2022/07/29(金) - 09:24
残り60kmで30名を巻き込む大規模落車が発生した女子ツール・ド・フランス第4ステージで、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が圧巻のスプリントを披露。世界王者バルサモやマイヨジョーヌのフォスらを抑え、区間2勝目を掴み取った。
笑顔を見せるアンヌドルテ・イースランドとミーエビョルンダル・オッテスタッド(共にノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) photo:CorVos
スタートを待つパウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、キャニオン・スラム) photo:CorVos
集団先頭でスタートを待つマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第5ステージコースマップ (c)A.S.O.
ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第5ステージコースプロフィール (c)A.S.O.
33年ぶりに復活したツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)も後半戦に突入。大会5日目の舞台はバール・ル・デュクからサン・ディエ・デ・ヴォージュまでの丘陵地帯で、その距離は今大会最長の175.6km。レース中盤に2つの4級山岳が登場するものの、スプリンターを退ける難易度ではないため大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれた。
130名の選手たちがフランス北部ムーズ県のバール・ル・デュクをスタートすると、ピアノ専攻で修士号を取得した経歴を持つエミリー・ニューソン(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)とオーストラリアとオセアニアのTT王者であるアーニャ・ロー(AGインシュランス・NXTGチーム)が逃げを打つ。それにビクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス・ウィメンチーム)ら2人が合流し、4名の逃げ集団が形成された。
バール・ル・デュクを出発する選手たち photo:CorVos
逃げ集団を形成したアントリ・クリストフォロウ(キプロス、ヒューマンパワードヘルス)ら photo:CorVos
先頭4名に対し最大3分30秒のアドバンテージを許したメイン集団では、マイヨジョーヌのユンボ・ヴィスマや集団スプリントに持ち込みたいチームDSMが積極的にペースのコントロールを担当。そこにシルヴィア・ペルシコとキアラ・コンソンニ(共にイタリア)という2人のスプリンターを擁するヴァルカー・トラベル&サービスも牽引に加わった。
残り60km地点でバルバラ・マルコッティ(イタリア、ヒューマンパワードヘルス)が道路脇に停車して待っていたチームカーから機材アシストを受けたとして失格処分が下される。「個人的にクレイジーな処分だと思う」と監督であるアンドリュー・バジャダリ氏がレース後に語ったものの、処分は覆ることなくチームは後半戦を1人少ない5名でのレースを強いられることになった。
世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)のためにリア・トーマス(アメリカ)が先頭を牽きペースアップが敢行されたプロトンでは、障害物のない直線路で約30名による大規模落車が発生する。これに元世界王者シャンタル・ブラーク(オランダ)やこの日の優勝候補であるロッタ・コペッキー(ベルギー、共にSDワークス)が巻き込まれ、エマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)は頭や首、肩を負傷して棄権。そのまま現地の病院へ搬送された。
残り60km地点で発生した大規模落車 photo:CorVos
リタイアを強いられたエマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター) photo:CorVos
2つの4級山岳や残り20km地点に設定されたボーナスポイントの丘を先頭で通過したのはベルトー。逃げ集団から選手が1人また1人と脱落していくなか母国レースで気を張るベルトーが最後まで1人粘ったものの、残り3km地点で吸収。エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)を先頭にフラムルージュ(残り1km地点)を通過すると勝負は集団スプリントに持ち込まれた。
最終コーナーでトレックによる隊列の先頭を牽いていたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)がコースを間違えるシーンも。しかし大勢には影響なくマリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア、セラティツィット・WNTプロサイクリング)の加速をきっかけにスプリントが開始。マイヨジョーヌのマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やバルサモというトップスプリンターを引き離す、圧巻のスピードでロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が勝利した。
この日もマイヨジョーヌを着て走るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
圧巻のスプリントで勝利したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
区間2勝目を掴んだロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
大会初日に続く区間2勝目を挙げたウィーベスは「レース序盤から逃げ集団とのタイム差をコントロールしてくれたフランシスカ・コッホのおかげ。彼女の走りを誇りに思う」と最初にチームメイトへの感謝を語った。そして「高速かつハイスピードでUターンに突入する混沌の最終盤となった。スプリントと脚の感覚にはとても満足しており、チームワークに勝利で報いることができてとても嬉しい」と、これが今季16勝目という敵なしの強さを見せるウィーベスは喜んだ。
マイヨジョーヌは区間3位に入りボーナスタイム-4秒を獲得したフォスがキープ。「(総合)タイムを稼ぐことができた良い1日となった。長くチャレンジなステージで、全チームがトラブル回避のために力を尽くしていた」とコメント。またマイヨジョーヌと共にトップを走るマイヨヴェールについても「良いリードを得ているし、このままのアドバンテージで進んでいきたい」と最終的な獲得に向けての意欲を語っている。
この日もマイヨジョーヌをキープしたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
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33年ぶりに復活したツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)も後半戦に突入。大会5日目の舞台はバール・ル・デュクからサン・ディエ・デ・ヴォージュまでの丘陵地帯で、その距離は今大会最長の175.6km。レース中盤に2つの4級山岳が登場するものの、スプリンターを退ける難易度ではないため大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれた。
130名の選手たちがフランス北部ムーズ県のバール・ル・デュクをスタートすると、ピアノ専攻で修士号を取得した経歴を持つエミリー・ニューソン(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)とオーストラリアとオセアニアのTT王者であるアーニャ・ロー(AGインシュランス・NXTGチーム)が逃げを打つ。それにビクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス・ウィメンチーム)ら2人が合流し、4名の逃げ集団が形成された。
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先頭4名に対し最大3分30秒のアドバンテージを許したメイン集団では、マイヨジョーヌのユンボ・ヴィスマや集団スプリントに持ち込みたいチームDSMが積極的にペースのコントロールを担当。そこにシルヴィア・ペルシコとキアラ・コンソンニ(共にイタリア)という2人のスプリンターを擁するヴァルカー・トラベル&サービスも牽引に加わった。
残り60km地点でバルバラ・マルコッティ(イタリア、ヒューマンパワードヘルス)が道路脇に停車して待っていたチームカーから機材アシストを受けたとして失格処分が下される。「個人的にクレイジーな処分だと思う」と監督であるアンドリュー・バジャダリ氏がレース後に語ったものの、処分は覆ることなくチームは後半戦を1人少ない5名でのレースを強いられることになった。
世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)のためにリア・トーマス(アメリカ)が先頭を牽きペースアップが敢行されたプロトンでは、障害物のない直線路で約30名による大規模落車が発生する。これに元世界王者シャンタル・ブラーク(オランダ)やこの日の優勝候補であるロッタ・コペッキー(ベルギー、共にSDワークス)が巻き込まれ、エマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)は頭や首、肩を負傷して棄権。そのまま現地の病院へ搬送された。
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2つの4級山岳や残り20km地点に設定されたボーナスポイントの丘を先頭で通過したのはベルトー。逃げ集団から選手が1人また1人と脱落していくなか母国レースで気を張るベルトーが最後まで1人粘ったものの、残り3km地点で吸収。エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)を先頭にフラムルージュ(残り1km地点)を通過すると勝負は集団スプリントに持ち込まれた。
最終コーナーでトレックによる隊列の先頭を牽いていたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)がコースを間違えるシーンも。しかし大勢には影響なくマリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア、セラティツィット・WNTプロサイクリング)の加速をきっかけにスプリントが開始。マイヨジョーヌのマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やバルサモというトップスプリンターを引き離す、圧巻のスピードでロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が勝利した。
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大会初日に続く区間2勝目を挙げたウィーベスは「レース序盤から逃げ集団とのタイム差をコントロールしてくれたフランシスカ・コッホのおかげ。彼女の走りを誇りに思う」と最初にチームメイトへの感謝を語った。そして「高速かつハイスピードでUターンに突入する混沌の最終盤となった。スプリントと脚の感覚にはとても満足しており、チームワークに勝利で報いることができてとても嬉しい」と、これが今季16勝目という敵なしの強さを見せるウィーベスは喜んだ。
マイヨジョーヌは区間3位に入りボーナスタイム-4秒を獲得したフォスがキープ。「(総合)タイムを稼ぐことができた良い1日となった。長くチャレンジなステージで、全チームがトラブル回避のために力を尽くしていた」とコメント。またマイヨジョーヌと共にトップを走るマイヨヴェールについても「良いリードを得ているし、このままのアドバンテージで進んでいきたい」と最終的な獲得に向けての意欲を語っている。
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ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第5ステージ結果
1位 | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) | 4:32:16 |
2位 | エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
4位 | ラチェーレ・バルビエリ(イタリア、リブレーシング・エクストラ) | |
5位 | マイケ・ファンデルドゥイン(オランダ、ルコル・ワフー) | |
6位 | マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア、セラティツィット・WNTプロサイクリング) | |
7位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | |
8位 | ヴィットリア・グアッツィーニ(イタリア、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | |
9位 | タマラ・ドロノヴァ(ロシア、ロランド・コガース・エーデルワイススクアッド) | |
10位 | アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 16:20:58 |
2位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | +0:20 |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
4位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:25 |
5位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | +0:55 |
6位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +1:01 |
7位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +1:09 |
8位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | +1:18 |
9位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +1:52 |
10位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | +2:24 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 217pts |
2位 | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) | 191pts |
3位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | 144pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | フェムケ・ジェリッツ(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) | 8pts |
2位 | コラリ・ドゥメ(フランス、サンミシェル・オベール93WE) | 5pts |
3位 | ラウラ・アセンシオ(フランス、セラティツィットWNTローター) | 5pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリー・デウェルド(ベルギー、プラントゥール・プラ) | 16:25:30 |
2位 | ジュリア・ボルグストローム(スウェーデン、AGインシュランス・NXTGチーム) | +0:16 |
3位 | ファイファー・ジョルジ(オランダ、チームDSM) | +0:22 |
チーム総合成績
1位 | SDワークス | 49:07:55 |
2位 | キャニオン・スラム | +0:56 |
3位 | トレック・セガフレード | +3:44 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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