2022/10/16(日) - 11:55
シマノが満を持してリリースしたDURA-ACEグレードの新型ディスクブレーキローター"RT-CL900"。堅牢性と静音性、エアロ性能が向上したディスクローターを編集部員が200kmのテストライドで試した。
新型シマノ105 "R7100シリーズ"と同時に発表された新型ディスクブレーキローター"RT-CL900"。これはフラッグシップコンポーネントDURA-ACEグレードにあたるディスクブレーキローターであり、R9200系発表当時にDURA-ACEと組み合わせての使用がアナウンスされていたRT-MT900と入れ替わるハイエンドモデルだ。
アウターローターとアーム部分のデザインは1世代前のDURA-ACE R9100系"SM-RT900"と、XTRグレード"RT-MT900"を組み合わせたような見た目。特に開発時に重視されたのがスパイダーアーム部。徹底的に作り込むことで、優れた堅牢性を実現したという。
新形状のアームによる進化は大きく、長時間のダウンヒルでブレーキに力をかけ続けることで発生する熱の影響を低減。さらに剛性が向上したことでディスクローターがブレーキパッドに擦れにくくなっており、音鳴りが発生しにくくなっている。
ディスクブレーキローターにとって重要な性能である放熱性については、シマノが誇るアイステクノロジーフリーザで対応。アルミの芯材をステンレスで挟み込むことで、軽量性と放熱性、剛性などあらゆる要素に優れたローターに仕上げられている。また、ローターフィンの黒い部分は特別な放熱塗料でペイントされており、優れた耐熱性に貢献する。
平均重量は140mmが96g、160mmが114gとなっている。ブレーキローターの固定方法はセンターロック方式。ローターサイズは140mmと160mmの2種類の展開となる。価格はRT-CL900が9,313円〜9,463円(税込)。
―編集部インプレッション
インプレッションを担当したのはCW編集スタッフにして、現役JCL選手でもある高木三千成。ロードレースとシクロクロスでディスクブレーキを搭載したバイクを使用しており、これまでシマノのDURA-ACEとULTEGLA、XTR、XTグレードのディスクブレーキローターを使用してきた。
R9100系DURA-ACEのSM-RT900ももちろん使用していたが、ロードレースの長いダウンヒルでブレーキをかけ続けた際に発生しやすい音鳴りはできれば解消したいものの一つだった。そんな音鳴りの解消に加え、軽量化を推し進めるべく、暫くしてからXTRグレードの"RT-MT900"を導入。
SM-RT900のフィンによるエアロ性能はRT-MT900に勝るものだったが、レースに集中したいため今もRT-MT900を愛用している。R9200系でコンポーネンツの一部として正式に組み込まれたことはもちろん、欧州プロのレースを見てもRT-MT900を使用している選手が多く、そのアドバンテージは確かにあるようだ。
RT-MT900がロードレースでもスタンダードな存在となったタイミングで、シマノは満を持して新型ローターのRT-CL900を発表。新型シマノ105の発表と同時にお披露目され、徹底的に作り込まれたという実物を手にした時からRT-CL900の性能には非常に大きな期待を寄せていた。
そんな新型ディスクブレーキローターをテストする機会を得た私は、普段と同じ200kmの練習コースに新型ローターを装着した愛車を連れ出した。ホームコースである奥武蔵の山へのアプローチでは片道50km以上の平地を走っていくことになる。そこでは普段より速度をキープするのが楽になっているような気がした。
いつもと違う点はディスクブレーキローターのみ。アームのデザインが風の流れを考慮したようなエアロデザインのため、多少なりとも空気抵抗が低減されているのだろう。横風を受けた時もいつもより影響は小さく、エアロダイナミクス面でもアップデートされているように感じた。
ブレーキングの本格的なテストは峠のダウンヒルで行った。舞台は荒川流域に住まうサイクリストにとっては馴染み深いかたも多いだろう白石峠。距離は約6.4km、標高差は540m、平均勾配は8.6%と厳しめの峠は、ブレーキローターのテストにはうってつけだ。
普段であればほぼ確実に音鳴りが発生するダウンヒルを、普段通りか、なんとなれば少しアグレッシブに走ってみたが、新型ディスクブレーキローターでは音鳴りは発生せず。更にフルブレーキングも試してみたのだが、ブレーキローターは静かなままだ。
さらに、ディスクブレーキローターに熱が入るようにあえてブレーキを掛けてみたものの、制動力が低下するなどネガティブなことはない。下り終わりまで制動力が安定し続けるため、下りが苦手な人でも、安心して下れるはずだ。
テストライドを終えて感じたのは、新型ディスクブレーキローター"RT-CL900"は堅牢性と静音性、エアロ性能の三拍子揃った一枚だということ。ブレーキに不安を抱える全てのロードサイクリストにおすすめしたいと思えるディスクブレーキローターで、シマノのロード用ブレーキローターのマイルストーンとなる名作になりそうだ。
シマノ RT-CL900
テクノロジー:ICE TECHNOLOGIES FREEZA、Heat dissipation paint
サイズ:140mm、160mm
平均重量:96g(140mm)、114g(160mm)
価格:9,313円〜9,463円(税込)
impression:Michinari Takagi
新型シマノ105 "R7100シリーズ"と同時に発表された新型ディスクブレーキローター"RT-CL900"。これはフラッグシップコンポーネントDURA-ACEグレードにあたるディスクブレーキローターであり、R9200系発表当時にDURA-ACEと組み合わせての使用がアナウンスされていたRT-MT900と入れ替わるハイエンドモデルだ。
アウターローターとアーム部分のデザインは1世代前のDURA-ACE R9100系"SM-RT900"と、XTRグレード"RT-MT900"を組み合わせたような見た目。特に開発時に重視されたのがスパイダーアーム部。徹底的に作り込むことで、優れた堅牢性を実現したという。
新形状のアームによる進化は大きく、長時間のダウンヒルでブレーキに力をかけ続けることで発生する熱の影響を低減。さらに剛性が向上したことでディスクローターがブレーキパッドに擦れにくくなっており、音鳴りが発生しにくくなっている。
ディスクブレーキローターにとって重要な性能である放熱性については、シマノが誇るアイステクノロジーフリーザで対応。アルミの芯材をステンレスで挟み込むことで、軽量性と放熱性、剛性などあらゆる要素に優れたローターに仕上げられている。また、ローターフィンの黒い部分は特別な放熱塗料でペイントされており、優れた耐熱性に貢献する。
平均重量は140mmが96g、160mmが114gとなっている。ブレーキローターの固定方法はセンターロック方式。ローターサイズは140mmと160mmの2種類の展開となる。価格はRT-CL900が9,313円〜9,463円(税込)。
―編集部インプレッション
インプレッションを担当したのはCW編集スタッフにして、現役JCL選手でもある高木三千成。ロードレースとシクロクロスでディスクブレーキを搭載したバイクを使用しており、これまでシマノのDURA-ACEとULTEGLA、XTR、XTグレードのディスクブレーキローターを使用してきた。
R9100系DURA-ACEのSM-RT900ももちろん使用していたが、ロードレースの長いダウンヒルでブレーキをかけ続けた際に発生しやすい音鳴りはできれば解消したいものの一つだった。そんな音鳴りの解消に加え、軽量化を推し進めるべく、暫くしてからXTRグレードの"RT-MT900"を導入。
SM-RT900のフィンによるエアロ性能はRT-MT900に勝るものだったが、レースに集中したいため今もRT-MT900を愛用している。R9200系でコンポーネンツの一部として正式に組み込まれたことはもちろん、欧州プロのレースを見てもRT-MT900を使用している選手が多く、そのアドバンテージは確かにあるようだ。
RT-MT900がロードレースでもスタンダードな存在となったタイミングで、シマノは満を持して新型ローターのRT-CL900を発表。新型シマノ105の発表と同時にお披露目され、徹底的に作り込まれたという実物を手にした時からRT-CL900の性能には非常に大きな期待を寄せていた。
そんな新型ディスクブレーキローターをテストする機会を得た私は、普段と同じ200kmの練習コースに新型ローターを装着した愛車を連れ出した。ホームコースである奥武蔵の山へのアプローチでは片道50km以上の平地を走っていくことになる。そこでは普段より速度をキープするのが楽になっているような気がした。
いつもと違う点はディスクブレーキローターのみ。アームのデザインが風の流れを考慮したようなエアロデザインのため、多少なりとも空気抵抗が低減されているのだろう。横風を受けた時もいつもより影響は小さく、エアロダイナミクス面でもアップデートされているように感じた。
ブレーキングの本格的なテストは峠のダウンヒルで行った。舞台は荒川流域に住まうサイクリストにとっては馴染み深いかたも多いだろう白石峠。距離は約6.4km、標高差は540m、平均勾配は8.6%と厳しめの峠は、ブレーキローターのテストにはうってつけだ。
普段であればほぼ確実に音鳴りが発生するダウンヒルを、普段通りか、なんとなれば少しアグレッシブに走ってみたが、新型ディスクブレーキローターでは音鳴りは発生せず。更にフルブレーキングも試してみたのだが、ブレーキローターは静かなままだ。
さらに、ディスクブレーキローターに熱が入るようにあえてブレーキを掛けてみたものの、制動力が低下するなどネガティブなことはない。下り終わりまで制動力が安定し続けるため、下りが苦手な人でも、安心して下れるはずだ。
テストライドを終えて感じたのは、新型ディスクブレーキローター"RT-CL900"は堅牢性と静音性、エアロ性能の三拍子揃った一枚だということ。ブレーキに不安を抱える全てのロードサイクリストにおすすめしたいと思えるディスクブレーキローターで、シマノのロード用ブレーキローターのマイルストーンとなる名作になりそうだ。
シマノ RT-CL900
テクノロジー:ICE TECHNOLOGIES FREEZA、Heat dissipation paint
サイズ:140mm、160mm
平均重量:96g(140mm)、114g(160mm)
価格:9,313円〜9,463円(税込)
impression:Michinari Takagi
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