2010/07/05(月) - 23:51
2日目のクリテで全体の7割を逃げた阿部嵩之(シマノレーシング)。初日山岳個人TT優勝の狩野智也を擁するチームブリヂストン・アンカーら他チームはこれに翻弄され、クリテで優勝の畑中勇介(シマノレーシング)が2日間の総合優勝を果たした。
7月3・4日に行われたみやだロード。初日は標高差880mのヒルクライム個人TT、2日目はクリテリウムで、合計のポイントで総合を決める、2日間のステージレースだ。
昨年11月のTRクラス入れ替え戦と初日は同じコース、2日目は違う場所だ。
初日のTTは狩野が貫録勝ち。2位に大差を付けて優勝。上位陣では阿部が7位、そして1週間前の全日本ロードU23で惜しくも2位となった原川浩介(湘南ベルマーレ)が9位に入り健闘。そして2位は今年に着実に結果を出してきている鈴木譲(シマノレーシング)だ。
昨年のマスドスタートレースの優勝タイムは外勢健一朗(当時ボンシャンス)の35分34秒。コンディションとレース形態の違いがタイムに現れた。
リーダージャージこそないが、2日目のクリテリウムは、狩野を中心としたリーダー争いが注目に。
2日目のクリテリウムは1周3.2kmのトリッキーなーコーナーやアップダウンの多いコース。スピードに加えてテクニックの重要なコースだ。TRクラスは20周の64kmで行われた。
予選2組を勝ち上がった50名で行われた決勝。まずはシマノ勢がアタックを連発する。クムサン・ジンセン・アジアも奈良基、福島晋一がアタックを繰り出す。
3周目後半、強豪勢が前に出たところでさらに阿部が鋭くアタック。最初から独走を狙った動きだ。阿部は低い姿勢でハイペースを維持し、すぐに後続との差が20秒から、そして最大1分20秒にまで広がる。メイン集団はBSアンカー勢が追走に回るものの差は縮まらない。
6周目、メイン集団から中村誠(宇都宮ブリッツェン)がアタック、平塚吉光(シマノレーシング)も加わり阿部を追走する。しかし阿部のペースは衰えない。逃げ切る可能性も出てきた。追走2人は10周を逃げ続けたが16周目にメイン集団に吸収される。メイン集団はBSアンカーの飯島誠、清水都貴が懸命に引き、後半はリーダーの狩野自身も加わるが逃げる阿部を捕まえられない。
18周目、ようやく逃げる阿部のペースが落ち始め、メイン集団も視界に捕らえ、そして阿部を吸収する。そこからカウンターで島田真琴(シマノレーシング)がアタック、それに鈴木真理(シマノレーシング)が追いついて最終周回へ。先頭2人に畑中勇介(シマノレーシング)も加わり先頭はシマノ3人に。後続はすでに一人となった狩野が引くが先頭に届かない。ゴールは畑中が制して、総合でも優勝した。
シマノ対BSアンカーとなった2日目。シマノ8人と多勢だったが、その中でも阿部のアタックは強烈で、阿部一人でレースを支配したと言っても過言でない。BSアンカー以外にも他チームも加わって阿部ひとりを追いかけたが、1時間10分、全体の7割の独走を許している。メイン集団はペースをコントロールしていたわけではなく、阿部の独走力を警戒して追走していた。終盤の阿部の衰えでようやく吸収することができたが、BSアンカーはじめ各チームはこの時点で脚を使っていて勝負に加われなかった。阿部がいなかったら、もっと接戦だっただろう。
阿部は昨年シマノ入りしてその独走力で目覚しいデビューを果たした。今年はオランダで走っているが、帰国直前の6月上旬に負傷、練習再開は全日本の1週間前だった。その全日本では中盤に逃げたが、明らかに本来の調子ではなかった。このみやだも本人にとってはまだ本調子でないが、それでもこの走りは驚嘆だ。
このレースが初の監督業となった野寺秀徳監督(シマノレーシング)
「今までどおりに一つの大会に集中力を出した結果です。おかげで監督初戦を勝つことができました。外からレースを見ると、選手に対する熱い気持ちも生まれた、やりがいがあります。アベタカが強烈な走りをしてくれて結果として勝てたけれども、完成形ではないしもっと強いチームを目指したい。圧倒的な力で勝ったように見えるかもしれないけれど、一人ひとりが勝ちたいと思った結果です。アシストする立場であっても、自分が勝つ気持ちがないと、ずっとアシストのままで終わってしまいます。終盤は誰もが勝ちたい気持ちがあった、結果は畑中が勝ちましたが」
「今西さんが築き上げ作り上げてきたものを引き継ぐのはプレッシャーですが、ボクのやり方でさらに進化させなくてはならないと考えています」
結果
総合(山岳個人TT+クリテリウムのポイント)
TR
1位 畑中勇介(シマノレーシング)97p
2位 平塚吉光(シマノレーシング)94p
3位 鈴木譲(シマノレーシング)91p
4位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)90p
5位 阿部嵩之(シマノレーシング)90p
6位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)77p
7位 村上純平(シマノレーシング)76p
8位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)72p
9位 飯野嘉則(シマノレーシング)69p
10位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)68p
FR
1位 西加南子(LUMINARIA)100p
2位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)96p
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)90p
BR-1
1位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)93p
2位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)85p
3位 近藤正紀(なるしまフレンド)83p
4位 佐々木英雄(Tacurino.net)83p
5位 青木峻二(Racing CUBE)76p
6位 井上人志(クラブシルベスト)76p
ER
1位 頓所哲郎(湘南ベルマーレ コムレイド)89p
2位 竜田健太郎(なるしまフレンド)87p
3位 萩原茂(チーム スキップ)84p
4位 上村領佑(FUJI-CYCLINGTIME.COM)82p
5位 福岡実(Team FITTE)80p
6位 金田健太郎(FAST LANE Racing)78p
1日目 山岳個人TT
TR
1位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)34分21秒
2位 鈴木譲(シマノレーシング)+47秒
3位 平塚吉光(シマノレーシング)+01分14秒
4位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)+1分30秒
5位 畑中勇介(シマノレーシング)+1分41秒
6位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+2分24秒
7位 阿部嵩之(シマノレーシング)+2分46秒
8位 奈良基(クムサン・ジンセン・アジア)+3分08秒
9位 原川浩介(湘南ベルマーレ)+3分24秒
10位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)+3分34秒
FR
1位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)46分12秒
2位 西加南子(LUMINARIA)+2分10秒
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)+2分48秒
BR-1
1位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)37分47秒
2位 佐々木英雄(Tacurino.net)+1分54秒
3位 田端伸行(spacebikes.com)+2分05秒
4位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)+2分09秒
5位 吉岡将(SQUADRA CORSA cicli HIDE)+2分39秒
6位 宮下星児(自在R&B)+2分54秒
ER
1位 頓所哲郎(湘南ベルマーレ コムレイド)39分38秒
2位 村山優弥(スワコレーシングチーム)+1分27秒
3位 竜田健太郎(なるしまフレンド)+2分11秒
4位 萩原茂(チーム スキップ)+2分35秒
5位 上村領佑(FUJI-CYCLINGTIME.COM)+2分38秒
6位 坂井裕紀(BREZZAカミハギRT)+3分02秒
2日目 クリテリウム
TR
1位 畑中勇介(シマノレーシング)1時間39分36秒
2位 鈴木譲(シマノレーシング)+01秒
3位 鈴木真理(シマノレーシング)+08秒
4位 大塚潤(GRUPPO ACQUA TAMA)
5位 平塚吉光(シマノレーシング)+12秒
6位 村上純平(シマノレーシング)
7位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)
8位 飯野嘉則(シマノレーシング)
9位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)+14秒
10位 島田真琴(シマノレーシング)
FR
1位 西加南子(LUMINARIA)43分44秒
2位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)
BR-1
1位 高塚亮輔(spacebikes.com)1時間20分10秒
2位 近藤正紀(なるしまフレンド)+04秒
3位 武山潤(TEAM☆ルパンttm)
4位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)
5位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)
6位 青木峻二(Racing CUBE)
ER
1位 北村智昭(masahikomifune.com CyclingTeam)37分19秒
2位 金田健太郎(FAST LANE Racing)
3位 岸崇仁(スミタ・ラバネロ)
4位 竜田健太郎(なるしまフレンド)
5位 福岡実(Team FITTE)
6位 徳久武志(BREZZAカミハギRT)
photo&text:高木秀彰
7月3・4日に行われたみやだロード。初日は標高差880mのヒルクライム個人TT、2日目はクリテリウムで、合計のポイントで総合を決める、2日間のステージレースだ。
昨年11月のTRクラス入れ替え戦と初日は同じコース、2日目は違う場所だ。
初日のTTは狩野が貫録勝ち。2位に大差を付けて優勝。上位陣では阿部が7位、そして1週間前の全日本ロードU23で惜しくも2位となった原川浩介(湘南ベルマーレ)が9位に入り健闘。そして2位は今年に着実に結果を出してきている鈴木譲(シマノレーシング)だ。
昨年のマスドスタートレースの優勝タイムは外勢健一朗(当時ボンシャンス)の35分34秒。コンディションとレース形態の違いがタイムに現れた。
リーダージャージこそないが、2日目のクリテリウムは、狩野を中心としたリーダー争いが注目に。
2日目のクリテリウムは1周3.2kmのトリッキーなーコーナーやアップダウンの多いコース。スピードに加えてテクニックの重要なコースだ。TRクラスは20周の64kmで行われた。
予選2組を勝ち上がった50名で行われた決勝。まずはシマノ勢がアタックを連発する。クムサン・ジンセン・アジアも奈良基、福島晋一がアタックを繰り出す。
3周目後半、強豪勢が前に出たところでさらに阿部が鋭くアタック。最初から独走を狙った動きだ。阿部は低い姿勢でハイペースを維持し、すぐに後続との差が20秒から、そして最大1分20秒にまで広がる。メイン集団はBSアンカー勢が追走に回るものの差は縮まらない。
6周目、メイン集団から中村誠(宇都宮ブリッツェン)がアタック、平塚吉光(シマノレーシング)も加わり阿部を追走する。しかし阿部のペースは衰えない。逃げ切る可能性も出てきた。追走2人は10周を逃げ続けたが16周目にメイン集団に吸収される。メイン集団はBSアンカーの飯島誠、清水都貴が懸命に引き、後半はリーダーの狩野自身も加わるが逃げる阿部を捕まえられない。
18周目、ようやく逃げる阿部のペースが落ち始め、メイン集団も視界に捕らえ、そして阿部を吸収する。そこからカウンターで島田真琴(シマノレーシング)がアタック、それに鈴木真理(シマノレーシング)が追いついて最終周回へ。先頭2人に畑中勇介(シマノレーシング)も加わり先頭はシマノ3人に。後続はすでに一人となった狩野が引くが先頭に届かない。ゴールは畑中が制して、総合でも優勝した。
シマノ対BSアンカーとなった2日目。シマノ8人と多勢だったが、その中でも阿部のアタックは強烈で、阿部一人でレースを支配したと言っても過言でない。BSアンカー以外にも他チームも加わって阿部ひとりを追いかけたが、1時間10分、全体の7割の独走を許している。メイン集団はペースをコントロールしていたわけではなく、阿部の独走力を警戒して追走していた。終盤の阿部の衰えでようやく吸収することができたが、BSアンカーはじめ各チームはこの時点で脚を使っていて勝負に加われなかった。阿部がいなかったら、もっと接戦だっただろう。
阿部は昨年シマノ入りしてその独走力で目覚しいデビューを果たした。今年はオランダで走っているが、帰国直前の6月上旬に負傷、練習再開は全日本の1週間前だった。その全日本では中盤に逃げたが、明らかに本来の調子ではなかった。このみやだも本人にとってはまだ本調子でないが、それでもこの走りは驚嘆だ。
このレースが初の監督業となった野寺秀徳監督(シマノレーシング)
「今までどおりに一つの大会に集中力を出した結果です。おかげで監督初戦を勝つことができました。外からレースを見ると、選手に対する熱い気持ちも生まれた、やりがいがあります。アベタカが強烈な走りをしてくれて結果として勝てたけれども、完成形ではないしもっと強いチームを目指したい。圧倒的な力で勝ったように見えるかもしれないけれど、一人ひとりが勝ちたいと思った結果です。アシストする立場であっても、自分が勝つ気持ちがないと、ずっとアシストのままで終わってしまいます。終盤は誰もが勝ちたい気持ちがあった、結果は畑中が勝ちましたが」
「今西さんが築き上げ作り上げてきたものを引き継ぐのはプレッシャーですが、ボクのやり方でさらに進化させなくてはならないと考えています」
結果
総合(山岳個人TT+クリテリウムのポイント)
TR
1位 畑中勇介(シマノレーシング)97p
2位 平塚吉光(シマノレーシング)94p
3位 鈴木譲(シマノレーシング)91p
4位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)90p
5位 阿部嵩之(シマノレーシング)90p
6位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)77p
7位 村上純平(シマノレーシング)76p
8位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)72p
9位 飯野嘉則(シマノレーシング)69p
10位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)68p
FR
1位 西加南子(LUMINARIA)100p
2位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)96p
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)90p
BR-1
1位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)93p
2位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)85p
3位 近藤正紀(なるしまフレンド)83p
4位 佐々木英雄(Tacurino.net)83p
5位 青木峻二(Racing CUBE)76p
6位 井上人志(クラブシルベスト)76p
ER
1位 頓所哲郎(湘南ベルマーレ コムレイド)89p
2位 竜田健太郎(なるしまフレンド)87p
3位 萩原茂(チーム スキップ)84p
4位 上村領佑(FUJI-CYCLINGTIME.COM)82p
5位 福岡実(Team FITTE)80p
6位 金田健太郎(FAST LANE Racing)78p
1日目 山岳個人TT
TR
1位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)34分21秒
2位 鈴木譲(シマノレーシング)+47秒
3位 平塚吉光(シマノレーシング)+01分14秒
4位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)+1分30秒
5位 畑中勇介(シマノレーシング)+1分41秒
6位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+2分24秒
7位 阿部嵩之(シマノレーシング)+2分46秒
8位 奈良基(クムサン・ジンセン・アジア)+3分08秒
9位 原川浩介(湘南ベルマーレ)+3分24秒
10位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)+3分34秒
FR
1位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)46分12秒
2位 西加南子(LUMINARIA)+2分10秒
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)+2分48秒
BR-1
1位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)37分47秒
2位 佐々木英雄(Tacurino.net)+1分54秒
3位 田端伸行(spacebikes.com)+2分05秒
4位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)+2分09秒
5位 吉岡将(SQUADRA CORSA cicli HIDE)+2分39秒
6位 宮下星児(自在R&B)+2分54秒
ER
1位 頓所哲郎(湘南ベルマーレ コムレイド)39分38秒
2位 村山優弥(スワコレーシングチーム)+1分27秒
3位 竜田健太郎(なるしまフレンド)+2分11秒
4位 萩原茂(チーム スキップ)+2分35秒
5位 上村領佑(FUJI-CYCLINGTIME.COM)+2分38秒
6位 坂井裕紀(BREZZAカミハギRT)+3分02秒
2日目 クリテリウム
TR
1位 畑中勇介(シマノレーシング)1時間39分36秒
2位 鈴木譲(シマノレーシング)+01秒
3位 鈴木真理(シマノレーシング)+08秒
4位 大塚潤(GRUPPO ACQUA TAMA)
5位 平塚吉光(シマノレーシング)+12秒
6位 村上純平(シマノレーシング)
7位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)
8位 飯野嘉則(シマノレーシング)
9位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)+14秒
10位 島田真琴(シマノレーシング)
FR
1位 西加南子(LUMINARIA)43分44秒
2位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)
3位 福本千佳(Ready Go JAPAN)
BR-1
1位 高塚亮輔(spacebikes.com)1時間20分10秒
2位 近藤正紀(なるしまフレンド)+04秒
3位 武山潤(TEAM☆ルパンttm)
4位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)
5位 秋丸湧哉(ブリヂストン・エスポワール)
6位 青木峻二(Racing CUBE)
ER
1位 北村智昭(masahikomifune.com CyclingTeam)37分19秒
2位 金田健太郎(FAST LANE Racing)
3位 岸崇仁(スミタ・ラバネロ)
4位 竜田健太郎(なるしまフレンド)
5位 福岡実(Team FITTE)
6位 徳久武志(BREZZAカミハギRT)
photo&text:高木秀彰
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