レーシングバイクからライフスタイルに密接なクロスバイクまで、幅広いラインアップで人気を誇るビアンキが、欧州では市場の半数を占めるまでに至ったE-BIKEの日本展開を開始する。E-OMNIAシリーズのC-TYPEとT-TYPEというアーバン系モデルが、第一弾として販売開始。メディア発表会の様子を紹介しよう。



ビアンキ E-OMNIA(左:C-TYPE、右:T-TYPE)ビアンキ E-OMNIA(左:C-TYPE、右:T-TYPE)
「ヨーロッパでは既に自転車販売の半数がE-BIKE」とサイクルヨーロッパジャパンの小櫃さんがメディア向け発表会で語るように、欧州で浸透した電動アシスト自転車。ビアンキは2019年のユーロバイクでE-SUVと題したコンセプトモデルを発表し、その後にE-OMNIAというシリーズをローンチ。F1の元世界王者ニコ・ロズベルグをアンバサダーに迎え、新たなモビリティをヨーロッパ圏に紹介してきた。そして2022年、日本でもついにビアンキの考える次世代のアーバンモビリティが展開される。

ビアンキは既存のロードバイクやクロスバイクなどとE-BIKEのカテゴリーを分け、Bianchi Lif-e(ライフ・イー)というE-BIKEのブランドを立ち上げた。Lif-eで重要視するコンセプトは、自転車の開発におけるイノベーション、自転車に乗ることでもたらされるイノベーション、自転車を通じて地球環境など持続可能な社会に貢献するサステナビリティの三本柱。

ビアンキ E-Omnia C-TYPEビアンキ E-Omnia C-TYPE
C-TYPEはステップスルーフレームとされ、乗り降りがしやすいことが特徴だC-TYPEはステップスルーフレームとされ、乗り降りがしやすいことが特徴だ
Lif-eブランドで用意されるアーバンバイクからMTBまで多岐に渡る。その中から日本でまず扱われるのはE-OMNIA(イー・オムニア)だ。OMNIAはラテン語で「すべて」を意味する言葉で、OMNIAシリーズにはC、T、Xという3つのモデルが用意されているが、日本ではさらにラインアップを洗練させCとTからE-BIKEの展開をスタートさせる。

それぞれのモデルは一見したところから、その使用用途を想定することができる。Cはステップスルーのフレームを採用しており、デニムのような伸びにくい生地のズボンやスカートを履いていても乗りやすいことが特徴で、日常生活での扱いやすさが際立つモデルだ。上体を起こすリラックスした姿勢で乗れるため、スポーツバイクの経験がなくても安心して乗りこなせる。

ビアンキ E-OMNIA T-TYPEビアンキ E-OMNIA T-TYPE
対して、Tはトップチューブを備えスポーティーな雰囲気を演出するトレッキングバイクだ。本格的なサスペンションフォークやドロッパーシートポストを装備し、舗装路だけでなくグラベルまでカバーする懐の深さを身につけている。

各バイクで共通するのはこれまでの自転車とは一線を画するような先鋭的なルックス。特にヘッドチューブとそこに内蔵されるフロントライトはオートバイのようで、ヘッドチューブ側面のイーグルロゴもこれまでのビアンキにはないデザインだ。無骨な雰囲気を醸し出すリア三角に組み込まれたリアライトは、バッテリーを標準装備するE-BIKEの美点を活かすインテグレートデザインで洗練された印象を与える。

リアラックが一体となっているリアラックが一体となっている
バスケットも用意されているバスケットも用意されている パニアバッグがオプションとして用意されるパニアバッグがオプションとして用意される


またシートステーにはフレームデザインの一部としてラックが溶接された。ラックにはワンタッチでバッグやバスケットを着脱できるマウントがビルトインされており、見た目の統一感をそのままにバッグの着脱を容易にしている。バッグやバスケットはオプション品と用意されているため、合わせてチェックしておきたい。他にもフェンダーやベル、スタンドも標準で装備しており、ビアンキの世界観を反映させたままで使い勝手に優れることもポイントだ。

搭載される電動アシストユニットはボッシュのPERFORMANCE LINE CXというスポーツバイクにも採用されるハイパフォーマンス機。625Whの大容量バッテリーを備え、最大航続距離の参考値は約170kmだ。最大85Nmというトルクフルなアシストパワーは、シティ向けのC-TYPEでもアップダウンのあるサイクリングで力強く背中を押し、レジャーライドまで楽しませてくれる。

アレンジされたビアンキのイーグルマークがあしらわれているアレンジされたビアンキのイーグルマークがあしらわれている オートバイのようなフロントライトが内蔵されているオートバイのようなフロントライトが内蔵されている

リアライトも左右それぞれに内蔵されているリアライトも左右それぞれに内蔵されている メンテナンスフリーのベルトドライブが採用されたメンテナンスフリーのベルトドライブが採用された

キックスタンドが標準装備されているキックスタンドが標準装備されている シマノNEXUSの内装変速がアセンブルされるシマノNEXUSの内装変速がアセンブルされる


ドライブトレインはシマノの内装変速システムNEXUS。メンテナンスフリーのベルトドライブを採用することで、メカニック作業が苦手な方でも安心して長い期間乗り続けられるバイクを実現した。ベルトドライブはチェーンの注油が不要なシステムで、ズボンやスカートの裾を油で汚しにくく、通勤通学など移動目的で使用する時には美点となる。

予定価格はC-TYPEが880,000円(税込)、T-TYPEが935,000円(税込)。「ビアンキは自動化が進む時代において、ユーザー自らが想像力を働かせて生活をデザインしたい人に向けてLif-eを立ち上げました。イタリアンデザインのE-BIKEとともに明るい未来を描きたい方に乗ってもらいたいです」とサイクルヨーロッパジャパンのマーケティング部のアシスタント・マネージャーを務める小櫃さんが言う。

ヘッドユニットが収まる特別ステムがアセンブルされているヘッドユニットが収まる特別ステムがアセンブルされている
アシストユニットはボッシュのPERFORMANCE LINE CXが採用されたアシストユニットはボッシュのPERFORMANCE LINE CXが採用された
さらに発表会に続き行われたパネルディスカッションで、E-OMNIAを活用する未来を垣間見た。パネルディスカッションにはドイツのボッシュから豊田さん、まちづくりのプロフェッショナル三菱地所から藤井さん、レジャーとしての自転車を知るバイシクルクラブの山口さんが登壇。全員が口を揃えて言うのは欧州ではE-BIKEの普及が急速に進んでいること。ロンドン五輪の際に現地でオフィスビル開発に従事した藤井さんからは、そのビルに用意した自動車の駐車スペースは31台分に対して、自転車用スペースとロッカーは200台超分を用意したというエピソードが披露された。

さらに藤井さんは「自転車を活用する上では、自転車を受け入れる環境が大事ですよね。社内でも徐々にですが意識が変わってきており、大手町で近年竣工したビルでは700台、私が勤めている丸の内二重ビルでは約60台のスペースがあり、高価な自転車でも通勤できるようになってきています。今後のまちづくりはモビリティも合わせて考えていくことになります」と言う。

「イタリアでは投資を大規模に行い、生産力や開発力を強化しています」と言う高橋サイクルヨーロッパジャパン社長「イタリアでは投資を大規模に行い、生産力や開発力を強化しています」と言う高橋サイクルヨーロッパジャパン社長 「E-omniaを活用する明るい未来を伝えていきたい」とサイクルヨーロッパジャパンの小櫃さん「E-omniaを活用する明るい未来を伝えていきたい」とサイクルヨーロッパジャパンの小櫃さん

ボッシュの豊田佑一さん(左)、三菱地所の藤井宏章さん(右)がそれぞれの視点でモビリティを語ったボッシュの豊田佑一さん(左)、三菱地所の藤井宏章さん(右)がそれぞれの視点でモビリティを語った 発表会のMCは多方面で活躍するサッシャさん発表会のMCは多方面で活躍するサッシャさん


レジャーで活用するE-BIKEと言う面では、ボッシュの豊田さんが「E-BIKEはグランピングのようなもの。自転車愛好家だけではなく、パートナーや子供と一緒に楽しめるのが魅力。ただ自動で進むわけではないので、ライダーが意志を持って前進させることが楽しさにも繋がっています。ヨーロッパでは多彩な自転車が電動アシストとなっているので、日本でもいろいろな自転車が増えてくることを期待しています」と語った。

E-OMNIAは、欧州を中心に進む自転車を活用した生活と、ライフスタイルを充実させるレジャーに自転車を活かす側面に貢献するとスピーカーたちの言葉で確認できたパネルディスカッションだった。欧州が示す次世代のモビリティを体現するバイクのE-OMNIAは、今後注目のプロダクトだ。

パネルディスカッションではモビリティの未来について語ったパネルディスカッションではモビリティの未来について語った


ビアンキ E-Omnia C-TYPE
フレーム:ALUMINUM w/REAR CARRIER
モーターユニット:BOSCH PERFORMANCE LINE CX
バッテリー:BOSCH 625Wh Battery
ドライブトレイン:SHIMANO NEXUS 5SP w/CDX BELT DRIVE
価格:880,000円(税込)

ビアンキ E-Omnia T-TYPE
フレーム:ALUMINUM w/REAR CARRIER
モーターユニット:BOSCH PERFORMANCE LINE CX
バッテリー:BOSCH 625Wh Battery
ドライブトレイン:SHIMANO NEXUS 5SP w/CDX BELT DRIVE
価格:935,000円(税込)

E-Omniaオプション
パニアバッグ:41,800円(税込)
バスケット:14,080円(税込)
トップバッグ:19,580円(税込)

text:Gakuto Fujiwara
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