2022/12/28(水) - 12:12
アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)にとってキャリアハイのシーズンとなった2022年。パリ〜ルーベ・ファムを含む春のクラシックやジロ・ツール・ブエルタの3つのステージレース、世界選手権などを主要レースを中心に振り返ります。
コロナ禍でカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースが2年連続の中止となったため、今年も砂埃舞う未舗装路を走るストラーデビアンケ(3月5日)で幕開けした2022年のUCIウィメンズワールドツアー。最後の石畳坂で仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)に食らいつき、スプリント力で上回ったロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)が初優勝を飾った。
春のクラシック前半戦で活躍が目立ったのは2021年ロード世界選手権王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)。24歳の若きスプリンターはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)を下したヘント〜ウェヴェルヘム(3月27日)を含め、ワールドツアー3連勝と世界王者の強さをアピールした。
しかし、集団スプリントではロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)の強さが頭一つ抜けていた。ロンド・ファン・ドレンテ(3月13日)でバルサモとの直接対決を制したウィーベスは、ライド・ロンドンクラシック(5月27〜29日)の3戦全勝を皮切りにシーズン21勝と手がつけられない強さを誇示。自身初となるヨーロッパ選手権制覇に加え、ツール・ファムで区間2勝を飾った23歳は圧巻の一言だった。
今年最も名を上げた選手といえば、アムステルゴールドレース(4月10日)を独走勝利したマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJスエズ・フチュロスコープ)だろう。2018年に弱冠20歳にしてイタリアロード選手権を制したカヴァッリは、ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌでファンフルーテンのアタックに追従し、最後は差し切り優勝。シーズン序盤にワールドツアー2勝を挙げ、ジロ・デ・イタリア ドンネの総合優勝に挙げられる活躍を見せた。
第2回を迎えたパリ〜ルーベ・ファム(4月16日)を制したのは、トレック・セガフレードに2年連続優勝をもたらしたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)だった。イタリア王者ジャージを着て臨んだロンゴボルギーニは残り33km地点で飛び出し、そのまま独走勝利。またロンゴボルギーニにとって今年はワールドツアーのウィメンズツアー(6月6〜11日)で総合優勝を飾り、直後のイタリアTT選手権で3連覇を達成するなど成功のシーズンとなっている。
次世代が活躍を見せるシーズン前半戦だったものの、今シーズン最も目立ったのはファンフルーテンで間違いない。共に数々の名勝負を生んだアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が昨年引退したこともあってか、女子レース最高峰と言われるジロ・デ・イタリア ドンネを総合2位に2分差近くつける大差で総合優勝を決めてみせた。
今年の女子ロードレース界最大のトピック言えば、初開催されたツール・ド・フランス ファム アヴェク ズイフト(7月24〜31日)だろう。男子ツールの最終日直前に、パリのシャンゼリゼ通りで行われた初日をロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が制し、2日目をフォス、3日目をプロトン屈指の人気選手であるセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ)が区間優勝を挙げ、大会を多いに盛り上げた。
だが、やはりこの大会も主役はファンフルーテンだった。2023年限りでの引退を発表しているファンフルーテンは、3つの1級山岳が組み込まれた第7ステージで60kmの大逃げを敢行してマイヨジョーヌを獲得。クイーンステージと目された最終第8ステージでも圧巻の登坂力を見せつけ、ダメ押しの2連続勝利と共に初代ツール・ド・フランス・ファムの総合優勝に輝いた。
その後もマイヨジョーヌを射止めたファンフルーテンの勢いは止まらず、セラティジット チャレンジ by ブエルタも総合優勝したことで、マリアローザとマイヨジョーヌ、そしてマイヨロホという3つのメジャーステージレースを全制覇する快挙を成し遂げた。
日本人で唯一欧州トップレースに参戦している與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は、昨年の手術とリハビリを経て3月9日よりシーズンイン。その後は徐々にコンディションを上げ、フランスのステージレースであるCICツール・フェミナン・アンテルナショナル・デ・ピレネー(8月5〜7日)で総合2位の快挙を成し遂げた。ロード全日本選手権こそ2位で終わったものの、所属チームとも契約延長して2023年への期待高まるシーズンとなった。
今年の女子シーズンを締めくくるロード世界選手権がオーストラリア・ウロンゴンで開催された。先んじて行われた個人タイムトライアル(9月17日)は、不得手とするテクニカルなコースにも関わらず持ち前のスピードでエレン・ファンダイク(オランダ)が2年連続3回目の優勝。そしてロードレースではその3日前のチームTTで右肘を骨折したファンフルーテンが、ラスト1kmで先頭集団に合流し、虚を突くスプリントでロードでは2度目となるアルカンシエルを射止めた。
2023年はツアー・ダウンアンダーが女子ワールドツアーに昇格するため、選手たちは1月15日からシーズンが始まることに。また女子版UAEツアーの開始や第2回目のツール・ド・フランス・ファム、開催されれば4年ぶりとなる中国での2連戦(ツアー・オブ・チョンミンアイランド&ツアー・オブ・グワンシー)など、着実に規模を拡大している来年の女子レースに注目だ。
コロナ禍でカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースが2年連続の中止となったため、今年も砂埃舞う未舗装路を走るストラーデビアンケ(3月5日)で幕開けした2022年のUCIウィメンズワールドツアー。最後の石畳坂で仕掛けたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)に食らいつき、スプリント力で上回ったロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)が初優勝を飾った。
春のクラシック前半戦で活躍が目立ったのは2021年ロード世界選手権王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)。24歳の若きスプリンターはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)を下したヘント〜ウェヴェルヘム(3月27日)を含め、ワールドツアー3連勝と世界王者の強さをアピールした。
しかし、集団スプリントではロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)の強さが頭一つ抜けていた。ロンド・ファン・ドレンテ(3月13日)でバルサモとの直接対決を制したウィーベスは、ライド・ロンドンクラシック(5月27〜29日)の3戦全勝を皮切りにシーズン21勝と手がつけられない強さを誇示。自身初となるヨーロッパ選手権制覇に加え、ツール・ファムで区間2勝を飾った23歳は圧巻の一言だった。
今年最も名を上げた選手といえば、アムステルゴールドレース(4月10日)を独走勝利したマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJスエズ・フチュロスコープ)だろう。2018年に弱冠20歳にしてイタリアロード選手権を制したカヴァッリは、ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌでファンフルーテンのアタックに追従し、最後は差し切り優勝。シーズン序盤にワールドツアー2勝を挙げ、ジロ・デ・イタリア ドンネの総合優勝に挙げられる活躍を見せた。
第2回を迎えたパリ〜ルーベ・ファム(4月16日)を制したのは、トレック・セガフレードに2年連続優勝をもたらしたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)だった。イタリア王者ジャージを着て臨んだロンゴボルギーニは残り33km地点で飛び出し、そのまま独走勝利。またロンゴボルギーニにとって今年はワールドツアーのウィメンズツアー(6月6〜11日)で総合優勝を飾り、直後のイタリアTT選手権で3連覇を達成するなど成功のシーズンとなっている。
次世代が活躍を見せるシーズン前半戦だったものの、今シーズン最も目立ったのはファンフルーテンで間違いない。共に数々の名勝負を生んだアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が昨年引退したこともあってか、女子レース最高峰と言われるジロ・デ・イタリア ドンネを総合2位に2分差近くつける大差で総合優勝を決めてみせた。
今年の女子ロードレース界最大のトピック言えば、初開催されたツール・ド・フランス ファム アヴェク ズイフト(7月24〜31日)だろう。男子ツールの最終日直前に、パリのシャンゼリゼ通りで行われた初日をロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が制し、2日目をフォス、3日目をプロトン屈指の人気選手であるセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ)が区間優勝を挙げ、大会を多いに盛り上げた。
だが、やはりこの大会も主役はファンフルーテンだった。2023年限りでの引退を発表しているファンフルーテンは、3つの1級山岳が組み込まれた第7ステージで60kmの大逃げを敢行してマイヨジョーヌを獲得。クイーンステージと目された最終第8ステージでも圧巻の登坂力を見せつけ、ダメ押しの2連続勝利と共に初代ツール・ド・フランス・ファムの総合優勝に輝いた。
その後もマイヨジョーヌを射止めたファンフルーテンの勢いは止まらず、セラティジット チャレンジ by ブエルタも総合優勝したことで、マリアローザとマイヨジョーヌ、そしてマイヨロホという3つのメジャーステージレースを全制覇する快挙を成し遂げた。
日本人で唯一欧州トップレースに参戦している與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は、昨年の手術とリハビリを経て3月9日よりシーズンイン。その後は徐々にコンディションを上げ、フランスのステージレースであるCICツール・フェミナン・アンテルナショナル・デ・ピレネー(8月5〜7日)で総合2位の快挙を成し遂げた。ロード全日本選手権こそ2位で終わったものの、所属チームとも契約延長して2023年への期待高まるシーズンとなった。
今年の女子シーズンを締めくくるロード世界選手権がオーストラリア・ウロンゴンで開催された。先んじて行われた個人タイムトライアル(9月17日)は、不得手とするテクニカルなコースにも関わらず持ち前のスピードでエレン・ファンダイク(オランダ)が2年連続3回目の優勝。そしてロードレースではその3日前のチームTTで右肘を骨折したファンフルーテンが、ラスト1kmで先頭集団に合流し、虚を突くスプリントでロードでは2度目となるアルカンシエルを射止めた。
2023年はツアー・ダウンアンダーが女子ワールドツアーに昇格するため、選手たちは1月15日からシーズンが始まることに。また女子版UAEツアーの開始や第2回目のツール・ド・フランス・ファム、開催されれば4年ぶりとなる中国での2連戦(ツアー・オブ・チョンミンアイランド&ツアー・オブ・グワンシー)など、着実に規模を拡大している来年の女子レースに注目だ。
2022年シーズン女子ロード 主要レース結果
開催日 | レース名 | 勝者 |
---|---|---|
3月5日 | ストラーデビアンケ | ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) |
4月3日 | ロンド・ファン・フラーンデレン | ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) |
4月10日 | アムステルゴールドレース レディースエディション | マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJスエズ・フチュロスコープ) |
4月20日 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌ | マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJスエズ・フチュロスコープ) |
4月24日 | リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
6月30日-7月10日 | ジロ・デ・イタリア ドンネ | 総合優勝:アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
7月24日-7月31日 | ツール・ド・フランス ファム アヴェク ズイフト | 総合優勝:アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
9月7日-9月11日 | セラティジット チャレンジ by ブエルタ | 総合優勝:アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
9月18日 | ロード世界選手権個人タイムトライアル | エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード) |
9月24日 | ロード世界選手権ロードレース | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
text:Sotaro.Arakawa
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