2023/01/23(月) - 10:49
UCIシクロクロスW杯のスペインラウンドは、男女レース共に激しい一騎打ちで決着。本調子に戻ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を下した。
合計14戦で開催される、シクロクロス3大シリーズの中で最も格式高い「UCIシクロクロスワールドカップ」もいよいよ終盤。1週間前にナショナル選手権を終えた選手たちは、泥のベルギー・オランダから暖かな太陽に恵まれたスペインへ。バレンシア地方のビーチリゾートであるベニドルムを舞台にした第13戦で再び集結した。
ヤシの木が並ぶ、コスタブランカと呼ばれる有名な海岸線を舞台にした特設コースは完全ドライ。ナショナル選手権をスキップし、このスペインでトレーニングキャンプを続けてきたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)も背中の痛みの不安を抱えながらスタートラインに並んだ。
女子:ピーテルスを下し、ファンエンペルが総合優勝を決める
アルカンシェルを着るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)も出場した女子レースは、今季レースシーンを席巻しているファンエンペルとピーテルス、そしてファンアンローイが先頭グループを掌握。フォスやルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)といった面々は太刀打ちできず、唯一イタリア女王でロード世界選手権3位のシルヴィア・ペルシコだけが時折先頭争いに顔を出すことができた。
最終周回でのファンエンペルとピーテルスの戦いは凄まじかった。2人はコースの至るところで肩をぶつけながらスプリントを繰り返し、その末に脚力で勝るファンエンペルが先行。年明け以降悩まされていた膝の痛みを感じさせず、ファンエンペルが「カウンターで加速したかったけれど、彼女の方が少し力を残していた」と言うピーテルスを振り切った。
ファンエンペルがW杯の総合ランキング優勝を決める勝利を挙げ、以降2位ピーテルス、3位ファンアンローイと"いつのもメンバー"が表彰台を独占。世界選手権をエリートか、U23で走るか判断が出ていないファンアンローイは「不必要なリスクを取りたくなかった。世界選手権の出場カテゴリーは明日決めたい」と話している。
男子エリート:痛みを克服したファンデルプールがファンアールトを打破
ファンアールト、ファンデルプール、そしてピドコックの"ビッグスリー"が再戦したこの日、男子エリートレースの序盤にアタックしたのは1月1日のGPスヴェンネイスで怪我をして以降レースを離れ、春のクラシックシーズンに集中するため今季最後のシクロクロス参戦となったピドコックだった。
世界選手権不出場を表明し、アルカンシェルを着る最後のレースとなったピドコックは強烈なペースアップを図ったものの、決まり手に欠く高速コースゆえなかなか後続を振り払うことはできない。W杯ランキングリーダーのローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)やファンデルプール、ファンアールトたちが追いつく中、「今日は背中の痛みが出なかったのできちんと追い込むことができた」と言うファンデルプールがギアを上げ、そのアタックがひと段落したタイミングでさらにファンアールトも加速。強者による続けざまの攻撃で、勝負に絡めるのはファンデルプールとファンアールト、スウェーク、そしてエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の4人に絞られた。
こうして迎えた最終ラップは、ファンデルプールとファンアールトの激しい一騎討ちに。ファンデルプールは2度に渡りアグレッシブにファンアールトのインを差し、頭を抑えた状態でフィニッシュ前のコーナー連続区間を猛烈な勢いでクリアする。ファンアールトも応戦したが、ほぼ直線のないコースレイアウトで肩を並べることはできなかった。
「背中の痛みを取り除くために一生懸命取り組んだ結果が出たと思う。今日は細部にまでレース内容をこだわったし、勝ててよかった」と、久々にファンアールトとの一騎討ちを制したファンデルプールは笑顔を見せる。「良い結果になったけど、コースは普段と全く違っていたので世界選手権の予行練習になるとは思わない」と、再び一騎打ちが期待される世界選手権に向けては謙虚な姿勢を貫いた。
一方「最後の半周をリードできず残念。そこでもっと攻めるべきだったんだ。スプリントではマチューの後ろにつけていたけれど、最終コーナーでフェンスに近づきすぎてしまった。幸い落車は逃れたけれど、リプレイを見たら思っていたより危なかったね」と敗れたファンアールトは言う。3位はイゼルビットで、アルカンシェル最終レースのピドコックは5位だった。
合計14戦で開催される、シクロクロス3大シリーズの中で最も格式高い「UCIシクロクロスワールドカップ」もいよいよ終盤。1週間前にナショナル選手権を終えた選手たちは、泥のベルギー・オランダから暖かな太陽に恵まれたスペインへ。バレンシア地方のビーチリゾートであるベニドルムを舞台にした第13戦で再び集結した。
ヤシの木が並ぶ、コスタブランカと呼ばれる有名な海岸線を舞台にした特設コースは完全ドライ。ナショナル選手権をスキップし、このスペインでトレーニングキャンプを続けてきたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)も背中の痛みの不安を抱えながらスタートラインに並んだ。
女子:ピーテルスを下し、ファンエンペルが総合優勝を決める
アルカンシェルを着るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)も出場した女子レースは、今季レースシーンを席巻しているファンエンペルとピーテルス、そしてファンアンローイが先頭グループを掌握。フォスやルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)といった面々は太刀打ちできず、唯一イタリア女王でロード世界選手権3位のシルヴィア・ペルシコだけが時折先頭争いに顔を出すことができた。
最終周回でのファンエンペルとピーテルスの戦いは凄まじかった。2人はコースの至るところで肩をぶつけながらスプリントを繰り返し、その末に脚力で勝るファンエンペルが先行。年明け以降悩まされていた膝の痛みを感じさせず、ファンエンペルが「カウンターで加速したかったけれど、彼女の方が少し力を残していた」と言うピーテルスを振り切った。
ファンエンペルがW杯の総合ランキング優勝を決める勝利を挙げ、以降2位ピーテルス、3位ファンアンローイと"いつのもメンバー"が表彰台を独占。世界選手権をエリートか、U23で走るか判断が出ていないファンアンローイは「不必要なリスクを取りたくなかった。世界選手権の出場カテゴリーは明日決めたい」と話している。
男子エリート:痛みを克服したファンデルプールがファンアールトを打破
ファンアールト、ファンデルプール、そしてピドコックの"ビッグスリー"が再戦したこの日、男子エリートレースの序盤にアタックしたのは1月1日のGPスヴェンネイスで怪我をして以降レースを離れ、春のクラシックシーズンに集中するため今季最後のシクロクロス参戦となったピドコックだった。
世界選手権不出場を表明し、アルカンシェルを着る最後のレースとなったピドコックは強烈なペースアップを図ったものの、決まり手に欠く高速コースゆえなかなか後続を振り払うことはできない。W杯ランキングリーダーのローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)やファンデルプール、ファンアールトたちが追いつく中、「今日は背中の痛みが出なかったのできちんと追い込むことができた」と言うファンデルプールがギアを上げ、そのアタックがひと段落したタイミングでさらにファンアールトも加速。強者による続けざまの攻撃で、勝負に絡めるのはファンデルプールとファンアールト、スウェーク、そしてエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の4人に絞られた。
こうして迎えた最終ラップは、ファンデルプールとファンアールトの激しい一騎討ちに。ファンデルプールは2度に渡りアグレッシブにファンアールトのインを差し、頭を抑えた状態でフィニッシュ前のコーナー連続区間を猛烈な勢いでクリアする。ファンアールトも応戦したが、ほぼ直線のないコースレイアウトで肩を並べることはできなかった。
「背中の痛みを取り除くために一生懸命取り組んだ結果が出たと思う。今日は細部にまでレース内容をこだわったし、勝ててよかった」と、久々にファンアールトとの一騎討ちを制したファンデルプールは笑顔を見せる。「良い結果になったけど、コースは普段と全く違っていたので世界選手権の予行練習になるとは思わない」と、再び一騎打ちが期待される世界選手権に向けては謙虚な姿勢を貫いた。
一方「最後の半周をリードできず残念。そこでもっと攻めるべきだったんだ。スプリントではマチューの後ろにつけていたけれど、最終コーナーでフェンスに近づきすぎてしまった。幸い落車は逃れたけれど、リプレイを見たら思っていたより危なかったね」と敗れたファンアールトは言う。3位はイゼルビットで、アルカンシェル最終レースのピドコックは5位だった。
UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第13戦 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 52:47 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:03 |
3位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:13 |
4位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア) | +0:21 |
5位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:53 |
6位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | +0:55 |
7位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、EFエデュケーション・ティブコSVB) | +1:18 |
8位 | リヌ・ブルキエ(フランス) | +1:33 |
9位 | マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバックスポーツ) | +1:50 |
10位 | エレーヌ・クラウツェル(フランス、ASバイクレーシング) | +1:52 |
UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第13戦 男子エリート結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 1:00:00 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:09 |
4位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) | +0:20 |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:34 |
6位 | ケヴィン・クーン(スイス、トルマンスCXチーム) | +0:56 |
7位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:11 |
8位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:14 |
9位 | フェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH) | +1:17 |
10位 | ヘルベン・クイペルス(ベルギー) | +1:22 |
text:So Isobe
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