2022/05/19(木) - 08:49
アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)がジロ11日目の大集団スプリントで勝利。強豪勢を残り数メートルで追い抜き、キャリア初のグランツールステージ優勝を射止めた。
ジロ・デ・イタリア11日目は、今大会で唯一カテゴリー山岳が設定されていない(個人TT含む)真っ平らなスプリンター向けステージ。アペニン山脈の際をなぞるように広大なポー平原を200kmに渡って進み、最後はイタリアンチーズの王様パルミジャーノ・レッジャーノの特定産地、レッジョ・ネレミリにフィニッシュする。
この日2日連続ステージ優勝のチャンスがあったビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)は、既報の通り前日表彰式でのシャンパンファイト中に抜栓したコルクが左目に直撃してDNS。そんな波乱を含みつつ、サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャから165名の選手たちがスタートを切った。
この日逃げグループを形成したのはフィリッポ・タリアーニ(イタリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)とグランツール初挑戦の22歳ルーカ・ラステッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)の2人。ほぼ0km地点であっさり飛び出した2人だったが、スプリンターチームがコントロールする集団は最大でも5分程度のリードしか与えなかった。
スタートから76.4km進んだ場所に設置された中間スプリントでは、脚の差を見せるようにタリアーニが先頭通過。4分後に到達したメイン集団内ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)がマリアチクラミーノを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマ・FDJ)を抑えて全体の3位通過。6ポイントを加算している。
平穏な移動ステージとなるはずだったが、この日は風速8m(30km/hほど)の風が東向きに吹き付けたため、メイン集団の緊張感は常に高いままだった。進行方向が変わり、追い風から横風に変化するタイミングで各チームが位置取り争いを繰り広げたことで、結果的にフィニッシュまで90km以上を残して逃げる2名をキャッチ。ペースが上がり切った集団からはカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が脱落するも、アシストの力を借りてすぐ復帰に成功している。
3時間で138kmを消化するハイペース(45.822km/h)で到達したこの日2箇所目の中間スプリント(スプリントポイントではなくボーナスタイムを獲得可能)ではイネオス・グレナディアーズがリードアウトトレインを組みリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を先頭通過させることに成功。「マージナルゲイン」を積み重ねたカラパスは、元々1秒差だったロマン・バルデ(フランス、チームDSM)と3秒差だったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)を抜き総合2位浮上を叶えている。
ここからフィニッシュまで70km以上。しばらく各チームが集団前方を固めて走る時間が続いたものの、その均衡を破るかのようにドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が一人アタックを仕掛けた。「このジロで初めてのアタック。今日はマチューが集団スプリント狙いではなかったので、別の方法を試してみた」と言うデボントはすぐ1分半リードを手にしたものの、ひとかたまりになって追走するメイン集団はすぐに1分以下に詰め寄った。
残り40kmで1分、残り30kmで40秒、残り25kmで17秒。メイン集団はいつでもデボントを引き戻せる状態で距離を消化していったが、ふと残り15kmで31秒にまで拡大。ここから元ベルギー王者デボントが粘り強い走りでタイム差減少を最小限に抑え続けた。
「スプリンターチームを混乱させるためにできる限り引きつけてから加速したんだ。もし僕が何もしなければ、ただ吸収されるだけだった」と言うデボントが、スプリンターチームの計算を狂わせる。一時は逃げ切りもあわやと思わせたものの、しかし圧倒的数的有利にモノを言わせ追う大集団を振り切るには至らず残り1.2kmで吸収。グルパマFDJとクイックステップ・アルファヴィニルが激しくリードアウトトレインをぶつけ合いながらスプリント勝負へとなだれ込んだ。
真っ先にスプリントを開始したデマールとフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が、カヴェンディッシュを置き去りにしてもがき合う。70km/hオーバーでスプリントした2人だったが、開始タイミングが早すぎたかシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)とアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)の追い上げを許してしまう。ガビリア勝利かと思われた状況を覆し、残り5mで先頭に立ったダイネーゼが勝利を奪い取った。
「コース中央で囲まれたものの、左に隙間を見つけたので飛び出した。そして右側にいたカビリアを抜くことができたんだ」と言うダイネーゼ。オランダの育成チームSEGレーシングアカデミー出身で2020に現チーム入りした24歳のスプリンターであり、グランツール出場は昨年のブエルタ・ア・エスパーニャに続く2度目。第3ステージ9位、第5ステージ7位とトップ10入りを重ねていたが、一気にグランツール初、ワールドツアーレースにおいても自身初となる勝利を掴んだ。
「今日は追い風だったので早めに仕掛けたけれど、彼がただシンプルに速かった。すごいスプリントだった」とガビリアに言わしめるダイネーゼ。最終盤まで若きイタリア人スプリンターが母国最大のレースでブレイクスルーに成功した。
総合成績は先述の通りカラパスが2位浮上。フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)はマリアローザ着用日数をさらに一日伸ばしている。
ジロ・デ・イタリア11日目は、今大会で唯一カテゴリー山岳が設定されていない(個人TT含む)真っ平らなスプリンター向けステージ。アペニン山脈の際をなぞるように広大なポー平原を200kmに渡って進み、最後はイタリアンチーズの王様パルミジャーノ・レッジャーノの特定産地、レッジョ・ネレミリにフィニッシュする。
この日2日連続ステージ優勝のチャンスがあったビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)は、既報の通り前日表彰式でのシャンパンファイト中に抜栓したコルクが左目に直撃してDNS。そんな波乱を含みつつ、サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャから165名の選手たちがスタートを切った。
この日逃げグループを形成したのはフィリッポ・タリアーニ(イタリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)とグランツール初挑戦の22歳ルーカ・ラステッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)の2人。ほぼ0km地点であっさり飛び出した2人だったが、スプリンターチームがコントロールする集団は最大でも5分程度のリードしか与えなかった。
スタートから76.4km進んだ場所に設置された中間スプリントでは、脚の差を見せるようにタリアーニが先頭通過。4分後に到達したメイン集団内ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)がマリアチクラミーノを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマ・FDJ)を抑えて全体の3位通過。6ポイントを加算している。
平穏な移動ステージとなるはずだったが、この日は風速8m(30km/hほど)の風が東向きに吹き付けたため、メイン集団の緊張感は常に高いままだった。進行方向が変わり、追い風から横風に変化するタイミングで各チームが位置取り争いを繰り広げたことで、結果的にフィニッシュまで90km以上を残して逃げる2名をキャッチ。ペースが上がり切った集団からはカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が脱落するも、アシストの力を借りてすぐ復帰に成功している。
3時間で138kmを消化するハイペース(45.822km/h)で到達したこの日2箇所目の中間スプリント(スプリントポイントではなくボーナスタイムを獲得可能)ではイネオス・グレナディアーズがリードアウトトレインを組みリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を先頭通過させることに成功。「マージナルゲイン」を積み重ねたカラパスは、元々1秒差だったロマン・バルデ(フランス、チームDSM)と3秒差だったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)を抜き総合2位浮上を叶えている。
ここからフィニッシュまで70km以上。しばらく各チームが集団前方を固めて走る時間が続いたものの、その均衡を破るかのようにドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が一人アタックを仕掛けた。「このジロで初めてのアタック。今日はマチューが集団スプリント狙いではなかったので、別の方法を試してみた」と言うデボントはすぐ1分半リードを手にしたものの、ひとかたまりになって追走するメイン集団はすぐに1分以下に詰め寄った。
残り40kmで1分、残り30kmで40秒、残り25kmで17秒。メイン集団はいつでもデボントを引き戻せる状態で距離を消化していったが、ふと残り15kmで31秒にまで拡大。ここから元ベルギー王者デボントが粘り強い走りでタイム差減少を最小限に抑え続けた。
「スプリンターチームを混乱させるためにできる限り引きつけてから加速したんだ。もし僕が何もしなければ、ただ吸収されるだけだった」と言うデボントが、スプリンターチームの計算を狂わせる。一時は逃げ切りもあわやと思わせたものの、しかし圧倒的数的有利にモノを言わせ追う大集団を振り切るには至らず残り1.2kmで吸収。グルパマFDJとクイックステップ・アルファヴィニルが激しくリードアウトトレインをぶつけ合いながらスプリント勝負へとなだれ込んだ。
真っ先にスプリントを開始したデマールとフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が、カヴェンディッシュを置き去りにしてもがき合う。70km/hオーバーでスプリントした2人だったが、開始タイミングが早すぎたかシモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)とアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)の追い上げを許してしまう。ガビリア勝利かと思われた状況を覆し、残り5mで先頭に立ったダイネーゼが勝利を奪い取った。
「コース中央で囲まれたものの、左に隙間を見つけたので飛び出した。そして右側にいたカビリアを抜くことができたんだ」と言うダイネーゼ。オランダの育成チームSEGレーシングアカデミー出身で2020に現チーム入りした24歳のスプリンターであり、グランツール出場は昨年のブエルタ・ア・エスパーニャに続く2度目。第3ステージ9位、第5ステージ7位とトップ10入りを重ねていたが、一気にグランツール初、ワールドツアーレースにおいても自身初となる勝利を掴んだ。
「今日は追い風だったので早めに仕掛けたけれど、彼がただシンプルに速かった。すごいスプリントだった」とガビリアに言わしめるダイネーゼ。最終盤まで若きイタリア人スプリンターが母国最大のレースでブレイクスルーに成功した。
総合成績は先述の通りカラパスが2位浮上。フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)はマリアローザ着用日数をさらに一日伸ばしている。
ジロ・デ・イタリア2022第11ステージ結果
1位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) | 4:19:04 |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) | |
4位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
5位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
6位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
7位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
8位 | サシャ・モドロ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) | |
9位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | ローレンス・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 46:43:12 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +0:12 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | +0:14 |
5位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:20 |
6位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | +0:28 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:29 |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:54 |
9位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:09 |
10位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:22 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 173pts |
2位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 96pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 91pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 83pts |
2位 | クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 69pts |
3位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 43pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 46:43:12 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:12 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | +1:27 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 40:12:41 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +4:17 |
3位 | アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ | +5:24 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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