2022/06/06(月) - 10:33
ツール前哨戦である第74回クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕。8日間に及ぶステージレース初日は集団スプリントに持ち込まれ、ツールでマイヨヴェールを目指すワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が制した。
ログリッチやファンアールトなど強力なメンバーで臨むユンボ・ヴィスマ photo:CorVos
ツール出場に向けアピールしたいクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第1ステージ image:A.S.O.
7月1日に開幕するツール・ド・フランスを控え、その前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)がフランス南東部のドーフィネ地方で開幕した。191.8kmで行われた初日はラ・ヴルト=シュル=ローヌのスタート直後から2級、3級山岳を越え、後半はフィニッシュ地点ボーシャステルに設定されたコースを2周する丘陵ステージ。周回コースには3級山岳と直後にカテゴリーのつかない山岳が含まれるため決してスプリンター向きではない。
アタッカー向きとも言えるコースで逃げ集団を形成したのは、162cmと小柄なベルギー人のローレンス・ハイス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)とピエール・ロラン(B&Bホテルズ KTM)&マキシム・ブエ(アルケア・サムシック)という2名のフランス人。それを追うメイン集団はピュアスプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)で勝負したいバイクエクスチェンジ・ジェイコが3分以上のリードを許さないコントロールを見せた。
逃げグループを形成したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)ら3名 photo:A.S.O.
レース前半はバイクエクスチェンジ・ジェイコがメイン集団をコントロールした photo:A.S.O.
ボーシャステルの周回コースに突入すると、ロランが最終3級山岳を含む全てのカテゴリー山岳をトップ通過して水玉ジャージ(ドーフィネは青地に白水玉)を確定させる。一方で1分後方を行くプロトンでは、トレック・セガフレードがヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)のために急激なスピードアップを敢行した。
レース前に「ライバルチームが全力で牽いたら難しいだろう」と語っていた通り、フルーネウェーヘンやマチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)などスプリンターが遅れていく。バイクエクスチェンジ・ジェイコはフルーネウェーヘンのためにメンバー総出で追走したものの、イネオスも牽引に加わったことで更にペースアップしたプロトンに最後まで追いつくことは出来なかった。
プロトンを牽引するトレック・セガフレードにつくワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ドーフィネ初日を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
逃げを飲み込みながら突き進むプロトンでは、フィニッシュまで続く平坦区間でエーススプリンターのいないクイックステップ・アルファヴィニルが攻撃に出る。まずはミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)が残り30kmから仕掛けると、残り1.5kmから今度はフランス王者レミ・カヴァニャがアタックする。しかしイネオスやトレック、ユンボ・ヴィズマが協力して牽引する集団を引き離すには至らず、結局最終山岳のハイペースを耐え切ったスプリンターを含む約100名が最終ストレートになだれ込んだ。
フラムルージュ(残り1km地点)からイネオス・グレナディアーズが隊列を組んで先頭に出ると、フィリッポ・ガンナ(イタリア)とミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)のリードアウトを得たイーサン・ヘイター(イギリス)がスプリントを開始する。しかしその背後に潜んでいたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が一気に加速。ヘイターをねじ伏せ、ドーフィネの初日勝者に輝くと共にマイヨジョーヌを獲得した。
リーダージャージを獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
山岳賞ジャージを獲得したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) photo:CorVos
パリ〜ルーベで2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュで3位と、春のクラシックシーズンを今ひとつ消化不良で終えたファンアールトにとって、3月25日のE3サクソバンククラシック以来となる勝利。ツールでマイヨヴェール(ポイント賞)獲得を目指すファンアールトが光明を掴んだ。
「最終山岳でスプリンターを振り落としたいチームが終盤に速度を上げ、タフな展開になることは予想していた。登りから脚の調子も良かったのでスプリントしたんだ。ヘイターの強さも分かっていたので追い抜くのは難しかったが、何とか勝利することができた」とファンアールトは語る。「僕向きのステージが続くのでリーダージャージをキープし、週末の山岳ステージでプリモシュに手渡すのが理想だね」とも。
そのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)は30位の同タイムでフィニッシュ。また、総合優勝を争うであろうエンリク・マス(スペイン、モビスター)やダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)もタイム差なしでレースを終えている。
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7月1日に開幕するツール・ド・フランスを控え、その前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)がフランス南東部のドーフィネ地方で開幕した。191.8kmで行われた初日はラ・ヴルト=シュル=ローヌのスタート直後から2級、3級山岳を越え、後半はフィニッシュ地点ボーシャステルに設定されたコースを2周する丘陵ステージ。周回コースには3級山岳と直後にカテゴリーのつかない山岳が含まれるため決してスプリンター向きではない。
アタッカー向きとも言えるコースで逃げ集団を形成したのは、162cmと小柄なベルギー人のローレンス・ハイス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)とピエール・ロラン(B&Bホテルズ KTM)&マキシム・ブエ(アルケア・サムシック)という2名のフランス人。それを追うメイン集団はピュアスプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)で勝負したいバイクエクスチェンジ・ジェイコが3分以上のリードを許さないコントロールを見せた。
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ボーシャステルの周回コースに突入すると、ロランが最終3級山岳を含む全てのカテゴリー山岳をトップ通過して水玉ジャージ(ドーフィネは青地に白水玉)を確定させる。一方で1分後方を行くプロトンでは、トレック・セガフレードがヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)のために急激なスピードアップを敢行した。
レース前に「ライバルチームが全力で牽いたら難しいだろう」と語っていた通り、フルーネウェーヘンやマチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)などスプリンターが遅れていく。バイクエクスチェンジ・ジェイコはフルーネウェーヘンのためにメンバー総出で追走したものの、イネオスも牽引に加わったことで更にペースアップしたプロトンに最後まで追いつくことは出来なかった。
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逃げを飲み込みながら突き進むプロトンでは、フィニッシュまで続く平坦区間でエーススプリンターのいないクイックステップ・アルファヴィニルが攻撃に出る。まずはミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)が残り30kmから仕掛けると、残り1.5kmから今度はフランス王者レミ・カヴァニャがアタックする。しかしイネオスやトレック、ユンボ・ヴィズマが協力して牽引する集団を引き離すには至らず、結局最終山岳のハイペースを耐え切ったスプリンターを含む約100名が最終ストレートになだれ込んだ。
フラムルージュ(残り1km地点)からイネオス・グレナディアーズが隊列を組んで先頭に出ると、フィリッポ・ガンナ(イタリア)とミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)のリードアウトを得たイーサン・ヘイター(イギリス)がスプリントを開始する。しかしその背後に潜んでいたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が一気に加速。ヘイターをねじ伏せ、ドーフィネの初日勝者に輝くと共にマイヨジョーヌを獲得した。
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パリ〜ルーベで2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュで3位と、春のクラシックシーズンを今ひとつ消化不良で終えたファンアールトにとって、3月25日のE3サクソバンククラシック以来となる勝利。ツールでマイヨヴェール(ポイント賞)獲得を目指すファンアールトが光明を掴んだ。
「最終山岳でスプリンターを振り落としたいチームが終盤に速度を上げ、タフな展開になることは予想していた。登りから脚の調子も良かったのでスプリントしたんだ。ヘイターの強さも分かっていたので追い抜くのは難しかったが、何とか勝利することができた」とファンアールトは語る。「僕向きのステージが続くのでリーダージャージをキープし、週末の山岳ステージでプリモシュに手渡すのが理想だね」とも。
そのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)は30位の同タイムでフィニッシュ。また、総合優勝を争うであろうエンリク・マス(スペイン、モビスター)やダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)もタイム差なしでレースを終えている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第1ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 4:37:31 |
2位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
5位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) | |
6位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
7位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン) | |
8位 | マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
9位 | バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) | |
10位 | ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、クイックステップ・アルファヴィニル) |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 4:37:21 |
2位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04 |
3位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 0:06 |
4位 | マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック) | 0:07 |
5位 | ローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 0:08 |
6位 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) | 0:09 |
7位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 0:10 |
8位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) | |
9位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
10位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン) |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) |
ヤングライダー賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
チーム総合成績 | EFエデュケーション・イージーポスト |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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