ダンケルク4日間レースも後半戦の4日目。ハンドルを投げ込む接戦スプリントをライオネル・タミニオー(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が制し、同日に行われたジロ・デ・イタリア初日で区間優勝と共にマリアローザを獲得したマチュー・ファンデルプール(オランダ)の勝利に華を添えた。



出発地であるマザンガルブの街でスタートを待つ選手たち出発地であるマザンガルブの街でスタートを待つ選手たち (c)www.4joursdedunkerque.org
ジロ・デ・イタリア開幕と時を同じく行われたダンケルク4日間レース第4ステージ。6日間に及ぶレース4日目はマザンガルブを出発して時計回りにエール=シュル=ラ=リスに向かう170.8kmで争われ、背の低い4つの丘を越えてから平坦路にフィニッシュするスプリンターステージだ。

アレックス・コールマン(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)が山岳ポイントを加算すべく序盤から飛び出したこの日、合計4名による逃げ集団がフランス北部を突き進む。それをリーダージャージのヒューマンパワードヘルスが3分差以上は許さないタイトなコントロールで追いかけた。

エール=シュル=ラ=リスの市街地に入る直前の8.6kmで逃げ集団を捉えると、今大会見せ場をつくれていないAG2RシトロエンやB&Bホテルズ KTMの隊列が先頭へ。二車線を横に目一杯広がったプロトンが、フラムルージュ(残り1km地点)を猛スピードで通過していった。

プロトンの先頭に出てペースメイクしたルドヴィク・ロベート(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)プロトンの先頭に出てペースメイクしたルドヴィク・ロベート(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB) photo:Bingoal Pauwels Sauces WB
終盤に向け緊張感が高まるプロトンを主導するアルペシン・フェニックス終盤に向け緊張感が高まるプロトンを主導するアルペシン・フェニックス photo:Alpecin-Fenix
テクニカルなコーナーの末にフィニッシュラインが引かれたレイアウトは4日目も変わらず。ポジション取りが勝利に何よりも重要な最終盤で、グルパマ・エフデジのジェイク・スチュワート(イギリス)を先頭に最終ストレートに突入。しかしスプリントを託されたブラム・ウェルテン(オランダ)は番手を下げ、代わりにロレンゾ・マンザン(フランス、トタルエネルジー)が先頭に躍り出た。

だがマンザンのスピードは伸びず、両脇から加速したライオネル・タミニオー(ベルギー、アルペシン・フェニックス)とスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ビンゴール・パウェルスソースWB)の一騎打ちに。両者がハンドルを投げた結果は写真判定に持ち込まれ、僅かの差でタミニオーの先着が明らかとなった。

ハンドルを投げるスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ビンゴール・パウェルスソースWB)とライオネル・タミニオー(ベルギー、アルペシン・フェニックス)ハンドルを投げるスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ビンゴール・パウェルスソースWB)とライオネル・タミニオー(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:Équipe cycliste Groupama–FDJ
プロ2勝目を挙げたタミニオーは25歳のベルジャンスプリンター。「とても緊張感のあるスプリントだった。大集団スプリントを嫌がる選手もいるが、僕には勝利に足る脚があったので大歓迎だった。ミヒャエル・ゴグルが良いアシストをしてくれ、最終コーナーを抜けてから自分のスピードを発揮することができた」と今年2月の鎖骨骨折を乗り越え掴んだ勝利を、タミニオーはそう喜んだ。

またアルペシン・フェニックスは同日に行われたジロ・デ・イタリア初日でマチュー・ファンデルプール(オランダ)が区間優勝とマリアローザを獲得。更にサミュエル・ゲイズ(ニュージーランド)がUCIマウンテンバイクワールドカップ第2戦のアルプシュタット(ドイツ)大会で優勝したため、チームにとって同じ日に3勝がもたらされるビッグデーとなった。

翌日の第5ステージはルーベを出発して、カッセルの街に設定された石畳の登坂区間を含む周回コースを巡る183.7km。最終第6ステージが平坦レイアウトのため、このステージが総合優勝の行方が決まるクイーンステージとなる。
ダンケルク4日間レース2022第3ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) 4:22:14
2位 ジェイソン・テソン(フランス、サンミッシェル・オーベル93)
3位 ジュリアン・シモン(フランス、トタルエネルジー)
4位 ピエール・バルビエ(フランス、B&Bホテルズ KTM)
5位 ユーゴ・オフステテール(フランス、アルケア・サムシック)
個人総合成績
1位 アーヴィッド・デクレイン(オランダ、ヒューマンパワードヘルス) 11:57:43
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)
3位 サミュエル・ルルー(フランス、ゴースポーツ・ルーベリールメトロポール) 0:01
4位 ヘルベン・タイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:04
5位 エヴァルダス・シシュケヴィチュス(リトアニア、ゴースポーツ・ルーベリールメトロポール)
その他の特別賞
ポイント賞 ジェイソン・テソン(フランス、サンミッシェル・オーベル93)
山岳賞 アレックス・コールマン(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
ヤングライダー賞 ヘルベン・タイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
チーム総合成績 アルケア・サムシック
text:Sotaro.Arakawa