「辛い時期を乗り越え掴んだ、キャリア最高の勝利」とは、ジロ15日目で自身3度目の区間優勝を挙げたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)の言葉。平穏に終わった総合争いについて振り返るヒンドレーなど、第2週目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝:ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

復活勝利に感極まるジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)復活勝利に感極まるジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:RCS Sport
レース直後のインタビュー

早めに仕掛けたのは登り口に急勾配区間があったから。ここで行かなければ勝ちはないと思ったんだ。もし2、3人の小集団によるスプリントになれば勝負の行方が分からなくなるからね。脚が良かったこともあり1人で飛び出したんだ。どうやら正しい選択だったようだね。

昨年はコンディションが良かったにもかかわらず、ジロとブエルタの両方で様々な不運に見舞われた。そして今日の勝利によって僕は新たなキャリアをスタートできた気がするよ。今日の勝利はこれまで挙げてきたどの勝利よりも価値がある。ツールでマイヨジョーヌを着た時や、ジロで始めて区間優勝をした時以上の喜びだ。

ここ数年に渡る辛い時期について語ったジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)ここ数年に渡る辛い時期について語ったジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:RCS Sport
表彰式後のインタビュー

これでジロ3度目のステージ優勝だが、素晴らしく価値のある勝利となった。勝利を目指しながらも届かない辛い時を送り、自分の精神力が試される期間だった。自分が自分じゃないと感じるほど辛く、耐えて耐えてようやく掴んだ勝利だ。

今日ようやく自分の感覚を取り戻すことができた。最終山岳でアタックして他の選手たちを消耗させたかった。最初は4人いて、それが3、2と減っていき、最後は僕1人になった。それが僕のやり方だ。勝利できて本当に嬉しく、良い感覚が戻ってきた。

ジロには自分を疑いながらやってきた。ここまでの道のりは平坦ではなく、合宿も抗生物質を飲みながら行い、フレーシュやリエージュへの出場も回避せざるを得なかった。総合優勝も狙っていたが、ブロックハウス(第9ステージ)でその目標が潰えた。その原因は身体というよりも心にあったのかもしれない。だがその時に自分自身と約束したんだ。新たな目標を定め、新しいレースを見せるんだってね。

ステージ2位:サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)

残り19km地点でチッコーネに離されたサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)残り19km地点でチッコーネに離されたサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
今日もまた逃げの日だったが、逃げに乗るまでが本当に過酷だった。最後はチッコーネが強すぎたため結果は2位。もちろんステージ優勝を逃して落ち込んでいるが、2位も僕には価値がある結果だ。第3週にもチャンスが訪れるといいね。

山岳賞を奪還したクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

1級山岳ピラを先頭通過し、マリアアッズーラを獲得したクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)1級山岳ピラを先頭通過し、マリアアッズーラを獲得したクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
マリアアッズーラに再び袖を通すことができて本当に嬉しいよ。2つ目の山岳でもポイントを加算したかったが、1つ目の山岳の下りで背中に痛みが走ったんだ。だから最終週のことを考えペースを落とした。この後も沢山の山岳が待っている。このジャージを守るべく最大限の走りがしたい。

マリアローザ:リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

怪我なく復帰し、メイン集団前方に位置取るリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)怪我なく復帰し、メイン集団前方に位置取るリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
序盤から皆が逃げを目指すクレイジーな展開だった。最初の山岳までペースは速く、その後僕らがプロトンの先頭を引いた。最初は逃げとのタイム差をつけたくなかった。ステージ序盤に落車したものの、幸いバイク交換以外は何の問題もなかった。その後ステージはスムーズに進み、僕らにとって良いシナリオだった。前半は強度が高く、その後は全て僕らがコントロールした。

昨日はボーラがハイペースで牽引し、総合争いというよりもクラシックレースに近い展開だった。皆の疲れが今日のレースに現れたのだろう。勝負が決まるのは最終週。ステージの最後に待ち受ける山岳が勝負を分ける。僕たちはこのジャージを守るために全力を尽くす。

総合2位:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)

皆から疲労の色が伺えた。早くホテルに戻って休息日を迎えたいという雰囲気が全員から伝わってきたよ。レースはかなり退屈だったが、僕1人にできることはない。それにグランツールは長い戦いなんだ。昨日は激しい展開に持ち込まれ、だからこそ今日は慎重になっていたんだろうね。

最終山岳がもっと厳しければ違った展開になっただろう。だがあのような傾斜面では仕掛けても違いは生まれにくい。だから皆「今日はもういいや」って考えたのだろう。

前日のステージでレースを去ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

第14ステージの途中でレースを去ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)第14ステージの途中でレースを去ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:Jumbo-Visma
タンクの中身は空っぽで、リタイアについてなんて説明すればいいのか分からない。自分でも本当に残念だと思っている。ペダルを踏む度に痛みが伴うんだ。本当に調子が悪く、その理由を探してもいまは見つからない。

ベストコンディションじゃないことは明らかだったが、チームと一緒にヴェローナまで戦い続けると決めていた。せめて完走したかった。ベストを尽くすために毎朝集中力を高めたのだが、身体はどんどん消耗していった。(第7ステージのボウマンによる勝利で)このジロを存分に味わうことができた。あのステージはとても楽しかったが、この数日はただただ辛かった。この後は家に帰って休養を取り、それから今後について考えるよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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