2023/01/15(日) - 20:16
小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)の追走を振り切って、小川咲絵(AX cyclocross team)が独走。社会人レーサーのシクロクロス全日本チャンピオンが誕生した。
好天と風によって乾き具合を増したワイルドネイチャー名物の砂区間。午前中のアンダーカテゴリーを終え、40分間のオフィシャルトレーニングを挟んだ13時10分、女子エリートとU23混走レースの火蓋が切って落とされた。
砂区間と平坦の林間セクションを組み合わせたハイスピードコースに向け、合計25名の選手たちがダッシュを決める。中でも今季あまり目立った走りができていなかった渡部春雅(明治大学)の加速は強烈だった。
2連覇が掛かる渡部は一気に7,8秒のリードを稼ぎ、昨年2位のリベンジを誓う小川咲絵(AX cyclocross team)と小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)、そして石田唯(早稲田大学)が2位グループを組んで追走。Raphaスーパークロス野辺山で表彰台を獲得した大蔵こころ(早稲田大学)はこの動きに乗り遅れてしまった。
ディフェンディングチャンピオンではあるものの、戦績的にはダークホースだった渡部のサプライズアタック。しかし今季圧倒的な勝率を誇る小川は、「脚では一番だという自信があったので、誰もが苦しむレースにしたかった」と持ち前のフィジカルで差を埋め、やがて周回後半にある名物の砂区間で渡部を捉える。この際に小林と石田も合流して一時先頭は4人に膨れ上がったが、平坦のスピード区間に入るや否や小川の独走が始まった。
ファストテストラップを叩き出しながら(7周回のうち実に5周回)逃げる小川に対し、MTB仕込みのテクニックで砂区間を飛ばす小林が単独追走。その後ろでは石田が渡部をパスしそれぞれ単独3,4番手に。さらに大蔵や鵜飼知春(and more)、強豪ヒルクライマーとしても知られる望月美和子(TEAM ORCA)らが続く。
逃げる小川と追う小林の差は中盤にかけて30秒ほどまで広がったが、「4周目からようやく自分のリズムで走れるようになった」と言う小林は5周目と6周目に小川を上回るラップタイムを刻む。小川の転倒も重なって両者の差は20秒まで縮まったが、追う小林にとって、それまで積み重なったビハインドはあまりにも大きかった。
「タイム差というよりも、意識していたのは"勝ち"。1秒でも先着できれば良かったんです。最後は気持ちだけで走っていました」と言う小川が最後の砂区間を下り、ずらっとギャラリーが並ぶホームストレートでウイニングラン。右手で「1」を掲げ、その後に両手で力のこもったガッツポーズを繰り出した。
慶応大学在籍中にインカレロード優勝を掴むなど、学生時代はロード選手として名を上げた小川。卒業後は社会人生活を過ごしながらシクロクロスレースに没頭し、ロードで掴めなかった全日本チャンピオンを目指してトレーニングを積み重ねてきた。昨年2位、今年は1位。昨年結婚し、苗字を福田から小川へ変えたのちの今シーズンはここまでライバルを圧倒。自信を持って大一番に臨んだという。
弱虫ペダル加入で目標としていたプロ選手となった小林は2位。目標としていたU23のロード・MTB・シクロクロス三冠まであと一歩届かなかったものの、「今日は小川選手が強かった。三冠目標はまた来年に持ち越しなので、一から取り組み直していきます」と涙ながらに語る。「もちろん悔しいですが、それでも前半戦は咲絵選手とのレースができました。この差をもっと縮めていきたい」と振り返る石田が3位に入った。
優勝争いを繰り広げた2人のハイペースによって、この日フルラップ完走したのはたった5人だけ。成長を誓う若手勢が上位を占めたため、カテゴリー全体としてのレベルアップにも期待できそうだ。
好天と風によって乾き具合を増したワイルドネイチャー名物の砂区間。午前中のアンダーカテゴリーを終え、40分間のオフィシャルトレーニングを挟んだ13時10分、女子エリートとU23混走レースの火蓋が切って落とされた。
砂区間と平坦の林間セクションを組み合わせたハイスピードコースに向け、合計25名の選手たちがダッシュを決める。中でも今季あまり目立った走りができていなかった渡部春雅(明治大学)の加速は強烈だった。
2連覇が掛かる渡部は一気に7,8秒のリードを稼ぎ、昨年2位のリベンジを誓う小川咲絵(AX cyclocross team)と小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)、そして石田唯(早稲田大学)が2位グループを組んで追走。Raphaスーパークロス野辺山で表彰台を獲得した大蔵こころ(早稲田大学)はこの動きに乗り遅れてしまった。
ディフェンディングチャンピオンではあるものの、戦績的にはダークホースだった渡部のサプライズアタック。しかし今季圧倒的な勝率を誇る小川は、「脚では一番だという自信があったので、誰もが苦しむレースにしたかった」と持ち前のフィジカルで差を埋め、やがて周回後半にある名物の砂区間で渡部を捉える。この際に小林と石田も合流して一時先頭は4人に膨れ上がったが、平坦のスピード区間に入るや否や小川の独走が始まった。
ファストテストラップを叩き出しながら(7周回のうち実に5周回)逃げる小川に対し、MTB仕込みのテクニックで砂区間を飛ばす小林が単独追走。その後ろでは石田が渡部をパスしそれぞれ単独3,4番手に。さらに大蔵や鵜飼知春(and more)、強豪ヒルクライマーとしても知られる望月美和子(TEAM ORCA)らが続く。
逃げる小川と追う小林の差は中盤にかけて30秒ほどまで広がったが、「4周目からようやく自分のリズムで走れるようになった」と言う小林は5周目と6周目に小川を上回るラップタイムを刻む。小川の転倒も重なって両者の差は20秒まで縮まったが、追う小林にとって、それまで積み重なったビハインドはあまりにも大きかった。
「タイム差というよりも、意識していたのは"勝ち"。1秒でも先着できれば良かったんです。最後は気持ちだけで走っていました」と言う小川が最後の砂区間を下り、ずらっとギャラリーが並ぶホームストレートでウイニングラン。右手で「1」を掲げ、その後に両手で力のこもったガッツポーズを繰り出した。
慶応大学在籍中にインカレロード優勝を掴むなど、学生時代はロード選手として名を上げた小川。卒業後は社会人生活を過ごしながらシクロクロスレースに没頭し、ロードで掴めなかった全日本チャンピオンを目指してトレーニングを積み重ねてきた。昨年2位、今年は1位。昨年結婚し、苗字を福田から小川へ変えたのちの今シーズンはここまでライバルを圧倒。自信を持って大一番に臨んだという。
弱虫ペダル加入で目標としていたプロ選手となった小林は2位。目標としていたU23のロード・MTB・シクロクロス三冠まであと一歩届かなかったものの、「今日は小川選手が強かった。三冠目標はまた来年に持ち越しなので、一から取り組み直していきます」と涙ながらに語る。「もちろん悔しいですが、それでも前半戦は咲絵選手とのレースができました。この差をもっと縮めていきたい」と振り返る石田が3位に入った。
優勝争いを繰り広げた2人のハイペースによって、この日フルラップ完走したのはたった5人だけ。成長を誓う若手勢が上位を占めたため、カテゴリー全体としてのレベルアップにも期待できそうだ。
シクロクロス全日本選手権2023 女子エリート+U23結果
1位 | 小川咲絵(AX cyclocross team) | 50:12 |
2位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +0:28 |
3位 | 石田唯(早稲田大学) | +2:05 |
4位 | 渡部春雅(明治大学) | +3:16 |
5位 | 大蔵こころ(早稲田大学) | +4:40 |
6位 | 鵜飼知春(and more) | -1Lap |
7位 | 望月美和子(TEAM ORCA) | -2Laps |
8位 | 伊藤あすみ(マッディワカヤマ) | -2Laps |
9位 | 西形舞(TRC PANAMA REDS) | -2Laps |
10位 | 平田千枝 Club La.sista Offroad Team | -2Laps |
text&photo:So Isobe
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