2022/05/13(金) - 09:05
波に乗るアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がジロの集団スプリントで2連勝。前日勝負に加わることができなかったカヴェンディッシュやユアンを下し、改めてその好調ぶりをアピールしている。
ハンガリーステージ、そしてシチリアステージを終え、ジロ・デ・イタリアは長靴に例えられるイタリア本土に上陸。6日目の舞台はパルミからスカレアまで、ティレニア海沿いにカラブリア州を一路北上する192kmの平坦ステージだ。
序盤に難易度の低い4級山岳を越えて以降は、ずっとド平坦。暖かで穏やかな天気のせいか、あるいは連日逃げにメンバーを送り込むドローンホッパー・アンドローニジョカトリが動かなかったせいか、この日はエスケープを狙う選手はなかなか現れず。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)たちがジョークで逃げを試みるフリをするほどに、のんびりとした平和な時間が長く続くこととなる。
35km/hほどのまったりペースで30kmほど過ごし、ようやくディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)が単独先行に打って出た。アスタナやチームスカイを渡り歩き、単年契約で新生エオーロと契約した33歳が、誰の協力も得ることなく長い一人旅をスタートさせた。
「山岳ポイントまでに逃げたいと思っていたけれど、まさか一人でずっと逃げることになるとは思っていなかった」と言うローザ。「僕たちのようなスプリンターのいないチームが一緒に逃げるのかなと思っていたけれど。でも今日、ファンの拍手は全部僕のものだった」と、4分程度のリードを得て、追い込むことなく一定ペースで単独逃げを続行した。
平均スピード40km/h以下、各選手の平均ワットは100ワット前後。各チームのSNSが「スーパー・チル」と形容する穏やかなペースでレースはティレニア海沿いを北上した。4級山岳通過後の中間スプリントポイントを前にドローンホッパーの3名(タリアーニ、セプルヴェダ、ラヴァネッリ)が逃げ、その後ろではアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)をぎりぎり交わしたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がメイン集団の先頭通過を果たしている。
「とても長い1日だった。最初の100〜120kmは居眠りしそうなほどで、レース中にもかかわらず自分を奮い立たせなければならなかった」とデマールが振り返るほどのスローペース。「しかし残り50、45、30kmの標識を目にすると、アドレナリンが出てきてプロトンの緊張感も高まっていった」と、徐々に集団の意識が変化していく中で訪れた154km地点の中間スプリントでは、ドローンホッパー勢の後ろで総合2位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が3位通過で1秒獲得。この後の山岳ステージでマリアローザ着用を狙っていることを予見させている。
クイックステップ・アルファヴィニルやロット・スーダルといったスプリンターチームが徐々にメンバーを集団前方に集め、タイム差調整を経て残り29kmでローザを吸収。ここまで全く力を使わなかったメイン集団は一気に加速し、60km/hものハイペースでトレインを並べながらフィニッシュに近づいていった。
スカレアのフィニッシュ地点まで、までひたすら真っ直ぐな幹線道路を常時5チーム以上が横に並んで高速巡航。残り2km地点でチームメイトとはぐれていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)もミケル・モルコフ(デンマーク)の助けによって復帰に成功している。
残り1kmからの覇権争いを繰り広げたのはクイックステップとグルパマFDJの2チームで、カヴェンディッシュを引き連れたモルコフはリードを築いていたグルパマトレインに並び、デマールをフェンス際に押さえつけながらカヴを発射させる芸術的なリードアウトを披露。ケース・ボル(オランダ、チームDSM)とフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が接触によって落車しかけるのを尻目に(斜行によってガビリアは集団最後尾フィニッシュ扱いに)、緩く右に曲がる最短ラインをカヴェンディッシュが突き進んだ。
フィニッシュラインを見据えながらもがいたカヴェンディッシュだったが、開始タイミングが早すぎたせいか徐々に失速。ラインをこじ開けてもがいたデマールと、ここまで息を潜めていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が先頭に立ち、同時にハンドルを投げ込んでフィニッシュ。両者とも確信が持てないほどの接戦の結果は写真判定に持ち込まれた。
判定にしばらくの時間をかけ、勝利が伝えられたのはデマールだった。ユアンはようやく初日落車からの復活をアピールしたものの、微妙にハンドルを投げるタイミングが遅れて2位。本来とは異なり、ゴール前でラインを変え、自ら追い上げるスプリントを披露した好調デマールがステージ2連勝に成功している。
デマールはスプリントポイントを62から147まで伸ばし、2位ギルマイとの差を7から53まで広げることに成功。翌日から続く山岳/丘陵ステージを前に、デマールが2020年大会以来となる最終的なマリアチクラミーノ獲得に向けて順調にポイントを重ねることとなった。
翌日は獲得標高差4,730mと、山岳といっても過言ではない丘陵ステージ。終盤こそ穏やかになるレイアウトであるものの、その手前では逃げ切りを狙うパンチャーたちが(前日と打って変わって)激しいアタック合戦を繰り広げることになるだろう。
ハンガリーステージ、そしてシチリアステージを終え、ジロ・デ・イタリアは長靴に例えられるイタリア本土に上陸。6日目の舞台はパルミからスカレアまで、ティレニア海沿いにカラブリア州を一路北上する192kmの平坦ステージだ。
序盤に難易度の低い4級山岳を越えて以降は、ずっとド平坦。暖かで穏やかな天気のせいか、あるいは連日逃げにメンバーを送り込むドローンホッパー・アンドローニジョカトリが動かなかったせいか、この日はエスケープを狙う選手はなかなか現れず。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)たちがジョークで逃げを試みるフリをするほどに、のんびりとした平和な時間が長く続くこととなる。
35km/hほどのまったりペースで30kmほど過ごし、ようやくディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)が単独先行に打って出た。アスタナやチームスカイを渡り歩き、単年契約で新生エオーロと契約した33歳が、誰の協力も得ることなく長い一人旅をスタートさせた。
「山岳ポイントまでに逃げたいと思っていたけれど、まさか一人でずっと逃げることになるとは思っていなかった」と言うローザ。「僕たちのようなスプリンターのいないチームが一緒に逃げるのかなと思っていたけれど。でも今日、ファンの拍手は全部僕のものだった」と、4分程度のリードを得て、追い込むことなく一定ペースで単独逃げを続行した。
平均スピード40km/h以下、各選手の平均ワットは100ワット前後。各チームのSNSが「スーパー・チル」と形容する穏やかなペースでレースはティレニア海沿いを北上した。4級山岳通過後の中間スプリントポイントを前にドローンホッパーの3名(タリアーニ、セプルヴェダ、ラヴァネッリ)が逃げ、その後ろではアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)をぎりぎり交わしたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)がメイン集団の先頭通過を果たしている。
「とても長い1日だった。最初の100〜120kmは居眠りしそうなほどで、レース中にもかかわらず自分を奮い立たせなければならなかった」とデマールが振り返るほどのスローペース。「しかし残り50、45、30kmの標識を目にすると、アドレナリンが出てきてプロトンの緊張感も高まっていった」と、徐々に集団の意識が変化していく中で訪れた154km地点の中間スプリントでは、ドローンホッパー勢の後ろで総合2位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が3位通過で1秒獲得。この後の山岳ステージでマリアローザ着用を狙っていることを予見させている。
クイックステップ・アルファヴィニルやロット・スーダルといったスプリンターチームが徐々にメンバーを集団前方に集め、タイム差調整を経て残り29kmでローザを吸収。ここまで全く力を使わなかったメイン集団は一気に加速し、60km/hものハイペースでトレインを並べながらフィニッシュに近づいていった。
スカレアのフィニッシュ地点まで、までひたすら真っ直ぐな幹線道路を常時5チーム以上が横に並んで高速巡航。残り2km地点でチームメイトとはぐれていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)もミケル・モルコフ(デンマーク)の助けによって復帰に成功している。
残り1kmからの覇権争いを繰り広げたのはクイックステップとグルパマFDJの2チームで、カヴェンディッシュを引き連れたモルコフはリードを築いていたグルパマトレインに並び、デマールをフェンス際に押さえつけながらカヴを発射させる芸術的なリードアウトを披露。ケース・ボル(オランダ、チームDSM)とフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が接触によって落車しかけるのを尻目に(斜行によってガビリアは集団最後尾フィニッシュ扱いに)、緩く右に曲がる最短ラインをカヴェンディッシュが突き進んだ。
フィニッシュラインを見据えながらもがいたカヴェンディッシュだったが、開始タイミングが早すぎたせいか徐々に失速。ラインをこじ開けてもがいたデマールと、ここまで息を潜めていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が先頭に立ち、同時にハンドルを投げ込んでフィニッシュ。両者とも確信が持てないほどの接戦の結果は写真判定に持ち込まれた。
判定にしばらくの時間をかけ、勝利が伝えられたのはデマールだった。ユアンはようやく初日落車からの復活をアピールしたものの、微妙にハンドルを投げるタイミングが遅れて2位。本来とは異なり、ゴール前でラインを変え、自ら追い上げるスプリントを披露した好調デマールがステージ2連勝に成功している。
デマールはスプリントポイントを62から147まで伸ばし、2位ギルマイとの差を7から53まで広げることに成功。翌日から続く山岳/丘陵ステージを前に、デマールが2020年大会以来となる最終的なマリアチクラミーノ獲得に向けて順調にポイントを重ねることとなった。
翌日は獲得標高差4,730mと、山岳といっても過言ではない丘陵ステージ。終盤こそ穏やかになるレイアウトであるものの、その手前では逃げ切りを狙うパンチャーたちが(前日と打って変わって)激しいアタック合戦を繰り広げることになるだろう。
ジロ・デ・イタリア2022第6ステージ結果
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 5:02:33 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
4位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
5位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | |
6位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | アンドレア・ヴェンドラメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | |
8位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) | |
9位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
10位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 23:23:36 |
2位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:38 |
3位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:59 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | +1:42 |
5位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:47 |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:55 |
7位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:00 |
8位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:04 |
9位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | +2:06 |
10位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 147pts |
2位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 94pts |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 78pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 43pts |
2位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 18pts |
3位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 18pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | 23:23:36 |
2位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:47 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:58 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 70:14:21 |
2位 | アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ | +2:25 |
3位 | トレック・セガフレード | +2:55 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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