2022/12/27(火) - 13:57
スコットのハードテールXCバイク、SCALEがフルモデルチェンジを果たす。ケーブル内装化やジオメトリー調整機能など、最新スペックを搭載しつつ、細かなブラッシュアップを重ねることで更なる軽量化を果たし、究極のハードテールレーサーへと進化した。
昨年、リアサスを内蔵したフルサスXCバイクであるSPARKを発表し、ニノ・シューターと共に再び世界王者の座を掴みとったスコット。そのXCバイクラインアップにおいて、SPARKと双璧をなすハードテールモデルが"SCALE"だ。
年々過激化するワールドカップコースに対応するため、今XCレースにおいて主流となっているのがフルサスバイクであることは事実。しかし、それでも登りの比重が高く、フローな路面のコースではハードテールを選ぶ選手も確実に存在している。
レーシングブランドとしてその需要に応えるべく、スコットがそのテクノロジーを結集して開発したのが、新型SCALEだ。XCレースで求められる性能を余すところなく満たし、ライバル達に対してアドバンテージをもたらす一台として、新型SCALEは送り出された。
前作と比較し、フレームの最も大きな外見的差異はドロップドシートステーの採用だろう。ロードバイクではエアロダイナミクス向上の文脈で語られることの多いデザインだが、XCバイクでは、軽量化、そしてリアセクションの縦方向への柔軟性向上のために採用される設計だ。
フレームの製法も大幅に進化しており、新型SCALEはわずか3つのパーツで構成されているという。特に大きな割合を占めるフロントトライアングルは一つの金型で製作されるなど、この30年でスコットが蓄積したカーボン技術の粋を集めた一台となっている。
このモノコック技術が可能としたのは、フレームがオーバーラップする接合箇所を最低限に抑えること。これにより、ハードテールバイクで特に重要視される優れた剛性と軽量性を同時に実現し、レーシングバイクとして理想的なポテンシャルを手に入れた。
更にスコットはフレームをそれぞれ異なる役割を果たす2つのエリアとして設計。ダウンチューブからボトムブラケット、チェーンステーにかけた下側を剛性を司るスティフネスゾーン、トップチューブからシートステーにかけての上半分を快適性や乗り心地に影響を与えるライトウェイトゾーンとして構成。スティフネスゾーンを重点的に強化し、パワー伝達効率を高めることは、ライトウェイトゾーンの重量最適化にも繋がっている。
軽量化へのこだわりは細部にも及んでいる。リアのドロップアウトは先進的な中空構造を採用。スルーアクスルのヘッド部分がフレームとツライチになるような設計により、可能な限りの軽量化とクリーンなルックスを実現した。この構造により、ドロップアウト部のみで7.5gを、更にリア三角の幅を狭くすることが可能となり、20gの軽量化に貢献しているという。
また、ブレーキマウントには非常にシンプルなデザインのポストマウント台座を使用。昨今XCバイクで流行するフラットマウントではないのは、ユニークなポイントだ。対応ローター径は160㎜で、180㎜ローターを使用する際はアダプターを用いる。この台座の設計により、14gの軽量化を果たしている。
これらの設計により、確実に重量を削減することに成功した新型SCALE。最上級モデルのHMX-SLカーボンモデルでは879gから847gへと32gの軽量化を実現。セカンドモデルのHMXカーボンモデルでは前作比57g減の912g、ボトムを担うHMFカーボンモデルでは前作比126g減の1,013gと、全グレードでダイエットを果たした。
また、フレームに付随するハードウェア類も妥協のない軽量化が施された。チェーンガイド、ボトルケージ台座といった部位に一般的に用いられる金属インサートを廃止し、ポリマー素材を採用することで、従来の82gから45gへとほぼ半減している。
このポリマー製台座はしっかりしたホールド力と簡単な脱着を実現するクリッピング構造を有しており、ボトルやチェーンデバイスを使用しないときにはフレームと同一平面になるプラグへと交換することも可能。軽量化だけがメリットではなく、落車などでネジ山を壊してしまうようなトラブルの際にもフレームを守り、ポリマーインサートのみを交換できることも、大きなポイントだ。
スコットがSPARKやGENIUSで進めるインテグレートデザインは、このSCALEにも採用されている。シンクロスの最新モデルであるFraser iCコックピットシステムは、ハンドル周りのケーブルルーティングをすっきりまとめ、ヘッドセットへと誘導しフレーム内部へと内装してくれる。
ケーブル内装時の作業性も考慮して、ダウンチューブのBB側には大きなサービスポートが開けられている。ドロッパーポストケーブルやリアブレーキ、リアシフトケーブルなどの配線を行いやすく、メンテナンス性が向上している。
ヘッドセットはケーブル内装機能だけでなく、ヘッドアングルの調整機能も有しており、ヘッドカップを反転させることで±0.6度変更可能となっている。トレイルバイクやエンデューロバイクなどでは一般的になってきたジオメトリー調整機能だが、XCハードテールバイクで採用された例はほぼ無いのではないだろうか。スコットらしい先進性を感じる要素だ。
ジオメトリ自体も前作から変更を加えられており、よりハードなコースに対応すべくスラックなジオメトリーに。ヘッドアングルの調整機構も合わせれば、XCレーサーとしてだけでなく、トレイルバイク的な使い方も視野に入るかもしれない。
国内で展開されるのは、HMXカーボンを使用したフレームに、ロックショックス SID SL UltimateとスラムXX1 EAGLE AXSを組み合わせたSCALE RC WORLD CUP EVO(重量9.2kg、価格:1,738,000円)、HMFカーボンフレームにSID SL Select RL、スラム GX Eagle AXSを組み合わせたSCALE RC TEAM ISSUE(重量10.4kg、価格:825,000円)、同じくHMFカーボンフレームにSID SL RL、シマノ XTを組み合わせたSCALE RC TEAM(重量10.6kg、価格:572,000円)の3グレード。価格は全て税込。
スコット SCALE RC WORLD CUP EVO
フレーム:Scale Carbon HMX
フォーク:RockShox SID SL Ultimate
コンポーネント:SRAM XX1 Eagle AXS 12 Speed
重量:9.2kg
価格:1,738,000円(税込)
スコット SCALE RC TEAM ISSUE
フレーム:Scale Carbon HMF
フォーク:RockShox SID SL Select RL
コンポーネント:SRAM GX Eagle AXS 12 Speed
重量:10.4kg
価格:825,000円(税込)
スコット SCALE RC TEAM
フレーム:Scale Carbon HMF
フォーク:RockShox SID SL RL
コンポーネント:シマノ XT 12 Speed
重量:10.6kg
価格:572,000円(税込)
昨年、リアサスを内蔵したフルサスXCバイクであるSPARKを発表し、ニノ・シューターと共に再び世界王者の座を掴みとったスコット。そのXCバイクラインアップにおいて、SPARKと双璧をなすハードテールモデルが"SCALE"だ。
年々過激化するワールドカップコースに対応するため、今XCレースにおいて主流となっているのがフルサスバイクであることは事実。しかし、それでも登りの比重が高く、フローな路面のコースではハードテールを選ぶ選手も確実に存在している。
レーシングブランドとしてその需要に応えるべく、スコットがそのテクノロジーを結集して開発したのが、新型SCALEだ。XCレースで求められる性能を余すところなく満たし、ライバル達に対してアドバンテージをもたらす一台として、新型SCALEは送り出された。
前作と比較し、フレームの最も大きな外見的差異はドロップドシートステーの採用だろう。ロードバイクではエアロダイナミクス向上の文脈で語られることの多いデザインだが、XCバイクでは、軽量化、そしてリアセクションの縦方向への柔軟性向上のために採用される設計だ。
フレームの製法も大幅に進化しており、新型SCALEはわずか3つのパーツで構成されているという。特に大きな割合を占めるフロントトライアングルは一つの金型で製作されるなど、この30年でスコットが蓄積したカーボン技術の粋を集めた一台となっている。
このモノコック技術が可能としたのは、フレームがオーバーラップする接合箇所を最低限に抑えること。これにより、ハードテールバイクで特に重要視される優れた剛性と軽量性を同時に実現し、レーシングバイクとして理想的なポテンシャルを手に入れた。
更にスコットはフレームをそれぞれ異なる役割を果たす2つのエリアとして設計。ダウンチューブからボトムブラケット、チェーンステーにかけた下側を剛性を司るスティフネスゾーン、トップチューブからシートステーにかけての上半分を快適性や乗り心地に影響を与えるライトウェイトゾーンとして構成。スティフネスゾーンを重点的に強化し、パワー伝達効率を高めることは、ライトウェイトゾーンの重量最適化にも繋がっている。
軽量化へのこだわりは細部にも及んでいる。リアのドロップアウトは先進的な中空構造を採用。スルーアクスルのヘッド部分がフレームとツライチになるような設計により、可能な限りの軽量化とクリーンなルックスを実現した。この構造により、ドロップアウト部のみで7.5gを、更にリア三角の幅を狭くすることが可能となり、20gの軽量化に貢献しているという。
また、ブレーキマウントには非常にシンプルなデザインのポストマウント台座を使用。昨今XCバイクで流行するフラットマウントではないのは、ユニークなポイントだ。対応ローター径は160㎜で、180㎜ローターを使用する際はアダプターを用いる。この台座の設計により、14gの軽量化を果たしている。
これらの設計により、確実に重量を削減することに成功した新型SCALE。最上級モデルのHMX-SLカーボンモデルでは879gから847gへと32gの軽量化を実現。セカンドモデルのHMXカーボンモデルでは前作比57g減の912g、ボトムを担うHMFカーボンモデルでは前作比126g減の1,013gと、全グレードでダイエットを果たした。
また、フレームに付随するハードウェア類も妥協のない軽量化が施された。チェーンガイド、ボトルケージ台座といった部位に一般的に用いられる金属インサートを廃止し、ポリマー素材を採用することで、従来の82gから45gへとほぼ半減している。
このポリマー製台座はしっかりしたホールド力と簡単な脱着を実現するクリッピング構造を有しており、ボトルやチェーンデバイスを使用しないときにはフレームと同一平面になるプラグへと交換することも可能。軽量化だけがメリットではなく、落車などでネジ山を壊してしまうようなトラブルの際にもフレームを守り、ポリマーインサートのみを交換できることも、大きなポイントだ。
スコットがSPARKやGENIUSで進めるインテグレートデザインは、このSCALEにも採用されている。シンクロスの最新モデルであるFraser iCコックピットシステムは、ハンドル周りのケーブルルーティングをすっきりまとめ、ヘッドセットへと誘導しフレーム内部へと内装してくれる。
ケーブル内装時の作業性も考慮して、ダウンチューブのBB側には大きなサービスポートが開けられている。ドロッパーポストケーブルやリアブレーキ、リアシフトケーブルなどの配線を行いやすく、メンテナンス性が向上している。
ヘッドセットはケーブル内装機能だけでなく、ヘッドアングルの調整機能も有しており、ヘッドカップを反転させることで±0.6度変更可能となっている。トレイルバイクやエンデューロバイクなどでは一般的になってきたジオメトリー調整機能だが、XCハードテールバイクで採用された例はほぼ無いのではないだろうか。スコットらしい先進性を感じる要素だ。
ジオメトリ自体も前作から変更を加えられており、よりハードなコースに対応すべくスラックなジオメトリーに。ヘッドアングルの調整機構も合わせれば、XCレーサーとしてだけでなく、トレイルバイク的な使い方も視野に入るかもしれない。
国内で展開されるのは、HMXカーボンを使用したフレームに、ロックショックス SID SL UltimateとスラムXX1 EAGLE AXSを組み合わせたSCALE RC WORLD CUP EVO(重量9.2kg、価格:1,738,000円)、HMFカーボンフレームにSID SL Select RL、スラム GX Eagle AXSを組み合わせたSCALE RC TEAM ISSUE(重量10.4kg、価格:825,000円)、同じくHMFカーボンフレームにSID SL RL、シマノ XTを組み合わせたSCALE RC TEAM(重量10.6kg、価格:572,000円)の3グレード。価格は全て税込。
スコット SCALE RC WORLD CUP EVO
フレーム:Scale Carbon HMX
フォーク:RockShox SID SL Ultimate
コンポーネント:SRAM XX1 Eagle AXS 12 Speed
重量:9.2kg
価格:1,738,000円(税込)
スコット SCALE RC TEAM ISSUE
フレーム:Scale Carbon HMF
フォーク:RockShox SID SL Select RL
コンポーネント:SRAM GX Eagle AXS 12 Speed
重量:10.4kg
価格:825,000円(税込)
スコット SCALE RC TEAM
フレーム:Scale Carbon HMF
フォーク:RockShox SID SL RL
コンポーネント:シマノ XT 12 Speed
重量:10.6kg
価格:572,000円(税込)
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