2022/05/20(金) - 08:40
激しいアタック合戦によって平均55km/hで序盤戦を駆け抜けたジロ12日目。逃げグループの中から飛び出したステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス)が、3名のマッチスプリントを制してキャリア初勝利を挙げた。
3週間に及ぶ今年最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアも折り返しを過ぎた12日目。美食の都パルマから3級山岳パッソ・デル・ボッコ(標高957m)を目指して緩やかに標高を上げ、その後もアップダウンが続くコースレイアウトはいかにも逃げ屋向けであり、そのプロファイル通りこの日はスタートから激しいアタック合戦が続くこととなった。
出走した164名のプロトンの中にカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)の姿はなかった。ツール・ド・フランスとの連戦を見据えるユアンは当初の予定通り今後険しくなるステージレイアウトを回避し、休息とトレーニングに時間を充てるという。
この日はレース開始から実に1時間以上にも及ぶアタックとカウンターアタックの攻防が繰り広げられた。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)らを筆頭に有力勢が多数動き、登り基調にも関わらずなんとレース開始後1時間の平均スピードは55.3km/hに到達。逃げが一切決まらないまま訪れた55.9km地点の中間スプリントではマリアチクラミーノを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先頭通過を果たし、ランキングリードを上積みすることに成功している。
ポイントを狙っていたスプリンターチームの勢いが弱まったことも重なってか、前日惜しくも逃げ切り叶わなかったドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)のアタックをきっかけに22名が飛び出してメイン集団を引き離す。ファンデルプールやウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)といった強力メンバーが逃げ、フアン・ロペス(スペイン)のマリアローザを守るトレック・セガフレード)もバウケ・モレマ(オランダ)を送り込んだ。
ワウテル・ウェイラントが命を落とした3級山岳パッソ・デル・ボッコを、ジロが2011年の事故以降初めて通過する。この登りでは逃げにメンバーを送り損ねたバルディアーニCSFファイザネが追走グループを組み、ルカ・コヴィッリとダヴィデ・ガッブロがドローンホッパーのエドアルド・ザルディーニ(全員イタリア)を引き連れて合流。こうして70kmにも及ぶアタック合戦が終わり、25名が逃げ切りを目指してローテーションを組むこととなった。
逃げメンバーの中で最も総合成績上位のケルデルマンでも11分2秒遅れの総合23位。トレック・セガフレードは約5分とマリアローザ維持に危険が及ばない範囲のリードを与えた。誰もが「非常に慌ただしくハードな展開だった」と口を揃える前半戦を終え、逃げグループは勝負所となる151km地点と173km地点の3級山岳を目指した。
フィニッシュまで60kmを切ると2つ目の3級山岳ラ・コッレッタでロレンツォ・ロータ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がアタック。山頂を先頭通過したロータには下りでハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス)が合流を果たす。
遅れをとったグループではファンデルプールたちのアタックを挟み、続く3級山岳ヴァリコ・ディ・トレンサスコでケルデルマン、ハミルトン、モレマといった強者が追走グループを形成したが、すでに先を走る先頭3名との差は50秒。ファンデルプールはステージ優勝をチームメイトのオルダーニに託してペースを落とした。
観衆が詰めかけたトレンサスコ頂上通過時点で、逃げる3名と追走グループの差は45秒、メイン集団までは7分強。ローテーションを乱すことなく回した3名はリードを維持し、豪華客船が浮かぶジェノバの港街まで降りてきた。
軽量化のためにボトルを捨て、シューズのダイヤルを締め、牽制しながら残り1km地点を通過した3名。直後の左90度コーナーで一度後ろに下がったリームライゼが速度差をつけてロングスパート。しかし2名を突き放すには至らず残り600mで捉えられ、平均2%の登り勾配をトラック競技さながらのスローペースで進んだ。
一度アタックに失敗したリームライゼは残り300mを切ってから再び仕掛けたものの、オルダーニがすぐさま反応して背後につける。もがくリームライゼを風よけに、タイミングを計ったオルダーニがスプリントを開始。追い込むロータを振り切って、オルダーニが先頭を維持したままフィニッシュラインを駆け抜けた。
「決して楽な勝利ではなかった。友人であるロータがスプリントのある選手だと分かっいたので彼の動きを注意深くマークしていたし、もう1人も仕掛けるだろうと思っていた。簡単ではなかったが、勝てて本当によかった」と、スプリント力で頭一つ抜けていたオルダーニは振り返る。1998年生まれの24歳がプロキャリア初の優勝を、母国最大のジロ・デ・イタリアで掴み取ることに。
「僕らチームが逃げに唯一3名を送り込むことができた。マチューが逃げの入った影響は大きく、皆が彼の動きに気を取られていたおかげで他の選手たちにチャンスが巡ってきたんだ」と、フィニッシュ後に座り込み、頭を抱えて勝利を喜んだオルダーニは話している。イタリアにとっては母国出身選手のステージ2連勝に。
また、マリアローザのロペスはチームメイトに守られながら9分8秒遅れでフィニッシュ。総合リードを脅かされることなくマリアローザ着用日数を9日まで伸ばしている。
3週間に及ぶ今年最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアも折り返しを過ぎた12日目。美食の都パルマから3級山岳パッソ・デル・ボッコ(標高957m)を目指して緩やかに標高を上げ、その後もアップダウンが続くコースレイアウトはいかにも逃げ屋向けであり、そのプロファイル通りこの日はスタートから激しいアタック合戦が続くこととなった。
出走した164名のプロトンの中にカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)の姿はなかった。ツール・ド・フランスとの連戦を見据えるユアンは当初の予定通り今後険しくなるステージレイアウトを回避し、休息とトレーニングに時間を充てるという。
この日はレース開始から実に1時間以上にも及ぶアタックとカウンターアタックの攻防が繰り広げられた。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)らを筆頭に有力勢が多数動き、登り基調にも関わらずなんとレース開始後1時間の平均スピードは55.3km/hに到達。逃げが一切決まらないまま訪れた55.9km地点の中間スプリントではマリアチクラミーノを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先頭通過を果たし、ランキングリードを上積みすることに成功している。
ポイントを狙っていたスプリンターチームの勢いが弱まったことも重なってか、前日惜しくも逃げ切り叶わなかったドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)のアタックをきっかけに22名が飛び出してメイン集団を引き離す。ファンデルプールやウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)といった強力メンバーが逃げ、フアン・ロペス(スペイン)のマリアローザを守るトレック・セガフレード)もバウケ・モレマ(オランダ)を送り込んだ。
ワウテル・ウェイラントが命を落とした3級山岳パッソ・デル・ボッコを、ジロが2011年の事故以降初めて通過する。この登りでは逃げにメンバーを送り損ねたバルディアーニCSFファイザネが追走グループを組み、ルカ・コヴィッリとダヴィデ・ガッブロがドローンホッパーのエドアルド・ザルディーニ(全員イタリア)を引き連れて合流。こうして70kmにも及ぶアタック合戦が終わり、25名が逃げ切りを目指してローテーションを組むこととなった。
逃げメンバーの中で最も総合成績上位のケルデルマンでも11分2秒遅れの総合23位。トレック・セガフレードは約5分とマリアローザ維持に危険が及ばない範囲のリードを与えた。誰もが「非常に慌ただしくハードな展開だった」と口を揃える前半戦を終え、逃げグループは勝負所となる151km地点と173km地点の3級山岳を目指した。
フィニッシュまで60kmを切ると2つ目の3級山岳ラ・コッレッタでロレンツォ・ロータ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がアタック。山頂を先頭通過したロータには下りでハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス)が合流を果たす。
遅れをとったグループではファンデルプールたちのアタックを挟み、続く3級山岳ヴァリコ・ディ・トレンサスコでケルデルマン、ハミルトン、モレマといった強者が追走グループを形成したが、すでに先を走る先頭3名との差は50秒。ファンデルプールはステージ優勝をチームメイトのオルダーニに託してペースを落とした。
観衆が詰めかけたトレンサスコ頂上通過時点で、逃げる3名と追走グループの差は45秒、メイン集団までは7分強。ローテーションを乱すことなく回した3名はリードを維持し、豪華客船が浮かぶジェノバの港街まで降りてきた。
軽量化のためにボトルを捨て、シューズのダイヤルを締め、牽制しながら残り1km地点を通過した3名。直後の左90度コーナーで一度後ろに下がったリームライゼが速度差をつけてロングスパート。しかし2名を突き放すには至らず残り600mで捉えられ、平均2%の登り勾配をトラック競技さながらのスローペースで進んだ。
一度アタックに失敗したリームライゼは残り300mを切ってから再び仕掛けたものの、オルダーニがすぐさま反応して背後につける。もがくリームライゼを風よけに、タイミングを計ったオルダーニがスプリントを開始。追い込むロータを振り切って、オルダーニが先頭を維持したままフィニッシュラインを駆け抜けた。
「決して楽な勝利ではなかった。友人であるロータがスプリントのある選手だと分かっいたので彼の動きを注意深くマークしていたし、もう1人も仕掛けるだろうと思っていた。簡単ではなかったが、勝てて本当によかった」と、スプリント力で頭一つ抜けていたオルダーニは振り返る。1998年生まれの24歳がプロキャリア初の優勝を、母国最大のジロ・デ・イタリアで掴み取ることに。
「僕らチームが逃げに唯一3名を送り込むことができた。マチューが逃げの入った影響は大きく、皆が彼の動きに気を取られていたおかげで他の選手たちにチャンスが巡ってきたんだ」と、フィニッシュ後に座り込み、頭を抱えて勝利を喜んだオルダーニは話している。イタリアにとっては母国出身選手のステージ2連勝に。
また、マリアローザのロペスはチームメイトに守られながら9分8秒遅れでフィニッシュ。総合リードを脅かされることなくマリアローザ着用日数を9日まで伸ばしている。
ジロ・デ・イタリア2022第12ステージ結果
1位 | ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 4:26:47 |
2位 | ロレンツォ・ロータ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
3位 | ハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +0:02 |
4位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | +0:57 |
5位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
8位 | アンドレア・ヴェンドラメ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) | +1:44 |
9位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +1:49 |
10位 | パスカル・エーンクホーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +2:55 |
マリアローザ 個人総合成績
マリアチクラミーノ ポイント賞
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 83pts |
2位 | クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 69pts |
3位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 43pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
チーム総合成績
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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