2022/11/07(月) - 11:59
シクロクロスのヨーロッパ王者を決める戦いがナミュール要塞で開催。マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)とフェム・ファンエンペル(オランダ)がそれぞれ男女エリートで初戴冠を決めている。
長い下りキャンバーなど、テクニカルかつ登坂力や担ぎ上げ能力も問われる難コース photo:CorVos
実質的にベルギー/オランダを筆頭にするヨーロッパ勢が支配するシクロクロス界において、シーズン前半戦の大一番であるヨーロッパ選手権が開催。1年間のヨーロッパチャンピオンジャージ着用権利を決める戦いの舞台は、これまでUCIワールドカップの舞台として幾多の名勝負を生み出してきたナミュール要塞だ。
スタート直後の激坂登りに始まり、名物の長い下りキャンバーや、何度も訪れる担ぎ上げ区間と急勾配ドロップオフなど、大きな起伏が繰り返されるタフコース。女子エリートと男子U23が行われる土曜日は湿ったハードパック、男子エリートと女子U23開催日である日曜日は雨によって路面が緩み、超スリッピーなコンディション下でレースが行われた。
女子エリート:メカトラブルを跳ね除けファンエンペル初戴冠
名物のキャンバー区間で追い上げるフェム・ファンエンペル(オランダ) photo:CorVos
オランダが席巻する女子エリートレースでは、まず昨年覇者ルシンダ・ブラント(オランダ)が数週間前の手首骨折が完治せず未出走。さらにU23世界王者パック・ピーテルスとシリン・ファンアンローイ(共にオランダ/20歳)がU23カテゴリーに出走したため、エリートを選んだUCIワールドカップリーダーのフェム・ファンエンペル(オランダ)に対し、誰がどこまで肉薄できるかが争点となった。
世界選手権を目指すポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)や、徐々にコンディションを上げる世界女王マリアンヌ・フォス(オランダ)と共に出走したファンエンペルは順調にレースを率いていたが、レース開始後10分が経過したピット入口通過後にメカトラブルに見舞われ、バイクを担いでコースを逆走し、ピットに入り直してバイクチェンジ。30秒以上のビハインドを背負ったものの、ここから圧倒的な追い上げが始まった。
注目のポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)は7位でレースを終えた photo:CorVos
レースを引っ張るカータ・ヴァス(ハンガリー) photo:CorVos
エリートカテゴリーでの選手権初優勝を挙げたフェム・ファンエンペル(オランダ) photo:CorVos
ヨーロッパチャンピオンジャージに袖を通したフェム・ファンエンペル(オランダ) photo:CorVos
ファンエンペルはあっという間にフェランプレヴォやフォスをパスし、逃げる先頭グループを6周回中の4周目にキャッチ。じわじわとペースを上げて最後まで食い下がるセイリン・アルバラード(オランダ)を軽々と振り切ってしまう。
「ナミュールは何でも起こり得るコースだから、遅れた後も絶対に諦めなかった」と言うファンエンペルが欧州選手権を制覇。今季向かう所敵なし状態の20歳がエリートカテゴリーで初のチャンピオンジャージを射止めた。2位はアルバラード、ハンガリーのカータ・ヴァスが3位に入りオランダの表彰台独占を阻止している。
男子エリート:ファンデルハールを下し、ファントーレンハウトが初優勝
気温9度、雨。今季のビッグレース初となる泥コンディションで2日間のヨーロッパ選手権を締めくくる男子エリートレースが争われた。
レース中盤までリードを築いたラース・ファンデルハール(オランダ) photo:CorVos
今季ここまで突出した力を維持しているのは、UCIワールドカップランキング首位のエリ・イゼルビット(ベルギー)と、先日にW杯初勝利を挙げたばかりのローレンス・スウェーク(ベルギー)、そして欧州選手権に向けて力強さを増しているラース・ファンデルハール(オランダ)の3名だ。
しかしイゼルビットはスタートこそ決めたものの、序盤にミスを出して後方に沈み、時間を要さずリタイアが報じられる。「バランスを崩してランニングした時に左足に違和感を覚えた。ずっと抱えていた左半身の違和感が再発してしまい、もうレースを続けられなくなった」と言う優勝候補が去ったとき、レースを支配したのは大会2連覇が懸かるファンデルハールだった。
体調不良でDNFに終わったエリ・イゼルビット(ベルギー) photo:CorVos
下り区間で致命的な落車を喫したラース・ファンデルハール(オランダ) photo:CorVos
ファンデルハールを追い抜き、独走に持ち込むマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) photo:CorVos
ファンデルハールは唯一食い下がるマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)を引き離して独走体制を築いたが、全9周回中の5周目に前輪パンクでペースを落とし、ピットでバイク交換をする際にファントーレンハウトに追いつかれてしまう。「それまでは全くプレッシャーもなく全てをコントロールできていた。でも、彼は追いついてすぐギアを切り替えた」と振り返るファンデルハールは、焦りから細かいミスを出し、ついには激下り区間でライン選びを間違え転倒してしまう。このアクシデントが大きく勝負の明暗を分けた。
ビッグレースの表彰台常連でありながら、エリートカテゴリーでは無冠だった(U23時代は欧州と世界タイトル獲得)ファントーレンハウトがレース後半の30分間を独走した。2番手で食い下がるファンデルハールはほぼ同じフィジカルを披露したものの、特にナミュール名物の長い下りキャンバーの処理でロスを出し、タイム差は徐々に広がっていく。ファントーレンハウトのリードは最終周回突入時で41秒まで広がっていた。
「ここ数週間はコンディショニングに苦しんだけれど、コッペンベルグで上向きになり、今日はウォームアップ中に良い感触を得ていた」と言うファントーレンハウトが独走フィニッシュ。常にベルギーチームの主力の一人だった28歳が、ようやくエリートカテゴリー初のチャンピオンジャージを掴み取った。
エリートカテゴリーで初タイトルを掴んだマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) photo:CorVos
ヨーロッパチャンピオンジャージに袖を通したマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) photo:CorVos
「ラースを追いかけている時はすごくタフだった。僕もミスしたけれど、彼もたくさんミスを出した。冷静さを保ちながら走るのは難しかったけれど、最大の勝利を手に入れることができた。本当に嬉しい」と、今後1年間着用するヨーロッパジャージを受け取ったファントーレンハウトは語っている。
U23女子はピーテルス、U23男子はフェルストリンゲ
女子U23世界王者パック・ピーテルス(オランダ)がU23レースを制覇 photo:CorVos
男子U23はエミエル・フェルストリンゲが優勝。ベルギーが表彰台を独占した photo:CorVos
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実質的にベルギー/オランダを筆頭にするヨーロッパ勢が支配するシクロクロス界において、シーズン前半戦の大一番であるヨーロッパ選手権が開催。1年間のヨーロッパチャンピオンジャージ着用権利を決める戦いの舞台は、これまでUCIワールドカップの舞台として幾多の名勝負を生み出してきたナミュール要塞だ。
スタート直後の激坂登りに始まり、名物の長い下りキャンバーや、何度も訪れる担ぎ上げ区間と急勾配ドロップオフなど、大きな起伏が繰り返されるタフコース。女子エリートと男子U23が行われる土曜日は湿ったハードパック、男子エリートと女子U23開催日である日曜日は雨によって路面が緩み、超スリッピーなコンディション下でレースが行われた。
女子エリート:メカトラブルを跳ね除けファンエンペル初戴冠
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オランダが席巻する女子エリートレースでは、まず昨年覇者ルシンダ・ブラント(オランダ)が数週間前の手首骨折が完治せず未出走。さらにU23世界王者パック・ピーテルスとシリン・ファンアンローイ(共にオランダ/20歳)がU23カテゴリーに出走したため、エリートを選んだUCIワールドカップリーダーのフェム・ファンエンペル(オランダ)に対し、誰がどこまで肉薄できるかが争点となった。
世界選手権を目指すポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)や、徐々にコンディションを上げる世界女王マリアンヌ・フォス(オランダ)と共に出走したファンエンペルは順調にレースを率いていたが、レース開始後10分が経過したピット入口通過後にメカトラブルに見舞われ、バイクを担いでコースを逆走し、ピットに入り直してバイクチェンジ。30秒以上のビハインドを背負ったものの、ここから圧倒的な追い上げが始まった。
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「ナミュールは何でも起こり得るコースだから、遅れた後も絶対に諦めなかった」と言うファンエンペルが欧州選手権を制覇。今季向かう所敵なし状態の20歳がエリートカテゴリーで初のチャンピオンジャージを射止めた。2位はアルバラード、ハンガリーのカータ・ヴァスが3位に入りオランダの表彰台独占を阻止している。
男子エリート:ファンデルハールを下し、ファントーレンハウトが初優勝
気温9度、雨。今季のビッグレース初となる泥コンディションで2日間のヨーロッパ選手権を締めくくる男子エリートレースが争われた。
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今季ここまで突出した力を維持しているのは、UCIワールドカップランキング首位のエリ・イゼルビット(ベルギー)と、先日にW杯初勝利を挙げたばかりのローレンス・スウェーク(ベルギー)、そして欧州選手権に向けて力強さを増しているラース・ファンデルハール(オランダ)の3名だ。
しかしイゼルビットはスタートこそ決めたものの、序盤にミスを出して後方に沈み、時間を要さずリタイアが報じられる。「バランスを崩してランニングした時に左足に違和感を覚えた。ずっと抱えていた左半身の違和感が再発してしまい、もうレースを続けられなくなった」と言う優勝候補が去ったとき、レースを支配したのは大会2連覇が懸かるファンデルハールだった。
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ビッグレースの表彰台常連でありながら、エリートカテゴリーでは無冠だった(U23時代は欧州と世界タイトル獲得)ファントーレンハウトがレース後半の30分間を独走した。2番手で食い下がるファンデルハールはほぼ同じフィジカルを披露したものの、特にナミュール名物の長い下りキャンバーの処理でロスを出し、タイム差は徐々に広がっていく。ファントーレンハウトのリードは最終周回突入時で41秒まで広がっていた。
「ここ数週間はコンディショニングに苦しんだけれど、コッペンベルグで上向きになり、今日はウォームアップ中に良い感触を得ていた」と言うファントーレンハウトが独走フィニッシュ。常にベルギーチームの主力の一人だった28歳が、ようやくエリートカテゴリー初のチャンピオンジャージを掴み取った。
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「ラースを追いかけている時はすごくタフだった。僕もミスしたけれど、彼もたくさんミスを出した。冷静さを保ちながら走るのは難しかったけれど、最大の勝利を手に入れることができた。本当に嬉しい」と、今後1年間着用するヨーロッパジャージを受け取ったファントーレンハウトは語っている。
U23女子はピーテルス、U23男子はフェルストリンゲ
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シクロクロスヨーロッパ選手権2022-2023 男子エリート結果
1位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) | 1:06:47 |
2位 | ラース・ファンデルハール(オランダ) | +0:40 |
3位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー) | +2:17 |
4位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ) | +2:48 |
5位 | ケビン・クーン(スイス) | +2:51 |
6位 | フェリペ・オルツ(スペイン) | +2:54 |
7位 | ミカエル・ボロシュ(チェコ) | +3:03 |
8位 | トーン・ファンデボシュ(ベルギー) | +3:13 |
9位 | メース・ヘンドリクス(オランダ) | +3:16 |
10位 | ティモン・リュエッグ(スイス) | +3:22 |
シクロクロスヨーロッパ選手権2022-2023 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ) | 50:25 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ) | +0:22 |
3位 | カータ・ヴァス(ハンガリー) | +0:36 |
4位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ) | +0:46 |
5位 | サラ・カサソラ(イタリア) | +1:53 |
6位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ) | +2:06 |
7位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) | +2:26 |
8位 | アニック・ファンアルフェン(オランダ) | +2:56 |
9位 | マリアンヌ・フォス(オランダ) | +3:07 |
10位 | アンナ・カイ(イギリス) | +3:15 |
シクロクロスヨーロッパ選手権2022-2023 男子U23結果
1位 | エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー) | 51:40 |
2位 | ティボー・ネイス(ベルギー) | +0:06 |
3位 | ウェイツ・メーウセン(ベルギー) | +0:11 |
シクロクロスヨーロッパ選手権2022-2023 女子U23結果
1位 | パック・ピーテルス(オランダ) | 49:02 |
2位 | リヌ・ブルキエ(フランス) | +0:50 |
3位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ) | +1:27 |
text:So.Isobe
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