2022/08/09(火) - 18:55
カナダ、モンサンタンでU23の日本勢3名が出場したMTBW杯第8戦が開催。ティトアン・カロ(フランス、BMC・MTBレーシングチーム)とヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)がエリートで勝利し、女子U23の小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)が10位に食い込んだ。
世界選手権を月末に控える中、MTBレースの最高峰シリーズ「メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ」はカナダ・モンサンタンで北米2連戦の2戦目となる第8戦が開催。アメリカ、ウェストバージニア州のスノーシューで第6戦を終えた世界のトップランカーたちが北米を代表する名コースでバトルを繰り広げた。
また、日本勢は小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)がアメリカから転戦し、鈴木来人(FUKAYA RACING)と村上功太郎(松山大学)が合流を果たした。
男子エリート:濡れたダウンヒルを味方につけたフランス王者が初勝利
前週のXCC(ショートトラック)レース中に木製ラダーの下りで激しく前転して負傷した世界王者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)は本調子でこそないもののレースに復帰。そんな男子エリートレースを序盤からリードしたのは、フランス王者ティトアン・カロ(フランス、BMC・MTBレーシングチーム)だった。
スタートループから積極的にペースを上げ、「女子レース中に降った雨が僕の味方となり、自信をもって下りを攻めることができた」と振り返る通り、濡れた大岩が続く最初のダウンヒルセクションで後続を引き離す。パワフルに登りをこなし、随一のダウンヒラーとして知られるフランス王者に対し、チームメイトのフィリッポ・コロンボ(スイス、BMC MTBレーシング)はトーマス・リッチャー(スイス、クロス・オルレンサイクリングチーム)らと共に2位グループに入って追走の足止め役を担った。
結局、スタートループと3.9kmコースを6周回する1時間24分レースのほぼ全てを逃げ切ったカロが、2位グループを1分30秒以上引き離す圧倒的な走りで勝った。2018年と2022年のフランス王者となり、U23時代には2度W杯ランキングで総合優勝していたカロにとっては嬉しいエリートカテゴリーのW杯初勝利。第5戦と第6戦ルーカ・ブライド(イタリア、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム)と、第7戦のダビ・バレロ(スペイン、BHテンプロカフェUCC)に続いて、これまでのW杯未勝利勢の初勝利が続いている。
更に、2位グループで展開したコロンボが2位に入ってBMC MTBレーシングがワンツー勝利。3位はブライドで、シューターは怪我をおして走りながらも6位まで追い上げてフィニッシュしている。
女子エリート:ネフが4年ぶりのワールドカップ優勝
女子エリートレースは体調不良を訴えたジェニー・リスヴェッツ(チーム31アイビスサイクルズ)が未出走を選び、さらに母国レースに燃えていたエミリー・バティ(カナダ、キャニオンMTBレーシング)がスタートダッシュ中に激しく落車し、肘を深く怪我する波乱の幕開けに。開幕3連勝を決めつつも、このところ成績を落としていたレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)が力強く序盤戦を引っ張り続けた。
しかしマコンネルは全5周回中の2周目に失速し、代わって元世界女王ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)がリード。突如降り始めた豪雨がコース状況を一変させたことも、トップ選手の中でも抜きん出たテクニックを誇るネフに大きく味方した。
先週W杯初勝利を飾ったアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)は転倒し、現W杯ランキングリーダーのアン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング)もネフの刻むペースには敵わない。独特のハイケイデンスペダリングと、ダウンヒル選手顔負けのライン取りで飛ばし続けたネフが勝利。ネフのW杯勝利は2018年8月のフランス大会以来実に4年ぶりで、勝利数を合計13に伸ばすことに成功した。
女子U23の小林あかりが10位フィニッシュ
また、男女U23レースにエントリーした日本勢の中で、小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)がトップから6分50秒遅れでの10位(19名出走)フィニッシュ。鈴木来人(FUKAYA RACING)は41位、村上功太郎(松山大学)は42位で共にあと1周回完走に手が届かなかった。
自身最高順位でフィニッシュした小林は「ワールドカップでなかなか成績が出ず、本当に苦しかったですが、周りのたくさんの人に支えていただき、ここまで来れました!まだまだ、課題はたくさんありますが、今はこの結果を出すことができて嬉しいです!世界選手権、そして最後のワールドカップまで全力で楽しんで頑張ります!応援ありがとうございました」とコメント。続く世界選手権に向けて好感触を掴んでいるようだ。
UCIワールドカップは全9戦中の8戦を消化したものの、男子エリートはこれまで2大巨頭だったシューターは怪我、マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)はコロナ感染による北米ラウンドキャンセルで共にトップコンディションではなく、女子もほぼ同じ状況で各選手の実力とコンディションが乱高下している印象だ。
それを表すかのように今大会を終えてもシリーズタイトルの行方は決まっておらず、男子はシューター(1453ポイント)をバレロが僅か125ポイント差で追い、女子もテルプストラの1590ポイントをマコンネルが1526ポイントで、ケラーが1502ポイントで追いかけている。
男女のエリートカテゴリーでは共に絶対的な力を誇る選手がおらず混沌とした状況であり、女子も例年以上に力が拮抗した状況で世界選手権を迎えることになりそうだ。
世界選手権を月末に控える中、MTBレースの最高峰シリーズ「メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ」はカナダ・モンサンタンで北米2連戦の2戦目となる第8戦が開催。アメリカ、ウェストバージニア州のスノーシューで第6戦を終えた世界のトップランカーたちが北米を代表する名コースでバトルを繰り広げた。
また、日本勢は小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)がアメリカから転戦し、鈴木来人(FUKAYA RACING)と村上功太郎(松山大学)が合流を果たした。
男子エリート:濡れたダウンヒルを味方につけたフランス王者が初勝利
前週のXCC(ショートトラック)レース中に木製ラダーの下りで激しく前転して負傷した世界王者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)は本調子でこそないもののレースに復帰。そんな男子エリートレースを序盤からリードしたのは、フランス王者ティトアン・カロ(フランス、BMC・MTBレーシングチーム)だった。
スタートループから積極的にペースを上げ、「女子レース中に降った雨が僕の味方となり、自信をもって下りを攻めることができた」と振り返る通り、濡れた大岩が続く最初のダウンヒルセクションで後続を引き離す。パワフルに登りをこなし、随一のダウンヒラーとして知られるフランス王者に対し、チームメイトのフィリッポ・コロンボ(スイス、BMC MTBレーシング)はトーマス・リッチャー(スイス、クロス・オルレンサイクリングチーム)らと共に2位グループに入って追走の足止め役を担った。
結局、スタートループと3.9kmコースを6周回する1時間24分レースのほぼ全てを逃げ切ったカロが、2位グループを1分30秒以上引き離す圧倒的な走りで勝った。2018年と2022年のフランス王者となり、U23時代には2度W杯ランキングで総合優勝していたカロにとっては嬉しいエリートカテゴリーのW杯初勝利。第5戦と第6戦ルーカ・ブライド(イタリア、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム)と、第7戦のダビ・バレロ(スペイン、BHテンプロカフェUCC)に続いて、これまでのW杯未勝利勢の初勝利が続いている。
更に、2位グループで展開したコロンボが2位に入ってBMC MTBレーシングがワンツー勝利。3位はブライドで、シューターは怪我をおして走りながらも6位まで追い上げてフィニッシュしている。
女子エリート:ネフが4年ぶりのワールドカップ優勝
女子エリートレースは体調不良を訴えたジェニー・リスヴェッツ(チーム31アイビスサイクルズ)が未出走を選び、さらに母国レースに燃えていたエミリー・バティ(カナダ、キャニオンMTBレーシング)がスタートダッシュ中に激しく落車し、肘を深く怪我する波乱の幕開けに。開幕3連勝を決めつつも、このところ成績を落としていたレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカー・ジェヌイン)が力強く序盤戦を引っ張り続けた。
しかしマコンネルは全5周回中の2周目に失速し、代わって元世界女王ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)がリード。突如降り始めた豪雨がコース状況を一変させたことも、トップ選手の中でも抜きん出たテクニックを誇るネフに大きく味方した。
先週W杯初勝利を飾ったアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)は転倒し、現W杯ランキングリーダーのアン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング)もネフの刻むペースには敵わない。独特のハイケイデンスペダリングと、ダウンヒル選手顔負けのライン取りで飛ばし続けたネフが勝利。ネフのW杯勝利は2018年8月のフランス大会以来実に4年ぶりで、勝利数を合計13に伸ばすことに成功した。
女子U23の小林あかりが10位フィニッシュ
また、男女U23レースにエントリーした日本勢の中で、小林あかり(弱虫ペダルサイクリングチーム)がトップから6分50秒遅れでの10位(19名出走)フィニッシュ。鈴木来人(FUKAYA RACING)は41位、村上功太郎(松山大学)は42位で共にあと1周回完走に手が届かなかった。
自身最高順位でフィニッシュした小林は「ワールドカップでなかなか成績が出ず、本当に苦しかったですが、周りのたくさんの人に支えていただき、ここまで来れました!まだまだ、課題はたくさんありますが、今はこの結果を出すことができて嬉しいです!世界選手権、そして最後のワールドカップまで全力で楽しんで頑張ります!応援ありがとうございました」とコメント。続く世界選手権に向けて好感触を掴んでいるようだ。
UCIワールドカップは全9戦中の8戦を消化したものの、男子エリートはこれまで2大巨頭だったシューターは怪我、マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)はコロナ感染による北米ラウンドキャンセルで共にトップコンディションではなく、女子もほぼ同じ状況で各選手の実力とコンディションが乱高下している印象だ。
それを表すかのように今大会を終えてもシリーズタイトルの行方は決まっておらず、男子はシューター(1453ポイント)をバレロが僅か125ポイント差で追い、女子もテルプストラの1590ポイントをマコンネルが1526ポイントで、ケラーが1502ポイントで追いかけている。
男女のエリートカテゴリーでは共に絶対的な力を誇る選手がおらず混沌とした状況であり、女子も例年以上に力が拮抗した状況で世界選手権を迎えることになりそうだ。
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第8戦男子エリート結果
1位 | ティトアン・カロ(フランス、BMC・MTBレーシングチーム) | 1:24:48 |
2位 | フィリッポ・コロンボ(スイス、BMC MTBレーシング) | +1:41 |
3位 | ダビ・バレロ(スペイン、BHテンプロカフェUCC) | +1:44 |
4位 | ルーカ・ブライド(イタリア、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム) | +1:49 |
5位 | ピエール・デフロワドモン(ベルギー、KMCオルベア) | |
6位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | +1:50 |
7位 | マキシム・マロット(フランス、サンタクルズ・FSA・MTBプロチーム) | +2:34 |
8位 | トマ・グリオ(フランス、キャニオン・CLLCTV) | +2:43 |
9位 | イェンス・シューマンス(ベルギー、スコット・クルーズ・オキシジェン・ゲレ) | +3:00 |
10位 | マルセル・グエリーニ(スイス、ビックス・パフォーマンスレーシング) | +3:07 |
メルセデスベンツUCI MTBワールドカップ第8戦女子エリート結果
1位 | ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC) | 1:26:53 |
2位 | モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、キャノンデールファクトリーレーシング) | +0:56 |
3位 | ヘイリー・バッテン(アメリカ、スペシャライズドファクトリーレーシング) | |
4位 | マルティナ・ベルタ(イタリア、サンタクルズ・FSA MTBプロチーム) | +2:04 |
5位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | +2:09 |
6位 | レナ・ゲノー(フランス、KTMヴィットリア) | +2:59 |
7位 | アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) | +3:24 |
8位 | ケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | +3:29 |
9位 | ヤニカ・ロイフ(エストニア、KMCオルベア) | +3:31 |
10位 | カロリーヌ・ボヘ(デンマーク、ゴーストファクトリーレーシング) | +3:51 |
text:So Isobe
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