2022/08/26(金) - 08:41
ブエルタ最初の本格山岳ステージでジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が大金星。自らのアタックでライバル勢を完全に振り落としたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)がキャリア初のグランツール総合首位に浮上した。
8月25日(木)第6ステージ
ビルバオ〜アセンシオン・アル・ピコ・ハノ 180km(山岳)
「山のブエルタ」がいよいよその本領を発揮しはじめた。バスク最終日となる第77回ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージは、今大会最初の本格山岳ステージかつ山頂フィニッシュとなる1級山岳ラス・アリサス峠(距離12.6km/平均6.5%)を目指す180km。
アリサス峠の平均勾配は6.5%だが最終区間には11%勾配が用意され、激しい戦いが繰り広げられることは必至。さらに手前にも最大勾配15%を誇る1級山岳ブレネス峠(距離6.8km/平均8.2%)を越えなければならず、獲得標高差は今大会最高の4,117mに達する。この日はコースだけではなく、山岳区間に入って降り始めた雨がレースをさらに過酷なものにした。
バスク地方の最大都市であり、前日のフィニッシュ地点となったビルバオで一夜を過ごしたプロトンが、マイヨロホのルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)たちを先頭にスタート。雲行き怪しい山岳地帯に向かう道中では、マーク・パデュン(ウクライナ、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む10名のエスケープが決まった。
2日連続逃げのファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)や、ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)、ダリオ・カタルド(イタリア、トレック・セガフレード)、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)といった強力メンバーを含むエスケープは、グルパマFDJがコントロールするメイン集団に対して4分リードを得て先を急いだ。
いよいよコース後半の2連続1級山岳が近づくと、先頭グループでは1級山岳ブレネス峠でパデュンが独走に持ち込み、15%勾配乗り越えて単独登頂(10ポイントを稼ぎ山岳ランキング3位に浮上)。イネオス・グレナディアーズがメイン集団のペースを上げ、続いて世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)がレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のために集団の絞り込みをかける。自身2度目のマイヨロホをできるだけ長く着用したかったモラールだったが、最終山岳を待たずに遅れを喫した。
慎重にブレネス峠のダウンヒルをこなしたパデュンが1分リードを得てラス・アリサス峠の登坂に取り掛かった。残りの逃げメンバーは全てメイン集団に飲み込まれ、追走していたマスナダはメイン集団に戻ってエヴェネプールのために集団ペースメイク。序盤と終盤に11%勾配が待ち受ける峠道で、メイン集団はパデュンのリードを徐々に削り取っていった。
深い霧に包まれたラス・アリサス峠で、メイン集団内の総合狙い選手たちが動く前に加速したのはジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)だった。「逃げに入るつもりだったけれど5km地点でパンク。残り10km地点から逃げられたこと自体が信じられない」と驚く26歳のクライマーは共に抜け出したメンバーを置き去りにして、残り6.5km地点でパデュンに追いつき、更に加速。熾烈な総合争いが始まったメイン集団をタイミング良く置き去りにしたヴァインがフィニッシュラインを目指した。
一方のメイン集団では、まずブエルタ前哨戦で調子を崩していたミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れ、エヴェネプールの加速によってサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が、そして4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)までもが「今日はコンディションが絶好調とは言えなかった」と脱落。集中した表情で踏み続けるエヴェネプールをフォローできたのはエンリク・マス(スペイン、モビスター)ただ一人だけだった。
残り2km地点で先頭ヴァインからエヴェネプール&マスグループまでは20秒弱、単独4番手のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)は50秒弱、そしてログリッチがテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)といった総合勢を従えて登る大グループが1分15秒後ろ。猛然と登るエヴェネプールとマスにステージ優勝が委ねられるかに思われたものの、歯を食いしばりながら登るヴァインは、ほぼエヴェネプールと同じ登坂スピードを披露。そのまま深い霧に包まれた山頂フィニッシュにたどり着いた。
母国オーストラリアを飛び出し、昨年アルペシン・ドゥクーニンクに加入した26歳のクライマーがプロ初勝利をブエルタの山岳ステージで獲得。今年5月のツアー・オブ・ノルウェーでは総合2位に入っていたが、「登坂中は自分のペースをうまくコントロールできていた」とレース巧者ぶりを発揮して大金星を掴んだ。
最後まで集中した表情を崩さず登り、フィニッシュ手前でマスを振り切ったエヴェネプールが2位フィニッシュ。ログリッチたちを1分37秒引き離したことでマイヨロホ着用権利を射止めることとなった。
卓越したスピードと登坂力を武器に、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを筆頭とするクラシックレースや、1週間のステージレースを制してきた22歳が、自身2度目のグランツールでキャリア初のリーダージャージを獲得。「僕の自転車人生の中で最高クラスの1日になった。この先グランツールの総合リードを得たことがどんなに大きなことか実感するはず」と言う。「この先マイヨロホをできる限りキープして、最後まで守り抜くことができれば最高だ」と、エヴェネプールはマドリードでの総合優勝を見据えている。
今大会最初の山岳決戦で総合成績は大きくシャッフル。ほとんどの総合勢はログリッチと共に1分37秒遅れでフィニッシュしたが、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)は2分59秒遅れで、一人遅れたランダは6分以上遅れで完全に勝負圏外へと脱落。この先は総合成績ではなくステージ優勝、あるいはそれぞれチームのアシストを担うことになるはずだ。
8月25日(木)第6ステージ
ビルバオ〜アセンシオン・アル・ピコ・ハノ 180km(山岳)
「山のブエルタ」がいよいよその本領を発揮しはじめた。バスク最終日となる第77回ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージは、今大会最初の本格山岳ステージかつ山頂フィニッシュとなる1級山岳ラス・アリサス峠(距離12.6km/平均6.5%)を目指す180km。
アリサス峠の平均勾配は6.5%だが最終区間には11%勾配が用意され、激しい戦いが繰り広げられることは必至。さらに手前にも最大勾配15%を誇る1級山岳ブレネス峠(距離6.8km/平均8.2%)を越えなければならず、獲得標高差は今大会最高の4,117mに達する。この日はコースだけではなく、山岳区間に入って降り始めた雨がレースをさらに過酷なものにした。
バスク地方の最大都市であり、前日のフィニッシュ地点となったビルバオで一夜を過ごしたプロトンが、マイヨロホのルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)たちを先頭にスタート。雲行き怪しい山岳地帯に向かう道中では、マーク・パデュン(ウクライナ、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む10名のエスケープが決まった。
2日連続逃げのファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)や、ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)、ダリオ・カタルド(イタリア、トレック・セガフレード)、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)といった強力メンバーを含むエスケープは、グルパマFDJがコントロールするメイン集団に対して4分リードを得て先を急いだ。
いよいよコース後半の2連続1級山岳が近づくと、先頭グループでは1級山岳ブレネス峠でパデュンが独走に持ち込み、15%勾配乗り越えて単独登頂(10ポイントを稼ぎ山岳ランキング3位に浮上)。イネオス・グレナディアーズがメイン集団のペースを上げ、続いて世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)がレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のために集団の絞り込みをかける。自身2度目のマイヨロホをできるだけ長く着用したかったモラールだったが、最終山岳を待たずに遅れを喫した。
慎重にブレネス峠のダウンヒルをこなしたパデュンが1分リードを得てラス・アリサス峠の登坂に取り掛かった。残りの逃げメンバーは全てメイン集団に飲み込まれ、追走していたマスナダはメイン集団に戻ってエヴェネプールのために集団ペースメイク。序盤と終盤に11%勾配が待ち受ける峠道で、メイン集団はパデュンのリードを徐々に削り取っていった。
深い霧に包まれたラス・アリサス峠で、メイン集団内の総合狙い選手たちが動く前に加速したのはジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)だった。「逃げに入るつもりだったけれど5km地点でパンク。残り10km地点から逃げられたこと自体が信じられない」と驚く26歳のクライマーは共に抜け出したメンバーを置き去りにして、残り6.5km地点でパデュンに追いつき、更に加速。熾烈な総合争いが始まったメイン集団をタイミング良く置き去りにしたヴァインがフィニッシュラインを目指した。
一方のメイン集団では、まずブエルタ前哨戦で調子を崩していたミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れ、エヴェネプールの加速によってサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が、そして4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)までもが「今日はコンディションが絶好調とは言えなかった」と脱落。集中した表情で踏み続けるエヴェネプールをフォローできたのはエンリク・マス(スペイン、モビスター)ただ一人だけだった。
残り2km地点で先頭ヴァインからエヴェネプール&マスグループまでは20秒弱、単独4番手のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)は50秒弱、そしてログリッチがテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)といった総合勢を従えて登る大グループが1分15秒後ろ。猛然と登るエヴェネプールとマスにステージ優勝が委ねられるかに思われたものの、歯を食いしばりながら登るヴァインは、ほぼエヴェネプールと同じ登坂スピードを披露。そのまま深い霧に包まれた山頂フィニッシュにたどり着いた。
母国オーストラリアを飛び出し、昨年アルペシン・ドゥクーニンクに加入した26歳のクライマーがプロ初勝利をブエルタの山岳ステージで獲得。今年5月のツアー・オブ・ノルウェーでは総合2位に入っていたが、「登坂中は自分のペースをうまくコントロールできていた」とレース巧者ぶりを発揮して大金星を掴んだ。
最後まで集中した表情を崩さず登り、フィニッシュ手前でマスを振り切ったエヴェネプールが2位フィニッシュ。ログリッチたちを1分37秒引き離したことでマイヨロホ着用権利を射止めることとなった。
卓越したスピードと登坂力を武器に、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを筆頭とするクラシックレースや、1週間のステージレースを制してきた22歳が、自身2度目のグランツールでキャリア初のリーダージャージを獲得。「僕の自転車人生の中で最高クラスの1日になった。この先グランツールの総合リードを得たことがどんなに大きなことか実感するはず」と言う。「この先マイヨロホをできる限りキープして、最後まで守り抜くことができれば最高だ」と、エヴェネプールはマドリードでの総合優勝を見据えている。
今大会最初の山岳決戦で総合成績は大きくシャッフル。ほとんどの総合勢はログリッチと共に1分37秒遅れでフィニッシュしたが、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)は2分59秒遅れで、一人遅れたランダは6分以上遅れで完全に勝負圏外へと脱落。この先は総合成績ではなくステージ優勝、あるいはそれぞれチームのアシストを担うことになるはずだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2022第6ステージ結果
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:38:00 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +0:15 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:16 |
4位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:55 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:37 |
6位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
11位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
12位 | ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
13位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
14位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | |
15位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | |
16位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) | +1:50 |
17位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:57 |
18位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:13 |
19位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +2:32 |
21位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:42 |
22位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +2:43 |
25位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +2:59 |
39位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +6:07 |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 20:50:07 |
2位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ) | +0:21 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:28 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:01 |
5位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:12 |
6位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:27 |
7位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +1:34 |
9位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | +1:52 |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:54 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 127pts |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 118pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 47pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、ブルゴスBH) | 13pts |
2位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 11pts |
3位 | ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス) | 11pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 20:50:07 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:12 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | +1: 27 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 61:44:41 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +0:10 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ | +0:15 |
text:So Isobe
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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