2022/06/20(月) - 17:30
日本最大のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」(以下、富士ヒルクライム)。その中から、主催者によって選ばれたクライマーたちが出走した「主催者選抜クラス」の上位陣の愛車を紹介しよう。まずは男性陣から。(※女子入賞者バイクはこちらから)
男子主催者選抜1位 真鍋晃(EMU SPEED CLUB) ファクター O2 VAM
ダークホース、というと失礼かもしれませんが、前回覇者・池田隆人と前回2位・加藤大貴の争いに注目が集まっていた今大会で、鮮やかな独走勝利を果たした真鍋晃。その走りを支えたのが新鋭ブランド、ファクターのクライミングバイク"O2 VAM"だ。
「今シーズンは機材にも拘ろうと思って、決戦バイクを探していたところ、3月頃にこのバイクと出会って即決しました」と、まさに乗り始めて間もないニューバイクでビッグタイトルを掴んだという。ディスクブレーキバイクながら6.35kgと軽量に仕上げられている。
とはいえ、フロントシングルにしたり、ドロップ部をカットしたりといった過激なカスタムは行っていない。あくまで通常のロードバイクとしての走行性能を確保しつつ、軽量化を目指したパーツチョイスとなっている。
コンポーネントはDURA-ACE R9100 DI2だが、クランクはローターのALDHU CARBONにSIGEYIのスパイダーアーム型パワーメーター、AXO。ここにエクストラライトのOCTARAMP 52-36Tを組み合わせる。「DURA-ACEのパワーメーターよりもこの組み合わせだと100g以上軽く出来るんです」とのことで、軽量化への並々ならぬ熱意が窺える。
ホイールはロヴァールのALPINISTにクリンチャー最速との呼び声も高いミシュラン POWER TT、そしてブレーキローターはKCNCのカスディターを組み合わせ、足回りも軽量に仕上げている。
一方でエアロダイナミクスにも気を配っており、ボトルはノーブランドながらマグネット式エアロモデルを使用(レース本番では取り外していた)。ブラケットのポジションも内側に入れ込まれており、脇を締めたポジションを取りやすいセッティングとなっていた。
男子主催者選抜2位 加藤大貴 スペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7
昨年に続き2位に入った加藤大貴。前哨戦の榛名山ヒルクライムにおいて池田を破り、今年こそ栄冠を手に入れるかと思われたが、その機会は来年へと繰り越されることとなった。今シーズン、加藤が駆るのがスペシャライズドのオールラウンドレーサーであるTARMAC SL7だ。
昨年は同社のエアロロードであるVENGEを愛用していた加藤。今シーズン機材をスイッチした理由については「どんどん若い強い子が出てくるので、やはり機材も更新しないといけないな、と。VENGEも全然登れるのですが、TARMACを試乗してみたらすごく滑らかで乗りやすくなっていたので、すぐに決めました」と語った。
特別な軽量化を行わず、全体的に非常にオーソドックスなアセンブル。「そのままロードレースも走れるような構成で、大体6.8kgくらいですね」と加藤。コンポーネントはDURA-ACE R9100 DI2で、スぺシャライズドと4iiiiが共同開発したパワーメーターを装着。ホイールはITLAB 45mmにヴィットリア CORSA SPEED TLRを組み合わせる。
リアのスプロケットは今年もジュニアギアを継続。「今年はプロ選手も走るということで、最終盤の平地で11Tが必要になるかと思って迷ったのですが、クロスレシオのメリットを取りました」と加藤。実際、蓋を開けてみればそういった展開にはならず、読みが当たったと言えそうだ。
男子主催者選抜3位 池田隆人(TEAM ZWC) キャニオン AEROAD CF SLX
昨年大会記録を大幅に塗り替える走りを見せた池田は、3位入着。「完全に力負けでした。来年リベンジします!」と落ち込む間もなく前を向く。そんな池田は昨年同様キャニオンのエアロロード、AEROAD CF SLXに乗り2連覇を目指した。
ブラケットを内側に入れた特徴的なセッティングやペダル裏のカバー、前輪がBORA WTO45、後輪にメカニコの手組ホイールという組み合わせは変わらず。一方で、細かなポイントにはアップデートが加わっている。
最も目立つのがフロントブレーキだ。以前はエアロに特化したトライリグのセンタープルブレーキを使用していたが、今年はDURA-ACEに変更。「普段、集団で走ることも増えたので、制動力を確保するようにしました」とその理由を語ってくれた。
もう一つは、サイクルコンピューターの位置だ。以前は一般的なアウトフロントマウントを使用していたが、今年はステムの後方、トップチューブ上にゴムバンドでマウント。MTBのようなレイアウトだが、これも空力向上のためだという。細かな積み重ねをおろそかにしない姿勢こそが、強豪レーサーたる所以なのだろう。
男子主催者選抜 豊田勝徳(トレックミニバスレーシング) トレック MADONE SLR
今年の主催者選抜クラスでゼロkm地点からアタックを決めたのが"トヨカツ"こと豊田勝徳。TT巧者としても知られる独走力で見せ場を作った豊田が駆るのがトレックのエアロロードであるMADONE SLR。
トレックのカラーオーダーシステムであるプロジェクトワンの中でも最高級の仕上げとなるICONシリーズの一つである"Psychedelic Marble"に身を包んだフレームは、印象的な逃げを見せた豊田の走りにふさわしい華やかさ。
コンポーネントはスラム RED eTap AXSで、ホイールはボントレガーのAEOLUS RSL51。フロントにはコットンケーシングのボントレガー R4 320ハンドメイドクリンチャー、リアはピレリのP ZERO RACE CLASSICを組み合わせる。
「フロントは快適性も重視したモデルを、トラブルリスクの高いリアは少ししっかりしたモデルをそれぞれ選んでいます」とのことだ。フロントとリアライトを点灯させていたのは、さすが、「#昼でも点けよう」をスローガンにデイライトを推進するトレックといったところだ。
text:Naoki Yasuoka
photo:So Isobe,Naoki Yasuoka
男子主催者選抜1位 真鍋晃(EMU SPEED CLUB) ファクター O2 VAM
ダークホース、というと失礼かもしれませんが、前回覇者・池田隆人と前回2位・加藤大貴の争いに注目が集まっていた今大会で、鮮やかな独走勝利を果たした真鍋晃。その走りを支えたのが新鋭ブランド、ファクターのクライミングバイク"O2 VAM"だ。
「今シーズンは機材にも拘ろうと思って、決戦バイクを探していたところ、3月頃にこのバイクと出会って即決しました」と、まさに乗り始めて間もないニューバイクでビッグタイトルを掴んだという。ディスクブレーキバイクながら6.35kgと軽量に仕上げられている。
とはいえ、フロントシングルにしたり、ドロップ部をカットしたりといった過激なカスタムは行っていない。あくまで通常のロードバイクとしての走行性能を確保しつつ、軽量化を目指したパーツチョイスとなっている。
コンポーネントはDURA-ACE R9100 DI2だが、クランクはローターのALDHU CARBONにSIGEYIのスパイダーアーム型パワーメーター、AXO。ここにエクストラライトのOCTARAMP 52-36Tを組み合わせる。「DURA-ACEのパワーメーターよりもこの組み合わせだと100g以上軽く出来るんです」とのことで、軽量化への並々ならぬ熱意が窺える。
ホイールはロヴァールのALPINISTにクリンチャー最速との呼び声も高いミシュラン POWER TT、そしてブレーキローターはKCNCのカスディターを組み合わせ、足回りも軽量に仕上げている。
一方でエアロダイナミクスにも気を配っており、ボトルはノーブランドながらマグネット式エアロモデルを使用(レース本番では取り外していた)。ブラケットのポジションも内側に入れ込まれており、脇を締めたポジションを取りやすいセッティングとなっていた。
男子主催者選抜2位 加藤大貴 スペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7
昨年に続き2位に入った加藤大貴。前哨戦の榛名山ヒルクライムにおいて池田を破り、今年こそ栄冠を手に入れるかと思われたが、その機会は来年へと繰り越されることとなった。今シーズン、加藤が駆るのがスペシャライズドのオールラウンドレーサーであるTARMAC SL7だ。
昨年は同社のエアロロードであるVENGEを愛用していた加藤。今シーズン機材をスイッチした理由については「どんどん若い強い子が出てくるので、やはり機材も更新しないといけないな、と。VENGEも全然登れるのですが、TARMACを試乗してみたらすごく滑らかで乗りやすくなっていたので、すぐに決めました」と語った。
特別な軽量化を行わず、全体的に非常にオーソドックスなアセンブル。「そのままロードレースも走れるような構成で、大体6.8kgくらいですね」と加藤。コンポーネントはDURA-ACE R9100 DI2で、スぺシャライズドと4iiiiが共同開発したパワーメーターを装着。ホイールはITLAB 45mmにヴィットリア CORSA SPEED TLRを組み合わせる。
リアのスプロケットは今年もジュニアギアを継続。「今年はプロ選手も走るということで、最終盤の平地で11Tが必要になるかと思って迷ったのですが、クロスレシオのメリットを取りました」と加藤。実際、蓋を開けてみればそういった展開にはならず、読みが当たったと言えそうだ。
男子主催者選抜3位 池田隆人(TEAM ZWC) キャニオン AEROAD CF SLX
昨年大会記録を大幅に塗り替える走りを見せた池田は、3位入着。「完全に力負けでした。来年リベンジします!」と落ち込む間もなく前を向く。そんな池田は昨年同様キャニオンのエアロロード、AEROAD CF SLXに乗り2連覇を目指した。
ブラケットを内側に入れた特徴的なセッティングやペダル裏のカバー、前輪がBORA WTO45、後輪にメカニコの手組ホイールという組み合わせは変わらず。一方で、細かなポイントにはアップデートが加わっている。
最も目立つのがフロントブレーキだ。以前はエアロに特化したトライリグのセンタープルブレーキを使用していたが、今年はDURA-ACEに変更。「普段、集団で走ることも増えたので、制動力を確保するようにしました」とその理由を語ってくれた。
もう一つは、サイクルコンピューターの位置だ。以前は一般的なアウトフロントマウントを使用していたが、今年はステムの後方、トップチューブ上にゴムバンドでマウント。MTBのようなレイアウトだが、これも空力向上のためだという。細かな積み重ねをおろそかにしない姿勢こそが、強豪レーサーたる所以なのだろう。
男子主催者選抜 豊田勝徳(トレックミニバスレーシング) トレック MADONE SLR
今年の主催者選抜クラスでゼロkm地点からアタックを決めたのが"トヨカツ"こと豊田勝徳。TT巧者としても知られる独走力で見せ場を作った豊田が駆るのがトレックのエアロロードであるMADONE SLR。
トレックのカラーオーダーシステムであるプロジェクトワンの中でも最高級の仕上げとなるICONシリーズの一つである"Psychedelic Marble"に身を包んだフレームは、印象的な逃げを見せた豊田の走りにふさわしい華やかさ。
コンポーネントはスラム RED eTap AXSで、ホイールはボントレガーのAEOLUS RSL51。フロントにはコットンケーシングのボントレガー R4 320ハンドメイドクリンチャー、リアはピレリのP ZERO RACE CLASSICを組み合わせる。
「フロントは快適性も重視したモデルを、トラブルリスクの高いリアは少ししっかりしたモデルをそれぞれ選んでいます」とのことだ。フロントとリアライトを点灯させていたのは、さすが、「#昼でも点けよう」をスローガンにデイライトを推進するトレックといったところだ。
text:Naoki Yasuoka
photo:So Isobe,Naoki Yasuoka
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