終盤に最大勾配18.8%の登りが登場したサウジツアー第4ステージ。3名による小集団スプリントをルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)が制し、サウジツアー初制覇に王手をかけた。



鏡張りのマラヤ・コンサートホールを出発するサウジツアー第4ステージ photo:CorVos

JCL TEAM UKYOが出場する第3回サウジツアー(UCI.2.1)も最終日前日の第4ステージを迎えた。この日は鏡張りのコンサートホールがあるマラヤから砂漠の平坦路を進みハラット・ウワイリド(距離2.8km/平均12%)を越え、フィニッシュ地点は頂上から9kmの平坦路を進んだ先にある。大会最終日の翌日が平坦ステージのため、総合優勝の行方がほぼ決定するクイーンステージとなった。

163.4kmの行程で争われたこの日は、2日連続で逃げたアントニオ・バラッチ(クロアチア、チーム・コラテック)を含む4名が先頭集団を形成する。一方のメイン集団はリーダーチームのバーレーン・ヴィクトリアスが牽引を担い、2分差以上を許さないタイトなコントロールを見せた。

アントニオ・バラッチ(クロアチア、チーム・コラテック)を含む4名が逃げた photo:A.S.O.

この日はプロトンが逃げとのタイム差をタイトにコントロールした photo:A.S.O.

急勾配区間でダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)がペースアップ photo:A.S.O.

最後まで逃げ続けたニコラス・ズコウスキー(カナダ、Q36.5プロサイクリングチーム)が残り13kmで吸収され、ウノエックス・プロサイクリングチームやUAEチームエミレーツが集団先頭で人数を固めたプロトンは、ハラット・ウワイリドの登りに突入する。一人また一人と選手が脱落していくなか、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)によるペースアップに追従できたのはルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)とサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)、そしてチームメイトのフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア)だけだった。

頂上手前でグロスシャートナーが遅れた先頭は、3名のままハラット・ウワイリドを通過する。しかしグロスシャートナーが残り5km地点で先頭に追いつき、数的有利な展開の持ち込んだUAEチームエミレーツのフォルモロがアタック。そのカウンターでグロスシャートナーではなくブイトラゴが仕掛け、ほぼ全てのアタックに反応したゲレイロとフォルモロによる三つ巴スプリントに持ち込まれた。

残り200mから加速したフォルモロに、すかさず反応したゲレイロが腰を上げて先頭へ。左側からブイトラゴ、右から迫るフォルモロを抑えたゲレイロが先着し、新天地モビスターに早くも勝利をもたらした。

3名によるスプリントはルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)が先着 photo:CorVos

今季初初勝利をポーズを取り喜ぶルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) photo:A.S.O.

フィニッシュ地点の表彰式で緑のリーダージャージを受け取ったルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) photo:A.S.O.

「勝利の秘訣はチャンスまで待ち続けたこと。風が強かった影響で、登りで全力で踏んでもさほどスピードが上がらなかったんだ。だから脚に力を感じながらもUAEが仕掛けるのを待っていた。良いチームが揃っているので、明日は集中して総合優勝を飾りたい」と、区間優勝と共に総合リーダージャージを獲得したゲレイロは語った。

逃げに選手を送り込むことのできなかったJCL TEAM UKYOからは、山本大喜が2分20秒遅れの44位でフィニッシュ。山本は総合でもチーム最高位となる54位から39位までジャンプアップに成功している。

翌日はアルウラーの旧市街をスタートし、本日の出発地点であるマラヤにフィニッシュする142.9km。勾配のない平坦基調なレイアウトのため、今大会4度目となる集団スプリントが予想される。

サウジツアー2023第4ステージ結果
1位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) 3:45:01
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ) +0:04
5位 ウィリアム・バルタ(アメリカ、モビスター) +0:22
44位 山本大喜(JCL TEAM UKYO) +2:20
52位 岡篤志(JCL TEAM UKYO) +3:17
個人総合成績
1位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター) 17:09:51
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:08
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:09
4位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ) +0:18
5位 ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:24
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos