2人のプロ1年目(スタジエ)による一騎打ちで決着したブルゴス4日目は、逃げ切りで22歳のマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)がプロ初勝利。総合順位は変わらず、パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)が首位のまま、総合優勝は最終日の山岳決戦で決することに。



スタートを待つリーダージャージのパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)スタートを待つリーダージャージのパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦として知られるブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)も最終日前日の第4ステージを迎えた。スプリンターはもちろんクライマーも苦しめた前日の超級山岳から一転、この日はカテゴリー山岳のない169kmの平坦ステージで争われ、ラストは距離2.1km/平均4.9%の丘を駆け上がる。

気温34度と北スペインらしい乾いた陽気のなか、今年2月以降勝利から遠ざかっているフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を含む14名がエスケープした。ここにリーダーチームであるイネオス・グレナディアーズのブランドン・リベラ(コロンビア)が入ったことで、逃げに選手を送り込めなかった地元ブルゴスBHとエキポ・ケルンファルマがメイン集団を牽引した。

プロトンと2分30〜50秒のタイム差で突き進む逃げ集団では、残り40km地点でオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)による仕掛けをきっかけに逃げ集団が分裂。ガビリアが遅れを喫した一方で、ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)やルイス・マス(スペイン、モビスター)などベテラン選手を含む7名の先鋭集団が誕生した。

レース序盤から逃げ集団を形成した14名レース序盤から逃げ集団を形成した14名 photo:CorVos
メイン集団を牽引するブルゴスBHとエキポ・ケルンファルマメイン集団を牽引するブルゴスBHとエキポ・ケルンファルマ photo:CorVos
時を同じくして、メイン集団ではブルゴスBHとエキポ・ケルンファルマが追走を断念したためペースダウン。EFエデュケーション・イージーポストや新城幸也が先頭を牽くバーレーン・ヴィクトリアスがコントロールの意思を見せたものの、フィニッシュまで30kmを残して追走を止め、勝負は逃げ集団に委ねられた。

フィニッシュまで続く距離2.1km/平均4.9%の登りに先頭の7名が突入すると、牽制でペースが緩む隙をついてこの中で唯一プロチーム所属のシャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)がアタック。しかしこの動きは決まらず、再び牽制の後ゴールドスタインがスプリントを開始した。

このスプリントに素早く反応したのは、8月1日に下部チームから昇格したばかりのヴァランタン・ルタイロー(フランス、AG2Rシトロエン)。チーム500勝目を目指し残り100mで先頭に出たルタイローだったが、その背後で冷静に飛び出すタイミングを伺っていたマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が先着。6月1日にプロになったばかりの22歳がプロ初勝利を掴み取った。

オメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)のアタックをきっかけに7名の先鋭集団が形成されたオメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)のアタックをきっかけに7名の先鋭集団が形成された photo:CorVos
スプリントを制したマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)スプリントを制したマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ゴベカールはスロベニア出身、20歳のスプリンター。かつてはチームメイトで同国のヤン・トラトニクも所属したオーストリアのコンチネンタルチーム「チロルKTM・サイクリングチーム」から今年6月1日に加入すると、プロ初戦となったツアー・オブ・スロベニアのスプリントステージで9位になる活躍を見せた。

「大きな逃げができたら乗る、というのが今日の作戦だった。14名の逃げが生まれ、逃げ切りが濃厚となってからは脚を溜めることに専念した。その試みが完璧にハマったよ」とゴベカール。「難しいフィニッシュになることはわかっていたが、何とか集団先頭に食らいつき、残り300mから力強いスプリントを披露することができた。勝てたなんて信じられない」とも。

翌日第5ステージは大会最終日。総合順位がシャッフルされるであろう超級山岳ラグナス・デ・ネイラ(登坂距離11.9km/平均勾配6.2%)の頂上で、第44代の総合優勝者が決定する。

プロデビュー僅か2ヶ月で初勝利を飾ったマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)プロデビュー僅か2ヶ月で初勝利を飾ったマテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
リーダージャージを守ったパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)リーダージャージを守ったパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
ブエルタ・ア・ブルゴス2022第4ステージ結果
1位 マテフ・ゴベカール(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:36:18
2位 ヴァランタン・ルタイロー(フランス、AG2Rシトロエン)
3位 オメル・ゴールドスタイン(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)
4位 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
5位 パトリック・ガンパー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:05
個人総合成績
1位 パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) 11:14:36
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:23
3位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:26
4位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
山岳賞 ヴォイチェフ・レパ(チェコ、エキポ・ケルンファルマ)
ポイント賞 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa

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