2022/10/05(水) - 18:25
3年ぶりのフルスペック開催となった走ってみっぺ南会津。迫る台風14号の前に、9連勝中の晴れ記録も崩れるかと思いきや、10連勝へと星を伸ばした「持っている」イベントは、マトン丼をはじめとした地元グルメと絶景スポットでもてなしてくれた。(レポート前編はこちらから)
秋桜が咲く横を走り抜ける
さて、第1エイドを出発したら、そのまま同じく国道を下っていくことに。途中には左手に古民家が集う「前沢曲屋集落」もあり、走ってみっぺ南会津の参加者は見学することも出来る。
もう少し下流では舘岩川の一部区間を特別漁区に設定した「たのせヤマメの里」も登場。足場もアクセスも良く、安全に渓流釣りを楽しめるエリアとなっており、他の区間よりも多くの魚が放流されているとのことで、釣り人にも人気のスポットなのだという。
舘岩川を渡っていく
ちなみにこの舘岩川、そしてその支流は美しい渓相と濃い魚影を求め、全国からアングラーが集う渓流釣りのメッカなのだという。釣りを愛するサイクリストは、前日に釣りを楽しみ、当日は走ってみっぺ南会津、という最高の週末を過ごしてみてもいいのではないだろうか。というよりも、私もいつかやってみたいと画策している計画である(笑)。
さて、そんなことを考えていると第2エイドに到着。舘岩川と伊南川の合流地点に設けられた第2エイドでは、地元の名産南郷トマト、そしてじゅうねん味噌をたっぷり塗ったお餅をゲット。
じゅうねん味噌団子と南郷トマトが待っていた第2エイド
じゅうねん味噌をたっぷり塗ったお餅
南郷トマトを頂きます
若杉さんとエイド食を頂く皆さん
やわらかあまいお餅とあまじょっぱいじゅうねん味噌のマリアージュが至福なのは言うに及ばず、南郷トマトもまた最高の一品。実はあまり酸っぱいトマトは好きじゃないのだが、南郷トマトはペロリと食べれてしまう。爽やかな甘さと酸っぱさの程よいバランス、そしてサクサクとした食感の締まった果肉で、まるでフルーツのような味わいだ。
2つのふるまいに満足したら、ここからは伊南川沿いを登っていくことに。登りとはいえ、斜度でいえば1~2%あるかどうか、といったところ。初心者でも気持ちよく漕いで行ける区間である。
伊南川沿いの道を屏風岩方面へと走っていきます
最大出力2000W超をブリッツェンの曽我部メカがパンク修理してくれました。2000Wのハンドタイヤレバーが炸裂!
舘岩川とはまた少し異なる渓相の伊南川の流れを眺めつつ、ペダルに力を込めていく。多少の坂もモノともしないのは、そう、この先に走ってみっぺの名物「マトン丼」が待っているから。
自然とペダルに力がこもったせいか、あっという間に第3エイドのたかはたスキー場へと到着。なんだかエイドに入ると同時においしそうな匂いが立ち込めている。そう、マトンがじゅうじゅうと焼ける匂いだ。
4つの鉄板でじゅうじゅう焼かれるマトン
ボリュームたっぷりのマトン丼、走ってみっぺ南会津のハイライトの一つです
今年もマトン丼に舌鼓
ブリッツェンのメンバーもマトン丼に大満足
今年も大量に用意されたマトン肉が4つの鉄板の上でじゃんじゃん焼かれていく。見ているだけでもスタミナが回復してきそうな光景だが、やはり頂いてナンボ、ということで列に並びどんぶりをゲット。
「今年は肉が大きいな」というセリフと共にドンッと盛られたマトン。その言葉通り確かに大きく、下のごはんはほぼ見えないレベル。毎度思うが、このイベントのカロリー収支は絶対にプラスな気がするが、マトンは脂質も少ないし問題ない……だろう!!
もちろん、皆さんもそんな細かいことは気にせず、マトン丼に舌鼓。ゲストのブリッツェンの選手らも、ブラーゼンの選手らもそれはもういい食べっぷりである。負けじと完食したら、向かうは更に上流にある絶景スポット「屏風岩」だ。
明暗差のあるスノーシェッドが何度か登場
屏風岩に到着!落ちないように気をつけてくださいね!(笑)
ブリッツェンラバーズも清流に大はしゃぎ
この先は、雪除けのスノーシェッドも増えてくるので、リアライトはしっかりつけて、折り返し地点へ登っていく。マトン丼でお腹を満たした後は、絶景で心を満たすという、なんとも贅沢な段取りに、コース設定の妙を感じつつ屏風岩へ。
屏風岩とはいわゆる柱状節理の岩壁。花崗岩の塊を長い年月をかけて伊南川が削りだした景観は、第2エイドあたりの穏やかな流れとは同じ川とは思えないダイナミズムに溢れている。
ダイナミックな景観が広がっています
ゆるやかな流れの箇所でひんやりした水に足を浸してリフレッシュ
以前、走ってみっぺ南会津が真夏に開催されていたころは、クールダウンに淵に全身を浸す参加者もいたけれど、流石に9月も中旬とあっては眺めるだけでも満足……と言いたいところだが、やっぱり綺麗な流れを見ていると少し足を浸したくなってしまうのは人の性。
靴下を脱いで、足を浸してみるだけでひんやり冷たく心地良い。童心に帰り、仲間同士でパシャパシャ水をかけあうなんて光景も繰り広げられるのは、走ってみっぺならではの雰囲気がなせるものだろう。
ゲストライダーの絹代さんがついに娘さんと一緒にサイクリング。人生初のロングライドだったそうです
さてこの屏風岩までくれば、あとは来たルートを戻っていくだけ。100kmコースの皆さんは伊南川をより下流まで下っていくことになるが、60kmコースは来た道をそのままなぞって帰っていく。
ちなみに、往路で第2エイドだった場所が第4エイドに、第1エイドだった場所が第5エイドとなっている。場所こそ同じだが、提供される物品は往復で違うので、ぜひ逃すことのないように立ち寄っていただきたい。
山口さんとラバーズの皆さん、シュークリームときゅうりがおいしい!
瑞々しいきゅうりがふるまわれました
緩やかな流れのたのせヤマメの里
第4エイドでは、南郷トマトとお餅に加え、さらにきゅうりが登場。シャキシャキのきゅうりにじゅうねん味噌をたっぷりつけていただくのは、至福のひと時。更にシュークリームも用意され、甘味成分もドンと来い。
そのまま再び舘岩川沿いへ戻った第5エイドでは、最後の難関へ挑むみなさんの補給として美味しいお蕎麦が用意されている。山菜たっぷりの蕎麦は、出汁と塩気の効いたつゆと相まって、元気が出ること間違いない。
もう少しで収穫を迎えそうな黄金の田んぼ
最後のエイドでは山菜蕎麦がふるまわれました
蕎麦をいただき、最後の坂に備えます
最終エイドを後にした私たちの前に残るのは、たかつえ高原へ至る登り坂のみ。そう、最初に勢いよく下ってきた坂を登り返していくのだ。例年であれば、ほぼ全員が息も絶え絶えになりながらなんとか登っていく激坂だ。途中には自転車を降りて押し歩いたり、はたまた倒れこんでいる人もちらほら。距離自体はそんなに長くは無いので、全部押し歩いたとしてもそこまで時間がかかるわけではないが、ロードシューズで押していきたくはない距離である。
もちろんヒルクライム好きのライダーであれば、ちょっとしたスパイスとばかりに登り切ってしまうのだろうが、走ってみっぺ南会津は、そんな人だけのためのイベントではない。南会津というエリアの魅力をゆるーく、そして安全に楽しく味わってもらうための取り組みだ。
超MAX!さぼってみっぺ!の利用者に見送られるチャレンジャーたち
バイクをトラックに積み込み
フィニッシュへ出発!愛車が落ちないように、監視要員です。
そんなわけで、今年登場したのが「超MAXサボってみっぺ!南会津」という新企画。そう、この激坂区間を車で搬送することで、最後に辛い思い出を作ることなく全編通して楽しい記憶だけにしよう、という最高の取り組みである。
坂のふもとにトラックが待機しており、サボってみっぺ利用希望の人は申し出ればOK。トラックがあればそのまま乗っていける。出払っている場合は待機することになるが、それでも自力で登るのにかかる時間の何倍も速いことは間違いない。
斜度が厳しくなる箇所で渾身のダンシング
ここまでくればもう少し!
ブリッツェンによる3段ロケット!
そもそも、MTBなどではトラック搬送は一般的な楽しみ方。辛い部分はカットして、楽しい体験だけができるというのは、E-BIKEにも通ずるものがある。もちろんコースレイアウトやイベントの性質がマッチしているというのもあるだろうが、この走ってみっぺ南会津が10年間にわたって醸成してきた雰囲気が結晶化したような取り組みだと感じた。
ちなみに私も超MAXサボってみっぺ!を体験したかったのだけれど、なかなかの人気ぶりに断念。とはいえE-BIKEで取材していたので、ノーマルサボってみっぺ!くらいの勢いで最後の坂を駆けあがっていくと、フィニッシュが近づいてくるにつれ、歌声が聞こえてくる。どうやら、BGMではなく、生歌のようだ……。
日本の悪魔おじさんも応援してくれました
フィニッシュ地点で歌で迎えてくれた廣瀬さんと亜寿沙さん。ちなみにMCの棚橋さんは4時間歌い続けたそうです笑
自力で登ったラバーズの倉瀨さん、お疲れ様です!
畑中夫妻もゴール、最後の坂は畑中選手にトレーラーをバトンタッチ!
「負けないで! もう少し 最後まで走り抜けて~」フィニッシュ地点で待っていたのは、ZARDの「負けないで」を熱唱する棚橋麻衣さん、そして廣瀬さんと亜寿沙さん。あまりの歓迎ぶりに思わずそこに近づいているゴールへ向かって走り抜けてしまったのは私だけでは無かったようだ。
実際、この歌に励まされて最後に踏み切れたという人も。なんだか会場は24時間テレビのフィナーレのような雰囲気に包まれており、まこと歌の力は偉大である。イベントの仕掛人の堀部さん曰く「来年は参加者の希望者にもリレーで歌ってもらってもいいかもしれないですね」と、まさかの参加型企画となる可能性も。脚自慢が集まるのが普通の自転車イベントだが、走ってみっぺ南会津は一味違う。日本初ののど自慢が集まるサイクリングイベントとして、歴史に名を刻む日は近い。
抽選で花泉をゲット!
絹代さんの娘さんと山口さんは仲良く搬送されてきました。
搬送を使ってももちろん完走です!
フィニッシュ地点では皆さん「負けないで」を口ずさみつつ、完走証をゲット。そして抽選の当選番号を確認してから帰路へ。ちなみに会場ほど近くの「白樺の湯」ではゼッケンを見せると無料で入浴可能。さっぱりと汗を流して、早速家路に着くのであった。
走ってみたっぺ!南会津!
取材終了後、皆さんとあいさつする中で「また来年!」と何度も口にした。また来年、という言葉が自然に出てくるイベントはきっとそう多くない。コロナ禍を経て、その言葉が実は特別なものだったということが身に沁みた今では、なおさらだ。
大会としては2年ぶり、前夜祭も含めれば3年ぶりの開催となった走ってみっぺ南会津。日本一「ゆるーい」サイクルイベント、という目標を掲げてきた大会だが、実際のところそのスローガンは良い意味で達成されていると感じた。実際、オンロードイベントとして画期的な「超MAXサボってみっぺ」という新たな取り組みが出来たのは、その理念の下に10年という時を重ねてきたからだろう。
11回大会となる来年の走ってみっぺ南会津が今から楽しみで仕方ない。皆さん、カラオケで練習しておきましょうね!
text&photo:Naoki YASUOKA
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もう少し下流では舘岩川の一部区間を特別漁区に設定した「たのせヤマメの里」も登場。足場もアクセスも良く、安全に渓流釣りを楽しめるエリアとなっており、他の区間よりも多くの魚が放流されているとのことで、釣り人にも人気のスポットなのだという。
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さて、そんなことを考えていると第2エイドに到着。舘岩川と伊南川の合流地点に設けられた第2エイドでは、地元の名産南郷トマト、そしてじゅうねん味噌をたっぷり塗ったお餅をゲット。
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やわらかあまいお餅とあまじょっぱいじゅうねん味噌のマリアージュが至福なのは言うに及ばず、南郷トマトもまた最高の一品。実はあまり酸っぱいトマトは好きじゃないのだが、南郷トマトはペロリと食べれてしまう。爽やかな甘さと酸っぱさの程よいバランス、そしてサクサクとした食感の締まった果肉で、まるでフルーツのような味わいだ。
2つのふるまいに満足したら、ここからは伊南川沿いを登っていくことに。登りとはいえ、斜度でいえば1~2%あるかどうか、といったところ。初心者でも気持ちよく漕いで行ける区間である。
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舘岩川とはまた少し異なる渓相の伊南川の流れを眺めつつ、ペダルに力を込めていく。多少の坂もモノともしないのは、そう、この先に走ってみっぺの名物「マトン丼」が待っているから。
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今年も大量に用意されたマトン肉が4つの鉄板の上でじゃんじゃん焼かれていく。見ているだけでもスタミナが回復してきそうな光景だが、やはり頂いてナンボ、ということで列に並びどんぶりをゲット。
「今年は肉が大きいな」というセリフと共にドンッと盛られたマトン。その言葉通り確かに大きく、下のごはんはほぼ見えないレベル。毎度思うが、このイベントのカロリー収支は絶対にプラスな気がするが、マトンは脂質も少ないし問題ない……だろう!!
もちろん、皆さんもそんな細かいことは気にせず、マトン丼に舌鼓。ゲストのブリッツェンの選手らも、ブラーゼンの選手らもそれはもういい食べっぷりである。負けじと完食したら、向かうは更に上流にある絶景スポット「屏風岩」だ。
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この先は、雪除けのスノーシェッドも増えてくるので、リアライトはしっかりつけて、折り返し地点へ登っていく。マトン丼でお腹を満たした後は、絶景で心を満たすという、なんとも贅沢な段取りに、コース設定の妙を感じつつ屏風岩へ。
屏風岩とはいわゆる柱状節理の岩壁。花崗岩の塊を長い年月をかけて伊南川が削りだした景観は、第2エイドあたりの穏やかな流れとは同じ川とは思えないダイナミズムに溢れている。
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靴下を脱いで、足を浸してみるだけでひんやり冷たく心地良い。童心に帰り、仲間同士でパシャパシャ水をかけあうなんて光景も繰り広げられるのは、走ってみっぺならではの雰囲気がなせるものだろう。
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さてこの屏風岩までくれば、あとは来たルートを戻っていくだけ。100kmコースの皆さんは伊南川をより下流まで下っていくことになるが、60kmコースは来た道をそのままなぞって帰っていく。
ちなみに、往路で第2エイドだった場所が第4エイドに、第1エイドだった場所が第5エイドとなっている。場所こそ同じだが、提供される物品は往復で違うので、ぜひ逃すことのないように立ち寄っていただきたい。
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第4エイドでは、南郷トマトとお餅に加え、さらにきゅうりが登場。シャキシャキのきゅうりにじゅうねん味噌をたっぷりつけていただくのは、至福のひと時。更にシュークリームも用意され、甘味成分もドンと来い。
そのまま再び舘岩川沿いへ戻った第5エイドでは、最後の難関へ挑むみなさんの補給として美味しいお蕎麦が用意されている。山菜たっぷりの蕎麦は、出汁と塩気の効いたつゆと相まって、元気が出ること間違いない。
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最終エイドを後にした私たちの前に残るのは、たかつえ高原へ至る登り坂のみ。そう、最初に勢いよく下ってきた坂を登り返していくのだ。例年であれば、ほぼ全員が息も絶え絶えになりながらなんとか登っていく激坂だ。途中には自転車を降りて押し歩いたり、はたまた倒れこんでいる人もちらほら。距離自体はそんなに長くは無いので、全部押し歩いたとしてもそこまで時間がかかるわけではないが、ロードシューズで押していきたくはない距離である。
もちろんヒルクライム好きのライダーであれば、ちょっとしたスパイスとばかりに登り切ってしまうのだろうが、走ってみっぺ南会津は、そんな人だけのためのイベントではない。南会津というエリアの魅力をゆるーく、そして安全に楽しく味わってもらうための取り組みだ。
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そんなわけで、今年登場したのが「超MAXサボってみっぺ!南会津」という新企画。そう、この激坂区間を車で搬送することで、最後に辛い思い出を作ることなく全編通して楽しい記憶だけにしよう、という最高の取り組みである。
坂のふもとにトラックが待機しており、サボってみっぺ利用希望の人は申し出ればOK。トラックがあればそのまま乗っていける。出払っている場合は待機することになるが、それでも自力で登るのにかかる時間の何倍も速いことは間違いない。
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そもそも、MTBなどではトラック搬送は一般的な楽しみ方。辛い部分はカットして、楽しい体験だけができるというのは、E-BIKEにも通ずるものがある。もちろんコースレイアウトやイベントの性質がマッチしているというのもあるだろうが、この走ってみっぺ南会津が10年間にわたって醸成してきた雰囲気が結晶化したような取り組みだと感じた。
ちなみに私も超MAXサボってみっぺ!を体験したかったのだけれど、なかなかの人気ぶりに断念。とはいえE-BIKEで取材していたので、ノーマルサボってみっぺ!くらいの勢いで最後の坂を駆けあがっていくと、フィニッシュが近づいてくるにつれ、歌声が聞こえてくる。どうやら、BGMではなく、生歌のようだ……。
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「負けないで! もう少し 最後まで走り抜けて~」フィニッシュ地点で待っていたのは、ZARDの「負けないで」を熱唱する棚橋麻衣さん、そして廣瀬さんと亜寿沙さん。あまりの歓迎ぶりに思わずそこに近づいているゴールへ向かって走り抜けてしまったのは私だけでは無かったようだ。
実際、この歌に励まされて最後に踏み切れたという人も。なんだか会場は24時間テレビのフィナーレのような雰囲気に包まれており、まこと歌の力は偉大である。イベントの仕掛人の堀部さん曰く「来年は参加者の希望者にもリレーで歌ってもらってもいいかもしれないですね」と、まさかの参加型企画となる可能性も。脚自慢が集まるのが普通の自転車イベントだが、走ってみっぺ南会津は一味違う。日本初ののど自慢が集まるサイクリングイベントとして、歴史に名を刻む日は近い。
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フィニッシュ地点では皆さん「負けないで」を口ずさみつつ、完走証をゲット。そして抽選の当選番号を確認してから帰路へ。ちなみに会場ほど近くの「白樺の湯」ではゼッケンを見せると無料で入浴可能。さっぱりと汗を流して、早速家路に着くのであった。
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取材終了後、皆さんとあいさつする中で「また来年!」と何度も口にした。また来年、という言葉が自然に出てくるイベントはきっとそう多くない。コロナ禍を経て、その言葉が実は特別なものだったということが身に沁みた今では、なおさらだ。
大会としては2年ぶり、前夜祭も含めれば3年ぶりの開催となった走ってみっぺ南会津。日本一「ゆるーい」サイクルイベント、という目標を掲げてきた大会だが、実際のところそのスローガンは良い意味で達成されていると感じた。実際、オンロードイベントとして画期的な「超MAXサボってみっぺ」という新たな取り組みが出来たのは、その理念の下に10年という時を重ねてきたからだろう。
11回大会となる来年の走ってみっぺ南会津が今から楽しみで仕方ない。皆さん、カラオケで練習しておきましょうね!
text&photo:Naoki YASUOKA
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