2022/09/09(金) - 23:06
2019年以来3年ぶりのとなる「ツール・ド・北海道」が開幕。第1ステージは、札幌市から共和町までの171kmで行われ、終盤に抜け出した3名でのスプリント勝負を制した今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が優勝した。
札幌市郊外から3年ぶりのパレードスタート photo:Satoru Kato
UCI2.2クラスのステージレース「ツール・ド・北海道」は、3年ぶりの第1ステージを迎えた。他のレースやイベントの例に漏れず、折からのコロナ禍により2020年、2021年と2年連続で中止。3年ぶりの「再開」も規模の縮小などはなく、一部変更はあったものの2020年に予定されていたコースとほぼ同じ規模での開催が実現した。
スタート前のチーム撮影に収まる東京大学 photo:Satoru Kato
総合優勝トロフィーは誰の手に渡るか? photo:Satoru Kato
ちなみに、ツール・ド・北海道は2018年の大会前日に発生した北海道胆振東部地震により中止となっているため、今大会を含めても直近5年間で2回しか開催できていない。それでも大会そのものが無くならないことは国内レースとしては異例とも言えよう。特に100%公道のワンウェイコースでのステージレースの開催継続は、想像を超える難しさがあるはずだ。それも大会関係者の尽力と地域の協力があるからこそだろう。
第1ステージはトンネルの多いコース photo:Satoru Kato
9月の北海道は道外の人が想像するよりも暑い。ボトルの水をかぶる今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato
第1ステージは札幌市の南東部にある豊滝除雪ステーションをスタートし、小樽市の山間部を抜けて西に進み、積丹半島を横断して共和町役場前にフィニッシュする171km(パレード走行約3kmを含む)。途中3回の2級山岳が設定され、その合間には2回のホットスポット(スプリントポイント)が設定される。特に最後の2級山岳となる当丸峠は、海岸線の海抜0mから600mまで登る第1ステージ最大の高低差の登り。斜度は緩やかだが、長い登りが続く。
朝から青空が広がり、9月といえど強い陽差しの1日。朝こそ涼しいものの、フィニッシュ地点の共和町ではお昼前に27℃を超える最高気温を記録する暑さの中でのレースとなった。
ファーストアタックは岡篤志(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム) photo:Satoru Kato
3kmのパレードの後リアルスタートが切られ、岡篤志(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)がファーストアタック。新城雄大(キナンレーシングチーム)が続き2名が先行する。メイン集団はこれを容認し、1分前後の差を維持して進行する。
小樽市の朝里スカイループを下っていく集団 photo:Satoru Kato
24km過ぎの最初の2級山岳「朝里峠」への登りで、先行する2名と集団の差が一気に縮まり頂上目前で吸収。その下で集団がバラバラになり、30名弱の先頭集団となる。54km過ぎにある2回目の2級山岳「毛無峠」への登りに入ると徐々に集団の人数が絞られ、下り切ったところでの集団の人数は16名ほどまでに減る。
先頭集団を登りでリードするのは金子宗平(東京大学) photo:Satoru Kato
アップダウンの厳しいコースだが今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)は先頭集団でクリアしていく photo:Satoru Kato
2回の2級山岳をクリアして16名まで絞られた先頭集団 photo:Satoru Kato
この中には、増田成幸、小野寺玲(以上宇都宮ブリッツェン)、トマ・ルバ、マルコス・ガルシア、山本大喜(以上キナンレーシングチーム)、フランシスコ・マンセボ、レオネル・キンテロ(以上マトリックスパワータグ)、今村駿介、松田祥位(以上チームブリヂストンサイクリング)、門田祐輔、留目夕陽(以上EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)さらには6月の全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオンの金子宗平(東京大学)が含まれた。
その後方の第2集団との差は、一時40秒前後まで縮まったものの、コース後半に入ると1分以上まで拡大。3回目の2級山岳へ向かう登りでさらに拡大し、勝負は先頭集団に絞られた。
積丹半島東側の海岸を行く集団 photo:Satoru Kato
3回目の山岳賞への登りで加速する増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)とトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)の後方から、マルコス・ガルシアと山本大喜(キナンレーシングチーム)が追いつく photo:Satoru Kato
積丹半島東側の海岸線を抜けて当丸峠への登りに入ると、増田の加速で集団が崩壊。ルバが追従し、さらに山本がガルシアを連れて合流し、4名が先頭で当丸峠の頂上を通過する。その後方では今村、松田、門田、マンセボ、谷順成(那須ブラーゼン)の5名が追走集団を形成。峠を下り切り、残り20kmを切ったところで先行する4名に追いつく。
残り15km付近 積丹半島西側の海沿いを行く先頭の4名 photo:Satoru Kato
先頭集団から遅れたフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)らが追走 photo:Satoru Kato
残り10kmを前に追走集団が合流 photo:Satoru Kato
今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、山本大喜(キナンレーシングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の3名が抜け出す photo:Satoru Kato
残り10kmを前に、山本がアタック。これに今村と増田が飛びつき、3名が先行する。後続との差は20秒まで開き、3名でのスプリント勝負へ。
残り500m、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)を先頭にスプリント開始 photo:Satoru Kato
今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が第1ステージ優勝 photo:Satoru Kato
フィニッシュまで残り500m、「前日に試走して、どこからスプリントすれば行けるかを確認していた」という今村が先頭でスプリントを開始すると、増田と山本は並ぶことも出来ずフィニッシュ。今村が2021年9月のJプロツアー以来となるロードレース優勝を決めた。
第1ステージ優勝でリーダージャージを獲得した今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato
山岳賞 山本大喜(キナンレーシングチーム) photo:Satoru Kato
今村駿介コメント
「山のスペシャリストがペースを上げていき、無理をしてついて行くとオールアウトしてしまいそうだったので、チームメイトの松田選手と一緒に下りと平坦で追いつける余裕を持って登り切ればチャンスを見出せると考えていた。追いついた後、3名残していたキナンに波状攻撃されると不利になるけれど、少人数のスプリントに持ち込めば有利になると思った。だから山本選手が行ったタイミングで飛び出して、3名になったところで自信をもってスプリントした。
第2ステージは一番厳しいと言われているが、今日のコンディションと走りが自信になったので、明日も前々で残って勝負に絡めるようにしたい」
第1ステージを終えての総合順位は、8位までが41秒差以内。10位以降は6分差がつき、総合優勝争いは初日にしてかなり絞られたか。残念ながら大学チームは5チームあわせて7名のみとなってしまった。
明日の第2ステージは今大会最長の186km。コース前半に1級山岳が設定され、終盤はアップダウンの繰り返しとなるハードなステージ。総合優勝争いに大きく影響することが予想されるが、残り500mの「ひらふ坂」を最初に登ってくるのは誰になるか?
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UCI2.2クラスのステージレース「ツール・ド・北海道」は、3年ぶりの第1ステージを迎えた。他のレースやイベントの例に漏れず、折からのコロナ禍により2020年、2021年と2年連続で中止。3年ぶりの「再開」も規模の縮小などはなく、一部変更はあったものの2020年に予定されていたコースとほぼ同じ規模での開催が実現した。
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ちなみに、ツール・ド・北海道は2018年の大会前日に発生した北海道胆振東部地震により中止となっているため、今大会を含めても直近5年間で2回しか開催できていない。それでも大会そのものが無くならないことは国内レースとしては異例とも言えよう。特に100%公道のワンウェイコースでのステージレースの開催継続は、想像を超える難しさがあるはずだ。それも大会関係者の尽力と地域の協力があるからこそだろう。
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第1ステージは札幌市の南東部にある豊滝除雪ステーションをスタートし、小樽市の山間部を抜けて西に進み、積丹半島を横断して共和町役場前にフィニッシュする171km(パレード走行約3kmを含む)。途中3回の2級山岳が設定され、その合間には2回のホットスポット(スプリントポイント)が設定される。特に最後の2級山岳となる当丸峠は、海岸線の海抜0mから600mまで登る第1ステージ最大の高低差の登り。斜度は緩やかだが、長い登りが続く。
朝から青空が広がり、9月といえど強い陽差しの1日。朝こそ涼しいものの、フィニッシュ地点の共和町ではお昼前に27℃を超える最高気温を記録する暑さの中でのレースとなった。
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3kmのパレードの後リアルスタートが切られ、岡篤志(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)がファーストアタック。新城雄大(キナンレーシングチーム)が続き2名が先行する。メイン集団はこれを容認し、1分前後の差を維持して進行する。
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24km過ぎの最初の2級山岳「朝里峠」への登りで、先行する2名と集団の差が一気に縮まり頂上目前で吸収。その下で集団がバラバラになり、30名弱の先頭集団となる。54km過ぎにある2回目の2級山岳「毛無峠」への登りに入ると徐々に集団の人数が絞られ、下り切ったところでの集団の人数は16名ほどまでに減る。
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この中には、増田成幸、小野寺玲(以上宇都宮ブリッツェン)、トマ・ルバ、マルコス・ガルシア、山本大喜(以上キナンレーシングチーム)、フランシスコ・マンセボ、レオネル・キンテロ(以上マトリックスパワータグ)、今村駿介、松田祥位(以上チームブリヂストンサイクリング)、門田祐輔、留目夕陽(以上EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)さらには6月の全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオンの金子宗平(東京大学)が含まれた。
その後方の第2集団との差は、一時40秒前後まで縮まったものの、コース後半に入ると1分以上まで拡大。3回目の2級山岳へ向かう登りでさらに拡大し、勝負は先頭集団に絞られた。
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積丹半島東側の海岸線を抜けて当丸峠への登りに入ると、増田の加速で集団が崩壊。ルバが追従し、さらに山本がガルシアを連れて合流し、4名が先頭で当丸峠の頂上を通過する。その後方では今村、松田、門田、マンセボ、谷順成(那須ブラーゼン)の5名が追走集団を形成。峠を下り切り、残り20kmを切ったところで先行する4名に追いつく。
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残り10kmを前に、山本がアタック。これに今村と増田が飛びつき、3名が先行する。後続との差は20秒まで開き、3名でのスプリント勝負へ。
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フィニッシュまで残り500m、「前日に試走して、どこからスプリントすれば行けるかを確認していた」という今村が先頭でスプリントを開始すると、増田と山本は並ぶことも出来ずフィニッシュ。今村が2021年9月のJプロツアー以来となるロードレース優勝を決めた。
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今村駿介コメント
「山のスペシャリストがペースを上げていき、無理をしてついて行くとオールアウトしてしまいそうだったので、チームメイトの松田選手と一緒に下りと平坦で追いつける余裕を持って登り切ればチャンスを見出せると考えていた。追いついた後、3名残していたキナンに波状攻撃されると不利になるけれど、少人数のスプリントに持ち込めば有利になると思った。だから山本選手が行ったタイミングで飛び出して、3名になったところで自信をもってスプリントした。
第2ステージは一番厳しいと言われているが、今日のコンディションと走りが自信になったので、明日も前々で残って勝負に絡めるようにしたい」
第1ステージを終えての総合順位は、8位までが41秒差以内。10位以降は6分差がつき、総合優勝争いは初日にしてかなり絞られたか。残念ながら大学チームは5チームあわせて7名のみとなってしまった。
明日の第2ステージは今大会最長の186km。コース前半に1級山岳が設定され、終盤はアップダウンの繰り返しとなるハードなステージ。総合優勝争いに大きく影響することが予想されるが、残り500mの「ひらふ坂」を最初に登ってくるのは誰になるか?
ツール・ド・北海道2022 第1ステージ結果(札幌-共和町・171km)
1位 | 今村駿介 (チームブリヂストンサイクリング) | 4時間1分8秒 |
2位 | 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) | +0秒 |
3位 | 山本大喜 (キナンレーシングチーム) | |
4位 | 松田祥位 (チームブリヂストンサイクリング) | +31秒 |
5位 | マルコス・ガルシア (キナンレーシングチーム、スペイン) | |
6位 | トマ・ルバ (キナンレーシングチーム) | |
7位 | 門田祐輔 (EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム) | |
8位 | フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ、スペイン) | |
9位 | 谷 順成 (那須ブラーゼン) | +1分50秒 |
10位 | レオネル・キンテロ(マトリックス、ベネズエラ) | +5分53秒 |
個人総合成績(第1ステージ終了時) | ||
1位 | 今村駿介 (チームブリヂストンサイクリング) | 4時間00分58秒 |
2位 | 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) | +3秒 |
3位 | 山本大喜 (キナンレーシングチーム) | |
4位 | 松田祥位 (チームブリヂストンサイクリング) | +41秒 |
5位 | マルコス・ガルシア (キナンレーシングチーム、スペイン) | |
6位 | トマ・ルバ (キナンレーシングチーム) | |
ポイント賞(第1ステージ終了時) | ||
1位 | 今村駿介 (チームブリヂストンサイクリング) | 25p |
2位 | 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン) | 21p |
3位 | 山本大喜 (キナンレーシングチーム) | 20p |
山岳賞(第1ステージ終了時) | ||
1位 | 山本大喜(キナンレーシングチーム) | 10p |
2位 | 留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム) | 8p |
3位 | レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ、ベネズエラ) | |
チーム総合成績(第1ステージ終了時) | ||
1位 | キナンレーシングチーム | 12時間4分26秒 |
2位 | EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム | +11分15秒 |
3位 | マトリックスパワータグ | +11分17秒 |
チームU26総合成績 | ||
1位 | EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム | 12時間15分43秒 |
2位 | チームブリヂストンサイクリング | +2秒 |
3位 | 北海道地域選抜 | +9分54秒 |
text&photo:Satoru Kato
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