2019年から2年間の中止を経て復活したジャパンカップ。本日のチームプレゼンテーションをはじめ、宇都宮市街を熱狂に包む土曜日のクリテリウム、そして古賀志林道で白熱の登坂バトルが繰り広げられる日曜日のロードレースを紹介します。



3年ぶりに復活した日本最大のワンデーレース

スタート時点は暖かい太陽の光が差し込むスタート時点は暖かい太陽の光が差し込む photo:Kei Tsuji
平成2年(1990年)に宇都宮を舞台に開催されたロード世界選手権。その2年後の1992年にメモリアルレースとして開催されたのが第1回ジャパンカップだ。それ以降、シーズンの締めくくるレースとして毎年世界のトップ選手たちが集結。日本のロードレースファンを熱狂させる戦いが毎年繰り広げられてきた。

2008年からはアジア最高峰のカテゴリーであるHC(現在はPro)カテゴリーに昇格し、2010年からは宇都宮市大通でクリテリウムレースが併催される2日間の巨大イベントに成長。その日本随一のサイクリングイベントが、コロナ禍での2年の中止期間を経て10月14〜16日に開催される。



10月15日(土):ジャパンカップクリテリウム

宇都宮市大通り周回コース
周長:1周=2.25km
総距離:33.75km(2.25km×15周)

宇都宮市大通りを封鎖して行われるジャパンカップクリテリウム宇都宮市大通りを封鎖して行われるジャパンカップクリテリウム photo:Kei Tsuji
ジャパンカップクリテリウムは宇都宮市の目抜き通りである宇都宮市大通りを規制して作られた直線コースが舞台。直近の2019年大会は今年2連覇を狙うエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)がソンニ・コルブレッリ(イタリア、当時バーレーン・メリダ)を下して優勝している。

コースは宇都宮市大通を反時計回りに回る1周2.25km/全長33.75kmで争われる。選手たちはパレード走行を2周した後「バンバひろば」の正面に設置されたスタート/フィニッシュ地点を出発する。コーナーは東部馬車道通り入り口と上河原交差点の2ヶ所で、ラスト600mは直線路だが、フィニッシュ地点は緩い登りをこえた先に引かれている。

翌日のジャパンカップが登坂レースであるため、出場リストにはクライマーやパンチャー系の選手が目立つものの、前回勝者のトゥーンスは2連覇を狙うべく出場予定。日本からは地元の宇都宮ブリッツェンのエースプリンターである小野寺玲や10月のツール・ド・台湾で区間1勝を挙げた岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、ナショナルチームとして出場する山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)のスプリントにも注目だ。

ジャパンカップ2022クリテリウムコースマップジャパンカップ2022クリテリウムコースマップ image:Japan Cup


10月16日(日):ジャパンカップ

宇都宮市森林公園周回コース
周長:1周=10.3km
総距離:144.2km(10.3km×14周)

2019年大会の古賀志林道2019年大会の古賀志林道 photo:Kei Tsuji
ジャパンカップ2022 コースマップジャパンカップ2022 コースマップ image:Japan Cupアジア最高峰のUCIProカテゴリーのレースとして開催されるジャパンカップ本戦。第29回大会は2019年のコースと同様に1周10.3kmx14周=144.2kmで争われ、標高差185mを一気に駆け上がる古賀志林道の存在によって獲得標高差は2,590mに達する。1周の平均予想タイムは16分と算出されるため、レース時間は3時間半〜4時間となる見込みだ。

スタート地点は大型ビジョンや表彰台が設置される森林公園駐車場。赤川ダムの脇を通り、僅か1kmで早速「古賀志林道」の登りが始まる。つづら折りの登り坂はジャパンカップをジャパンカップたらしめる名物スポットで、多くの観客が苦悶の表情で駆け上がる選手へ声援を送る。また3周、6周、9周、12周目をトップ通過した選手にそれぞれ山岳賞が与えられるため、激しい登坂バトルが繰り返し繰り広げられるだろう。

その後は狭いコーナーが連続する3kmの下り坂。車両通行の少ない林道であるため路面に苔が生えているものの、今回も運営スタッフが高圧洗浄機で整備済みだ。とはいえテクニカルなダウンヒルであることには変わりなく、観戦が全面的に禁止されているため状況の把握はレース中継頼りとなる。

2.5kmの平坦区間を経て田野町交差点からはスタート/フィニッシュ地点までは登り基調のワインディングが続いていく。ここは登りと下りで縦長となった集団からアタックが頻発する区間でもある。

優勝候補のジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)優勝候補のジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード) photo:Makoto AYANO
スプリントでキンタナを下したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)スプリントでキンタナを下したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVosかなり絞れている印象のアントワン・トールク(オランダ、トレック・セガフレード)かなり絞れている印象のアントワン・トールク(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Makoto AYANO

2019年大会では13周目の古賀志林道でアタックしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が、唯一追従したマイケル・ウッズ(カナダ、現EFエデュケーション・イージーポスト)とのマッチスプリントを制し優勝した。今大会では両者とも不出場となったものの、今年のジロ・デ・イタリアの山岳ステージで区間優勝を挙げたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)などが優勝候補に挙げられる。

その他にもコフィディスから2020年ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞に輝いたギヨーム・マルタン(フランス)、ジロ・デ・イタリアとブエルタの両方で勝利経験のあるティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が出場。また2017年に4位、2018年は2位で表彰台に上がったアントワン・トールク(オランダ、トレック・セガフレード)も再び宇都宮に戻ってくる。

初参戦ながら強力なメンバーを揃えたコフィディス初参戦ながら強力なメンバーを揃えたコフィディス photo:Makoto AYANO
試走で登りアタックのシミュレーションを繰り返すニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)試走で登りアタックのシミュレーションを繰り返すニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Makoto AYANO
ナショナルチャンピオンジャージを着て走る新城幸也とフェン・チュンカイ(バーレーン・ヴィクトリアス)ナショナルチャンピオンジャージを着て走る新城幸也とフェン・チュンカイ(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Makoto AYANO
中根英登がメンバー入りするEFエデュケーション・イージーポストはリゴベルト・ウラン(コロンビア)がコロナ感染で出場をキャンセルしたものの、登坂力に秀でるニールソン・ポーレス(アメリカ)を主軸に据え、普段デベロップメントチームに所属する岡篤志と門田祐輔を召集している。

そして昨日、バーレーン・ヴィクトリアスとの契約更新(1年契約)を発表したばかりの新城幸也はやはり最大の注目。日本王者ジャージを日本のファンの前で初披露し、ジャパンカップ初勝利を狙う。



ジャパンカップクリテリウム:10月15日(土)
会場:宇都宮市大通り
14:30~ 各種レース
15:40~ ジャパンカップクリテリム
16:30頃 レースフィニッシュ
18:40~ 表彰式(オリオンスクエア)

ジャパンカップサイクルロードレース:10月16日(日)
会場:宇都宮市森林公園
9:00~ 選手紹介・出走サイン
10:00~ ジャパンカップサイクルロードレース
14:10頃 レースフィニッシュ
14:30~ 表彰式

text:Sotaro.Arakawa

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