ロードだけではなくマウンテンバイクの開発にも力を入れているスイスのBMC。トム・ピドコックによる東京五輪MTB XCOでの優勝で実力を証明したフラッグシップモデルのFOURSTROKEがフルモデルチェンジを果たした。サスペンションシステムの一新と、スラックなジオメトリーによって高速化が進むレースシーンにフィットするマシンに進化した。



BMC Fourstroke FOUR (c)フタバ

アブソリュート・アブサロンのメンバーらー、そして東京五輪のMTB XCOで金メダルを獲得したトム・ピドコックが駆ったBMCのフルサスペンション・クロスカントリーマシンのFOURSTROKE。ピドコックに関しては、BMCのロゴを隠してまで選んだバイクでもあり、尚且つ優秀な成績を収めたことで、このマシンの実力が証明された。

そんなBMCのFOURSTROKEが2023年モデルでフルモデルチェンジを遂げている。前作の面影を残すことなく進化した中でも、大きな変化はリアサスペンション周りの設計だ。前作ではサスペンションユニットがシートチューブに沿ったデザインだったが、今作ではトップチューブに接続される方式に変わっている。

ジオメトリーとサスペンションの設計がフルモデルチェンジした (c)フタバ

これは基本的なAPS(Advanced Pivot System)というBMCのサスペンションテクノロジーを推し進めた形だ。これはフレックスステーやシングルピボットでは成し得ないサスペンションの軌道を設計するための技術で、4つのリンクを介しバーチャルピボットを作り出すことで地形を捉え続けられるプログレッシブなサスペンションカーブを描く動作を実現。More Traction = More Speed(優れたトラクション=ハイスピード)というBMCが長年追求してきた理想に一歩近づいたという。

例えば上り坂で障害物を乗り越えるときはチェーンが弛まないようにサスペンションがスムーズに圧縮され、ペダリングパワーとトラクションが逃げないようになっている。サスペンションが伸び始めるとサスペンションのアンチスクワット値は高まり、さらにペダリングの力を無駄にしない。ダウンヒルではもちろんキックバックが小さく、ブレーキングへの影響を低減しているため、あらゆる状況においてアドバンテージを発揮するサスペンションを実現している。

BMC Fourstroke LT TWO (c)フタバ

またフレームとリアトライアングル造形の再構築は、ねじれ剛性とBB周辺の剛性向上をもたらした。特にリアトライアングルの縦に配置されたピボットはペダリング剛性を20%向上させ、クロスカントリーレースマシンとして必要な反応性を獲得している。

ジオメトリーも大きく変更されており、ヘッドアングルは66.5°と寝た設定かつ長めのフロントセンターの設計に。アグレッシブなコースレイアウトとフローなセクションが組み合わせられ、レーススピードが増すクロスカントリー競技にフィットするマシンに進化を遂げている。

リアサスペンション周りの設計が一新された (c)フタバ

429mmという短めのチェーンステーやボトムブラケットの低めの配置はタイトターンでの俊敏性とトラクション性に貢献。シートステーは76.6°とより立ち気味の作りで、前後の重量配分を最適化することで急峻な上り坂でもキレのあるアタックを繰り出せる高いペダリング効率とトラクション性を実現した。

新型FOURSTROKEではダウンチューブにボトルケージを2つ装着できる設計が採用されていることも特徴だ。短時間のクロスカントリーオリンピックだけではなく、マラソン競技に参加するトップレーサーからホビーレーサーまでが扱いやすいバイクとなっている。

クロスカントリーマシンとしてレースシーンにフィットする安定性を獲得した (c)フタバ

国内では世界最高峰のレースで使用されるFOURSTROKE 01の取り扱いは未定だが、セカンドグレードのFOURSTROKEとトレイルモデルのFOURSTROKE LTの2種類が用意される。レースモデルのFOURSTROKEは01に採用されたAutodrop Technologyは搭載されず、通常のシートポストがアセンブルされている。もちろんドロッパーシートポストは装着可能。サスペンションは100mmトラベルのロックショックスのSID SL RLで、コンポーネントはシマノSLXとDeoreが組み合わせられる。価格は759,000円(税込)。

LTは120mmトラベルのロックショックスSID RLをサスペンションとしたダウンカントリーモデル。里山を細かく繋いで走るような遊び方や、クロスカントリーレーサーが上下左右の動きを楽しむための遊びバイクとしてぴったりだ。コンポーネントはシマノSLXとDeoreのミックス。X-FusionのManicドロッパーシートポストは標準装備だ。価格は803,000円(税込)。

LTモデルはロングトラベルのサスペンションでトレイルライドにマッチする (c)フタバ



BMC Fourstroke FOUR
フレーム:APS Suspension System, 100mm Travel
フォーク:Rock Shox SID SL RL - TwistLoc Lockout
クランクセット:SHIMANO Deore 32T
スプロケット:SHIMANO Deore 12 spd 10-51T
シフター:SHIMANO SLX
ブレーキ:SHIMANO BR-MT500/SM-RT30 Rotors (160/160 S-M)
カラー:Iron Grey & Black
サイズ:S, M
価格:759,000円(税込)

BMC Fourstroke LT TWO
フレーム:APS Suspension System, 120mm Travel
フォーク:Rock Shox SID RL
クランクセット:SHIMANO Deore 32T
スプロケット:SHIMANO Deore 12 spd 10-51T
シフター:SHIMANO SLX
ブレーキ:SHIMANO BR-MT520/SM-RT30 Rotors (180/180)
シートポスト:X-Fusion Manic Dropper Post
カラー:Deep Forest Green & Black
サイズ:S, M
価格:803,000円(税込)

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