2022/06/13(月) - 13:00
南オランダで第33回ZLMツアーが開催され、スプリンターたちが躍動。20歳オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が初日と2日目、最終日で区間優勝をマークし、母国のステージレースで総合優勝に輝いた。
世界中のサイクリングファンがツール・ド・フランス開幕を待ちわびるなか、オランダ南部ではスプリンターズステージレース「ZLMツアー(UCI.2.Pro)」が開催された。大会を通してカテゴリー山岳が登場せず、全ステージが平坦路で占められているため過去総合優勝者リストにはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)やアンドレ・グライペル(ドイツ)などのスプリンターが並んでいる。
コロナ禍での2年に渡る中断期間を経て行われた5日間のレースには、ユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ、チームDSMという3つのワールドチームが出場。その他にもアルペシン・フェニックスやブルゴスBHなど全18チームが初日のスタート地点であるオランダ南部カペッレに揃った。
第1ステージ カペッレ〜カペッレ(101km)
午後7時という珍しい時刻にスタートした第1ステージは、カペッレに設定された約13kmコースを8周する101km。生まれ故郷で存在感を示したいウェスリー・モル(オランダ、バイクエイド)が逃げを決めたものの、それをユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団が早々と捉え、勝負は予想に違わず集団スプリントへ。
狭い道幅にラウンドアバウトや、連続する緩いコーナーなどによって各チームの隊列は崩壊すると、各エースたちが単独での位置取り争いを強いられる。そんな混沌の中でも絶妙なポジショニングを見せたオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマが、ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス)を下して勝利を挙げた。
第2ステージ フェーレ〜フス(183.2km)
2日目も”パンケーキ・フラット”という形容に相応しい平坦コースで争われた。序盤から強い向かい風が横風に変わると集団は分断し、レース先頭を行く20名のグループが形成された。ここにリーダージャージを着るユンボ・ヴィスマはコーイを含む5名を残し、イネオス・グレナディアーズもエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)ら4名が入った。一方でチームDSMはここから遅れ、懸命に追うも最後まで合流することはなかった。
20名による集団スプリントに持ち込まれると、残り500地点のラウンドアバウトを上手く利用してイネオスが先頭へ。しかし発射されたヴィヴィアーニのスプリントは伸びず、踏み込むコーイを上回るスピードで前日2位のマレツコが先頭でフィニッシュラインに飛び込んだ。
しかしフィニッシュ後、ヴィヴィアーニの前を進路を塞いだとしてマレツコに降格処分が下される。そのため2着だったコーイが2日連続の区間優勝を挙げることに。
第3ステージ ハイザイセン〜ブフテン(192.5km)
ベルギーとの国境沿いを南下する192.5kmの3日目ももちろんフラットコース。早々と逃げが決まったこの日、逃げグループではヤコブ・エリクソン(スウェーデン、リワル・サイクリングチーム)が同じく逃げ集団に選手を送り込んだアリンク・コンチネンタルサイクリングチームのチームカーに接触され、落車するトラブルが発生。しかしエリクソンに怪我はなく無事にレースを完走している。
この日も終始リーダージャージのユンボ・ヴィスマが牽引し、残り7kmで逃げ集団を吸収して集団スプリントへ。連日続く狭く曲がりくねったフィニッシュ手前の市街地コースで、マレツコが前日の悔しさを晴らす勝利を掴み取った。
第4ステージ シント・ウィッレブロルト〜ミールロ(196.5km)
大会4日目も最長距離の196.5kmコースにもかかわらず、獲得標高差が僅か204mしかない平坦ステージ。この日もユンボ・ヴィスマのリードアウトからコーイがスプリントを開始すると、その左からマレツコが上がり、更にその左からヴィヴィアーニが迫る。
しかし写真判定に持ち込まれた勝負は、右側に寄ったコーイとフェンスとの狭い間を縫うように上がったティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)が制す。34歳のベテランであるデュポンがキャリアハイとなるプロ8勝目を掴み取った。
第5ステージ マーデ〜レイスベルゲン(160.5km)
この日もリーダージャージのユンボ・ヴィスマが牽引するプロトンが、逃げを追う典型的な展開に。5名のオランダ人によって形成された逃げ集団は残り1.5kmまで粘ったものの、高速で牽引するユンボの前に敢えなく吸収。5日連続で集団スプリントに持ち込まれた。
マレツコがコーナーで番手を下げて後方からのスプリントを強いられるなか、最終ストレートを前に一列棒状になった集団の左側からアレクサンダー・サルベイ(デンマーク、リワル・サイクリングチーム)が猛スピードで駆け上がり先頭に立つ。これに虚を突かれたコーイだったが、残り150mから猛追するとフィニッシュ直前でハンドルを投げ、僅差でコーイが先着した。
大会3勝目を挙げ、総合優勝に輝いたコーイは「成功の1週間となった。何事もなければ総合優勝は確実だと思っており、最終日に勝利でケーキの上にイチゴを乗せることができた。それほど多くない母国レースで最高の経験ができたよ」とコメント。またコーイはポイント賞とヤングライダー賞に加え、ユンボ・ヴィスマはチーム総合成績でもトップと、全ての賞を独占した。
コーイは昨年2月に下部チームから昇格した20歳。ユンボ・ヴィスマの次世代を担うスプリンターはこれで今季6勝目(プロ通算11勝目)、そしてシーズン2度目のステージレース総合優勝を決めている。
世界中のサイクリングファンがツール・ド・フランス開幕を待ちわびるなか、オランダ南部ではスプリンターズステージレース「ZLMツアー(UCI.2.Pro)」が開催された。大会を通してカテゴリー山岳が登場せず、全ステージが平坦路で占められているため過去総合優勝者リストにはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)やアンドレ・グライペル(ドイツ)などのスプリンターが並んでいる。
コロナ禍での2年に渡る中断期間を経て行われた5日間のレースには、ユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ、チームDSMという3つのワールドチームが出場。その他にもアルペシン・フェニックスやブルゴスBHなど全18チームが初日のスタート地点であるオランダ南部カペッレに揃った。
第1ステージ カペッレ〜カペッレ(101km)
午後7時という珍しい時刻にスタートした第1ステージは、カペッレに設定された約13kmコースを8周する101km。生まれ故郷で存在感を示したいウェスリー・モル(オランダ、バイクエイド)が逃げを決めたものの、それをユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団が早々と捉え、勝負は予想に違わず集団スプリントへ。
狭い道幅にラウンドアバウトや、連続する緩いコーナーなどによって各チームの隊列は崩壊すると、各エースたちが単独での位置取り争いを強いられる。そんな混沌の中でも絶妙なポジショニングを見せたオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマが、ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス)を下して勝利を挙げた。
第2ステージ フェーレ〜フス(183.2km)
2日目も”パンケーキ・フラット”という形容に相応しい平坦コースで争われた。序盤から強い向かい風が横風に変わると集団は分断し、レース先頭を行く20名のグループが形成された。ここにリーダージャージを着るユンボ・ヴィスマはコーイを含む5名を残し、イネオス・グレナディアーズもエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)ら4名が入った。一方でチームDSMはここから遅れ、懸命に追うも最後まで合流することはなかった。
20名による集団スプリントに持ち込まれると、残り500地点のラウンドアバウトを上手く利用してイネオスが先頭へ。しかし発射されたヴィヴィアーニのスプリントは伸びず、踏み込むコーイを上回るスピードで前日2位のマレツコが先頭でフィニッシュラインに飛び込んだ。
しかしフィニッシュ後、ヴィヴィアーニの前を進路を塞いだとしてマレツコに降格処分が下される。そのため2着だったコーイが2日連続の区間優勝を挙げることに。
第3ステージ ハイザイセン〜ブフテン(192.5km)
ベルギーとの国境沿いを南下する192.5kmの3日目ももちろんフラットコース。早々と逃げが決まったこの日、逃げグループではヤコブ・エリクソン(スウェーデン、リワル・サイクリングチーム)が同じく逃げ集団に選手を送り込んだアリンク・コンチネンタルサイクリングチームのチームカーに接触され、落車するトラブルが発生。しかしエリクソンに怪我はなく無事にレースを完走している。
この日も終始リーダージャージのユンボ・ヴィスマが牽引し、残り7kmで逃げ集団を吸収して集団スプリントへ。連日続く狭く曲がりくねったフィニッシュ手前の市街地コースで、マレツコが前日の悔しさを晴らす勝利を掴み取った。
第4ステージ シント・ウィッレブロルト〜ミールロ(196.5km)
大会4日目も最長距離の196.5kmコースにもかかわらず、獲得標高差が僅か204mしかない平坦ステージ。この日もユンボ・ヴィスマのリードアウトからコーイがスプリントを開始すると、その左からマレツコが上がり、更にその左からヴィヴィアーニが迫る。
しかし写真判定に持ち込まれた勝負は、右側に寄ったコーイとフェンスとの狭い間を縫うように上がったティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)が制す。34歳のベテランであるデュポンがキャリアハイとなるプロ8勝目を掴み取った。
第5ステージ マーデ〜レイスベルゲン(160.5km)
この日もリーダージャージのユンボ・ヴィスマが牽引するプロトンが、逃げを追う典型的な展開に。5名のオランダ人によって形成された逃げ集団は残り1.5kmまで粘ったものの、高速で牽引するユンボの前に敢えなく吸収。5日連続で集団スプリントに持ち込まれた。
マレツコがコーナーで番手を下げて後方からのスプリントを強いられるなか、最終ストレートを前に一列棒状になった集団の左側からアレクサンダー・サルベイ(デンマーク、リワル・サイクリングチーム)が猛スピードで駆け上がり先頭に立つ。これに虚を突かれたコーイだったが、残り150mから猛追するとフィニッシュ直前でハンドルを投げ、僅差でコーイが先着した。
大会3勝目を挙げ、総合優勝に輝いたコーイは「成功の1週間となった。何事もなければ総合優勝は確実だと思っており、最終日に勝利でケーキの上にイチゴを乗せることができた。それほど多くない母国レースで最高の経験ができたよ」とコメント。またコーイはポイント賞とヤングライダー賞に加え、ユンボ・ヴィスマはチーム総合成績でもトップと、全ての賞を独占した。
コーイは昨年2月に下部チームから昇格した20歳。ユンボ・ヴィスマの次世代を担うスプリンターはこれで今季6勝目(プロ通算11勝目)、そしてシーズン2度目のステージレース総合優勝を決めている。
ZLMツアー2022第1ステージ結果
1位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 2:08:27 |
2位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) |
ZLMツアー2022第2ステージ結果
1位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 3:45:38 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | アーロン・ファンパウク(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
17位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス) |
ZLMツアー2022第3ステージ結果
1位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 4:27:36 |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | アレクサンダー・サルベイ(デンマーク、リワル・サイクリングチーム) |
ZLMツアー2022第4ステージ結果
1位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB) | 4:12:57 |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) |
ZLMツアー2022第5ステージ結果
1位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 3:27:45 |
2位 | アレクサンダー・サルベイ(デンマーク、リワル・サイクリングチーム) | |
3位 | サム・ウェルスフォード(オーストラリア、チームDSM) |
個人総合成績
1位 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 18:01:39 |
2位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 0:28 |
3位 | アーロン・ファンパウク(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | 0:34 |
その他の特別賞
ポイント賞 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) |
ヤングライダー賞 | オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィスマ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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