2022/06/19(日) - 09:26
スイス7日目の超級フィニッシュでティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が逃げ切り。セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が総合首位に浮上したものの、不得意の個人TTを前にリードは僅か2秒に留まった。
ファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)など20名が逃げる photo:CorVos
ツール・ド・スイス2022第7ステージ (c)www.tourdesuisse.chツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)もいよいよ佳境。難関山岳ステージ2連戦の2日目となる第7ステージは、アンブリからルクマニエ峠を経由して超級山岳マルブン山頂に登り詰める。
急勾配ではないものの18kmに及ぶ登坂が続くルクマニエ峠と、12.6kmで平均勾配8.7%に達するマルブンの組み合わせはパンチ力絶大。翌日の最終個人TTを前に山岳でリードを稼ぎたいクライマー勢が激しい勝負を繰り広げた。
総合成績の戦いが加熱すればするほど、逃げ切りのチャンスもまた増える。それを狙った選手たちがスタート直後からアタック合戦を繰り広げたため、この日はレース開始後1時間の平均スピードが50km/hを上回った。強豪勢をたっぷりと含んだ20名が逃げ、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の総合首位を守るイスラエル・プレミアテックがプロトンの主導権を握った。
逃げに乗り、中間スプリントポイントを先頭通過したマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
イスラエル・プレミアテックがメイン集団をコントロール photo:CorVos
逃げグループ内のビッグネームは、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)、ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)、ファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)といった面々。1級ルクマニエ峠ではクレマン・ベルテ(フランス、AG2Rシトロエン)とピノが抜け出す形で越え、登坂で絞られた後続グループが頂上通過後に追いついた。
ステージ優勝のチャンスが(ほぼ)ないマシューズの狙いはポイント賞ランキング首位を確定させることだった。マシューズは後続グループ内でルクマニエ峠を越え、この日2つ設定されていたスプリントポイントを共に先頭通過することに成功している。
超級山岳マルブンの登坂が始まると、先頭グループからはイサギレがルツェンコをふるい落として独走を開始する。しかし「とても暑かったので序盤から踏みすぎては危ないと思っていた」と振り返るピノがタイミングを図って追撃し、まずはルツェンコを、続いて長い追走の末に残り2km地点でイサギレをキャッチ。総合バトルを繰り広げるメイン集団を1分半近く引き離し、ピノがツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージに続く山頂フィニッシュを制した。
イサギレやルツェンコを破り勝利したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos
「大会序盤は難しい場面があったけれど、金曜日には総合勢についていけたことが自信に繋がったんだ。こんな暑さでは少しのオーバーペースで脚が終わってしまうこともある。イサギレはとても速かったが最後までペースを維持できないような気がしていたんだ。このレースで結果を出せばそれまでのトレーニングが正しかったことを確認できる。ツールに向けても安心できるよ」とピノは話している。
ピノから2分15秒遅れで残り2km地点を通過したメイン集団ではイネオス・グレナディアーズが隊列を絞り込んだ。リーダージャージを着るフルサンはゲラント・トーマス(イギリス)を従えたダニエル・マルティネス(コロンビア)のペースアップに耐えていたが、セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)のアタックには反応できず。10秒遅れの総合3位につけていたコロンビア王者が逆転を狙って独走。フルサンを切り離したトーマスが追いかけたものの、一度開いた差は離れも、また縮まりもしなかった。
総合勢の中で先頭フィニッシュしたセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
イギータから29秒遅れたヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
総合首位に浮上したセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)だが、リードは僅か photo:CorVos
こうしてイギータがメイン集団内最上位のステージ4位でレースを終え、トーマスは11秒遅れ、フルサンは29秒遅れでフィニッシュ。こうしてイギータがフルサンに代わり総合首位浮上を叶えた。
「僕らの作戦はマックス(シャフマン)とフェリックス(グロスチャートナー)で攻撃することだった。フルサン自ら仕掛けてトーマスが追従し、そこに畳み掛けるように僕が仕掛けたんだ。明日のTTは得意じゃないぶんここでタイムを稼いでおく必要があった。TTスペシャリストのトーマスと戦うのは正直厳しいけれど、明日も全力で戦いたい」と話している。
25.6kmの個人タイムトライアルを前に、総合首位イギータとトーマスの総合タイム差は僅かに2秒で、3位フルサンは19秒遅れ。ツール・ド・スイスは実質的にトーマスが優位に立ち最終日を迎えることとなった。
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急勾配ではないものの18kmに及ぶ登坂が続くルクマニエ峠と、12.6kmで平均勾配8.7%に達するマルブンの組み合わせはパンチ力絶大。翌日の最終個人TTを前に山岳でリードを稼ぎたいクライマー勢が激しい勝負を繰り広げた。
総合成績の戦いが加熱すればするほど、逃げ切りのチャンスもまた増える。それを狙った選手たちがスタート直後からアタック合戦を繰り広げたため、この日はレース開始後1時間の平均スピードが50km/hを上回った。強豪勢をたっぷりと含んだ20名が逃げ、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の総合首位を守るイスラエル・プレミアテックがプロトンの主導権を握った。
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逃げグループ内のビッグネームは、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)、ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)、ファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)といった面々。1級ルクマニエ峠ではクレマン・ベルテ(フランス、AG2Rシトロエン)とピノが抜け出す形で越え、登坂で絞られた後続グループが頂上通過後に追いついた。
ステージ優勝のチャンスが(ほぼ)ないマシューズの狙いはポイント賞ランキング首位を確定させることだった。マシューズは後続グループ内でルクマニエ峠を越え、この日2つ設定されていたスプリントポイントを共に先頭通過することに成功している。
超級山岳マルブンの登坂が始まると、先頭グループからはイサギレがルツェンコをふるい落として独走を開始する。しかし「とても暑かったので序盤から踏みすぎては危ないと思っていた」と振り返るピノがタイミングを図って追撃し、まずはルツェンコを、続いて長い追走の末に残り2km地点でイサギレをキャッチ。総合バトルを繰り広げるメイン集団を1分半近く引き離し、ピノがツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージに続く山頂フィニッシュを制した。
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「大会序盤は難しい場面があったけれど、金曜日には総合勢についていけたことが自信に繋がったんだ。こんな暑さでは少しのオーバーペースで脚が終わってしまうこともある。イサギレはとても速かったが最後までペースを維持できないような気がしていたんだ。このレースで結果を出せばそれまでのトレーニングが正しかったことを確認できる。ツールに向けても安心できるよ」とピノは話している。
ピノから2分15秒遅れで残り2km地点を通過したメイン集団ではイネオス・グレナディアーズが隊列を絞り込んだ。リーダージャージを着るフルサンはゲラント・トーマス(イギリス)を従えたダニエル・マルティネス(コロンビア)のペースアップに耐えていたが、セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)のアタックには反応できず。10秒遅れの総合3位につけていたコロンビア王者が逆転を狙って独走。フルサンを切り離したトーマスが追いかけたものの、一度開いた差は離れも、また縮まりもしなかった。
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こうしてイギータがメイン集団内最上位のステージ4位でレースを終え、トーマスは11秒遅れ、フルサンは29秒遅れでフィニッシュ。こうしてイギータがフルサンに代わり総合首位浮上を叶えた。
「僕らの作戦はマックス(シャフマン)とフェリックス(グロスチャートナー)で攻撃することだった。フルサン自ら仕掛けてトーマスが追従し、そこに畳み掛けるように僕が仕掛けたんだ。明日のTTは得意じゃないぶんここでタイムを稼いでおく必要があった。TTスペシャリストのトーマスと戦うのは正直厳しいけれど、明日も全力で戦いたい」と話している。
25.6kmの個人タイムトライアルを前に、総合首位イギータとトーマスの総合タイム差は僅かに2秒で、3位フルサンは19秒遅れ。ツール・ド・スイスは実質的にトーマスが優位に立ち最終日を迎えることとなった。
ツール・ド・スイス2022第7ステージ結果
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 5:06:39 |
2位 | オスカル・ロドリゲス(スペイン、モビスター) | +0:25 |
3位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン) | +0:38 |
4位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:19 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:30 |
6位 | ニコラス・プロドム(フランス、AG2Rシトロエン) | +1:40 |
7位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | +1:48 |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +1:59 |
9位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | +2:09 |
10位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:19 |
個人総合成績
1位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 32:38:38 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:02 |
3位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | +0:19 |
4位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:16 |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +1:37 |
6位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | +2:09 |
7位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +2:19 |
8位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン) | +2:31 |
9位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:47 |
10位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +2:59 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) |
山岳賞 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) |
チーム総合成績 | ボーラ・ハンスグローエ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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