JCL TEAM UKYOが参戦した第3回サウジツアーが閉幕。岡篤志が日本人最高位の13位でフィニッシュした最終第5ステージをシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)がスプリント勝利し、ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)が総合優勝に輝いた。



地元ファンと写真を撮るウノエックス・プロサイクリングチームのメンバーたち photo:CorVos

サッカーだけでなく自転車競技の強化にも力を入れる中東サウジアラビアで行われたサウジツアー(UCI.2.1)。その最終日である第5ステージはアルウラーの旧市街をスタートし、前日のスタート地点マラヤにフィニッシュする142.9kmだ。集団スプリントが予想された平坦基調のレイアウトには、終盤に8kmダート区間が登場した。

総合優勝者が決まる3時間の戦いは、連日逃げに乗るマルクス・サンダーハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)ら6名が逃げグループを形成してスタート。リーダーチームのモビスターやディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)で区間2勝目を目論むジェイコ・アルウラーが追走し、逃げ集団ではサンダーハンセンが中間スプリントポイントを加算し、見事アクティブライダー賞の獲得を決めた。

アルウラーからマラヤに向かうサウジツアー最終日 photo:CorVos

マルクス・サンダーハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)ら6名による逃げグループ photo:A.S.O.

ダート区間を何事もなく抜け、残り距離が30kmを切ると逃げグループのリードは縮小し、ウノエックス・プロサイクリングチームも集団牽引に加わりマラヤに突入する。先頭で最後まで逃げ続けたカミル・マウェツキー(ポーランド、Q36.5プロサイクリングチーム)だったが、残り2kmで敢えなく吸収。前日のスタート地点である鏡張りのマラヤ・コンサートホールの脇を抜けたプロトンが、集団スプリントに向け激しい位置取り争いを開始した。

残り1kmを通過して先頭でトレインを組んだのは、今年からタイトルスポンサーとなったアルウラーのためにも勝利を狙うジェイコ・アルウラー。そのエースであるフルーネウェーヘンが残り300mから早めのスプリントを開始したものの、それをシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)が抜き、猛追するマッテオ・マルチェッリ(イタリア、ビンゴール・パウェルスソースWB)を退け勝利した。

残り1km地点のマラヤ・コンサートホールの前を通過 photo:A.S.O.

ハンドルを投げるマッテオ・マルチェッリ(イタリア、ビンゴール・パウェルスソースWB)とシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) photo:CorVos

強豪スプリンターを退けたシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) photo:CorVos

「スプリントを開始したラスト300mがまるで3kmと錯覚するほど長く感じた。最後の50mはチームパシュートのように誰かに背中を押してほしかったぐらい。これは僕にとっても、またチームにとっても価値ある勝利だ」と、チーム今季2勝目をもたらしたコンソンニは喜んだ。

またダート区間を無事切り抜けたルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)は集団内の16位でフィニッシュし、総合優勝に輝いた。「この結果がとても嬉しいよ。今日は比較的平穏なステージで、グラベル区間はアタックが繰り広げられて楽しさすら感じる余裕があった。そしてフィニッシュに近づくにつれて感情が高まっていった」とゲレイロは自身初となるステージレース総合優勝を喜んだ。

今季初勝利を飾ったシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) photo:Team Cofidis

自身初となるステージレース総合優勝を挙げたルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) photo:A.S.O.

JCL TEAM UKYOからはベンジャミ・プラデス(スペイン)が12位、岡篤志が13位にランクイン。岡はレース後「あとちょっとでトップ10だったので悔しいですけど、今大会で最も良いリザルトで終えることができ、次に繋がるレースができたと思います」とコメントした。

総合では山本大喜が38位に入り、新チームとしての初陣を終えている。JCL TEAM UKYOはこの後同じ中東のオマーンで2月10日に行われるマスカット・クラシック(UCI.1.1)を経て、UCIプロシリーズであるツアー・オブ・オマーン(2月11〜15日)に出場する。

サウジツアー2023第5ステージ結果
1位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) 3:10:13
2位 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、ビンゴール・パウェルスソースWB)
3位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)
4位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
5位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
12位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCL TEAM UKYO)
13位 岡篤志(JCL TEAM UKYO)
個人総合成績
1位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) 20:20:04
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:08
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:09
4位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ) +0:18
5位 ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:24
38位 山本大喜(JCL TEAM UKYO).+6:07
その他の特別賞
ポイント賞 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos