ビッグスターが揃い踏みしたUCIシクロクロスワールドカップ第8戦。ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を退けたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がW杯2連勝。フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が女子エリートレースを制した。



いよいよシクロクロスに"ビッグスリー"が勢揃い。先んじてシーズンインしていたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)に加え、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がいよいよ始動。連戦をこなすCXスペシャリストも含め、トップスター選手が揃い踏みしたアントワープ開催のUCIシクロクロスワールドカップ第8戦はこれまでにない注目度を誇った。

女子エリート:ファンエンペルが逆転勝利

先頭グループをリードするフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)先頭グループをリードするフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
女子エリートレースには今季レースを掌握しているオランダの若手3人衆をはじめ、注目のポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)やMTB女子U23世界王者リヌ・ブルキエ(フランス、キャニオン・コレクティブ)といった面々も参戦。調整中の世界女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)を除くトップ選手がずらりと勢揃いした。

そんなレースは、やはり序盤からフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が支配した。ワールドカップランキングリーダージャージを着る2人(エリート:ファンエンペル/U23:ピーテルス)が抜け出し、ロードチームの冬季合宿を過ごしたカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)とシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がその後ろ。ファンアンローイはやがて単独3番手となって前2人に迫ったものの、落車とハンドル曲がりをきっかけに再び水を空けられてしまった。

サンドセクションのミスで後塵を拝したパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)サンドセクションのミスで後塵を拝したパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
序盤3番手を走ったカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)は後半に失速序盤3番手を走ったカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)は後半に失速 photo:CorVos独走勝利を飾ったフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)独走勝利を飾ったフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos

UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 女子エリート表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
先頭争いではレース前半戦こそ「手が冷たくて上手くコントロールできなかった」と言うファンエンペルのミスが目立ったものの、後半戦にかけてペースを取り戻す。逆にサンドセクションでのミスが目立つようになったピーテルスが遅れ、こうしてこの日の勝負が決まった。

「後半戦でペースを上げることができた。今日もパックと私が拮抗した力を持っていたけれど、幸い自分が勝ててよかった」と振り返るファンエンペルが勝利。2位にピーテルス、3位にファンアンローイが入り、再び表彰台をオランダの若手3人衆が埋めることとなった。



注目の男子エリート:ファンデルプール勝利、復帰戦ファンアールトは2位

今季初CXレースを迎えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)今季初CXレースを迎えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos前日の怪我が心配されたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)前日の怪我が心配されたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

レース序盤、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がダッシュを決めたレース序盤、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がダッシュを決めた photo:CorVos
大注目の男子エリートレースは序盤から動いた。2列目スタートのファンアールトは猛烈なダッシュで一気に主導権を奪った一方、アルカンシエルを着るピドコックは30番手まで後退。ファンアールトがぐいぐいとスピードを上げ、ライバルに対してプレッシャーを掛ける背後では静かな滑り出しを見せたファンデルプールが徐々にポジションを上げ、1周回完了と共にファンアールトやラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)を抜き先頭に立った。

乗車・降車の判断が分かれるキャンバー区間や、パワーとハンドリングが問われる長いサンドセクションが名物のアントワープの特設コースでファンデルプールの走りが際立った。前日開催のスーパープレスティージュ中のクラッシュでの負傷を全く感じさせず、ファンアールトとファンデルハール、そして欧州王者マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の2位グループを引き離す。「僕の好みのコースだし、昨日の落車の影響も感じなかった」と振り返る元世界王者がライバルを振り払った。

アントワープのサンドコースを独走するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)アントワープのサンドコースを独走するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
サンドセクションをこなすワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)サンドセクションをこなすワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
無数のワウト無数のワウト photo:CorVosスタートで出遅れたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)スタートで出遅れたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos


「身体のフィーリングは良かったし、良いリードを得て維持できたので今日はかなり満足している」と話すファンデルプールは、周回をこなすごとに2位グループとの差を徐々に、しかし確実に広げていく。レース後半にはこの日のファステストラップを叩き出すなどその走りは冴え渡る。「マチューが速すぎたので確実に2位に入るようにした」と言うファンアールトも水を開けられてしまった。

UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 男子エリート表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
全7周回、59分の戦いをファンデルプールが制圧。2位にはシクロクロス復帰戦のファンアールト、3位には遅れてもなお諦めず踏み続けたファントーレンハウトがランクイン。4位はこのレースからワールドカップランキングリーダージャージを着たローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)、5位がファンデルハール、序盤の出遅れが響いたピドコックは8位でレースを終えている。


UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 女子エリート結果
1位 フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 49:10
2位 パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:34
3位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +1:12
4位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:30
5位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) +1:45
6位 マノン・バッカー(オランダ、クレラン・フリスタッズ) +2:14
7位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、777) +2:41
8位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) +2:48
9位 マリー・シュライバー(ルクセンブルク、トルマンスCXチーム) +3:15
10位 サンヌ・カント(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) +3:31
UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第8戦 男子エリート結果
1位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) 59:04
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +0:23
3位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:34
4位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) +0:45
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:54
6位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:05
7位 イェンス・アダムス(ベルギー) +1:09
8位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +1:14
9位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:45
10位 ヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) +2:05
text:So Isobe
photo:CorVos

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