2022/06/05(日) - 20:27
タイムトライアルの大学生チャンピオンを決める「全日本学生選手権チーム・ロード・タイムトライアル大会」と、「全日本学生選手権 全日本学生個人ロードTT自転車競技大会」が、6月4日・5日の2日間に渡り開催された。チームタイムトライアルは東京大学が初優勝。個人タイムトライアル男子は、留目夕陽(中央大学)が昨年大会に続き連覇。女子は岩元杏奈(日本体育大学)が優勝した。
大学対抗戦のインカレとは別に、ロードとトラックの各種目ごとに学生チャンピオンを決める「全日本学生選手権」。今回開催されたチームタイムトライアルと個人タイムトライアルの大会はそのうちのひとつだ。両種目共にインカレには無い種目であり、このタイトルを目標とする大学生も少なくない。特にチームタイムトライアルは大学対抗の色も強いことから、各大学が力を入れる種目でもある。
会場は埼玉県の加須(かぞ)市と羽生(はにゅう)市にまたがる利根川河川敷内の工事用道路を往復するフラットコース。同じ場所で埼玉県自転車競技連盟が主催する個人タイムトライアル大会も開催されるが、学生選手権で使用するコースは10kmほど長い設定となっている。フラットコースと言えども風の影響を受けやすく、往路で追い風に乗ってペースを上げすぎると、復路の向かい風で失速することも多い。チームタイムトライアル、個人タイムトライアル共に往路と復路のペース配分が勝敗を分ける。
チームTT 東京大学初優勝 前年覇者の中央大大学は後半失速
6月4日に行われたチームタイムトライアルは、コースを2往復する63.2km。1チーム4名で出走し、3人目のフィニッシュ通過がチームのタイムとなる。前年上位8校は2分間隔でスタート。9番目以降は1分間隔でのスタートとなる。
エントリー20校のトップを切ってスタートした前年優勝の中央大学は、1往復目のラップタイム38分12秒をマーク。朝日大学が38分26秒、日本大学が38分30秒と、昨年の上位校が続く中、15番目にスタートした東京大学が、38分3秒と大きく上回るラップタイムをマークして2往復目に入っていく。
ほとんどの大学が3名となってフィニッシュに向かう中、最後まで4名を残した東京大学は2往復目も38分台を維持し、前にスタートした6校を抜いてフィニッシュ。1時間19分台で並んだ前年上位校を大きく上回る1時間17分のトップタイムをマークした。
一方、中央大学は2往復目に崩壊。4名がバラバラにフィニッシュに向かう状態となり、3分以上遅れて6位に沈んだ。
「4月ごろからメンバーで合わせる練習をしてきたので、それが実って良かった。ペース配分も含め、練習で手応えを掴めていたので、自信をもって臨めた」と話すのは、東京大学のメンバーとして走った篠﨑蒼平。東京大学は個人タイムトライアルで2009年、2010年に西薗良太、2012年に安井雅彦が優勝しているが、チームタイムトライアルは初優勝だ。
「金子(宗平)さんがダントツで強いのでいっぱい引いてもらって、僕も半分くらい引いて、残りのメンバーはまったく引かないという極端な配分で走った。2人はかなりキツそうだったけれどなんとか残ってくれた。2往復目の往路で少しペースを上げ過ぎてしまったけれど、復路でなんとかまとめることが出来た。サポートしてくれた人達から1位に近いタイムだと途中で聞いていたが、予想以上のペースで走ることが出来た」と、振り返った。
留目夕陽が圧勝 神村泰輝大健闘の2位 女子は岩元杏奈が優勝
翌日の6月5日は個人タイムトライアルが行われた。男子はチームタイムトライアルと同じコースを1往復する31.2km。前年上位選手から順に1分間隔でスタートし、後半は30秒間隔でのスタートとなる。
最初にスタートしたのは前年優勝の留目夕陽(中央大学)。前日のチームタイムトライアルで優勝出来なかった鬱憤を晴らすべく、ただ1人36分台のトップタイムをマーク。4番手スタートの伊澤将也(鹿屋体育大学)が40分17秒の暫定2位、25番目スタートの古谷田貴斗(鹿屋体育大学)が40分28秒の暫定3位と続くが、その後も40分を切るタイムは出ない。
上位勢が確定と思われ始めた頃、スタート順最終盤の神村泰輝(早稲田大学)が、留目から15秒遅れで折り返したという情報が入る。時間の経過と共に復路の向かい風が強くなる中タイムを失いながらも、神村は40分9秒をマークして2位に割って入った。
優勝 留目夕陽 コメント
「昨日悔しい思いをしたので、今日は全力で、自分の力を出し切る走りができた。昨年も優勝していたので自信はあったので自分との闘いと考えていた。アベレージスピードが50km/hに届かなかったのはちょっと悔しいけれど、自己ベストを更新出来たのは良かったと思う。3週間後の全日本選手権までの間に学連やJBCFのレースを走るが、怪我をしないように全日本に向けて調整していければと思う」
2位 神村泰輝 コメント
「埼玉車連の大会でこのコースは走ったことがあり、路面の状況とか風の感じとかは分かっていたけれど、出走順が遅くなるほど風が強くなってきたので厳しかった。折り返しで15秒差と言っても、追い風が強かったためでもあるので、まだ力が足りないと感じた。結果は納得できるものではなく、もうちょっと行けると思っていた。でも埼玉車連の大会の時よりもだいぶ速いペースで走れたので、その点は成長できたかなと感じている。来年は留目君の次にスタート出来るので、同じ条件で勝負したい」
女子は岩元杏奈が優勝
25.2kmで行われた女子は、前年優勝の渡部春雅(明治大学)と、岩元杏奈(日本体育大学)の争いとなり、岩元が約10秒上回って初優勝した。3位は阿部花梨(順天堂大学)。女子U23のタイムトライアルチャンピオンの石上夢乃(鹿屋体育大学)は6位に終わった。
大学対抗戦のインカレとは別に、ロードとトラックの各種目ごとに学生チャンピオンを決める「全日本学生選手権」。今回開催されたチームタイムトライアルと個人タイムトライアルの大会はそのうちのひとつだ。両種目共にインカレには無い種目であり、このタイトルを目標とする大学生も少なくない。特にチームタイムトライアルは大学対抗の色も強いことから、各大学が力を入れる種目でもある。
会場は埼玉県の加須(かぞ)市と羽生(はにゅう)市にまたがる利根川河川敷内の工事用道路を往復するフラットコース。同じ場所で埼玉県自転車競技連盟が主催する個人タイムトライアル大会も開催されるが、学生選手権で使用するコースは10kmほど長い設定となっている。フラットコースと言えども風の影響を受けやすく、往路で追い風に乗ってペースを上げすぎると、復路の向かい風で失速することも多い。チームタイムトライアル、個人タイムトライアル共に往路と復路のペース配分が勝敗を分ける。
チームTT 東京大学初優勝 前年覇者の中央大大学は後半失速
6月4日に行われたチームタイムトライアルは、コースを2往復する63.2km。1チーム4名で出走し、3人目のフィニッシュ通過がチームのタイムとなる。前年上位8校は2分間隔でスタート。9番目以降は1分間隔でのスタートとなる。
エントリー20校のトップを切ってスタートした前年優勝の中央大学は、1往復目のラップタイム38分12秒をマーク。朝日大学が38分26秒、日本大学が38分30秒と、昨年の上位校が続く中、15番目にスタートした東京大学が、38分3秒と大きく上回るラップタイムをマークして2往復目に入っていく。
ほとんどの大学が3名となってフィニッシュに向かう中、最後まで4名を残した東京大学は2往復目も38分台を維持し、前にスタートした6校を抜いてフィニッシュ。1時間19分台で並んだ前年上位校を大きく上回る1時間17分のトップタイムをマークした。
一方、中央大学は2往復目に崩壊。4名がバラバラにフィニッシュに向かう状態となり、3分以上遅れて6位に沈んだ。
「4月ごろからメンバーで合わせる練習をしてきたので、それが実って良かった。ペース配分も含め、練習で手応えを掴めていたので、自信をもって臨めた」と話すのは、東京大学のメンバーとして走った篠﨑蒼平。東京大学は個人タイムトライアルで2009年、2010年に西薗良太、2012年に安井雅彦が優勝しているが、チームタイムトライアルは初優勝だ。
「金子(宗平)さんがダントツで強いのでいっぱい引いてもらって、僕も半分くらい引いて、残りのメンバーはまったく引かないという極端な配分で走った。2人はかなりキツそうだったけれどなんとか残ってくれた。2往復目の往路で少しペースを上げ過ぎてしまったけれど、復路でなんとかまとめることが出来た。サポートしてくれた人達から1位に近いタイムだと途中で聞いていたが、予想以上のペースで走ることが出来た」と、振り返った。
留目夕陽が圧勝 神村泰輝大健闘の2位 女子は岩元杏奈が優勝
翌日の6月5日は個人タイムトライアルが行われた。男子はチームタイムトライアルと同じコースを1往復する31.2km。前年上位選手から順に1分間隔でスタートし、後半は30秒間隔でのスタートとなる。
最初にスタートしたのは前年優勝の留目夕陽(中央大学)。前日のチームタイムトライアルで優勝出来なかった鬱憤を晴らすべく、ただ1人36分台のトップタイムをマーク。4番手スタートの伊澤将也(鹿屋体育大学)が40分17秒の暫定2位、25番目スタートの古谷田貴斗(鹿屋体育大学)が40分28秒の暫定3位と続くが、その後も40分を切るタイムは出ない。
上位勢が確定と思われ始めた頃、スタート順最終盤の神村泰輝(早稲田大学)が、留目から15秒遅れで折り返したという情報が入る。時間の経過と共に復路の向かい風が強くなる中タイムを失いながらも、神村は40分9秒をマークして2位に割って入った。
優勝 留目夕陽 コメント
「昨日悔しい思いをしたので、今日は全力で、自分の力を出し切る走りができた。昨年も優勝していたので自信はあったので自分との闘いと考えていた。アベレージスピードが50km/hに届かなかったのはちょっと悔しいけれど、自己ベストを更新出来たのは良かったと思う。3週間後の全日本選手権までの間に学連やJBCFのレースを走るが、怪我をしないように全日本に向けて調整していければと思う」
2位 神村泰輝 コメント
「埼玉車連の大会でこのコースは走ったことがあり、路面の状況とか風の感じとかは分かっていたけれど、出走順が遅くなるほど風が強くなってきたので厳しかった。折り返しで15秒差と言っても、追い風が強かったためでもあるので、まだ力が足りないと感じた。結果は納得できるものではなく、もうちょっと行けると思っていた。でも埼玉車連の大会の時よりもだいぶ速いペースで走れたので、その点は成長できたかなと感じている。来年は留目君の次にスタート出来るので、同じ条件で勝負したい」
女子は岩元杏奈が優勝
25.2kmで行われた女子は、前年優勝の渡部春雅(明治大学)と、岩元杏奈(日本体育大学)の争いとなり、岩元が約10秒上回って初優勝した。3位は阿部花梨(順天堂大学)。女子U23のタイムトライアルチャンピオンの石上夢乃(鹿屋体育大学)は6位に終わった。
全日本学生選手権チーム・ロード・タイムトライアル大会 結果(63.2km)
1位 | 東京大学(金子、吉田、篠崎、長坂) | 1時間17分0秒77(49.24km/h) |
2位 | 朝日大学(森田、長谷川、伊豆野、山本) | +2分1秒 |
3位 | 日本大学(仮屋、生野、岡本、北嶋) | +2分13秒 |
4位 | 京都産業大学(矢萩、中村、廣中、上野) | +3分1秒 |
5位 | 早稲田大学(美甘、中野、大仲、神村) | +3分3秒 |
6位 | 中央大学(五十嵐、津石、留目、釜田) | +3分33秒 |
全日本学生選手権 全日本学生個人ロードTT自転車競技大会 結果
男子(31.2km) | ||
1位 | 留目夕陽(中央大学) | 37分42秒034(49.65km/h) |
2位 | 神村泰輝(早稲田大学) | +2分27秒 |
3位 | 伊澤将也(鹿屋体育大学) | +2分35秒 |
4位 | 古谷田貴斗(鹿屋体育大学) | +2分46秒 |
5位 | 松原颯祐(日本体育大学) | +2分48秒 |
6位 | 大仲凜功(早稲田大学) | +2分49秒 |
女子(25.2km) | ||
1位 | 岩元杏奈(日本体育大学) | 36分14秒740(41.72km/h) |
2位 | 渡部春雅(明治大学) | +9秒760 |
3位 | 阿部花梨(順天堂大学) | +1分40秒 |
text&photo:Satoru Kato
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