いずれも難易度は低いため集団スプリントが予想された。

逃げ集団を形成したデンマークのロード王者アレクサンダー・カンプ(チューダー・プロサイクリングチーム)ら5名 photo:CorVos

昨年大会は区間2勝を挙げたファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

タイムトライアルの現世界王者トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)の今季初レースで逃げたのは、デンマークのロード王者アレクサンダー・カンプ(チューダー・プロサイクリングチーム)を含む5名。それをスーダル・クイックステップや髭を貯えたフィリッポ・ガンナ(イタリア)のイネオス・グレナディアーズがプロトンを牽引する、典型的なスプリントステージの展開で進行した。

残り12kmで計画通り逃げを飲み込んだプロトンは、ラゴスの市街地に突入しスプリント態勢を整え始める。残り8kmでジョエル・ズーター(スイス、チューダー・プロサイクリングチーム)を含む10名の落車が発生したものの大勢に影響なく、ティム・デクレルク(ベルギー)にミケル・モルコフ(デンマーク)という盤石なトレインを敷くスーダル・クイックステップを先頭に最終ストレートに突入した。

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)とヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)がハンドルを投げ合う photo:Volta ao Algarve em Bicicleta

移籍後初勝利を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) photo:CorVos

しかし大きなラウンドアバウトでスーダル・クイックステップのトレインは崩れ、ヤコブセンは番手を下げてしまう。代わりにコース左側から現U23TT王者ソーレン・ヴァーレンショルトがアレクサンダー・クリストフ(共にノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)を引き上げながら先頭へ。残り150mでリードアウトを失ったヤコブセンがコース右側でスプリントを開始するものの、既に発進したクリストフには届かない。そしてヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)を退けたクリストフが、今年加入した母国チームに勝利をもたらした。

「シーズン序盤の勝利は肩の荷が降りた気持ちがする。抱えていたプレッシャーから大分解放されたよ」とクリストフは嬉しさよりも先に安堵を口にした。「僕とソーレン(ヴァーレンショルト)がとても良いトレインを組み、彼自身も3位に入った。実はフィニッシュ直後にサドルが壊れたんだ。レース中じゃなくてラッキーだったよ」とも。

区間4位に沈んだヤコブセンは「トレインを上手く組むことが出来なかった」と振り返り、モルコフは「強い向かい風によってリードアウトが形成できなかったのだと思う」と悔しさを表現している。

「肩の荷が下りた」と安堵したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) photo:Volta ao Algarve em Bicicleta
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2023第1ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) 4:49:25
2位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
4位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)
5位 パヴェル・ビットナー(チェコ、チームDSM)
6位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
7位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、トレック・セガフレード)
8位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
9位 エドワルト・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ティム・ファンダイケ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
個人総合成績
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) 4:49:15
2位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
3位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) +0:06
4位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) +0:10
5位 パヴェル・ビットナー(チェコ、チームDSM)
6位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
7位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、トレック・セガフレード)
8位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
9位 エドワルト・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ティム・ファンダイケ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
その他の特別賞
ポイント賞 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
山岳賞 アントニオ・フェレイラ(ケリー・シモルデスUDO)
ヤングライダー賞 パヴェル・ビットナー(チェコ、チームDSM)
チーム総合成績 トレック・セガフレード
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos