2022/06/15(水) - 09:19
苦難が続いていたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が好相性のツール・ド・スイスで復活勝利。集団スプリントを制し、キャリア通算勝利数を120にまで伸ばしている。
順調に駒を進めるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)と山岳賞のクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:CorVos
第85回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)の第3ステージも引き続きアップダウンが連続する丘陵コース。エシュのスタートから、グレンヘンを目指す176.9kmコースに平坦という平坦はなく、合計4つのカテゴリー山岳を含めて獲得標高は3,000mオーバーに達する。
つい1ヶ月前にエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)がアワーレコードに挑戦し、49.254km/hの女子最速記録を叩き出したティソ・ベロドロームはフィニッシュ地点のすぐ横。最後の3級山岳を越えて以降20km弱は下り/平坦基調であり、大会中最もスプリント勝負に持ち込まれる可能性の高いコースだ。
シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)ら、強力なメンバーが逃げる photo:CorVos
新城幸也がスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)のために牽引役を務める photo:CorVos
この逃げを決めたのは、スタート直後から積極的にアタックを繰り返したフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)、スイスの若きTTスペシャリストであるシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)、山岳賞ランキング首位のクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)、アメリカ王者ジョセフ・ロスコフ(ヒューマンパワードヘルス)という強力な6名。
このところ様々なレースでメイン集団を出し抜く逃げ切りが決まっているが、総合首位のスティーブン・ウィリアムズ(イギリス)擁するバーレーン・ヴィクトリアスはスプリンターチームの手助けを借りつつリード拡大を3分台に留めてコントロール。後半区間に入ると不利な状況を打開すべくビッセガーが積極的にペースアップを図った。
逃げグループから飛び出したシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)での勝利を狙うアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ photo:CorVos
中間スプリントで争ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
残り40km地点で一度、残り32km地点でもう一度仕掛けたビッセガーは、途中の1級山岳でポイントを加算したシモンズやジルベールを置き去りにして独走を開始する。しかしバラけずにハイペース追走を続ける大集団を振り切るには至らず、残り11km地点で吸収。続けざまにやってきた中間スプリントポイントではルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のリードアウトを受けたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を抑えて-3秒のボーナスタイムを獲得している。
トーマスに敗れながらも-2秒を獲得して総合成績を上げたシャフマンだったが、直後に発生した集団落車にチームメンバーともども巻き込まれてしまう。背中に擦過傷を作ったシャフマンはアントン・パルツァー(オーストリア)に率いられて復帰を目指したものの、スプリントに突き進む集団には追いつけず、最終的に51秒遅れ。総合9位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) も足止めを喰らい大きく遅れた。
コカールやクリストフを抑えてペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が突き進む photo:CorVos
復活勝利を挙げたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー) photo:CorVos
左右にうねり、アップダウンも続くテクニカルレイアウトで組織的なリードアウトトレインを組めるチームはいなかった。最終左コーナーはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を従えたアンドレア・パスクァロン(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が先頭通過したものの、3番手につけたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)がロングスプリントを開始。緩斜面の登りスプリントという、最も得意とするフィニッシュレイアウト踏み続けるサガンに対しクリストフは届かず、急加速で追い上げるブライアン・コカール(フランス、コフィディス)も間に合わない。誰もが待ちわびた、サガンの勝利がついにやってきた。
「何度も話したように、病気になり、その後3ヶ月レースから離れていた自分にとってレースモードに入るのは難しいものがある。時間がかかるんだ」と、フィニッシュ後に話したサガン。鳴り物入りでトタル移籍を決めてから待望の1勝目であり、前回の勝利から数えて約10ヶ月ぶり。ワールドツアーレースでの勝利は実に昨年5月のジロ・デ・イタリア第10ステージ以来1年以上ぶりということになる。
キャリア通算勝利数を120に伸ばしたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー) photo:CorVos
リーダージャージを維持したスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
サガンはキャリア通算勝利数を120に伸ばすとともに、2019年で止まっていたツール・ド・スイスの通算勝利数を18に押し上げた。「ただ単なるステージ優勝だけど、それが嬉しいし、一日中コントロールしてくれたチームにとっても嬉しい結果だ。最後にやり遂げることができて本当によかった。ツールに向けても弾みになった」と安堵の表情を浮かべている。
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第85回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)の第3ステージも引き続きアップダウンが連続する丘陵コース。エシュのスタートから、グレンヘンを目指す176.9kmコースに平坦という平坦はなく、合計4つのカテゴリー山岳を含めて獲得標高は3,000mオーバーに達する。
つい1ヶ月前にエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)がアワーレコードに挑戦し、49.254km/hの女子最速記録を叩き出したティソ・ベロドロームはフィニッシュ地点のすぐ横。最後の3級山岳を越えて以降20km弱は下り/平坦基調であり、大会中最もスプリント勝負に持ち込まれる可能性の高いコースだ。
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この逃げを決めたのは、スタート直後から積極的にアタックを繰り返したフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)、スイスの若きTTスペシャリストであるシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)、山岳賞ランキング首位のクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)、アメリカ王者ジョセフ・ロスコフ(ヒューマンパワードヘルス)という強力な6名。
このところ様々なレースでメイン集団を出し抜く逃げ切りが決まっているが、総合首位のスティーブン・ウィリアムズ(イギリス)擁するバーレーン・ヴィクトリアスはスプリンターチームの手助けを借りつつリード拡大を3分台に留めてコントロール。後半区間に入ると不利な状況を打開すべくビッセガーが積極的にペースアップを図った。
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トーマスに敗れながらも-2秒を獲得して総合成績を上げたシャフマンだったが、直後に発生した集団落車にチームメンバーともども巻き込まれてしまう。背中に擦過傷を作ったシャフマンはアントン・パルツァー(オーストリア)に率いられて復帰を目指したものの、スプリントに突き進む集団には追いつけず、最終的に51秒遅れ。総合9位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) も足止めを喰らい大きく遅れた。
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左右にうねり、アップダウンも続くテクニカルレイアウトで組織的なリードアウトトレインを組めるチームはいなかった。最終左コーナーはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を従えたアンドレア・パスクァロン(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が先頭通過したものの、3番手につけたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)がロングスプリントを開始。緩斜面の登りスプリントという、最も得意とするフィニッシュレイアウト踏み続けるサガンに対しクリストフは届かず、急加速で追い上げるブライアン・コカール(フランス、コフィディス)も間に合わない。誰もが待ちわびた、サガンの勝利がついにやってきた。
「何度も話したように、病気になり、その後3ヶ月レースから離れていた自分にとってレースモードに入るのは難しいものがある。時間がかかるんだ」と、フィニッシュ後に話したサガン。鳴り物入りでトタル移籍を決めてから待望の1勝目であり、前回の勝利から数えて約10ヶ月ぶり。ワールドツアーレースでの勝利は実に昨年5月のジロ・デ・イタリア第10ステージ以来1年以上ぶりということになる。
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サガンはキャリア通算勝利数を120に伸ばすとともに、2019年で止まっていたツール・ド・スイスの通算勝利数を18に押し上げた。「ただ単なるステージ優勝だけど、それが嬉しいし、一日中コントロールしてくれたチームにとっても嬉しい結果だ。最後にやり遂げることができて本当によかった。ツールに向けても弾みになった」と安堵の表情を浮かべている。
ツール・ド・スイス2022第2ステージ結果
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー) | 4:28:38 |
2位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
4位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
5位 | アレックス・アランブル(スペイン、モビスター) | |
6位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | ケース・ボル(オランダ、チームDSM) | |
8位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
9位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) |
個人総合成績
1位 | スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 13:32:19 |
2位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | +0:06 |
3位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:07 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ) | +0:10 |
6位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) |
山岳賞 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) |
チーム総合成績 | ボーラ・ハンスグローエ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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