スカンジナビア5日目は、1級山頂の頂上にフィニッシュするクイーンステージ。デンマーク王者セシリーウトラップ・ルドヴィグ(FDJスエズ・フチュロスコープ)がドイツ王者リアヌ・リッパート(チームDSM)を下し、区間優勝とリーダージャージを手に入れた。



どこまでクライマーに食らいつけるかに注目が集まったマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)どこまでクライマーに食らいつけるかに注目が集まったマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
スタート前にバルーンゲートの空気が抜けるトラブルもスタート前にバルーンゲートの空気が抜けるトラブルも photo:CorVosフォレリングとフィッシャーブラックとという総合エース2人を失ったSDワークスフォレリングとフィッシャーブラックとという総合エース2人を失ったSDワークス photo:CorVos

最終日前日のツアー・オブ・スカンジナビア(UCI女子ワールドツアー)5日目は、リーダージャージ争いがシャフルされるであろう大会唯一の山岳ステージ。全長127.4kmのコースはスタートして115kmまで平坦路が続き、ラストは1級山岳ノルフィエル(距離11km/平均5.8%)の頂上まで駆け上がる。

この日は前日ステージ終盤の落車で鎖骨を骨折したニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)と、同じく負傷したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)がDNS(未出走)。優勝候補だった2人を欠いた104名の選手たちがヴィケルスンをスタートした。

1級山岳に臨むツアー・オブ・スカンジナビア第5ステージ1級山岳に臨むツアー・オブ・スカンジナビア第5ステージ photo:CorVos
プロトン牽引などレース序盤から存在が目立ったFDJスエズ・フチュロスコーププロトン牽引などレース序盤から存在が目立ったFDJスエズ・フチュロスコープ photo:FDJ - SUEZ - Futuroscope
最後まで逃げらしい逃げができなかった前日同様、この日もプロトンは逃げを許さなかった。最初の中間スプリントをポイント賞ジャージを着るアリソン・ジャクソン(カナダ、リブレーシング・エクストラ)がトップ通過してそのリードを拡げると、直後にトライアスロンから転向したサラ・ローイ(オーストラリア、キャニオン・スラム)が1人飛び出した。

ローイがメイン集団に捉えられたカウンターでルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)がアタックするも決定的な動きには繋がらず、この後も断続的にアタックが繰り返される。そして集団は1つのまま1級山岳ノルフィエル(距離11km/平均5.8%)の登坂に突入した。

総合エースにデンマーク王者セシリーウトラップ・ルドヴィグを擁するFDJ・スエズ・フチュロスコープが先頭ペーシングを担うと、集団から続々と選手たちが脱落。その中には3日間に渡りリーダージャージを着たマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)も含まれ、一方で先頭の牽引がリアヌ・リッパート(ドイツ)で優勝を狙うチームDSMに代わった。

1級山岳を制したセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ)1級山岳を制したセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) photo:CorVos
惜しくも敗れたリアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)惜しくも敗れたリアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) photo:CorVos
残り3km地点でニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)が加速し、これに反応したリッパートがそのままダンシングで後続を引き離す。このドイツ王者の登坂スピードに唯一ルドヴィグが追従し、2人はローテーションを回しながら追走集団との差を拡げていった。

フィニッシュまで残り1kmを切っても軽やかにダンシングするルドヴィグに対し、苦悶の表情を浮かべるリッパートは先頭交代を拒否。そのまま残り250m地点を通過すると、最後の力を振り絞り腰を上げたリッパートをルドヴィグが突き放して勝利。そしてルドヴィグは、母国デンマーク・コペンハーゲンで開幕した北欧レースのリーダージャージを獲得した。

リーダージャージに袖を通したセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ)リーダージャージに袖を通したセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) photo:CorVos
ツール・ド・フランス・ファム第3ステージ以来となる勝利を掴み取ったルドヴィグ。「レースをしていると勝利への執念が湧き上がってくるもの。また今日は素晴らしいアシストをしてくれた仲間のためにも勝ちたかった。だから今夜は祝杯のシャンパンを少しだけ飲むつもり」と、リーダージャージを袖に通して喜んだ。

翌日に待ち受ける大会最終日の舞台は細かなアップダウンが連続する丘陵ステージ。ルドヴィグは「このジャージを持ち帰るべく、絶対に守り切るつもり。明日はとてもタフなレースになるだろうが、私自身ワクワクしているしチームもその準備ができている」とトレードマークである満面の笑顔で意気込みを語った。
ツアー・オブ・スカンジナビア2022第5ステージ結果
1位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) 3:26:24
2位 リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) 0:01
3位 ジュリー・デウェルド(ベルギー、プラントゥール・プラ) 0:31
4位 ジョシー・ネルソン(イギリス、コープ・ハイテックプロダクツ) 0:38
5位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
6位 タマラ・ドロノヴァ(ロシア、ローランド・コジャース・エーデルワイススクァッド)
7位 アヌースカ・コスター(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
8位 エスミー・ペイパーカンプ(オランダ、チームDSM)
9位 ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
20位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 2:58
個人総合成績
1位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) 16:48:30
2位 リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) 0:17
3位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 0:44
4位 ジュリー・デウェルド(ベルギー、プラントゥール・プラ) 0:55
5位 タマラ・ドロノヴァ(ロシア、ローランド・コジャース・エーデルワイススクァッド) 1:00
6位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
7位 カトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー、モビスター)
8位 アヌースカ・コスター(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 1:06
9位 エスミー・ペイパーカンプ(オランダ、チームDSM)
10位 ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード) 1:08
その他の特別賞
山岳賞 アンバー・クラーク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
ポイント賞 アリソン・ジャクソン(カナダ、リブレーシング・エクストラ)
ヤングライダー賞 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 UAEチームADQ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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